上 下
39 / 51

隠された真実

しおりを挟む





 今日も今日とて俺は怠惰を貪り食らう。

 ヒカリさんとの約束でクラン戦をした俺だったが街を歩くだけで「ルールブレイカー」「ルールブレイカー」とうるさい。

 前よりもイジメが酷くなりつつあった。

 だから宿に引きこもっている。

 クラン戦をやろうにもリクエスト通知が半端じゃなく溜まっていた。

 リクエスト通知でプレイヤーを追い詰める手法は聞いた事がある。

 クラン戦をしたい相手に【1円】以上の参加費を負担してクラン戦を優先的にやって貰う機能だ。

 不思議なのがこういうプレイヤーを追い詰める時は最低額の【1円】だけを負担してリクエストを送り続けるという物だがミースティアの連中が可笑しいのか参加費を全額負担してくれている。

 俺からしてみれば願ったりなリクエストだ。

 裏があると俺はそう思っている。

 何が狙いなんだ!

 サクヤとアカネはジョーカーと遊ぶと朝から街へ行っている。

 過保護なロイヤルがジョーカーの外出を良く許したと思うが昔よりも丸くなったのだろうと勝手に納得する。

 久しぶりにログでも漁るかとミースティアの戦闘ログを見る。

 アカネとサクヤのクランを見つけて投げ銭を入れる。

 スカートがヒラヒラとして目線が誘導される。

 クッ! なんてスキルだ。

 女の人だけの六人でクラン戦をしているようだ。

 サクヤとアカネの二人の可愛さレベルが高いのは当たり前だが周りのレベルも高い。

 流石人気があるクランは華がある。

 最近の物になるとレアスキルも使っていた。

 使いこなしてはないのかまだ慣れていない様子が伺える。

 戦闘中にスカートがヒラヒラと舞うのはセコイ気がする。

 対戦相手の男プレイヤーも見惚れて隙を自ら作っているシーンも何度かあった。

 気持ちは分かる。


 自分が戦っているシーンのログを確認してみるが華がないのは分かっている。

 自分の最適解の擦り合わせにしかならない。

 俺の最新映像は罵倒で埋め尽くされて見る気にもなれない。

 コメントを切って視聴する。

 俺がヒカリさんに勝った後にミースティアのクランホームに呼ばれたが話す内容はスタンピードロストとソロのクラン戦の件だった。

 救ってもらった褒美と最上位クランに勝った報酬をとヒカリさんが言い出したからレアスキルだけで充分ですと断った。

 この国の人達に貰った恩を少しでも返せたなら俺はそれでいい。

 スタンピードロストで名前を失った他の国は名前を冠する国も出てきたらしいラクリガルドは即座に名前を取り返していたと聞いた。

 シオンは俺が昔憧れたプレイヤーの一人だからな。

 男としてならヒカリさんからウザがられてもアタックを続けていた事は凄いと思うしプレイヤースキルは確実に最上位だ。

 アフィリンスという国が仕掛けたジョーカーの召喚だったがロイヤルの登場で計画は崩れ結局は復興の手伝いをするはめになっている。

 俺が心配する事はないと思うが親友のトモヤの国は無事であって欲しい。

 そんな事でへこたれる奴ではないがな。

 俺はヒカリさんとの話し合いで妙な事を耳にした。

「スタンピードロストの責任だがアフィリンスがやった事というのは最上位クランしか知らずにプレイヤー達には伏せてある」

 ヒカリさんが口にした事だがもしそうだとしたら。

「この国ではないが他の国では生活を脅かされたプレイヤー達の思惑は耳に入ってきている」

 未開の地にある国アディショナルを目指す輩がいるのか。

 アフィリンスがやったという事を伏せたらジョーカーを倒そうと動くのも当然だと思う。

 他の国と連携して未開の地に足を踏み入れれば国と国の境は無くなり同じフィールドで共闘することも可能だろう。

 被害を受けた国は数えるだけで八もある。

 その国の奴らが本気でアディショナルを目指せば到達するだろう。

 どれだけのプレイヤーが被害を受け打倒ジョーカーを掲げてるのか。

 その数は尋常ではないはずだ。

 ヒカリさんはそれだけを言うと話を切り替えていた。


 

 そんな会話を思い出しながら戦闘ログをベットに横になりながら見てると。

 サクヤとアカネが楽しそうにジョーカーと買い物や遊びを満喫してる姿が脳裏に浮ぶ。

 あの三人の笑顔が曇る事はあってはいけないよな。

 俺はベットから飛び起きると久しぶりに未開の地へ行くことを決心する。

「ロイヤルにでも会いに行くか」

 呟いて早速宿から飛び出した。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

モカセドラの空の下で〜VRMMO生活記〜

五九七郎
SF
ネトゲ黎明期から長年MMORPGを遊んできたおっさんが、VRMMORPGを遊ぶお話。 ネットの友人たちとゲーム内で合流し、VR世界を楽しむ日々。 NPCのAIも進化し、人とあまり変わらなくなった世界でのプレイは、どこへ行き着くのか。 ※軽い性表現があるため、R-15指定をしています ※最初の1〜3話は説明多くてクドいです 書き溜めが無くなりましたので、11/25以降は不定期更新になります。

超ゲーム初心者の黒巫女召喚士〜動物嫌われ体質、VRにモフを求める〜

ネリムZ
SF
 パズルゲームしかやった事の無かった主人公は妹に誘われてフルダイブ型VRゲームをやる事になった。  理由としては、如何なる方法を持ちようとも触れる事の出来なかった動物達に触れられるからだ。  自分の体質で動物に触れる事を諦めていた主人公はVRの現実のような感覚に嬉しさを覚える。  1話読む必要無いかもです。  個性豊かな友達や家族達とVRの世界を堪能する物語〜〜なお、主人公は多重人格の模様〜〜

アンプラグド 接続されざる者

Ann Noraaile
SF
 近未来、世界中を覆う巨大な疑似仮想空間ネット・Ωウェブが隆盛を極め、時代はさらに最先端の仮想空間創造技術を求めていた。  そんな中、内乱の続くバタラン共和国の政治リーダーであり思想家でもあるアッシュ・コーナンウェイ・ガタナが、Ωウェブの中で殺害されるという事件が起こった。  統治補助システムであるコンピュータプログラム・ビッグマザーはこの事件を、従来の捜査体系に当てはまらないジャッジシステム案件であると判断し、その捜査権限を首都・泊居(トマリオル)の市警刑事部長岩崎寛司に委ねた。  時を同じくして保海真言は、Ωウェブの中心技術を開発した父親から奇妙な遺産を受ける事になっていた。  この遺産相続を円滑に勧める為に動員された銀甲虫の中には、保海真言が体術を学ぶ(闇の左手)における同門生・流騎冥がいた。  物語は、この三人を軸に、人園と知性を獲得したコンピュータの仮想多重人格との激しい仮想空間内バトルを中心にして展開されていく。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

CombatWorldOnline~落ちこぼれ空手青年のアオハルがここに~

ゆる弥
SF
ある空手少年は周りに期待されながらもなかなか試合に勝てない日々が続いていた。 そんな時に親友から進められフルダイブ型のVRMMOゲームに誘われる。 そのゲームを通して知り合ったお爺さんから指導を受けるようになり、現実での成績も向上していく成り上がりストーリー! これはある空手少年の成長していく青春の一ページ。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

俺だけステータスが見える件~ゴミスキル【開く】持ちの俺はダンジョンに捨てられたが、【開く】はステータスオープンできるチートスキルでした~

平山和人
ファンタジー
平凡な高校生の新城直人はクラスメイトたちと異世界へ召喚されてしまう。 異世界より召喚された者は神からスキルを授かるが、直人のスキルは『物を開け閉めする』だけのゴミスキルだと判明し、ダンジョンに廃棄されることになった。 途方にくれる直人は偶然、このゴミスキルの真の力に気づく。それは自分や他者のステータスを数値化して表示できるというものだった。 しかもそれだけでなくステータスを再分配することで無限に強くなることが可能で、更にはスキルまで再分配できる能力だと判明する。 その力を使い、ダンジョンから脱出した直人は、自分をバカにした連中を徹底的に蹂躙していくのであった。

「unknown」と呼ばれ伝説になった俺は、新作に配信機能が追加されたので配信を開始してみました 〜VRMMO底辺配信者の成り上がり〜

トス
SF
 VRMMOグランデヘイミナムオンライン、通称『GHO』。  全世界で400万本以上売れた大人気オープンワールドゲーム。  とても難易度が高いが、その高い難易度がクセになると話題になった。  このゲームには「unknown」と呼ばれ、伝説になったプレイヤーがいる。  彼は名前を非公開にしてプレイしていたためそう呼ばれた。  ある日、新作『GHO2』が発売される。  新作となったGHOには新たな機能『配信機能』が追加された。  伝説のプレイヤーもまた配信機能を使用する一人だ。  前作と違うのは、名前を公開し『レットチャンネル』として活動するいわゆる底辺配信者だ。  もちろん、誰もこの人物が『unknown』だということは知らない。  だが、ゲームを攻略していく様は凄まじく、視聴者を楽しませる。  次第に視聴者は嫌でも気づいてしまう。  自分が観ているのは底辺配信者なんかじゃない。  伝説のプレイヤーなんだと――。 (なろう、カクヨム、アルファポリスで掲載しています)

処理中です...