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1・たとえ初夜の床にあなたがいらっしゃらなくても
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ひと目でわかったのです。
番だなんて、竜人族にだけ伝わるおとぎ話だと思っていました。
だけど違っていたのです。彼は、カサヴェテス竜王国の竜王ニコラオス陛下は私の番だったのです。心も体も叫んでいました。この方に会うために生まれてきたのだと。
王宮の明かりに照らされて煌めく黄金色の髪と黄金色の瞳は、生まれ持った強い光の魔力の証。
戦いとなれば全身を鱗で覆い、民の苦境とあれば空高く飛び立つ巨竜へと変じる竜人族の王。普段の人の姿も美々しく端正で、見ているだけで溜息がこぼれそうでした。
愛しい人はよく通る涼やかな声で、リナルディ王国から嫁いできた私に言いました。
「ディアナ王女、私が君を愛することはない。私の番は彼女、サギニなのだから」
彼の隣には、彼と同じ黄金色の髪をした美しい女性が寄り添っていました。
王族ほど魔力が強くないのか、瞳の色は黄金色ではなく緑色です。
魔導の才を持たないものの特徴である黒い髪に紫の瞳のせいで、生きるものを弱らせ死に至らせる邪悪な闇の魔力を持っているのだと噂されていた私とはまるで違います。
「違います!」
それでも私は叫ばずにはいられませんでした。
「その方ではありません! 竜王ニコラオス陛下の番は私です!」
「ひっ」
サギニ様は怯えたように陛下の後ろへ隠れました。
私は叫んだだけだったのに、白銀色の巨竜に変じて私をこの国へ運んできた近衛騎士隊長が罪人かのように私を捕獲しました。白銀色の瞳が侮蔑に満ちた光を私に投げかけます。
わけがわかりません。だって本当なのです。私が竜王ニコラオス陛下の番なのです。
周囲に立つカサヴェテス竜王国の貴族、竜人達も侮蔑に満ちた視線を向けてきます。
ほかの人間──ヒト族や獣人族に強過ぎる魔力を疎まれて魔物の蔓延るこの土地へ追いやられた彼らにとって、偉大な竜王陛下の番がヒト族だなんて許せることではないのでしょう。
でも本当です。私が彼の番なのです。彼にはわかっているはずです!
「……連れて行け」
「はっ」
私は近衛騎士隊長によって離宮へ連れて行かれました。
カサヴェテス竜王国の広大な王宮の敷地内には小さな森があります。その森の中にある小さな建物が私に与えられた離宮です。
他国から娶った王女に対する行為ではありません。でも怒りを感じることはありませんでした。私はただ、巡り合った番である竜王ニコラオス陛下への想いを募らせるばかりだったのです。
番だなんて、竜人族にだけ伝わるおとぎ話だと思っていました。
だけど違っていたのです。彼は、カサヴェテス竜王国の竜王ニコラオス陛下は私の番だったのです。心も体も叫んでいました。この方に会うために生まれてきたのだと。
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「違います!」
それでも私は叫ばずにはいられませんでした。
「その方ではありません! 竜王ニコラオス陛下の番は私です!」
「ひっ」
サギニ様は怯えたように陛下の後ろへ隠れました。
私は叫んだだけだったのに、白銀色の巨竜に変じて私をこの国へ運んできた近衛騎士隊長が罪人かのように私を捕獲しました。白銀色の瞳が侮蔑に満ちた光を私に投げかけます。
わけがわかりません。だって本当なのです。私が竜王ニコラオス陛下の番なのです。
周囲に立つカサヴェテス竜王国の貴族、竜人達も侮蔑に満ちた視線を向けてきます。
ほかの人間──ヒト族や獣人族に強過ぎる魔力を疎まれて魔物の蔓延るこの土地へ追いやられた彼らにとって、偉大な竜王陛下の番がヒト族だなんて許せることではないのでしょう。
でも本当です。私が彼の番なのです。彼にはわかっているはずです!
「……連れて行け」
「はっ」
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カサヴェテス竜王国の広大な王宮の敷地内には小さな森があります。その森の中にある小さな建物が私に与えられた離宮です。
他国から娶った王女に対する行為ではありません。でも怒りを感じることはありませんでした。私はただ、巡り合った番である竜王ニコラオス陛下への想いを募らせるばかりだったのです。
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