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一匹目!
3・モフモフわんこと生き延びろ!
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【卯月 晴/20歳/女性/人間LV1/ダンジョンマスターLV1】
【HP:50】
【MP:100】
【状態:健康】
【DP:100000】
【攻撃:F】
【防御:F】
【魔法攻撃:F】
【魔法防御:F】
【集中:F】
【敏捷:F】
【魅力:F】
【精神:F】
【光属性:F】
【闇属性:F】
【炎属性:F】
【大地属性:F】
【風属性:F】
【水属性:F】
【魔法スキル:*(習得していません)】
【特殊スキル:転移(ホームとダンジョン限定)】
「……はあ」
溜息をついて、わたしはステータスボードを消した。
ステータスボードはダンジョンでしか見ることができない。
レベルの数字と能力を表すアルファベットの横には、レベルアップバーと呼ばれる棒グラフがある。
自分の努力でそのバーが伸びて一定値に達すると、レベル(ダンジョンの評価?)が上がる仕組みだ。
レベルが上がったからといってボーナスポイントがもらえたりはしない。
HPMP状態の次にあるDPはダンジョンポイントの略で、おそらくこの世界ではわたしだけしか持っていないものだ。
これが0になるとダンジョンコアは消滅する。
ダンジョンコアはわたしの心臓と融合しているので、ダンジョンコアが消滅したらわたしも死ぬ。
そしてDPは毎日消費されていく。
ダンジョンコアが1000、ダンジョンマザーツリーがサービスで用意してくれたというこのダンジョンが1000、同じくサービスでナビにつけてくれた犬が2000で、今のところ一日に4000DPは絶対に減る。
現在のDPは100000だから、このままでも二十五日は生き延びられるかな?
「はあー」
もう一度溜息をついて、わたしは黒い毛皮に顔を埋めた。
豆柴の体ではない。あの小さな体はわたしを驚かせないための仮の姿だったのだ。
犬の本当の姿はふたつの頭を持つオルトロスだった。
オルトロスの姿になると体育館のステージの半分を埋めるほど大きい。
鼻も伸びて洋犬っぽくなる。
豆柴のときの短毛もオルトロスのときの長毛も触り心地が良くて最高だった。
「マスター」
わたしのソファになってくれている黒い犬が複雑そうな表情で口を開く。
ふたつの頭で意識が違うということはないみたいだ。
ちなみにダンジョンマザーツリーのサービスで、この子は最初からオルトロスの種族レベルが2だった。
「なぁに?」
「もしマスターがどうしてもダンジョンを運営したくないなら、吾を消すという手段もある。このダンジョンは消せないが、吾だけでもいなくなれば一日のDP消費量が2000に節約できる。マスターは五十日間生き延びることが可能だ」
こんな可愛い犬を消すなんてとんでもない!
キラキラ光る黄金色の瞳を見つめて言う。
「大丈夫、頑張るよ。べつに入ってきた人間を殺さなくてもいいんだもの。ただ……」
日本はダンジョンを開放していない。
二年ほど前からは自衛隊ではなく民間の会社が内部の調査を行っているのだが、依頼があったとき──最初の調査と数カ月ごとの定期検査で入るだけだという。
こんな状況で、どうやったらDPを稼げるのか。
だれかにこのことを打ち明けて相談するという選択肢はない。
そんなことしたら、どんな目に遭うかわからないもの。
わたしだけならともかく、この可愛い犬が実験に使われたりしたら絶対に嫌だよ。
……ダンジョンを民間の冒険者に開放している国の人間がダンジョンマスターになれば良かったのに。
まあダンジョンマザーツリーが日本を選んで種を投げ入れたんじゃなくて、種が自分で植木鉢を選んだのだからどうしようもない。
そう、この可愛い犬と一緒に生き延びるしかないのだ!
「ドロップ品に魅力があれば毎日入って来てくれるかなあ?」
ダンジョンに出現するモンスターは倒されても二十三時間でリポップする。
これまで五年間のダンジョン研究で明らかになっているし、さっき犬を通してダンジョンマザーツリーにも確認した。
わたし達が一日に消費するDPを上回るDPを放出してくれる人数の調査員が、毎日通ってくれれば生き延びられる。
わたしは再びステータスボードを開いて、ダンジョンマスターという単語をタップした。
犬に聞けばダンジョンマザーツリーのデータベースにアクセスして教えてくれるけど権限には限界があるし、わたしの知りたいことがはっきりしていないときは聞きようがない。
とりあえず説明書を見よう。
【HP:50】
【MP:100】
【状態:健康】
【DP:100000】
【攻撃:F】
【防御:F】
【魔法攻撃:F】
【魔法防御:F】
【集中:F】
【敏捷:F】
【魅力:F】
【精神:F】
【光属性:F】
【闇属性:F】
【炎属性:F】
【大地属性:F】
【風属性:F】
【水属性:F】
【魔法スキル:*(習得していません)】
【特殊スキル:転移(ホームとダンジョン限定)】
「……はあ」
溜息をついて、わたしはステータスボードを消した。
ステータスボードはダンジョンでしか見ることができない。
レベルの数字と能力を表すアルファベットの横には、レベルアップバーと呼ばれる棒グラフがある。
自分の努力でそのバーが伸びて一定値に達すると、レベル(ダンジョンの評価?)が上がる仕組みだ。
レベルが上がったからといってボーナスポイントがもらえたりはしない。
HPMP状態の次にあるDPはダンジョンポイントの略で、おそらくこの世界ではわたしだけしか持っていないものだ。
これが0になるとダンジョンコアは消滅する。
ダンジョンコアはわたしの心臓と融合しているので、ダンジョンコアが消滅したらわたしも死ぬ。
そしてDPは毎日消費されていく。
ダンジョンコアが1000、ダンジョンマザーツリーがサービスで用意してくれたというこのダンジョンが1000、同じくサービスでナビにつけてくれた犬が2000で、今のところ一日に4000DPは絶対に減る。
現在のDPは100000だから、このままでも二十五日は生き延びられるかな?
「はあー」
もう一度溜息をついて、わたしは黒い毛皮に顔を埋めた。
豆柴の体ではない。あの小さな体はわたしを驚かせないための仮の姿だったのだ。
犬の本当の姿はふたつの頭を持つオルトロスだった。
オルトロスの姿になると体育館のステージの半分を埋めるほど大きい。
鼻も伸びて洋犬っぽくなる。
豆柴のときの短毛もオルトロスのときの長毛も触り心地が良くて最高だった。
「マスター」
わたしのソファになってくれている黒い犬が複雑そうな表情で口を開く。
ふたつの頭で意識が違うということはないみたいだ。
ちなみにダンジョンマザーツリーのサービスで、この子は最初からオルトロスの種族レベルが2だった。
「なぁに?」
「もしマスターがどうしてもダンジョンを運営したくないなら、吾を消すという手段もある。このダンジョンは消せないが、吾だけでもいなくなれば一日のDP消費量が2000に節約できる。マスターは五十日間生き延びることが可能だ」
こんな可愛い犬を消すなんてとんでもない!
キラキラ光る黄金色の瞳を見つめて言う。
「大丈夫、頑張るよ。べつに入ってきた人間を殺さなくてもいいんだもの。ただ……」
日本はダンジョンを開放していない。
二年ほど前からは自衛隊ではなく民間の会社が内部の調査を行っているのだが、依頼があったとき──最初の調査と数カ月ごとの定期検査で入るだけだという。
こんな状況で、どうやったらDPを稼げるのか。
だれかにこのことを打ち明けて相談するという選択肢はない。
そんなことしたら、どんな目に遭うかわからないもの。
わたしだけならともかく、この可愛い犬が実験に使われたりしたら絶対に嫌だよ。
……ダンジョンを民間の冒険者に開放している国の人間がダンジョンマスターになれば良かったのに。
まあダンジョンマザーツリーが日本を選んで種を投げ入れたんじゃなくて、種が自分で植木鉢を選んだのだからどうしようもない。
そう、この可愛い犬と一緒に生き延びるしかないのだ!
「ドロップ品に魅力があれば毎日入って来てくれるかなあ?」
ダンジョンに出現するモンスターは倒されても二十三時間でリポップする。
これまで五年間のダンジョン研究で明らかになっているし、さっき犬を通してダンジョンマザーツリーにも確認した。
わたし達が一日に消費するDPを上回るDPを放出してくれる人数の調査員が、毎日通ってくれれば生き延びられる。
わたしは再びステータスボードを開いて、ダンジョンマスターという単語をタップした。
犬に聞けばダンジョンマザーツリーのデータベースにアクセスして教えてくれるけど権限には限界があるし、わたしの知りたいことがはっきりしていないときは聞きようがない。
とりあえず説明書を見よう。
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