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12・たとえひとりでは食べきれない量の食事だったとしても
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「……よろしければ、私のシチューを半分食べていただけますか? 健啖家の竜人族の方々基準で用意してくださるので、私には少々多いのです」
朝食のパンケーキもかなり多くて、ソティリオス様に半分食べていただいたお礼にお茶をご馳走したのでした。
ただそれをご理解いただいたせいか、昼食のサンドイッチはほど良い量でした。
シチューも調整されているかもしれませんが……熱いお茶をたっぷり飲めば、お腹が膨れて安眠出来るでしょう。今夜からは全身鎧の音も聞こえませんしね!
『うむ! では馳走になろう。頼みは食事の後で話させてもらう』
精霊王様の言葉に頷いて立ち上がり、私達は離宮への帰路に就きました。
どのような頼みごとをされるのでしょうか。
竜王陛下と離れるような頼みでなければ良いと、愚かなお邪魔虫に過ぎない私は祈ってしまうのでした。……今日は陛下のお顔を拝見していません。前と同じで、秋になるまでお会いすることは出来ないのでしょうか。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「お帰りなさいませ、妃殿下」
離宮へ戻ると、ソティリオス様が迎えてくださいました。
本宮殿とは比べものになりませんが、ここも小規模の宮殿です。ひとりの食事を広い食堂で摂るのは寂しいと話したせいでしょう。持ってきてくださった料理は朝や昼と同じように、こじんまりした談話室のテーブルに並べられていました。焼き立てのパン、大鍋いっぱいのシチュー、新鮮な春の野菜と果物──
ひとりの食事、なのですけれど、かなり量が多い気がします。
「オレステス、もう少し考えろ。空が暗くなるまで歩き回るなんて。体力莫迦の俺やお前と違って、妃殿下はか弱いヒト族の女性なんだぞ」
「散歩は体にいいんだよ、兄上。……きゃん」
オレステス様がソティリオス様に殴られました。
本気の拳ではなさそうでしたが、オレステス様は痛そうな素振りで頭を庇っています。
「ソティリオス様、散歩を続けていたのは私の意思です。護衛してくださっていただけのオレステス様を責めないであげてください」
「はっ。御前でお見苦しいところを見せて申し訳ありませんでした。僭越ながら申し上げます。散歩が体に良いのは事実ですが、あまりご無理はなさらないようお願いします。その……心配いたしますので」
「ありがとうございます。それでは夕食をいただきましょうか。……随分多いのですね」
ソティリオス様はなぜか、真っ赤になって俯きました。
「申し訳ございません。その……もしよろしければ、朝のように俺がご相伴させていただきますが」
「兄上、護衛の交代はー?」
「そうですね、お願いします」
私はソティリオス様に頷いて、足元の精霊王様に視線を移しました。
朝食のパンケーキもかなり多くて、ソティリオス様に半分食べていただいたお礼にお茶をご馳走したのでした。
ただそれをご理解いただいたせいか、昼食のサンドイッチはほど良い量でした。
シチューも調整されているかもしれませんが……熱いお茶をたっぷり飲めば、お腹が膨れて安眠出来るでしょう。今夜からは全身鎧の音も聞こえませんしね!
『うむ! では馳走になろう。頼みは食事の後で話させてもらう』
精霊王様の言葉に頷いて立ち上がり、私達は離宮への帰路に就きました。
どのような頼みごとをされるのでしょうか。
竜王陛下と離れるような頼みでなければ良いと、愚かなお邪魔虫に過ぎない私は祈ってしまうのでした。……今日は陛下のお顔を拝見していません。前と同じで、秋になるまでお会いすることは出来ないのでしょうか。
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離宮へ戻ると、ソティリオス様が迎えてくださいました。
本宮殿とは比べものになりませんが、ここも小規模の宮殿です。ひとりの食事を広い食堂で摂るのは寂しいと話したせいでしょう。持ってきてくださった料理は朝や昼と同じように、こじんまりした談話室のテーブルに並べられていました。焼き立てのパン、大鍋いっぱいのシチュー、新鮮な春の野菜と果物──
ひとりの食事、なのですけれど、かなり量が多い気がします。
「オレステス、もう少し考えろ。空が暗くなるまで歩き回るなんて。体力莫迦の俺やお前と違って、妃殿下はか弱いヒト族の女性なんだぞ」
「散歩は体にいいんだよ、兄上。……きゃん」
オレステス様がソティリオス様に殴られました。
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「ソティリオス様、散歩を続けていたのは私の意思です。護衛してくださっていただけのオレステス様を責めないであげてください」
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「ありがとうございます。それでは夕食をいただきましょうか。……随分多いのですね」
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「申し訳ございません。その……もしよろしければ、朝のように俺がご相伴させていただきますが」
「兄上、護衛の交代はー?」
「そうですね、お願いします」
私はソティリオス様に頷いて、足元の精霊王様に視線を移しました。
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