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聖女様の兄

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 僕の迂闊な一言でお嫁さん候補者達と温泉宿で一泊旅行をする事になった。

 イヤ全然嬉しいのだけど同じ温泉街だと必ず僕自身とバッティングする可能性が高い。そこは全てロロにお願いだ人選と場所と時間もお任せ。

 「日本全国温泉宿の旅!美女と腕を組んで歩く僕があちこちで見られますよ」

 誰かに告げる洋一だった。

 「お、生ロロいきなり自分を捩じ込んできましたよ大丈夫かい?」



 「あの商店街の名前雨降り商店街って言うんだ。けど今は名前を変えてなんと!ドラゴン街になったんだって!」

 「忖度し過ぎじゃね」

 「ヒマリそうだけど振興組合のトップが処刑されるんだよ今までが余程酷かったんだろうね。オバチャン達が頭下げに来た時は焦ったよ!ララがパニクり全員南極点に飛ばそうとして慌ててかなえさんが止めてたのよ」

 はぁ、はぁ、

 息が乱れるほど一息で伝えた瑞穂の努力は報われるのか?

 「それで裕子が絆されて二十五階層のラスボス小型ドラゴンを一人で狩ってきたのね」

 「それでも立たせれば4、5メートルになるって裕子が言っていたわ」

 「それでドラゴン街ねガイアではドラゴンは初披露ね。ガイズでもケイト家の玄関前しか置いてないもの」

 「あそこは家と言うかお城だし」

 「ま、いんじゃね商店街と言うかドラゴン街で買い物すると必ずオマケしてくれるって皆んな言っていたね」

 「今はメチャクチャ人が来るってオバチャン達は喜んでいたわガッポガッポだって」

 「どっかの国際機関がドラゴンを寄越せって騒いだ時、たまたま居合わせたアンリによって蹴散らかせれて逃げて行ったんだよ」

 「まあアンリも義理堅いから商店街の受けも良いからね。そこでアンリの胸像の話も出たけどそんな事したらドラゴンを破壊するって宣言したら大人しくなったんだって」

 「へー」



 「カブちゃんと二人で温泉なんて初めてだねもっとカブちゃんと色んな所や色んな事をしたかったんだよな……ゴメンネ、僕甲斐性がなくて」

 「洋一様は頑張っていますよオーリ王国の王として立派に努めています。
それに毎晩欠かさずに私を愛して下さいます其れだけでも私はとても幸せですよ洋一様」

 「カブちゃん……大好きなカブちゃんの為なら何でも何回でもヤレる気がする。
ありがとうカブちゃん」

 「何回もはいいかな……」

 その夜二人は燃えに燃えたそうだ。



 全国の温泉街で絶世の美女とモブな男とのバカップルの目撃情報は一週間続いた。ただ男の方の情報が曖昧で同じ人物ではないか?と言う憶測も飛んでいる。洋一の認識阻害もちゃんと仕事をしているのだ。




 「えー!瑞穂の兄ちゃん結婚するの?
まだ大学生でしょう!学生結婚ね!
出来ちゃた婚ね!素晴らしいわ!」

 「ヒマリ落ち着いてよそして、しれっとデスらないでよ!」

 「そんで挙式はいつなの」

 「それが亜希子夏休みが終わってすぐ」

 「随分と急いでいるわね臨月かしら」

 「そうみたい」

 苦笑いの瑞穂バツが悪そうだ。

 「それで?」

 「兄ちゃんが皆んなを誘っておいでって言うんだ」

 「へー皆んなねぇ」

 「ヒマリあんた!」

 「亜希子折角だから皆んなで行きましょう皆んなで」

 「そうね……」

 ニチャと口角が上がる。亜希子が何か閃いたようだ。

 「皆んなでお祝いしてあげましょう!
瑞穂!家に行って直接伝えなさい!
会場も中身も全部こっちでやるから
何もするなと言って来い!招待客のリストも寄越せとね」

 「い、イヤーー!!」

 一人奇声をあげる瑞穂、涙目だ!

 「裕子!披露宴に参加したい人を募集するって通知しておいて」

 「分かったわ!」

 私はロロと相談してくると亜希子は何処かに飛んだ。

 「楽しみだね瑞穂」

 ヒマリの目の前には抜け殻の様な聖女様が佇んでいた。









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