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タン塩うめー!

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 ダンジョンから出てきた異世界人らしき者たちは気づいたら全国に散らばっていた。

 「どう言う事だ!東富士で足止めしているはずだろ!」

 「防衛省に確認したが移動した形跡が無かったとの事です。総理」

 「移動した形跡がない?馬鹿かコレをどう言い訳する引き篭もって三十分後には北海道でラーメン食っているんだぞ!同時刻沖縄でステーキだ。
日本全国グルメの旅か!」

 バンッ!特別会議室のテーブルを両手で叩きつけ立ち上がる沖総理。

 会議室の壁にはズラリとモニターが並び異世界人関連のSNSの動画が流れる。

 「総理!都内の高層ビルで火災発生!ですが逃げ遅れた六十四名は一瞬で地上入り口前の広場に現れました。その後火事も鎮火しかも火災前の状況になった模様です!」

 「へっ?」

 「報告します!関西圏都市で交通事故が発生しました。が巻き込まれた親子は偶々いあわせた異世界人に救出され奇跡の治療により完治その後スーパーにて食材を購入して帰宅してます」

 「……」

 「総理!東北にてダンジョンのスタンピード発生!偶々位あせた異世界人により鎮圧されましたが二十メートル級のドラゴンが逃走しました!関東方面に向かっています。自衛隊の戦闘機三機出動し撃破するようです!」
 
 「なっな!ドラゴンだと!落とせるのか?ダンジョン一階でモンスターの強さが分かったはずだが」

 「映像が出ます!」

 「良し出せ」

 F15戦闘機三機の編隊で飛行する場面が見えた。マッハ2での飛行だそうだ。沖総理はその辺が疎いらしい。

 「ドラゴン首都迄後25分の距離です! F15 十分遅れの状況です!」



 「こちら作戦本部!ベコモチ1応答せよ!緊急事態だ!」

 「こちらベコモチ1聞こえるぞ!どうした? 」

「未確認飛行物体が超高速でそちらに向かっている。敵ミサイルかも知れん回避せよ!」

 「ベコモチ1今レーダーで捉えた。何だ!この速度は我々より早いヤバイぞ!
各機生き残る事を重点に回避せよ!」

 「ベコモチ2了解」

 「ベコモチ3了解」

 「後十秒だ!逃げろ!」

 「こちら作戦本部!ベコモチ1応答せよ!ベコモチ1状況を伝えろ!」



 チョット前

 某有名焼き肉店には、魔族チームが舌鼓を打っていた。

 「うんめー!うんめー!な洋一!」

 「はい!女神様美味しゅうございます。
特にこのタン塩なる物は格別でございます」

 「ガハハハ!そうだろそうだろうめーよな皆もどんどん追加しろ!グワハハハ!」

 「はーい!本当に美味しいです。
女神様ありがとうございます」

 ん?僕のお金だよな。

 なんだテレビが騒がしいなんかあったか?

 「只今速報が入って来ました○市郊外のダンジョンからモンスターが溢れ出したとの連絡が入りました。今現場との中継が繋がりました。現場の柳さん!現場の柳さん!聞こえますか?」

 「あー、あーあっ聞こえます。柳です。
今から三時間前辺りにダンジョンからモンスターが出て来た様です。時間を置くごとにモンスターの数が増えて行き溢れ出した模様です。今自衛隊の方々が応戦してますが銃器や迫撃砲ではこちらから観ても効果が感じられません」

 「なにか動きがあった様です!」

 「えっなにが出て来たって???」

 隣りのスタッフと小声でやり取りする
柳さん。急に大声を上げたテレビの音が割れるほどだ。

 「な!なにーー!!どっドラゴンだとーー!ドラゴンが出てきたのか!!!
……カッケーいい……」

 柳さん恍惚とした表情でぼーっとしてる仕事せーや。

 「小さなモンスターぐらいだな今の自衛隊が倒せるのは」

 「そだね。ウルフ系やゴブリンなんか爆発で吹っ飛ぶがそれだけでダメージはないわ」

 さすが今世のナンチャッテ聖女様、治癒に優れているから相手の状況も把握している。

 馬鹿どもに嬲り殺されなければ今頃国中で清楚で可憐な慈悲に溢れた美少女聖女様と言われていたんだろな……

 瑞穂は僕も大好きだしいい子だ。
ただJKは下品だもんな、それも三人ともクラスメイトだぜ、扱いも雑になる
わな!

 でも、気遣いが要らないし本音で付き合える人なんて滅多に居ないよな。それにやらしてくれるし、やっぱりJKはお股が緩いのだろうか?

 はっ!

 洋一身の危険を察知するが間に合わない。

 ボン!

 洋一の鼻の穴から爆煙がボシユーと吹き出した。目の前のリリスとササラが眼をまん丸してコチラを見てる。

 「キャハハハ!おとーしゃん面白い!」

 「お父様!私、可笑しくてお腹が捩れ過ぎて異次元ゲートが開きそうですわ!」

 涙ながらに身をよじり笑いを堪える
ササラ、ウケてよかった。身を挺した甲斐がある。

 「洋一さん私達は洋一さん一筋ですよ」

 その強い意志をのせたヒマリの眼が
怖かった。

 「僕もヒマリ一筋だ、女神様も一筋だ、カブちゃんも一筋だ、かなえ、亜希子、瑞穂、ルージェンも僕は家族皆んなが一筋だー!」

 僕なんか吹っ切れた。

 「僕、家族は皆んなを愛します!コレからもずーっと死ぬ迄愛します!あっ死なないからフォエバーだね」

 「ふっ、洋一さんらしいわ」

 ヒマリが呆れるが笑顔だ皆んなも笑ってしまった。その時テレビから柳さんが叫んだ。
 
 「ドラゴンですドラゴンが姿を現しました!皆さん見て下さいファンタジー界の大物ドラゴンが現実世界に現れました!なんと言う巨体、光を反射させ煌めく姿は誠に美しく恐怖の魔王でしょうか?」

 魔王?僕はリベルナを見た彼女と眼が合った。眉を下げ苦笑いの現魔王様、可愛い!

 「ドラゴンが飛び上がりました!
20メートル強の巨体、黒々と輝く黒龍はどこに向かうのでしょうか?
西方面の方々は直ちに避難して下さい!命に関わります!
すぐに避難して下さい!」

 「あのドラゴン太っていて美味そうじゃなドラゴンのタン塩絶対旨いだろう
喰ってみたい物じゃ」

 あぁ、なんだろう、口の中で唾液が溢れ出す食いてぇ!ドラゴンタン塩食いてぇ!

 「おとうしゃん、ドラゴン狩りたい」

 「リリスか大丈夫だろドラゴンスレイヤーだしいいぞ気をつけてな」

 「あい!」

 「お父様私ササラも行きます!」

 「そっか、ササラも気をつけてな」

 「はいお父様!」

 「トリマ、ココを会計してダンジョンに行きましょう現場は厳しそうですから」

 「奴らに恩でも売るか!カッカカカ!」

 亜希子が素早く瑞穂の顔全体を押さえつける。

 「瑞穂ダメだよ何も考えるな!ダメ瑞穂ダメだから……それなら」

 ソウルゥトレ~イン♫ 
    ソウルゥトレ~イン♫

 ビクンと反応する瑞穂、ヒマリも反応する。

 その後三人揃ってお花摘みに個室にこもってしまった。
 

 

 
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