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盗賊が来た!

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 狼を処理して先に進む。これからは異世界人と出逢うだろう。

 「これから出逢人族には、必ず鑑定読心術で相手を見る事!人間が一番やばいからね。」

「は~い!盗賊などの悪人はどうするんですか?…やっぱ皆殺しですよね。」

 「うーん、そだね日本人としては罪人に処罰を与えるのは裁判所ですから捕縛して当局に引き渡すのが筋でしょう。がここは異世界ガンズここのルールに従いましょう。」

 更に二時間ほど歩くと森を抜けた。暫くすると人間同士争う声が聞こえて来た。

 「えーっ、早くない?」

 「あっちですね。行ってみましょう。」

 二人は姿を隠しながら近づくと二頭立ての立派な馬車が二台、前側に騎乗したフル装備の騎士が十騎後方にも騎士が十騎馬車を守ってる。

 一方の盗賊?盗賊だよな。小汚いし武器装備もバラバラこんな連中が五、六十人で取り囲んでいる。

 今にも一触即発、しかも近くの藪の中に二十人反対側にも二十人が潜んで居る。

 「うわーっ!マジもんだーっ!……映画やドラマの撮影じゃないんだよね!リアルだリアル!」

 キラッキラッの眼をして興奮しているヒマリ。

 「マジですね。相手貴族みたいですし後々面倒臭さい事に成らなければいいんですけど。」

 「どうします?一気にやちゃいます?それとも様子見?騎士さんの仕事取っても悪いし……」

 「そだね、お手並み拝見しましょうか。」

 呑気な会話を続けている洋一とヒマリ、その時動きがあった。

 騎士達の後方から猛烈な煙が上がって騎士達を飲み込んだ。

 一瞬のうちに視界を奪われて四方八方から雨の如く矢が降り注ぐ。

 「クソッ!風魔法で煙を打ち払えー!」

 判断の遅れが騎士達を劣勢に追い込む。

 「隊長!煙の中に麻痺毒が入っています!!」

 「何だとーっ!盗賊ごときに、この様な失態末代までの恥!命を捨ててでも、あのお方を御守りする!」

 「皆の者行くぞーっ!」

 「「「「「「おーっ!!」」」」」」

 小高い丘の上に並んで体育座りをしている洋一とヒマリ。

 「あちゃー、騎士さん後手後手、盗賊もニヤ付いてますねー。」

 勝ちが見えた盗賊達がジリジリと包囲網を縮めていく。乱戦になれば数で劣る騎士達に勝ち目はない。魔法戦に持ち込んでも同じ事。

 「は~、助けに行きますか。」

 「……そだね。」

 どうします?とヒマリが尋ねると捕縛で良いじゃない。少し面倒臭さそうに洋一が答える。

 二人の姿が消えると馬車を取り囲んでいた100人程の盗賊達が一斉に立ち転ぶ。あちらこちらから悲鳴が上がりギュッ、ギュッと音を立てながら拘束されていく。たまに締めすぎた為骨の折れた音がチラホラ聞こえるんですけど。

 盗賊達を亜空間収納に放り込むヒマリを横に洋一は軽く両手を上げて馬車に近づく。

 「止まれ!何者だ!」

 剣を抜き戦闘体制を取る騎士達、さっきまで盗賊にいいように足らわれていた手前、更なる失態は許されない。

 「ただの魔法使いですよ。治療魔法が使えますので手助けが必要かと思いまして。」
 
 騎士達のお偉いさん達が小声で話し始めた。直ぐに纏まったようだ。

 「それは、かたじけない。こちらの傷の深い者から頼む。」

 「承りました。では!」

 騎士達は僕を信じてない。当たり前か?直ぐに対処出来るよう取り囲んで
いた。

 負傷した騎士は首に矢を受けていた。下手な事すると取返しが効かなくなる。

 そう言えばラノベにあったなアボーンとかラボーンとか?まっ良いや、魔法はイメージ、イメージ

 「はっ、矢よ転移!おっ出来た。次治療!はい、一人終わり。」

おおー!周りの騎士たちが、驚嘆する。

 「なんと、見事な治療魔法!さぞかし御高名な魔道士様とお見受けします。」

 「いえ、いえ、ただの通りすがりの旅の魔法使いですよ。」

 次から次へと治療魔法で治していく。最後の一人を終えたが、皆顔色が悪い、ああ麻痺毒喰らってたっけ!指定範囲を決め一回で終わらす!

 「イメージ、イメージ、解毒!」

 一瞬辺りが輝いた。騎士達が声を上げる。
 
 「おぉ、なんて事だ!麻痺が完全に取れている。」

 「改めて礼を申し上げる。本当に有り難う。」

 隊長以下全員頭を下げてくれる。

 いやいや偶々ですって頭を掻きながら苦笑する洋一であった。

 「洋一さん終わったよ。」

 「っ!!」

 騎士達はギョとし一歩下がり警戒している。けったいな仮面を付け身の丈もある大剣を背負う女が向かって来るのだから正直びびっていた。盗賊相手にあり得ない身のこなし魔法の力、我らでは太刀打ち出来ない。

 「お疲れー。」

 「おつ。それとね。」

 洋一に耳うちするヒマリ二人共ニヤっと悪い顔をする。

 「魔法使い殿、是非礼をしたいので、我等が城へ来てはくれないだろうか?」

 「いえいえ、偶々通りかかっただけですから。礼なんて必要ないですから。」

 焦りながら拒否する洋一、すると馬車の扉が開き銀髪の髪を上に編み上げた女性が現れた。ラスボスだなぁ。直ぐに洋一は汲み取った。

 「それは成りません!礼を欠く事はこの国に取っても大いなる恥となります。是非、ご同行お願いします。」

  洋一とヒマリは唖然とした。所謂ザ王女様、気品高く見るからに王族してる。

 歳の頃はヒマリと同じくらい、背丈も同じか、胸はどうだろう?ヒマリがチョット優勢かな?多分食い物か。

 はっ!一瞬ヒマリと姫様ぽい人に睨まれた。口に出していないのに。

 「あっそうですね。申し遅れました。わたくしローベル王国第三王女ケイトフォンローベルと申します。以後お見知りおき願います。洋一様とこのお方は?」

 「私はマリィと申します。こちらこそ、よろしくお願いします。」

 「ヒマリ王女様の御前であるぞ。マスク外しなさい。」

 ニヤニヤしながら肘でヒマリをつっく洋一は嬉しいそうだ。

 いきなり本名曝してんじゃねーぞ!

 「ぐぬぬ……」

 諦めてキャップを取り、ゴーグルとマスクを外した。

 「なっ!」

 皆が驚いた。

 「姫様が二人いる!」

 「本当に似ている!」

 「双子の様にそっくりですね。」

 「いや双子より分身だなぁ。」

 周りからは、やいのやいの囃子立てられ二人は俯き耳を赤くさせていた。

 洋一は嬉しいそうに、そっくり、くりそつ、そっくりと手を叩いている。殴りたい……。

 その後どうぞ、どうぞと茶会が始まる。洋一は長机を取り出し冷えた缶ビールや各種おつまみセットを騎士たちに振る舞う。

 「これはエールですねこの摘まみを持ち上げると口が開きます。冷たいうちに飲んでください。」

 おお!なんていう美味しさだ!、
幾らでも飲めるぞ!塩茹でした豆も絶品だエールに合う!

 洋一は騎士たちに囲まれて肩を組まれたり背中をバンバン叩かれたりして親睦を深めていった。

 ヒマリと王女様は二人でテーブルに付きプレミアムなスィーツや高めのカップアイスを御賞味中だ。

 従者が小皿にとりわけてくれるので上品に茶会が進む。

 「ヒマリ様とても美味しゅうございます。初めて食するものばかりで私《わたくし》感動で手が止まりませんわ」

 王女様、ご機嫌です。テンションマックスです。会話も弾みキャッキャッウフフフの仲に成ったようで、何処から見ても長年の友のようです。



 一人の騎士がすーっと後ろから近づいてくる。

 「姫お命頂戴!」

 
 
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