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ヒマリと踏まれのデート

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 「ミッズホ!おっはー!」

 後ろから肩を組んで来る陽気なヒマリさん。

 「あれ?どうしたのかな女の子の日かなぁテンション低いぞ!瑞穂」

 「あ、おはよ……実は朝からさぁ~ウチの馬鹿兄貴が……」

 「へ~シスコン兄ちゃんがね……托卵されそうになって吹っ切れたかな。そこに血の繋がりがない本当の妹が前世を遥かに凌駕する姿で現れたからそっちに行っちゃったかもね」

 「ヒマリ言い方!」

 「えへっ裕子に怒られた。てへっ!
ちょっと皆んなでジト目で見んの辞めてくんない!」

 プンスカ怒る水島ヒマリ。

 「それならシスコン兄だけ指輪の効果を距離も時間も制限無しでやっちゃえば治るんじゃね」

 「おお、サス亜希子!シス兄はそれで良いんじゃない」

 「シス兄って……」

 「通学路で大きな声で話す内容では無いと思うんですけど」

 「おお、サス裕子!皆さんは一応乙女ですのでお淑やかになりましょう」

 「「お前が言うな」」

 「えーぶー!」

 ワイワイガヤガヤと教室に入るといきなり高城がヒマリの前に現れた。

 「ヒマリ大事な話があるんだ僕と来てくれないかな?」

 「あん?なんで雑魚底辺踏まれに名前呼び捨てされないといけないんだよ!
何かの罰ゲームか?」

 「イヤ、ヒマリがクラスメイトだから名前で呼んでくださいと言ったから」

 「あん?誰がそんな事」

 「あっ!確かに言っていたベンチに座っていた時」

 「え?瑞穂……」

 「ヒマリ臨海学校に代役立てたのバレるよ」

 耳元でコソッと話して来る。

 「ぐぬぬぬ、百歩譲ってそうだとしてもお前と話す事はない!」

 「ヒマリお願いだ一日だけでいい僕と付き合って下さい」

 高城が土下座をしだした。商店街の糞ジジイ達と比べたらてんでなっていない
頭を踏み付けてやろうとした時。

 「良いじゃない一日だけでしょう付き合ってあげなよ」

 瑞穂が裏切った。

 「恋愛レベル1なんだから経験値積みなよ」

 亜希子が裏切った。

 「たまに気分転換は必要よ」

 裕子が裏切った。

 「ぐぐぐ、変な事したら地上から消すからね!」

 「うわー!マジだわヒマリ……頑張れ踏まれ君」

 瑞穂は小さなエールを送った。

 「分かったわ今度の土曜日ね」

 一言言って自分の席に着く不機嫌のオーラはまだ消えていない。

 「あの~ヒマリ連絡先に交換して下さい」

 「あん!Love &Loveに入っているんだろうそこを介せ!」

 「……はい」



 土曜日当日快晴朝から暑い!

 待ち合わせ場所に現れたヒマリは高級ブランド雄犬に身を包み気合いの程を示した。

 白の半袖Tシャツ、白のパーカー
下は膝までの赤のジャージの短パン
足元はサンダル姿、白のキャップにゴッいサングラス、更に立体マスクをしている髪型はいつものポニテだヒマリにとっては普段着以下だ。

 顔が見えない何となくだがブラは水色ぽいそう感じるのだしかし僕の僕は全く反応しないコレは指輪の効果だろう。

 「おはようございます!ヒマリ今日は一生懸命エスコートさせて頂きます」

 「うむ、良しなに頼む」

 「コチラに車を用意しております」

 「うむ、」

 「御手をどうぞ」

 「うむ、」

 高城の手の上にヒマリも手を乗せるが
ピンクのお掃除用ゴム手を履いている。

 「いつの間にゴム手なんてまさかこの人は殿下!イヤ違う殿下の気品がない」

 ジロリと睨まれた気がして鳥肌が全身に広かった。……本物のヒマリだ間違いない。

 「で、どこに行く?」

 車に乗り込むと早速聞いてきた。

 「是非、ヒマリをご招待したいとおっしゃるお方がおりまして……」

 「その方は神か何か?」

 「いえ人間です」

 「そう、運転手さん二つ目の信号を左に曲がって真っ直ぐに行くとスーパーがあるわそこで降ろしてくれる」

 「ヒマリ!」

 「なぜ人間如きに私が会わなければならないの?そこんとこキッチリ教えて」

 「それは代々ウチが大財閥の一角であって」

 「今回大曽根財閥の社長にロロが就任したからでしょう」

 「しかし一国の代表が一企業に」

 「それが何!会長の大曽根三代子は私達の家族よロロもね所でアンタはどうするの?ずーとじいちゃんの傀儡で過ごすの坊ちゃんの肩書きだけで何すんの?
詰まらない男ねじゃ運転手さんここで止めてください」

 ドアを開け黒塗りの外国の高級車からヒマリは降りた。

 「じゃね踏まれ君二度と私に話し掛けないでね」

 颯爽と歩き出すヒマリ映画のワンシーンのようだ。





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