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初めての指名依頼編
23・『白銀のダークウルフ亭』にて
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冒険者ギルドの建物の隣にあるので、『白銀のダークウルフ亭』にはすぐ着いた。
傭兵隊『闇夜の疾風』は、ここを定宿にしているそうです。
ちょっと中二病っぽい隊名だと思ったことは、だれにも内緒。
カジュアルな感じのロビーには、体格も髪の色もまちまちな人達が待っていた。
『黄金のケルベロス亭』が高級ホテルなら、ここはおしゃれなカフェかな。
便利な魔道具が普及しているからか、この世界に来てから衛生面での不安を感じたことがない。
……でも、この宿にはお風呂がないのです。
「葉菜花さん、ここへお座りください」
「ありがとうございます」
わたしに椅子を勧めた後、右隣の席に座ってマルコさんは言った。
「宿に持ち込みの許可は取っています。焼きサバと白身魚のフライのサンドイッチを作ってください」
「隊長?」
わたしの左に座っている、眩しいほど見事な金髪の青年がマルコさんを睨みつけた。
髪から覗く耳の先が尖っている。もしかして……エルフ?
「お互いの自己紹介もまだなんだけど?」
「……そうでしたね。みんな、彼女が錬金術師の葉菜花さんです。葉菜花さん、彼らが傭兵隊『闇夜の疾風』の隊員です」
「葉菜花です。よろしくお願いします」
ペンダントの水晶が淡く白い光を放った。
「それでは焼きサバと白身魚のフライのサンドイッチを」
「隊長!」
エルフらしき青年に睨みつけられて、マルコさんが肩を竦める。
「葉菜花さんの力を見るには魔石ごはんを作ってもらうのが一番だと思うんですが」
「わかってるよ。でもこっちの名前も言わずに力を使わせてちゃダメだろ、隊長」
「……仕方がありませんね。では自己紹介をしてください」
マルコさんから視線を外し、エメラルドみたいな緑色の瞳がわたしを映す。
この世界のエルフは二十五歳くらいまではヒト族と同じように成長するそうです。
二十五歳からは老化が遅くなり、寿命は三百年くらいなんだって。
ヒト族の寿命は六十から百年とのことなので、前世と変わらないね。
このエルフさんはいくつなんだろう。
門番のアレコスさんと同じ二十歳前後に見えるけど、百歳越えてるのかな。
「俺はルイス。見ての通りエルフだ。ラトニーの南にある森の国アケディア出身。『闇夜の疾風』では後方支援の狙撃手だ。……次、イサク自己紹介しろよ」
ルイスさんは、自分の隣に座った大柄な青年に話を振った。
短く刈った髪は黒く見えるが、よく見ると濃い赤色で瞳も同じ色。
「……俺はドワーフのイサク」
「え」
つい声を上げてしまった。
この世界のドワーフは体が大きいんだろうか。ベルちゃんが小柄なだけ?
確かに黄金の腕輪をつけている。
あれで『アイテムボックス』のスキルを使うのよね。
口調もベルちゃんに似ている気がする。ベルちゃんのほうが瞳の色が鮮やかだけど。
ドワーフは三十歳くらいまで人間と同じように年を取り、その後老化が遅くなる。
寿命はエルフより短くて二百年くらいだそうです。
イサクさんもルイスさんと同じ年ごろに見えるなあ。
ルイスさんのほうがちょっと若い?
ドワーフと聞いて驚いてしまったわたしに、イサクさんが言う。
「……俺はヒト族の母親似だから。ラトニーの北にある山間の国ワリティア出身。『闇夜の疾風』の切り込み役で、拳で戦う拳闘士だ」
拳闘士だからだろうか、彼は腕輪の下に指のない手袋をつけていた。
真っ白で、金属っぽい光沢がある。
イサクさんが微笑む。
「……美味しい食事、期待している」
「まだ雇うと決めたわけじゃないだろ」
ルイスさんがぼそりと呟いた。
「じゃあ次は……アタシでいいか」
そう言ったのは、黒髪で褐色の肌の美女だった。
琥珀色の瞳はロビーの照明を反射して、ときどき黄金色の光を放つ。
イサクさんほどではないものの、かなり長身で鍛えられた体の持ち主だ。
「アタシはバルバラ。海の向こうの大陸から来た。仕事は剣士、コイツが相棒」
そう言って、バルバラさんは腰の剣に触れた。
前世だったら博物館に飾られていてもおかしくなさそうな年代物に見える。
すごく大事にされているのがわかった。
バルバラさんに続いて、聖職者風の衣装を着て白い杖を持った男性が口を開く。
身長は高いものの、体は華奢でほっそりしている。
「私はジュリアーノ。ラトニー出身の神官です。『回復』魔術の研究をしています」
うわあ……エルフのルイスさんも綺麗なんだけど、このジュリアーノさんもすごく綺麗。
なんていうか、透き通るような美しさだ。
白に近い金髪に青い瞳。でもシオン君とは違う。
メガネの奥の青い瞳はサファイアよりも透明度の強いアクアマリン。
「では焼きサバと白身魚のフライのサンドイッチを……」
「マルコ!」
ニコロ君がマルコさんの名前を呼ぶ。
「俺らもちゃんと自己紹介しとかなきゃダメだろ」
「冒険者ギルドでしたじゃありませんか」
「今回の依頼の説明だけじゃん。……葉菜花」
ニコロ君がわたしを見る。
「昨日バカマルコが言っちまったし繰り返しになるけど、俺はニコロ。インウィ出身で『闇夜の疾風』の斥候だ。年は十歳。体が小さいと思って甘く見んなよ?」
「はいはい。じゃあ葉菜花さん、改めて僕はマルコです。昨日も言いましたがニコロの伯父です。僕とニコロが住んでいたインウィというのはラトニーの南、東の大陸との海峡にある群島都市国家です。今回の依頼で行く港町マルテスから船が出ていますよ。『闇夜の疾風』の隊長ですが、特に得意なものはありません。雑用係のようなものです」
相槌を打っていいのかどうか悩んでしまう自己紹介だった。
「……えっと……」
とりあえずわたしも改めて、年齢とか出身地(ウソなので申し訳ない)について話した。
それにしても国際色豊かな傭兵隊だなあ。
ラトニー王国以外の国へ行く日が来るかどうかはわからないけど、雇ってもらえたらいろいろ聞いてみたいかも。
「さて」
マルコさんが両手を打ち付ける。
「自己紹介が終わったので、魔石ごはんを作ってもらいましょう! いいですね、葉菜花さん?」
「もちろんです」
ラケルに平皿を出してもらって、『浄化』のあとで魔石を載せる。
「焼きサバと白身魚のフライのサンドイッチお願いしますね」
「俺はハンバーグサンドだからな」
「……隊長がこんなに料理に執着するなんて、珍しい」
「けっ」
「帝国にはいろんな文化があったけど、魔石から食べ物を作るなんて初めて聞くよ」
「私はあまり食事に興味はないのですが、変成の仕組みは気になりますね」
「……わふう……」
なんだかんだで注目されながら、わたしは魔石ごはんを変成した。
……ラケルは、もうちょっと待っててね。
「マルコさんご希望の焼きサバと白身魚のフライのサンドイッチ、ニコロ君にハンバーグサンドです。ほかの方にはハンバーガーとフライドポテトとチキンナゲットを作ってみました」
サンドイッチの種類を考えるのに疲れたので、ハンバーガー(攻撃力上昇)とフライドポテト(防御力上昇)とチキンナゲット(防御力上昇)にしてみました。
これは上書きされない組み合わせではありません。
フライドポテトとチキンナゲットが防御力上昇で被ってるからかな?
なんか、ちょっとした発想の転換でセットになりそうな気がするんだけどねー。
もちろん、ハンバーガーのバンズの色を濃くしたら、普段食べてるパンと同じに見えて抵抗なく食べてもらえるかと思ったのもある。
同じハンバーグ同じケチャップでもハンバーガー(攻撃力上昇)とハンバーグサンド(防御力上昇)の付与効果が違うのってなんでなんだろう?
シオン君はケチャップの甘さとピクルスの酸っぱさが相討ちになって、肉の要素が勝ったんじゃないかって言ってたっけ。
「コップをお持ちなら飲み物も作りますよ」
「イサク、俺のコップ出して!」
「僕のもお願いします」
自分達がリクエストしたサンドイッチを齧りながら、ニコロ君とマルコさんがイサクさんに言う。
「……葉菜花、飲み物はどんなものが作れるんだ?」
テーブルの上に全員のコップを出してイサクさんが聞いてきた。
『闇夜の疾風』のみなさんのコップは、素朴な木製でいい感じです。
買い取った陶器のコップはおしゃれで可愛いんだけど、割りそうで怖いのよね。
「えっと……シュワシュワして爽やかなのと、苦くて深みがあるのと、甘くて濃厚なのと……普通の紅茶も作れます」
「……俺はシュワシュワして爽やかなのにする。このメニューに合う予感がする」
さっきはドワーフだってことに驚いてよく見てなかったけど、ルイスさんやジュリアーノさんとは違う系統のキリッとした顔立ちで、イサクさんもカッコイイな。
「イサクがそう言うんなら、俺もシュワシュワにしようかな。なあ葉菜花、このハンバーガーってのも食べてもいいんだよな?」
「たくさん作ったから大丈夫ですよ」
ダンジョンアントの魔石で作ったハンバーガーは前世のファストフード店のものより小さいから、その分多めに作っている。
足りなかったら追加します。
ハンバーガーは複数の魔石を使えばある程度大きく作れる料理なのだが、お試しなら小さいサイズで種類を増やしたほうがいいだろう。
口に入らないほど大きなハンバーガーになると、ダンジョンアントの魔石じゃ作れない気がする。
「僕はその、苦くて深みがあるのにします。ちょっと怖いですが、美味しくないのなら勧めてこないでしょうからね」
というわけで、まずはイサクさんにジンジャーエール、ニコロ君にはレモンサイダー、マルコさんにアイスコーヒーを作ることにした。
カフェオレやコーヒー牛乳は作れるんだけど、ミルクだけは作れません。
魔石ごはん的にはアイスミルクは料理じゃないみたい。
大盛りラーメンみたいに、ランクの高い魔石を使えばいいのかなあ。
……いつか炊き立てごはんも作れるようになりますように。
傭兵隊『闇夜の疾風』は、ここを定宿にしているそうです。
ちょっと中二病っぽい隊名だと思ったことは、だれにも内緒。
カジュアルな感じのロビーには、体格も髪の色もまちまちな人達が待っていた。
『黄金のケルベロス亭』が高級ホテルなら、ここはおしゃれなカフェかな。
便利な魔道具が普及しているからか、この世界に来てから衛生面での不安を感じたことがない。
……でも、この宿にはお風呂がないのです。
「葉菜花さん、ここへお座りください」
「ありがとうございます」
わたしに椅子を勧めた後、右隣の席に座ってマルコさんは言った。
「宿に持ち込みの許可は取っています。焼きサバと白身魚のフライのサンドイッチを作ってください」
「隊長?」
わたしの左に座っている、眩しいほど見事な金髪の青年がマルコさんを睨みつけた。
髪から覗く耳の先が尖っている。もしかして……エルフ?
「お互いの自己紹介もまだなんだけど?」
「……そうでしたね。みんな、彼女が錬金術師の葉菜花さんです。葉菜花さん、彼らが傭兵隊『闇夜の疾風』の隊員です」
「葉菜花です。よろしくお願いします」
ペンダントの水晶が淡く白い光を放った。
「それでは焼きサバと白身魚のフライのサンドイッチを」
「隊長!」
エルフらしき青年に睨みつけられて、マルコさんが肩を竦める。
「葉菜花さんの力を見るには魔石ごはんを作ってもらうのが一番だと思うんですが」
「わかってるよ。でもこっちの名前も言わずに力を使わせてちゃダメだろ、隊長」
「……仕方がありませんね。では自己紹介をしてください」
マルコさんから視線を外し、エメラルドみたいな緑色の瞳がわたしを映す。
この世界のエルフは二十五歳くらいまではヒト族と同じように成長するそうです。
二十五歳からは老化が遅くなり、寿命は三百年くらいなんだって。
ヒト族の寿命は六十から百年とのことなので、前世と変わらないね。
このエルフさんはいくつなんだろう。
門番のアレコスさんと同じ二十歳前後に見えるけど、百歳越えてるのかな。
「俺はルイス。見ての通りエルフだ。ラトニーの南にある森の国アケディア出身。『闇夜の疾風』では後方支援の狙撃手だ。……次、イサク自己紹介しろよ」
ルイスさんは、自分の隣に座った大柄な青年に話を振った。
短く刈った髪は黒く見えるが、よく見ると濃い赤色で瞳も同じ色。
「……俺はドワーフのイサク」
「え」
つい声を上げてしまった。
この世界のドワーフは体が大きいんだろうか。ベルちゃんが小柄なだけ?
確かに黄金の腕輪をつけている。
あれで『アイテムボックス』のスキルを使うのよね。
口調もベルちゃんに似ている気がする。ベルちゃんのほうが瞳の色が鮮やかだけど。
ドワーフは三十歳くらいまで人間と同じように年を取り、その後老化が遅くなる。
寿命はエルフより短くて二百年くらいだそうです。
イサクさんもルイスさんと同じ年ごろに見えるなあ。
ルイスさんのほうがちょっと若い?
ドワーフと聞いて驚いてしまったわたしに、イサクさんが言う。
「……俺はヒト族の母親似だから。ラトニーの北にある山間の国ワリティア出身。『闇夜の疾風』の切り込み役で、拳で戦う拳闘士だ」
拳闘士だからだろうか、彼は腕輪の下に指のない手袋をつけていた。
真っ白で、金属っぽい光沢がある。
イサクさんが微笑む。
「……美味しい食事、期待している」
「まだ雇うと決めたわけじゃないだろ」
ルイスさんがぼそりと呟いた。
「じゃあ次は……アタシでいいか」
そう言ったのは、黒髪で褐色の肌の美女だった。
琥珀色の瞳はロビーの照明を反射して、ときどき黄金色の光を放つ。
イサクさんほどではないものの、かなり長身で鍛えられた体の持ち主だ。
「アタシはバルバラ。海の向こうの大陸から来た。仕事は剣士、コイツが相棒」
そう言って、バルバラさんは腰の剣に触れた。
前世だったら博物館に飾られていてもおかしくなさそうな年代物に見える。
すごく大事にされているのがわかった。
バルバラさんに続いて、聖職者風の衣装を着て白い杖を持った男性が口を開く。
身長は高いものの、体は華奢でほっそりしている。
「私はジュリアーノ。ラトニー出身の神官です。『回復』魔術の研究をしています」
うわあ……エルフのルイスさんも綺麗なんだけど、このジュリアーノさんもすごく綺麗。
なんていうか、透き通るような美しさだ。
白に近い金髪に青い瞳。でもシオン君とは違う。
メガネの奥の青い瞳はサファイアよりも透明度の強いアクアマリン。
「では焼きサバと白身魚のフライのサンドイッチを……」
「マルコ!」
ニコロ君がマルコさんの名前を呼ぶ。
「俺らもちゃんと自己紹介しとかなきゃダメだろ」
「冒険者ギルドでしたじゃありませんか」
「今回の依頼の説明だけじゃん。……葉菜花」
ニコロ君がわたしを見る。
「昨日バカマルコが言っちまったし繰り返しになるけど、俺はニコロ。インウィ出身で『闇夜の疾風』の斥候だ。年は十歳。体が小さいと思って甘く見んなよ?」
「はいはい。じゃあ葉菜花さん、改めて僕はマルコです。昨日も言いましたがニコロの伯父です。僕とニコロが住んでいたインウィというのはラトニーの南、東の大陸との海峡にある群島都市国家です。今回の依頼で行く港町マルテスから船が出ていますよ。『闇夜の疾風』の隊長ですが、特に得意なものはありません。雑用係のようなものです」
相槌を打っていいのかどうか悩んでしまう自己紹介だった。
「……えっと……」
とりあえずわたしも改めて、年齢とか出身地(ウソなので申し訳ない)について話した。
それにしても国際色豊かな傭兵隊だなあ。
ラトニー王国以外の国へ行く日が来るかどうかはわからないけど、雇ってもらえたらいろいろ聞いてみたいかも。
「さて」
マルコさんが両手を打ち付ける。
「自己紹介が終わったので、魔石ごはんを作ってもらいましょう! いいですね、葉菜花さん?」
「もちろんです」
ラケルに平皿を出してもらって、『浄化』のあとで魔石を載せる。
「焼きサバと白身魚のフライのサンドイッチお願いしますね」
「俺はハンバーグサンドだからな」
「……隊長がこんなに料理に執着するなんて、珍しい」
「けっ」
「帝国にはいろんな文化があったけど、魔石から食べ物を作るなんて初めて聞くよ」
「私はあまり食事に興味はないのですが、変成の仕組みは気になりますね」
「……わふう……」
なんだかんだで注目されながら、わたしは魔石ごはんを変成した。
……ラケルは、もうちょっと待っててね。
「マルコさんご希望の焼きサバと白身魚のフライのサンドイッチ、ニコロ君にハンバーグサンドです。ほかの方にはハンバーガーとフライドポテトとチキンナゲットを作ってみました」
サンドイッチの種類を考えるのに疲れたので、ハンバーガー(攻撃力上昇)とフライドポテト(防御力上昇)とチキンナゲット(防御力上昇)にしてみました。
これは上書きされない組み合わせではありません。
フライドポテトとチキンナゲットが防御力上昇で被ってるからかな?
なんか、ちょっとした発想の転換でセットになりそうな気がするんだけどねー。
もちろん、ハンバーガーのバンズの色を濃くしたら、普段食べてるパンと同じに見えて抵抗なく食べてもらえるかと思ったのもある。
同じハンバーグ同じケチャップでもハンバーガー(攻撃力上昇)とハンバーグサンド(防御力上昇)の付与効果が違うのってなんでなんだろう?
シオン君はケチャップの甘さとピクルスの酸っぱさが相討ちになって、肉の要素が勝ったんじゃないかって言ってたっけ。
「コップをお持ちなら飲み物も作りますよ」
「イサク、俺のコップ出して!」
「僕のもお願いします」
自分達がリクエストしたサンドイッチを齧りながら、ニコロ君とマルコさんがイサクさんに言う。
「……葉菜花、飲み物はどんなものが作れるんだ?」
テーブルの上に全員のコップを出してイサクさんが聞いてきた。
『闇夜の疾風』のみなさんのコップは、素朴な木製でいい感じです。
買い取った陶器のコップはおしゃれで可愛いんだけど、割りそうで怖いのよね。
「えっと……シュワシュワして爽やかなのと、苦くて深みがあるのと、甘くて濃厚なのと……普通の紅茶も作れます」
「……俺はシュワシュワして爽やかなのにする。このメニューに合う予感がする」
さっきはドワーフだってことに驚いてよく見てなかったけど、ルイスさんやジュリアーノさんとは違う系統のキリッとした顔立ちで、イサクさんもカッコイイな。
「イサクがそう言うんなら、俺もシュワシュワにしようかな。なあ葉菜花、このハンバーガーってのも食べてもいいんだよな?」
「たくさん作ったから大丈夫ですよ」
ダンジョンアントの魔石で作ったハンバーガーは前世のファストフード店のものより小さいから、その分多めに作っている。
足りなかったら追加します。
ハンバーガーは複数の魔石を使えばある程度大きく作れる料理なのだが、お試しなら小さいサイズで種類を増やしたほうがいいだろう。
口に入らないほど大きなハンバーガーになると、ダンジョンアントの魔石じゃ作れない気がする。
「僕はその、苦くて深みがあるのにします。ちょっと怖いですが、美味しくないのなら勧めてこないでしょうからね」
というわけで、まずはイサクさんにジンジャーエール、ニコロ君にはレモンサイダー、マルコさんにアイスコーヒーを作ることにした。
カフェオレやコーヒー牛乳は作れるんだけど、ミルクだけは作れません。
魔石ごはん的にはアイスミルクは料理じゃないみたい。
大盛りラーメンみたいに、ランクの高い魔石を使えばいいのかなあ。
……いつか炊き立てごはんも作れるようになりますように。
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