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第三章 ルーセット編
夜の問題点発覚
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「レイちゃん、先に風呂、使うだろ?」
「あ、うん。いいかな?」
「ああ、ゆっくりしてこい」
「おさきにどうぞ、レイ殿」
皆にそう言ってもらったので、遠慮なく一番風呂をいただくことにした。ここのお風呂はハイディンと同じで、寝室の隣に小部屋が付いていて、そこに猫足のバスタブだけが置いてある。八分目くらいまでお湯が張られていて、中には温度調節のための魔石が沈んでるのも同じだね。部屋の隅には作り付けの戸棚があって、そこにタオルっぽい布も置いてあった。こっちの石鹸に当たる泡石もあるけど、とりあえずこれはいらんかな。清浄魔法(リフレッシュ)で体はきれいなんで、とにかくお湯につかるのが目的です。
「ゔぅ~」
全身を温かいお湯に浸すと、思わずおっさんみたいな声が漏れちゃった。慣れたとはいえ、一日中馬に乗ってると、あっちこっちがこわばるんだよ。できればオルフェンみたいな温泉がよかったんだけど、そこまで言うのは贅沢だろう。
実は、あそこの温泉を水魔倉に詰め込んで、旅先でも……と考えたこともあったんだ。試しに一度、別館についているお風呂でそれをやってみた。で、一度入った後で、お湯をきれいにするために清浄魔法をかけたら……温泉成分まで浄化しちゃったみたいでね。普通のお湯になっちゃったんで、諦めましたよ。
でも、普通のお湯でも、思いっきり体を伸ばし、肩や腰、太ももの筋肉をほぐしていくのは気持ちいい。極楽、極楽。よくぞ日本人に生まれけり、だよね。
元々長風呂の方だから、一時間くらいは軽く浸かっていられる。けど、ロウ達も入りたいだろうから、程々のところで切り上げなきゃね。少し名残惜しかったけど、思い切ってお湯から出て、体を拭いた。楽な服を着てから、最後に使ったお湯に清浄魔法をかける。まぁ、清浄魔法って意外と魔力を使うから、これは非常に贅沢なやり方だ。そもそも余程泥だらけで入ったりしない限り、次の人はそのまま使うのが普通だ――日本の家庭のお風呂もそうだけどね。で、最後の人が入り終わったら、バスタブの横にお湯の回収用の魔倉が置いてあるから、そっちに入れるわけですよ。
で、久々のお風呂に大満足して出てきたわけなんだけど――。
「相変わらず長風呂だな、お前は」
出てきた途端、ひょいとばかりに腰に手が回り、ひざ裏を掬い上げるようにして横抱きにされましたよ?
「え? ロ、ロウ?」
悪い(?)予感がして、抱き上げられたまま見上げると、肉食獣の目をした顔がそこにある。
「待ちくたびれたぞ」
「ご、ごめんっ。でも、もう出たから――次、どうぞ?」
ゆっくりしてきていいって言われたから、ゆっくりしただけなんだけどな。ちょっと理不尽な気もしたけど、待たせたのは本当だから謝った。だけど――謝って損したよ!
出たんだから、次の人が行けばいいのに、誰もそんなそぶりを見せない。それどころか、ロウ以外はベッドの方に居て、動く気配もなくこっちを見てる。
ガルドさん、ターザさん……何故に、上着を脱いでらっしゃるのでしょうか? いえ、何となく予想はつきますけど、そうなるだろうと思ってましたけど、せめてお風呂を済ませてからで良くない?
「なんだ、レイちゃん。今夜はまた、色気がねぇのを着てんだな」
「レイ殿はどのようなものを着ていようが美しいぞ。ガルド」
色気も何も、ここは旅先ですから! お師匠様のところにいた時みたいなひらひらしたのは、ふさわしくないって思ったんですよ。ターザさん、褒めてくれてうれしいけど面と向かって『美しい』なんて言われると、顔が赤くなっちゃうよ。
「何を着ていようが、脱がせてしまえば同じだ」
そして、ロウ。貴方が一番、がっかりです。乙女の努力をなんだと思ってるんだか……じゃなくて、どうしても今すぐですか? だからお風呂は……あ、清浄魔法で済ませたんですか、そうですか。
「旅籠では我慢していた。そろそろ限界だ」
限界来るの早! オルフェンで、私ほどじゃなくてもお風呂の虜になってるくせに、それを投げ捨てるくらい切羽詰まってたわけ? そして、拒否るつもりはないけれど、一つ、問題があるのを忘れてませんか?
「ちょっと、待って! ライア、どうするのっ?」
「雷精? 何か問題があるのか?」
「大ありよ! 現に今だって『何してるの?』って、興味津々なんだからっ」
そうです。部屋の中には私、ロウ、ガルドさん、ターザさんの他にもう二頭いるんですよ。ライアと、その横で『おいた』をしないか見張ってるフィーア(モーリンと交代した)が、隅っこの方でこっちを見てるんだよ。
そしてフィーアは兎も角、見るもの聞くもの全部が珍しいライアは、私たちの行動を思いっきり興味深そうに見てる。
「気にしなければいい」
「無理!」
見られてるだけならまだしも(それだって嫌なんだけど)、無邪気な質問の声が聞こえてくるんですよ、私には! この状態でエッチするのは勘弁してほしい、マジで。
「隣の浴室に行かせるのはどうだろうか?」
「それでも声は聞こえるでしょ」
防音の結界を張っても、ライアの方が魔力が強いから聞こうと思えば聞こえちゃう。あれ? 聞くな、って言えばいいのか?
『なんで?』
……そう来るよね、うん。えーと、こういう時はなんて言えばいいんだろう。
エッチするからあっちに行っててほしい――とは、本当の事ではあるが口が裂けても言いたくない。
「チチッ」
「あ、フィーア――え? ほんと? ……お任せしちゃっていい?」
「チィ!」
「何といっているのだ、レイ殿?」
「えとね。自分があっちでちゃんと見張ってるから、って。ついでに説明もしてくれるって」
逃げだと分かっちゃいるけど、つい、フィーアの申し出に飛びついちゃったよ。これはつまり、フィーアは私たちが今から何をする(ナニする)のかを理解してるってことなんだけど、こっちは年輪を重ねてるせいで、肉体を持ってる存在がそう言う事をするって知ってるし、当たり前のことだと思ってるみたい。その事を踏まえて、ライアがこっそりこっちを覗き見しないようにしてくれて、何のための行為なのかも教えてくれると言っている。ありがたい事です。
「いろいろあんだな、精霊ってのも」
「例外中の例外なパターンだと思うけどね……」
今のやり取りで、どっしりと疲労がのしかかってきた気がする。このまま寝ちゃいたい気がするけど、うん、無理だよね。わかってます。
「さて。話が付いたなら、仕切り直しと行くか?」
「……お手柔らかにお願いします」
そう言えば、まだロウに抱っこされたままだった。相変わらず、腕力がすごい。全然、プルプル震えたりしてないし……。
「お前なら大した負担ではない。元々、それほど重くはないしな」
「そこは、羽みたいに軽い、って言うとこでしょ」
「そこまで軽いと却って不自由だろうに」
いや、慣用句ってやつですよ。ほんとにそんなに体重が軽かったら、風が吹いたら飛んでっちゃうでしょ。なのに、大真面目でそんなことを言うロウがおかしくて、小さく笑ったら、それが開始の合図になっちゃったみたいです。
「んっ、ぅん……」
口づけながら、一番大きなベッドの上へと降ろされる。そのまま、ちょっと斜めの方向から覆いかぶさられたので、首に手を回して引き寄せた。何度も角度を変えつつ、ついばむような軽いキスと、吐息すら奪うような濃厚なのを交互に与えられる。そちらに集中していたら、なんか体がさっきよりスースーするのに気が付いた。そちらを横目で見たら、胸にはガルドさん、下はターザさんが取り掛かっていて、手際よく服を脱がされている最中です。
「ん、あっ!」
むき出しにされた胸に吸い付かれて、甘い声が出てしまう。ガルドさんの大きな両手が左右の膨らみを掬い上げて包み込み、柔らかく揉みながら、先端を中央へよせるようにする。交互に先端を口に含まれて、あっという間に硬くとがってしまう。
下半身は下半身で、少し腰を浮かされたところで、一気に服を引き下ろされた。ちっちゃな下着だけはつけていたけど、それもすぐに取り払われ――焦らすように、ふくらはぎから這い上って来る舌の感触がヤバい。膝がしらを優しく撫でさすられて、ふっと力が抜けた所で、大きく割広げられた。その間にターザさんの体が入り込み、閉じられなくなる。
「レイ殿……」
「あ、あんっ!」
内腿に音を立てて口づけられ、そのまま中心へ――すでに濡れ始めていた亀裂に沿って、何度も舐め上げられる。その度に快感が背筋を這いあがり、大きく広げられた足が小刻みに震えてしまう。
「レイちゃん……」
「ひ、んっ」
そっちに気を取られていたら、今度はガルドさんが先端を含んだまま、私の名を呼ぶ。不規則に動く唇と舌の動きに加えて、軽く歯を立てられて悲鳴に似た嬌声を上げてしまう。
「レイ……」
「ひゃあんっ」
で、お次はロウが、ぺろりと項を舐め上げて、そのまま耳たぶを口に含む。チロチロと動く舌が耳朶を這い、尖らせた先端が耳孔に入りこむから、ねっとりとした音が直接脳髄に響くようだ。
三か所――いや、もっとだ。ロウの指が優しく髪を梳き、胸を弄っているガルドさんの片手がゆぅるりとわき腹に這わされる。ターザさんは中心に顔を埋めたまま、お尻から足へとつながるラインを撫でまわす。同時に与えられる複数の刺激に、体のあちこちからぞわぞわとした感覚が湧き上がり、自然に身をよじってしまう。
「あ、やっ……待っ……」
何処が気持ちいいのか、わからない。いや、そうじゃなくて、どこもかしこも、全部が気持ちがいいから余計に困る。触れられる度にいつも思う。耳や腰なんか、自分で触ったってなんともないのに、どうして彼らが触るとそうじゃないんだろう。感じやすい胸やアソコは猶更だ。『触られる』って思うだけで、胸は重たく張って来るし、アソコがきゅんってなって恥ずかしい液体を溢れさせてしまう。実際に弄られてしまったら、もうだめだ。唇も、舌も、指も。気持ちよすぎて、どうにかなってしまいそう。
「ああっ! ダメっ、も……く、ぅっ!」
アソコを舐めているターザさんの目の前で、ガルドさんに胸を差し出すように背を逸らし、ロウの頭を思いっきり抱きしめて、イってしまう。……まだ、ナカを弄られてもないって言うのに。
「は……ぁ……」
きゅぅぅって丸まっていたつま先から力が抜け、反り返っていた背がシーツに沈み込む。
「……早いな、どうした?」
「レイちゃんも溜まってたんじゃねぇのか?」
不思議そうに言うロウに、ガルドさんが小さく笑いながら応える。
「そう言えば、溢れ方がいつもよりも凄い気がする」
ターザさん、そう言う生々しい報告はいりません。とはいえ、そんなことはない、って断言はできない感じだ。触られて気持ちいいのはいつもの事としても、昇り詰めるのが早かった。しかし、オルフェンを出てまだ数日だよ。それで『溜まって』しまうなんて――どんどん自分の体がエッチになっていくみたいで、乙女としては複雑な気分です……。
「ま、レイちゃんが気持ちよくなる分にゃ、誰も文句はねぇわな」
「ああ」
「確かにそうだ」
こちとら息を整えるのに一生懸命だって言うのに、そんなことを言いながら、三人が交互にキスを求めてくる。左側からロウ、右からガルドさん、真ん中から伸びあがるようにしてターザさん。代わる代わる舌を絡め、唾液を交換し、唇を軽く噛み――う、そんなことすると、いやらしい部分が疼いちゃう。こっそり足をすり合わせていると、目ざとくガルドさんに見つけられた。
「おっと、すまねぇな、レイちゃん――おい、ロウ、ターザ」
「む? ……ああ」
「なんだ?」
すぐに了解したロウと、ちょっと戸惑っているターザさんの対比がおもしろい。まぁ、そんなことを面白がってる余裕は直ぐになくなっちゃんだけどね。
「俺から行く」
「おう」
「何を――ああ、わかった」
やっと理解したらしいターザさんが、一旦、私の上から退く。左側にいたロウも下がり、右にいたガルドさんが脱力したままだった私の脇に手を入れ抱き上げる。片足だけを曲げたその上に、ガルドさんの胸に寄りかかるようにして座らされ、ひざ裏に手が添えられて、大きく開脚させられた。
「あ、や……こん、な……」
正面へと移動したロウからは、ソコが丸見えになっている。今更っちゃ今更なんだけど、やっぱり少し恥ずかしい。でも、恥じらう私にはお構いなしに、ロウはそこへと顔を寄せると、息がかかる距離から訊いてくる。
「舌と指、どちらがいい?」
なんてことを訊くんだよ。けど、じんじんと疼きまくってるソコは、見られてるだけでも感じちゃって、早く弄ってほしくて仕方がなくなっている。
「ゆ……指、で……」
「指、だけでいいのか?」
「っ――り、両方……っ」
恥ずかしいことを言わせられてしまう。こういう時って、どうして男の人は嬉しそうなんだろうね、全く。ロウも私の言葉に満足したようで、吐息だけで軽く笑う。その息が掛かって、ビクンと震えてしまうじゃないか。
「あっ――はや、くぅっ」
「ああ、すまん」
いつまでも焦らされる私はたまったもんじゃない。なじる様に促して、やっとのことで指が一本、ソコへと沈められた。
「ああっ!」
「……締まり方がすごいな」
待ちに待った刺激に、過剰に反応してしまう。きゅっとお腹がへこみ、受け入れた指を締め付ける。ゆっくりと抜き差しされる指は直ぐに本数が増やされ、私が願ったとおりに、舌での刺激も始まった。
「あんっ、あ、ああんっ」
グプグプと音を立てて、三本の指がそこを出入りする。根元近くまで突き入れられ、ナカでバラバラに動いては、私のイイところを探り当てる。寄せられた唇は、その上の小さな突起を含んでいて、舌で器用に薄皮を向いた後、丹念に舐られる。真っ赤に充血しきった突起とナカへの刺激で、私は既に二回ほどイってしまっていた。その度に体が反り返り、ガルドさんは私の体がずり落ちない様に苦労しているようだ。先ほどは与えられなかった刺激が、今はソコに集中していて、全神経がロウの指と舌の動きに反応している。
「あ、あっ……ね、もぅ……っ」
既に、ソコは凄いことになっている。ドロドロに蕩け、あふれる液体はシーツに沁み込み、ロウの手首まで伝っている。弄られて舐められるのはものすごく気持ちがいい、なのに、足りない。先程とは違うじれったさに身をよじるが、がっちりと掴まれた足は膝から先だけしか動かせないし、力の抜けた腕ではロウの体を抱き寄せることもできない。
「も、挿れて……ぇっ」
「おい、ロウ。いい加減――」
「……わかっている」
私が限界を訴えるのに、ガルドさんの声が重なる。先程から腰に当たっている固いモノの感触からすると当然だろう。ターザさんは黙って私たちの様子を見守っているが、時折、唾液を飲み込む音が聞こえてきていた。そんな周囲からのプレッシャー(?)に、ロウも焦らすのはこの辺りまで、と思ったようだ。
ガルドさんに小さく目くばせし、私の体を引き寄せる。ずれたおかげで後頭部にナニかが当たるが、それよりも足に触れたロウの硬くて太いモノのほうが、今の私には重要だ。
腰の下に枕をあてがわれ、軽く曲げた足は両肩に担がれた。どうやら、見せつけるつもりらしい。上を向かされた入り口から溢れる液体をまとわせるように、ロウのソレがそこを往復する。ぬるついた固いもので小さな突起が擦られるのが気持ちよくて、その度に小さく体が跳ねる。ぬちぬちと粘っこい音がするのが恥ずかしくてたまらないが、もっとたまらないのは寸前でお預けを食らってるコトだ。
ガルドさんやターザさんからも、非難といら立ちの混じった視線がビシバシ飛んできているし、もういい加減――と思ったところで、ようやくソレが与えられる。
「あっ、あ、あ……ああんっ」
ひたりと先端が押し付けられ、思わず期待に体が震えた。腰が上がっているから、その様子が私にもよく見える。ピンク色の襞をかき分けるようにして、赤黒いロウのモノがずぶずぶとソコに挿ってくる。大きく張り出した先端が狭い内部を押し広げる。ゆっくりと、でも止まることなく根元まで埋め込まれ、やっとのことで満たされた私は、たったそれだけで軽くイってしまっていた。
「っ……んなに、締め、る、なっ」
「っ、無理っ……ああっ」
きゅうきゅうとソコが締まるのが分かるけど、わざとやってるわけじゃない。さんざん勿体を付けたロウが悪い。気持ちよすぎてどうしようもないんだ。それはロウも同じのようで、恐らくはもう少し焦らすつもりだったのだろうが、いきなり動きが速くなった。
「あん、あ、ああん、あんっ!」
ギリギリまで抜いて、また奥まで突き入れる。その度に私のナカからあふれた液体がかきまわされて、粘っこくていやらしい音を立てる。押し広げられ、引き抜かれ、最奥を衝かれて、その度に悪寒にも似たゾクゾクした快感が湧き上がる。
「ああんっ、い、ぃんっ」
「く……レ、イっ」
一番奥をゴズンッと衝かれ、肩に担ぎあげられた足が跳ねあがる。ロウの体が前のめりになると、更に腰が上を向いて、真上から突き入れられるような姿勢になっていた。固くて太いモノが襞の間から出入りする様子が卑猥すぎて、目が離せない。その視線の先でロウの腕が動いて、片方は受け入れているところのすぐ上にある突起に、もう片方は胸へと伸ばされる。どちらの手も、固くなった小さな粒を指でつまみ、押しつぶし、捏ね上げる。
「ああ、ダメぇっ! そ……また、イ……っ!」
「……この、クソ、がっ」
「う……レ、レイ殿っ」
またしてもイってしまった私が甘い悲鳴を上げるのだが、その直後、頭の位置がずらされ、横を向かされた口に熱く硬いものが突きこまれた。
「んぅっ!」
ぎょっとして、歯を立てないようにするのが精いっぱいだった。ロウはまだ激しく突き上げてきているから、舌を使う余裕なんてない。だが、ガルドさんは自分から動くことで、折り合いをつけたようだ。更には、すがる物を求めて、闇雲に動かしていた私の手が、片方ずつ別々の方角でがっちりと掴まれた。右手はそのまま引かれて、指先に触れるのは固く熱い――ターザさんが私の手を取り、自分のモノへと導いたらしい。そのまま握らされ、上からターザさんの大きな手が覆いかぶさって来て、上下に扱く様に動かされる。もう片手にはロウの指が絡んできて、よく言う『恋人つなぎ』みたいな形でシーツへと押し付けられた。
「ん、ふぅ……ん、んっっ」
勿論、その間にもロウの動きは止まらない。胸に伸ばされていた手は、私の手をホールドしてるから動かせないが、もう片手はまだ小さな突起を苛め続けている。右手に感じるターザさんも、口中を我が物顔で占領しているガルドさんも、下の口を思うさま蹂躙してるロウのも、全部が熱い。熱くて、あまりにも気持ちよすぎて意識が朦朧としてきてしまう。
「ふ、はっ……ひゃ、ふぁっ」
「ちょ……喋んな、レイ、ちゃ……」
意味のある事を言ってるわけじゃない。気持ちよすぎて、なんでもいいから外に出さないとおかしくなりそうなだけだ。これが口をふさがれていない状態なら、さぞやいやらしい喘ぎ声が出ていたことだろう。でも、もうそんなことはどうでもよくて、そろそろ限界らしいロウが、突起を弄っていた手を私の脇について、それで上半身を支えながら腰をつきこみ始めた事の方が重要だ。腰の角度はほぼ垂直になっていて、そこに真上からロウのモノが出入りする。深いところを穿たれて、気持ちが良すぎて足がピンと伸びてしまう。丸見えもいいところで、気持ちがいいのは兎も角、呼吸がしずらいのが辛い。ただでさえ喘ぎっぱなしで酸欠気味なんだよ。
「いっ……ひっ、ふ、るし……っ」
「もぅ、少し……我慢、しろっ!」
それはまたイきそうになっているコトへなのか、それとも呼吸がしんどい事なのか――どっちへだろうと考える余裕もなく、限界まで呑み込まされたモノをグリッと捏ねられて、脳裏で白い火花が散った。
「だ、すぞ――っ」
「ふ、はっ……ふ、ぅ、んんっ!」
「ぅぐっ」
ロウと私の声に、もう一人のが重なる。頭の片隅で『あれ?』って思ったけど、直後に内部でロウのモノが膨れ上がり、熱い液体が迸るのが感じられて、私も思いっきりイってしまった。
「んぐっ、はっ……あ、はぁ……ああ……」
イくのと同時に、口の中からガルドさんが引き抜かれ――危うく噛みつくところだった――やっとこ思いっきり息ができる。はぁはぁと喘いでいると、欲望を私のナカにぶちまけたロウがゆっくりとソレを引き抜く。高く掲げられていた腰もシーツの上に降ろされたけど、なんか冷たいよ。お尻の割れ目を伝って背中までびしょびしょだし、どれだけ濡れているんだろうか、確認するのが怖いです。あ、さっきの声だけど、どうやらターザさんだったようだ。右手にぬるついた感触がある――そう言えば、さっき、思いっきり手を握りしめた気もしないでもない。……ごめんね、ターザさん。
すでにかなりヘロヘロになっている私だけど、休ませてはもらえないようだ。ロウの吐き出したものがとろとろと零れ落ちている状態で、くるりと裏返されてガルドさんに引き寄せられる。
「悪ぃな、レイちゃん、俺も限界でよ……」
そう言えば、ガルドさんだけイってなかったんでしたね。抵抗しようにもその気力が無くて、されるがままに腰を持ち上げられる。膝を立てる力もないのが分かったのか、さっきみたいに今度はお腹の下に枕が宛がわれた。この枕、リフレッシュ掛けても、もう使う気になれないかも……。心の中で宿の人に謝っていると、またまた硬いものが入り口にあてがわれえるのが感じられる。
「あっ、あぅ……ああっ」
こういうのってリセットされるもんなの? いや、完全にリセットって訳じゃなくて、さっきの熾火が体の奥で燻ってるんだけど、ゆるゆると入って来るガルドさんの感触で、それにあっという間に再点火してしまう。
ロウの時と同じように、最初はゆっくりとした抽挿から始まる。気持ちいいのはもうお腹いっぱいって思っていたのに、相手と体位が変わるだけで、別腹扱いになっちゃうのはいつもの事だ。ロウの程、大きく張り出しているわけではないが、その分、どこもかしこもみっちりとした質量のガルドさんは、完全にナカを満たしていて、それに私の内部の襞が絡みつく。引き抜かれる時には、寂しさのようなものが感じられ、また満たされる感覚に拍車をかけている。
「あんっ、ああ……気持ち、い……んっ」
「俺も、だぜ、レイちゃんっ」
緩やかな動きながらも、私のイイところはしっかりと刺激してくれていて、それが余計に気持ちがいい。さっきのロウのが激しすぎた所為もあるんだろうけど、ぺたんと腹ばいになって、体も枕で支えられていて、どこも無理をしていないから気持ちがいいのに集中できる気がする。ゾクゾクした快感がひっきりなしに湧き上がって来る。
「ああんっ、ガルドさ……ぁんっ」
ヒクヒクと体を震わせながら、ガルドさんの名前を呼ぶ。そしたら、汗で顔に張り付いた髪を優しく梳き上げられた。すごい幸せな気分で、思わず小さな笑みが口元に浮かぶ。
「……気に入らん」
「妬くんじゃ、ねぇ、っつんだ――さっき、さんざん、楽しんだろっ」
「レイ殿のこんな顔を……」
そんなやり取りが頭の上で聞こえて、視線を上げると――仏頂面をしたロウが、自分も汗で額に張り付いた髪を、両手で書き上げている場面に遭遇した。あ、マズい……。
「っ! レイちゃ、いきなり、締めんなって」
すみません、うっかり、色気に宛てられてしまいました。ちなみにガルドさんの場合、顎にしたたり落ちてくる汗を、手の甲で拭う仕草に反応します。内緒だけどね。
締め付けてしまった所為で、ガルドさんの余裕を削り取ってしまったようだ。抽挿の速度が上がり、突きこまれる深さも増した気がする。
「あ、あっ、待っ……も、ちょ……ひゃんっ」
「すまねぇ、無理、だ」
もう少しだけでいいから、揺蕩うような気持ちよさに浸っていたかった。けど、ずんずんと奥を衝かれる衝撃に、体の方が素直に反応してしまう。
「あ、あんっ、ふ、深、い……いぃんっ!」
「しっかり……味わえ、よっ、レイ、ちゃんっ!」
気持ちよさの波に飲み込まれて軽くイってるうちに。すぐに次の波が来る。それが引く前にまたキて、どんどん追い詰められて昇りつめても、まだ先がある。ドロドロに蕩けたアソコを遠慮なくかき回されて、甘い嬌声が止められない。しかも、両手で私のお尻を掴み――押し広げるのはまだいい。だが、親指が受け入れているところの後ろ――いや、この体勢だと上になるのか? ちっちゃくすぼまっているところに押し当てられ、ぐりぐりと刺激されてしまう。
「え? あ、やっ、それ、ダ……ひああんっ」
あふれたものが伝っているから、そこもびしょびしょに濡れている。そのぬめりのおかげで、中に入り込みそうになってしまう。ぎょっとして体に力を入れて拒もうとするんだけど、そうすると前に受け入れてるガルドさんのをさらに締め付けることになってしまう。
「あああっ! ダ、ダメっ……ああ、いやぁっ」
またイってしまい、力が抜けたところで、先っちょだけだけど指が入り込んでしまった。必死でイヤイヤをするんだけど、ガルドさんは聞いちゃいない。
「こっち、も……気持ちいい、だろ?」
「ひゃっ、よ、よくな――いぁあんっ!」
イきっぱなしの体はびくびくと痙攣しまくっているが、そんなところを弄られてるからではない。決してそうではないが、変な感じがしてきているのは確かだった。完全に排泄のみに特化してるはずの器官を弄られて感じるとかありえない。なのに、そのあり得ないことが起きてる気がする。さすがにいきなり奥まで突っ込まれることはなかったけど、入り口をほぐし、第一関節だけだが入り込んだ指で息が詰まるような、何とも言えない感覚だ。こういうのって、BL物のフィクションじゃないの? いや、実際に同性愛な方々は使ってるとは聞くが、それにしてもまさか自分に降りかかって来るとは夢にも思わなかった。
恥ずかしいやら、混乱するやらで、頭が回らない。そして、頭が働いていなくても、貪欲に体は気持ちよさを吸収し続けていて……。
「い、ああっ! や、やめ……あ、ひぁっ、い――んあああっ!」
「げ、んかい、だ……レイ、ちゃ……っ!」
後ろに指を、前には強直を飲み込まされた状態で、再度、快感の大波に飲み込まれる。ロウに続いて、ガルドさんがナカで弾ける感触があって、どぷどぷと大量の熱が放出される。当然、ナカに収まり切れるはずもなく、溢れ出たものがまたもやシーツと枕に沁み込んでいく。
「っ、ひど――やだ、って、言った……にっ」
呼吸が収まらなくて、言葉を発するのが辛いが、これだけは言っておかねばなるまい。うつぶせにへたり込んだ状態で、顔だけ後ろに向けてだから、今一つ迫力がないのは仕方ない。ところが、その私の抗議を受けても、ガルドさんはなんか平気な顔してる。
「あー……すまねぇ。けど、気持ちよかったろ? そろそろ、こっちも使い始める頃合だしよぉ」
「……は?」
なんか今、聞き捨てなら無い事を言われた気がする。こっち、って……えーと、まさか?
「……会話中済まないが……俺も、そろそろ……レイ殿、失礼する」
「え? あ、ちょ……ターザさん?」
待って、今、重要な話をしてる気がするんですがっ。
「できるだけ早めに終わらせる――レイ殿は疲れているだろうから、俺にしがみついていてくれればいい」
お気遣いは有り難いですが、どうせなら、他の方面で発揮していただきたかったですっ。けど、ずっと見せつけられていたターザさんは、切羽詰まっているようで、常の遠慮がちな態度をかなぐり捨ててぐいぐいくる。さっき、一度ヌいたはずだけど――あ、それは言わないお約束ですね。
初回のひたすら正常位、からターザさんもかなりあれこれと学習していて、今回は体面座位のようです。脇に手を入れて起こされて、向かい合わせに抱っこされる。太ももの付け根辺りに掌が移動して持ち上げられるから、上半身が不安定になって咄嗟に目の前にある逞しい首に縋り付いた。
「そのままで――行きます、レイ殿」
「え、もうっ? ――あ、ひああんっ!」
前戯も何もかもすっ飛ばして、ぶっといモノに、ずずんと下から突き上げられて悲鳴を上げる。体を立てているから、内臓が下がって来てる。その上、さっきから死ぬほど感じさせられてて、子宮も下がり気味になっているようで、そこにごっついモノ入り込んできてるのだから、簡単に奥の壁へとたどり着いてしまう。
「っ、レイ、殿っ。狭……っ」
知りませんがな、そんなこと! こっちだって、いろんな意味でいっぱいいっぱいなんです。最初からクライマックスだぜ的に、がっつんがっつん突き上げられて、目の奥に火花が散る。必死ですがりついてる腕から力が抜けないように頑張っているが、それも何時までもつかわからない。
「は、激しっ……っ! も、ちょ……ゆっ、っっ」
ターザさんのは、太い上になんかごつごつしてるんだよ。ロウのともガルドさんのとも全然違ってて、ここまで個人差があるなんて思わなかった。もしかすると、獣族だからって言うのが関係してるのかもしれないけど、他の獣族を知らないから判断がつきかねる。で、そのごつごつとした部分が、またいい仕事をしていてねぇ……内部の粘膜を擦られると、そのごつごつがとんでもなく気持ちがいい。元の世界で『ヤ』のつく自由業の方々が、ナニに真珠を埋め込むと聞いたことがあるんだけど、もしかするとそれもこういう感じなのかもしれない、って思っちゃう。挿れられてるだけで気持ちがいいところに、さらに刺激が加わるわけだからさ。ロウ、ガルドさんの二人と比べると、テクニック的には初心者のはずのターザさんなのに、あんあん啼かされる度合いが変わらないのも頷けるってもんです。って、こんなことを冷静に考えてる場合じゃない。
「あ、やっ……めっ……」
気持ちよすぎて、折角かき集めた力が抜けてしまう。ぐらりと体が揺れて、後ろの倒れそうになる寸前に、ターザさんの片手が私の背に回される。
「レ、イど、のっ!」
そのままぎゅうっと抱きしめられて、胸の膨らみをターザさんの胸板に押しつける形になる。ツンツンにとがった先端が、固い胸板に押し潰されて、突き上げられる反動で捏ねられて、こっちまで気持ちいい。下腹がきゅん……となって、余計にターザさんのがくっきりと感じられて、これって所謂、悪循環?
零れ落ちる液体は、ロウとガルドさんのが混じってる上に、後から後から私のナカからあふれてきて、もう大洪水もいいところだ。ぐちょぐちょ、ぬちゃぬちゃ、と聞くに堪えない音がしてるが、ターザさんは気にする様子もない。お尻にあてがった方と、私の背中を支える腕に、一層力が入り、私を上下に動かすほかに、腰まで突き上げてきて、奥の壁がへこむほどに衝かれている。ただ、それが苦しいばかりかと言えばそうではなくて、苦しさもあるんだけど、それに勝るとも劣らず気持ちがいいから質が悪い。
三人が三人とも、苦しいけど気持ちいいって、今日は一体どういう日なんだ。
「タ……ザさっ……やっ、もっ……」
「くっ! レ……どのっ」
限界を訴える口をキスでふさがれ、肺の空気を絞り出す勢いで抱きしめられ、渾身の力で突き上げられる。目からは生理的な涙があふれ、えぐえぐと泣きながらしがみ付いて、必死でキスに応えているうちにだんだんと気が遠くなり……本日三度目の、熱い液体がナカへと放たれたのにもほとんど気が付かないまま、私は揺さぶられ続けたままで意識を手放した。
なので。
「……だから言ってんだよ。三人分だと時間がかかるしよ。レイちゃんの負担もでけぇだろ?」
「仕方あるまい……と、片づけるわけにもいかんな。たしかに、お前の言うとおりだが、レイが何というか……」
「レイ殿が嫌だと言うのなら、俺は……」
「だったら、ターザ。お前、レイちゃんの負担を減らすために我慢できっか?」
「い、いや……それは」
「だろ? それに、複数亭主持ちの女房なら、珍しい事じゃねぇし」
「確かに、そうは聞く」
「人族の習慣がそうであるなら、俺は異論はないが……」
「だろ? 流石にいきなりっつーのは無理だから、だんだんと慣らしてかねぇとなんねぇけどよ」
「慣らす、と言っても俺はやったことがないぞ」
「……慣れれば、その……なのか?」
「そこんとこは、まぁ……なんだ、いろいろと道具もあるしよ。とにかく、お前らも反対じゃねぇってことでいいんだよな?」
「……ああ」
「ガルドに任せる」
人が気絶してる間に、そんな密談が行われてた事なんか、察知できるわけがない。知らない間に、第二の貞操の危機が迫っていることも知らずに、私はルーセット最初の夜をこうして気絶からの爆睡で過ごすことになったのだった。
「あ、うん。いいかな?」
「ああ、ゆっくりしてこい」
「おさきにどうぞ、レイ殿」
皆にそう言ってもらったので、遠慮なく一番風呂をいただくことにした。ここのお風呂はハイディンと同じで、寝室の隣に小部屋が付いていて、そこに猫足のバスタブだけが置いてある。八分目くらいまでお湯が張られていて、中には温度調節のための魔石が沈んでるのも同じだね。部屋の隅には作り付けの戸棚があって、そこにタオルっぽい布も置いてあった。こっちの石鹸に当たる泡石もあるけど、とりあえずこれはいらんかな。清浄魔法(リフレッシュ)で体はきれいなんで、とにかくお湯につかるのが目的です。
「ゔぅ~」
全身を温かいお湯に浸すと、思わずおっさんみたいな声が漏れちゃった。慣れたとはいえ、一日中馬に乗ってると、あっちこっちがこわばるんだよ。できればオルフェンみたいな温泉がよかったんだけど、そこまで言うのは贅沢だろう。
実は、あそこの温泉を水魔倉に詰め込んで、旅先でも……と考えたこともあったんだ。試しに一度、別館についているお風呂でそれをやってみた。で、一度入った後で、お湯をきれいにするために清浄魔法をかけたら……温泉成分まで浄化しちゃったみたいでね。普通のお湯になっちゃったんで、諦めましたよ。
でも、普通のお湯でも、思いっきり体を伸ばし、肩や腰、太ももの筋肉をほぐしていくのは気持ちいい。極楽、極楽。よくぞ日本人に生まれけり、だよね。
元々長風呂の方だから、一時間くらいは軽く浸かっていられる。けど、ロウ達も入りたいだろうから、程々のところで切り上げなきゃね。少し名残惜しかったけど、思い切ってお湯から出て、体を拭いた。楽な服を着てから、最後に使ったお湯に清浄魔法をかける。まぁ、清浄魔法って意外と魔力を使うから、これは非常に贅沢なやり方だ。そもそも余程泥だらけで入ったりしない限り、次の人はそのまま使うのが普通だ――日本の家庭のお風呂もそうだけどね。で、最後の人が入り終わったら、バスタブの横にお湯の回収用の魔倉が置いてあるから、そっちに入れるわけですよ。
で、久々のお風呂に大満足して出てきたわけなんだけど――。
「相変わらず長風呂だな、お前は」
出てきた途端、ひょいとばかりに腰に手が回り、ひざ裏を掬い上げるようにして横抱きにされましたよ?
「え? ロ、ロウ?」
悪い(?)予感がして、抱き上げられたまま見上げると、肉食獣の目をした顔がそこにある。
「待ちくたびれたぞ」
「ご、ごめんっ。でも、もう出たから――次、どうぞ?」
ゆっくりしてきていいって言われたから、ゆっくりしただけなんだけどな。ちょっと理不尽な気もしたけど、待たせたのは本当だから謝った。だけど――謝って損したよ!
出たんだから、次の人が行けばいいのに、誰もそんなそぶりを見せない。それどころか、ロウ以外はベッドの方に居て、動く気配もなくこっちを見てる。
ガルドさん、ターザさん……何故に、上着を脱いでらっしゃるのでしょうか? いえ、何となく予想はつきますけど、そうなるだろうと思ってましたけど、せめてお風呂を済ませてからで良くない?
「なんだ、レイちゃん。今夜はまた、色気がねぇのを着てんだな」
「レイ殿はどのようなものを着ていようが美しいぞ。ガルド」
色気も何も、ここは旅先ですから! お師匠様のところにいた時みたいなひらひらしたのは、ふさわしくないって思ったんですよ。ターザさん、褒めてくれてうれしいけど面と向かって『美しい』なんて言われると、顔が赤くなっちゃうよ。
「何を着ていようが、脱がせてしまえば同じだ」
そして、ロウ。貴方が一番、がっかりです。乙女の努力をなんだと思ってるんだか……じゃなくて、どうしても今すぐですか? だからお風呂は……あ、清浄魔法で済ませたんですか、そうですか。
「旅籠では我慢していた。そろそろ限界だ」
限界来るの早! オルフェンで、私ほどじゃなくてもお風呂の虜になってるくせに、それを投げ捨てるくらい切羽詰まってたわけ? そして、拒否るつもりはないけれど、一つ、問題があるのを忘れてませんか?
「ちょっと、待って! ライア、どうするのっ?」
「雷精? 何か問題があるのか?」
「大ありよ! 現に今だって『何してるの?』って、興味津々なんだからっ」
そうです。部屋の中には私、ロウ、ガルドさん、ターザさんの他にもう二頭いるんですよ。ライアと、その横で『おいた』をしないか見張ってるフィーア(モーリンと交代した)が、隅っこの方でこっちを見てるんだよ。
そしてフィーアは兎も角、見るもの聞くもの全部が珍しいライアは、私たちの行動を思いっきり興味深そうに見てる。
「気にしなければいい」
「無理!」
見られてるだけならまだしも(それだって嫌なんだけど)、無邪気な質問の声が聞こえてくるんですよ、私には! この状態でエッチするのは勘弁してほしい、マジで。
「隣の浴室に行かせるのはどうだろうか?」
「それでも声は聞こえるでしょ」
防音の結界を張っても、ライアの方が魔力が強いから聞こうと思えば聞こえちゃう。あれ? 聞くな、って言えばいいのか?
『なんで?』
……そう来るよね、うん。えーと、こういう時はなんて言えばいいんだろう。
エッチするからあっちに行っててほしい――とは、本当の事ではあるが口が裂けても言いたくない。
「チチッ」
「あ、フィーア――え? ほんと? ……お任せしちゃっていい?」
「チィ!」
「何といっているのだ、レイ殿?」
「えとね。自分があっちでちゃんと見張ってるから、って。ついでに説明もしてくれるって」
逃げだと分かっちゃいるけど、つい、フィーアの申し出に飛びついちゃったよ。これはつまり、フィーアは私たちが今から何をする(ナニする)のかを理解してるってことなんだけど、こっちは年輪を重ねてるせいで、肉体を持ってる存在がそう言う事をするって知ってるし、当たり前のことだと思ってるみたい。その事を踏まえて、ライアがこっそりこっちを覗き見しないようにしてくれて、何のための行為なのかも教えてくれると言っている。ありがたい事です。
「いろいろあんだな、精霊ってのも」
「例外中の例外なパターンだと思うけどね……」
今のやり取りで、どっしりと疲労がのしかかってきた気がする。このまま寝ちゃいたい気がするけど、うん、無理だよね。わかってます。
「さて。話が付いたなら、仕切り直しと行くか?」
「……お手柔らかにお願いします」
そう言えば、まだロウに抱っこされたままだった。相変わらず、腕力がすごい。全然、プルプル震えたりしてないし……。
「お前なら大した負担ではない。元々、それほど重くはないしな」
「そこは、羽みたいに軽い、って言うとこでしょ」
「そこまで軽いと却って不自由だろうに」
いや、慣用句ってやつですよ。ほんとにそんなに体重が軽かったら、風が吹いたら飛んでっちゃうでしょ。なのに、大真面目でそんなことを言うロウがおかしくて、小さく笑ったら、それが開始の合図になっちゃったみたいです。
「んっ、ぅん……」
口づけながら、一番大きなベッドの上へと降ろされる。そのまま、ちょっと斜めの方向から覆いかぶさられたので、首に手を回して引き寄せた。何度も角度を変えつつ、ついばむような軽いキスと、吐息すら奪うような濃厚なのを交互に与えられる。そちらに集中していたら、なんか体がさっきよりスースーするのに気が付いた。そちらを横目で見たら、胸にはガルドさん、下はターザさんが取り掛かっていて、手際よく服を脱がされている最中です。
「ん、あっ!」
むき出しにされた胸に吸い付かれて、甘い声が出てしまう。ガルドさんの大きな両手が左右の膨らみを掬い上げて包み込み、柔らかく揉みながら、先端を中央へよせるようにする。交互に先端を口に含まれて、あっという間に硬くとがってしまう。
下半身は下半身で、少し腰を浮かされたところで、一気に服を引き下ろされた。ちっちゃな下着だけはつけていたけど、それもすぐに取り払われ――焦らすように、ふくらはぎから這い上って来る舌の感触がヤバい。膝がしらを優しく撫でさすられて、ふっと力が抜けた所で、大きく割広げられた。その間にターザさんの体が入り込み、閉じられなくなる。
「レイ殿……」
「あ、あんっ!」
内腿に音を立てて口づけられ、そのまま中心へ――すでに濡れ始めていた亀裂に沿って、何度も舐め上げられる。その度に快感が背筋を這いあがり、大きく広げられた足が小刻みに震えてしまう。
「レイちゃん……」
「ひ、んっ」
そっちに気を取られていたら、今度はガルドさんが先端を含んだまま、私の名を呼ぶ。不規則に動く唇と舌の動きに加えて、軽く歯を立てられて悲鳴に似た嬌声を上げてしまう。
「レイ……」
「ひゃあんっ」
で、お次はロウが、ぺろりと項を舐め上げて、そのまま耳たぶを口に含む。チロチロと動く舌が耳朶を這い、尖らせた先端が耳孔に入りこむから、ねっとりとした音が直接脳髄に響くようだ。
三か所――いや、もっとだ。ロウの指が優しく髪を梳き、胸を弄っているガルドさんの片手がゆぅるりとわき腹に這わされる。ターザさんは中心に顔を埋めたまま、お尻から足へとつながるラインを撫でまわす。同時に与えられる複数の刺激に、体のあちこちからぞわぞわとした感覚が湧き上がり、自然に身をよじってしまう。
「あ、やっ……待っ……」
何処が気持ちいいのか、わからない。いや、そうじゃなくて、どこもかしこも、全部が気持ちがいいから余計に困る。触れられる度にいつも思う。耳や腰なんか、自分で触ったってなんともないのに、どうして彼らが触るとそうじゃないんだろう。感じやすい胸やアソコは猶更だ。『触られる』って思うだけで、胸は重たく張って来るし、アソコがきゅんってなって恥ずかしい液体を溢れさせてしまう。実際に弄られてしまったら、もうだめだ。唇も、舌も、指も。気持ちよすぎて、どうにかなってしまいそう。
「ああっ! ダメっ、も……く、ぅっ!」
アソコを舐めているターザさんの目の前で、ガルドさんに胸を差し出すように背を逸らし、ロウの頭を思いっきり抱きしめて、イってしまう。……まだ、ナカを弄られてもないって言うのに。
「は……ぁ……」
きゅぅぅって丸まっていたつま先から力が抜け、反り返っていた背がシーツに沈み込む。
「……早いな、どうした?」
「レイちゃんも溜まってたんじゃねぇのか?」
不思議そうに言うロウに、ガルドさんが小さく笑いながら応える。
「そう言えば、溢れ方がいつもよりも凄い気がする」
ターザさん、そう言う生々しい報告はいりません。とはいえ、そんなことはない、って断言はできない感じだ。触られて気持ちいいのはいつもの事としても、昇り詰めるのが早かった。しかし、オルフェンを出てまだ数日だよ。それで『溜まって』しまうなんて――どんどん自分の体がエッチになっていくみたいで、乙女としては複雑な気分です……。
「ま、レイちゃんが気持ちよくなる分にゃ、誰も文句はねぇわな」
「ああ」
「確かにそうだ」
こちとら息を整えるのに一生懸命だって言うのに、そんなことを言いながら、三人が交互にキスを求めてくる。左側からロウ、右からガルドさん、真ん中から伸びあがるようにしてターザさん。代わる代わる舌を絡め、唾液を交換し、唇を軽く噛み――う、そんなことすると、いやらしい部分が疼いちゃう。こっそり足をすり合わせていると、目ざとくガルドさんに見つけられた。
「おっと、すまねぇな、レイちゃん――おい、ロウ、ターザ」
「む? ……ああ」
「なんだ?」
すぐに了解したロウと、ちょっと戸惑っているターザさんの対比がおもしろい。まぁ、そんなことを面白がってる余裕は直ぐになくなっちゃんだけどね。
「俺から行く」
「おう」
「何を――ああ、わかった」
やっと理解したらしいターザさんが、一旦、私の上から退く。左側にいたロウも下がり、右にいたガルドさんが脱力したままだった私の脇に手を入れ抱き上げる。片足だけを曲げたその上に、ガルドさんの胸に寄りかかるようにして座らされ、ひざ裏に手が添えられて、大きく開脚させられた。
「あ、や……こん、な……」
正面へと移動したロウからは、ソコが丸見えになっている。今更っちゃ今更なんだけど、やっぱり少し恥ずかしい。でも、恥じらう私にはお構いなしに、ロウはそこへと顔を寄せると、息がかかる距離から訊いてくる。
「舌と指、どちらがいい?」
なんてことを訊くんだよ。けど、じんじんと疼きまくってるソコは、見られてるだけでも感じちゃって、早く弄ってほしくて仕方がなくなっている。
「ゆ……指、で……」
「指、だけでいいのか?」
「っ――り、両方……っ」
恥ずかしいことを言わせられてしまう。こういう時って、どうして男の人は嬉しそうなんだろうね、全く。ロウも私の言葉に満足したようで、吐息だけで軽く笑う。その息が掛かって、ビクンと震えてしまうじゃないか。
「あっ――はや、くぅっ」
「ああ、すまん」
いつまでも焦らされる私はたまったもんじゃない。なじる様に促して、やっとのことで指が一本、ソコへと沈められた。
「ああっ!」
「……締まり方がすごいな」
待ちに待った刺激に、過剰に反応してしまう。きゅっとお腹がへこみ、受け入れた指を締め付ける。ゆっくりと抜き差しされる指は直ぐに本数が増やされ、私が願ったとおりに、舌での刺激も始まった。
「あんっ、あ、ああんっ」
グプグプと音を立てて、三本の指がそこを出入りする。根元近くまで突き入れられ、ナカでバラバラに動いては、私のイイところを探り当てる。寄せられた唇は、その上の小さな突起を含んでいて、舌で器用に薄皮を向いた後、丹念に舐られる。真っ赤に充血しきった突起とナカへの刺激で、私は既に二回ほどイってしまっていた。その度に体が反り返り、ガルドさんは私の体がずり落ちない様に苦労しているようだ。先ほどは与えられなかった刺激が、今はソコに集中していて、全神経がロウの指と舌の動きに反応している。
「あ、あっ……ね、もぅ……っ」
既に、ソコは凄いことになっている。ドロドロに蕩け、あふれる液体はシーツに沁み込み、ロウの手首まで伝っている。弄られて舐められるのはものすごく気持ちがいい、なのに、足りない。先程とは違うじれったさに身をよじるが、がっちりと掴まれた足は膝から先だけしか動かせないし、力の抜けた腕ではロウの体を抱き寄せることもできない。
「も、挿れて……ぇっ」
「おい、ロウ。いい加減――」
「……わかっている」
私が限界を訴えるのに、ガルドさんの声が重なる。先程から腰に当たっている固いモノの感触からすると当然だろう。ターザさんは黙って私たちの様子を見守っているが、時折、唾液を飲み込む音が聞こえてきていた。そんな周囲からのプレッシャー(?)に、ロウも焦らすのはこの辺りまで、と思ったようだ。
ガルドさんに小さく目くばせし、私の体を引き寄せる。ずれたおかげで後頭部にナニかが当たるが、それよりも足に触れたロウの硬くて太いモノのほうが、今の私には重要だ。
腰の下に枕をあてがわれ、軽く曲げた足は両肩に担がれた。どうやら、見せつけるつもりらしい。上を向かされた入り口から溢れる液体をまとわせるように、ロウのソレがそこを往復する。ぬるついた固いもので小さな突起が擦られるのが気持ちよくて、その度に小さく体が跳ねる。ぬちぬちと粘っこい音がするのが恥ずかしくてたまらないが、もっとたまらないのは寸前でお預けを食らってるコトだ。
ガルドさんやターザさんからも、非難といら立ちの混じった視線がビシバシ飛んできているし、もういい加減――と思ったところで、ようやくソレが与えられる。
「あっ、あ、あ……ああんっ」
ひたりと先端が押し付けられ、思わず期待に体が震えた。腰が上がっているから、その様子が私にもよく見える。ピンク色の襞をかき分けるようにして、赤黒いロウのモノがずぶずぶとソコに挿ってくる。大きく張り出した先端が狭い内部を押し広げる。ゆっくりと、でも止まることなく根元まで埋め込まれ、やっとのことで満たされた私は、たったそれだけで軽くイってしまっていた。
「っ……んなに、締め、る、なっ」
「っ、無理っ……ああっ」
きゅうきゅうとソコが締まるのが分かるけど、わざとやってるわけじゃない。さんざん勿体を付けたロウが悪い。気持ちよすぎてどうしようもないんだ。それはロウも同じのようで、恐らくはもう少し焦らすつもりだったのだろうが、いきなり動きが速くなった。
「あん、あ、ああん、あんっ!」
ギリギリまで抜いて、また奥まで突き入れる。その度に私のナカからあふれた液体がかきまわされて、粘っこくていやらしい音を立てる。押し広げられ、引き抜かれ、最奥を衝かれて、その度に悪寒にも似たゾクゾクした快感が湧き上がる。
「ああんっ、い、ぃんっ」
「く……レ、イっ」
一番奥をゴズンッと衝かれ、肩に担ぎあげられた足が跳ねあがる。ロウの体が前のめりになると、更に腰が上を向いて、真上から突き入れられるような姿勢になっていた。固くて太いモノが襞の間から出入りする様子が卑猥すぎて、目が離せない。その視線の先でロウの腕が動いて、片方は受け入れているところのすぐ上にある突起に、もう片方は胸へと伸ばされる。どちらの手も、固くなった小さな粒を指でつまみ、押しつぶし、捏ね上げる。
「ああ、ダメぇっ! そ……また、イ……っ!」
「……この、クソ、がっ」
「う……レ、レイ殿っ」
またしてもイってしまった私が甘い悲鳴を上げるのだが、その直後、頭の位置がずらされ、横を向かされた口に熱く硬いものが突きこまれた。
「んぅっ!」
ぎょっとして、歯を立てないようにするのが精いっぱいだった。ロウはまだ激しく突き上げてきているから、舌を使う余裕なんてない。だが、ガルドさんは自分から動くことで、折り合いをつけたようだ。更には、すがる物を求めて、闇雲に動かしていた私の手が、片方ずつ別々の方角でがっちりと掴まれた。右手はそのまま引かれて、指先に触れるのは固く熱い――ターザさんが私の手を取り、自分のモノへと導いたらしい。そのまま握らされ、上からターザさんの大きな手が覆いかぶさって来て、上下に扱く様に動かされる。もう片手にはロウの指が絡んできて、よく言う『恋人つなぎ』みたいな形でシーツへと押し付けられた。
「ん、ふぅ……ん、んっっ」
勿論、その間にもロウの動きは止まらない。胸に伸ばされていた手は、私の手をホールドしてるから動かせないが、もう片手はまだ小さな突起を苛め続けている。右手に感じるターザさんも、口中を我が物顔で占領しているガルドさんも、下の口を思うさま蹂躙してるロウのも、全部が熱い。熱くて、あまりにも気持ちよすぎて意識が朦朧としてきてしまう。
「ふ、はっ……ひゃ、ふぁっ」
「ちょ……喋んな、レイ、ちゃ……」
意味のある事を言ってるわけじゃない。気持ちよすぎて、なんでもいいから外に出さないとおかしくなりそうなだけだ。これが口をふさがれていない状態なら、さぞやいやらしい喘ぎ声が出ていたことだろう。でも、もうそんなことはどうでもよくて、そろそろ限界らしいロウが、突起を弄っていた手を私の脇について、それで上半身を支えながら腰をつきこみ始めた事の方が重要だ。腰の角度はほぼ垂直になっていて、そこに真上からロウのモノが出入りする。深いところを穿たれて、気持ちが良すぎて足がピンと伸びてしまう。丸見えもいいところで、気持ちがいいのは兎も角、呼吸がしずらいのが辛い。ただでさえ喘ぎっぱなしで酸欠気味なんだよ。
「いっ……ひっ、ふ、るし……っ」
「もぅ、少し……我慢、しろっ!」
それはまたイきそうになっているコトへなのか、それとも呼吸がしんどい事なのか――どっちへだろうと考える余裕もなく、限界まで呑み込まされたモノをグリッと捏ねられて、脳裏で白い火花が散った。
「だ、すぞ――っ」
「ふ、はっ……ふ、ぅ、んんっ!」
「ぅぐっ」
ロウと私の声に、もう一人のが重なる。頭の片隅で『あれ?』って思ったけど、直後に内部でロウのモノが膨れ上がり、熱い液体が迸るのが感じられて、私も思いっきりイってしまった。
「んぐっ、はっ……あ、はぁ……ああ……」
イくのと同時に、口の中からガルドさんが引き抜かれ――危うく噛みつくところだった――やっとこ思いっきり息ができる。はぁはぁと喘いでいると、欲望を私のナカにぶちまけたロウがゆっくりとソレを引き抜く。高く掲げられていた腰もシーツの上に降ろされたけど、なんか冷たいよ。お尻の割れ目を伝って背中までびしょびしょだし、どれだけ濡れているんだろうか、確認するのが怖いです。あ、さっきの声だけど、どうやらターザさんだったようだ。右手にぬるついた感触がある――そう言えば、さっき、思いっきり手を握りしめた気もしないでもない。……ごめんね、ターザさん。
すでにかなりヘロヘロになっている私だけど、休ませてはもらえないようだ。ロウの吐き出したものがとろとろと零れ落ちている状態で、くるりと裏返されてガルドさんに引き寄せられる。
「悪ぃな、レイちゃん、俺も限界でよ……」
そう言えば、ガルドさんだけイってなかったんでしたね。抵抗しようにもその気力が無くて、されるがままに腰を持ち上げられる。膝を立てる力もないのが分かったのか、さっきみたいに今度はお腹の下に枕が宛がわれた。この枕、リフレッシュ掛けても、もう使う気になれないかも……。心の中で宿の人に謝っていると、またまた硬いものが入り口にあてがわれえるのが感じられる。
「あっ、あぅ……ああっ」
こういうのってリセットされるもんなの? いや、完全にリセットって訳じゃなくて、さっきの熾火が体の奥で燻ってるんだけど、ゆるゆると入って来るガルドさんの感触で、それにあっという間に再点火してしまう。
ロウの時と同じように、最初はゆっくりとした抽挿から始まる。気持ちいいのはもうお腹いっぱいって思っていたのに、相手と体位が変わるだけで、別腹扱いになっちゃうのはいつもの事だ。ロウの程、大きく張り出しているわけではないが、その分、どこもかしこもみっちりとした質量のガルドさんは、完全にナカを満たしていて、それに私の内部の襞が絡みつく。引き抜かれる時には、寂しさのようなものが感じられ、また満たされる感覚に拍車をかけている。
「あんっ、ああ……気持ち、い……んっ」
「俺も、だぜ、レイちゃんっ」
緩やかな動きながらも、私のイイところはしっかりと刺激してくれていて、それが余計に気持ちがいい。さっきのロウのが激しすぎた所為もあるんだろうけど、ぺたんと腹ばいになって、体も枕で支えられていて、どこも無理をしていないから気持ちがいいのに集中できる気がする。ゾクゾクした快感がひっきりなしに湧き上がって来る。
「ああんっ、ガルドさ……ぁんっ」
ヒクヒクと体を震わせながら、ガルドさんの名前を呼ぶ。そしたら、汗で顔に張り付いた髪を優しく梳き上げられた。すごい幸せな気分で、思わず小さな笑みが口元に浮かぶ。
「……気に入らん」
「妬くんじゃ、ねぇ、っつんだ――さっき、さんざん、楽しんだろっ」
「レイ殿のこんな顔を……」
そんなやり取りが頭の上で聞こえて、視線を上げると――仏頂面をしたロウが、自分も汗で額に張り付いた髪を、両手で書き上げている場面に遭遇した。あ、マズい……。
「っ! レイちゃ、いきなり、締めんなって」
すみません、うっかり、色気に宛てられてしまいました。ちなみにガルドさんの場合、顎にしたたり落ちてくる汗を、手の甲で拭う仕草に反応します。内緒だけどね。
締め付けてしまった所為で、ガルドさんの余裕を削り取ってしまったようだ。抽挿の速度が上がり、突きこまれる深さも増した気がする。
「あ、あっ、待っ……も、ちょ……ひゃんっ」
「すまねぇ、無理、だ」
もう少しだけでいいから、揺蕩うような気持ちよさに浸っていたかった。けど、ずんずんと奥を衝かれる衝撃に、体の方が素直に反応してしまう。
「あ、あんっ、ふ、深、い……いぃんっ!」
「しっかり……味わえ、よっ、レイ、ちゃんっ!」
気持ちよさの波に飲み込まれて軽くイってるうちに。すぐに次の波が来る。それが引く前にまたキて、どんどん追い詰められて昇りつめても、まだ先がある。ドロドロに蕩けたアソコを遠慮なくかき回されて、甘い嬌声が止められない。しかも、両手で私のお尻を掴み――押し広げるのはまだいい。だが、親指が受け入れているところの後ろ――いや、この体勢だと上になるのか? ちっちゃくすぼまっているところに押し当てられ、ぐりぐりと刺激されてしまう。
「え? あ、やっ、それ、ダ……ひああんっ」
あふれたものが伝っているから、そこもびしょびしょに濡れている。そのぬめりのおかげで、中に入り込みそうになってしまう。ぎょっとして体に力を入れて拒もうとするんだけど、そうすると前に受け入れてるガルドさんのをさらに締め付けることになってしまう。
「あああっ! ダ、ダメっ……ああ、いやぁっ」
またイってしまい、力が抜けたところで、先っちょだけだけど指が入り込んでしまった。必死でイヤイヤをするんだけど、ガルドさんは聞いちゃいない。
「こっち、も……気持ちいい、だろ?」
「ひゃっ、よ、よくな――いぁあんっ!」
イきっぱなしの体はびくびくと痙攣しまくっているが、そんなところを弄られてるからではない。決してそうではないが、変な感じがしてきているのは確かだった。完全に排泄のみに特化してるはずの器官を弄られて感じるとかありえない。なのに、そのあり得ないことが起きてる気がする。さすがにいきなり奥まで突っ込まれることはなかったけど、入り口をほぐし、第一関節だけだが入り込んだ指で息が詰まるような、何とも言えない感覚だ。こういうのって、BL物のフィクションじゃないの? いや、実際に同性愛な方々は使ってるとは聞くが、それにしてもまさか自分に降りかかって来るとは夢にも思わなかった。
恥ずかしいやら、混乱するやらで、頭が回らない。そして、頭が働いていなくても、貪欲に体は気持ちよさを吸収し続けていて……。
「い、ああっ! や、やめ……あ、ひぁっ、い――んあああっ!」
「げ、んかい、だ……レイ、ちゃ……っ!」
後ろに指を、前には強直を飲み込まされた状態で、再度、快感の大波に飲み込まれる。ロウに続いて、ガルドさんがナカで弾ける感触があって、どぷどぷと大量の熱が放出される。当然、ナカに収まり切れるはずもなく、溢れ出たものがまたもやシーツと枕に沁み込んでいく。
「っ、ひど――やだ、って、言った……にっ」
呼吸が収まらなくて、言葉を発するのが辛いが、これだけは言っておかねばなるまい。うつぶせにへたり込んだ状態で、顔だけ後ろに向けてだから、今一つ迫力がないのは仕方ない。ところが、その私の抗議を受けても、ガルドさんはなんか平気な顔してる。
「あー……すまねぇ。けど、気持ちよかったろ? そろそろ、こっちも使い始める頃合だしよぉ」
「……は?」
なんか今、聞き捨てなら無い事を言われた気がする。こっち、って……えーと、まさか?
「……会話中済まないが……俺も、そろそろ……レイ殿、失礼する」
「え? あ、ちょ……ターザさん?」
待って、今、重要な話をしてる気がするんですがっ。
「できるだけ早めに終わらせる――レイ殿は疲れているだろうから、俺にしがみついていてくれればいい」
お気遣いは有り難いですが、どうせなら、他の方面で発揮していただきたかったですっ。けど、ずっと見せつけられていたターザさんは、切羽詰まっているようで、常の遠慮がちな態度をかなぐり捨ててぐいぐいくる。さっき、一度ヌいたはずだけど――あ、それは言わないお約束ですね。
初回のひたすら正常位、からターザさんもかなりあれこれと学習していて、今回は体面座位のようです。脇に手を入れて起こされて、向かい合わせに抱っこされる。太ももの付け根辺りに掌が移動して持ち上げられるから、上半身が不安定になって咄嗟に目の前にある逞しい首に縋り付いた。
「そのままで――行きます、レイ殿」
「え、もうっ? ――あ、ひああんっ!」
前戯も何もかもすっ飛ばして、ぶっといモノに、ずずんと下から突き上げられて悲鳴を上げる。体を立てているから、内臓が下がって来てる。その上、さっきから死ぬほど感じさせられてて、子宮も下がり気味になっているようで、そこにごっついモノ入り込んできてるのだから、簡単に奥の壁へとたどり着いてしまう。
「っ、レイ、殿っ。狭……っ」
知りませんがな、そんなこと! こっちだって、いろんな意味でいっぱいいっぱいなんです。最初からクライマックスだぜ的に、がっつんがっつん突き上げられて、目の奥に火花が散る。必死ですがりついてる腕から力が抜けないように頑張っているが、それも何時までもつかわからない。
「は、激しっ……っ! も、ちょ……ゆっ、っっ」
ターザさんのは、太い上になんかごつごつしてるんだよ。ロウのともガルドさんのとも全然違ってて、ここまで個人差があるなんて思わなかった。もしかすると、獣族だからって言うのが関係してるのかもしれないけど、他の獣族を知らないから判断がつきかねる。で、そのごつごつとした部分が、またいい仕事をしていてねぇ……内部の粘膜を擦られると、そのごつごつがとんでもなく気持ちがいい。元の世界で『ヤ』のつく自由業の方々が、ナニに真珠を埋め込むと聞いたことがあるんだけど、もしかするとそれもこういう感じなのかもしれない、って思っちゃう。挿れられてるだけで気持ちがいいところに、さらに刺激が加わるわけだからさ。ロウ、ガルドさんの二人と比べると、テクニック的には初心者のはずのターザさんなのに、あんあん啼かされる度合いが変わらないのも頷けるってもんです。って、こんなことを冷静に考えてる場合じゃない。
「あ、やっ……めっ……」
気持ちよすぎて、折角かき集めた力が抜けてしまう。ぐらりと体が揺れて、後ろの倒れそうになる寸前に、ターザさんの片手が私の背に回される。
「レ、イど、のっ!」
そのままぎゅうっと抱きしめられて、胸の膨らみをターザさんの胸板に押しつける形になる。ツンツンにとがった先端が、固い胸板に押し潰されて、突き上げられる反動で捏ねられて、こっちまで気持ちいい。下腹がきゅん……となって、余計にターザさんのがくっきりと感じられて、これって所謂、悪循環?
零れ落ちる液体は、ロウとガルドさんのが混じってる上に、後から後から私のナカからあふれてきて、もう大洪水もいいところだ。ぐちょぐちょ、ぬちゃぬちゃ、と聞くに堪えない音がしてるが、ターザさんは気にする様子もない。お尻にあてがった方と、私の背中を支える腕に、一層力が入り、私を上下に動かすほかに、腰まで突き上げてきて、奥の壁がへこむほどに衝かれている。ただ、それが苦しいばかりかと言えばそうではなくて、苦しさもあるんだけど、それに勝るとも劣らず気持ちがいいから質が悪い。
三人が三人とも、苦しいけど気持ちいいって、今日は一体どういう日なんだ。
「タ……ザさっ……やっ、もっ……」
「くっ! レ……どのっ」
限界を訴える口をキスでふさがれ、肺の空気を絞り出す勢いで抱きしめられ、渾身の力で突き上げられる。目からは生理的な涙があふれ、えぐえぐと泣きながらしがみ付いて、必死でキスに応えているうちにだんだんと気が遠くなり……本日三度目の、熱い液体がナカへと放たれたのにもほとんど気が付かないまま、私は揺さぶられ続けたままで意識を手放した。
なので。
「……だから言ってんだよ。三人分だと時間がかかるしよ。レイちゃんの負担もでけぇだろ?」
「仕方あるまい……と、片づけるわけにもいかんな。たしかに、お前の言うとおりだが、レイが何というか……」
「レイ殿が嫌だと言うのなら、俺は……」
「だったら、ターザ。お前、レイちゃんの負担を減らすために我慢できっか?」
「い、いや……それは」
「だろ? それに、複数亭主持ちの女房なら、珍しい事じゃねぇし」
「確かに、そうは聞く」
「人族の習慣がそうであるなら、俺は異論はないが……」
「だろ? 流石にいきなりっつーのは無理だから、だんだんと慣らしてかねぇとなんねぇけどよ」
「慣らす、と言っても俺はやったことがないぞ」
「……慣れれば、その……なのか?」
「そこんとこは、まぁ……なんだ、いろいろと道具もあるしよ。とにかく、お前らも反対じゃねぇってことでいいんだよな?」
「……ああ」
「ガルドに任せる」
人が気絶してる間に、そんな密談が行われてた事なんか、察知できるわけがない。知らない間に、第二の貞操の危機が迫っていることも知らずに、私はルーセット最初の夜をこうして気絶からの爆睡で過ごすことになったのだった。
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