降り積もる記憶の彼方から

椎葉ユズル

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later scene.1(黒木side)③

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「あ……あぁ、や、ヘン……こんなの、や、はぁん……っ」

 この人を、トロトロに溶かしてしまいたい。――俺の手で。

「あ、や、もう出るから、離して……っ」
 俺の髪を痛いくらいに握ってくるけど無視した。口をすぼめて逆に射精を促すと、
「あっ……」
 口の中に生温かくて苦い味が広がった。
 顔を上げると、息を荒げた佐野さんがさっきよりも怖い顔で睨んできた。

「もう、バカ……出るっていったのに」
「ごちそうさまです」
 上気した頬をさらに赤らめて、バカ、と呟いて顔を腕で覆ってしまった。可愛すぎる。
 そのピンと立ち上がった乳首にそっと触れてみる。びくん、と身体が跳ねた。

「やんっ……あっ」
 そんな自分の声に驚いているのがまた可愛い。
 どうしよう、こんな敏感になって、続けても大丈夫かな。
 手を離して理性と欲望と戦っていると、佐野さんが腕を外して俺を見た。――怒ってる?

「また、我慢しようとしてるだろ」
「え……」
 図星をさされて、ドキリとした。

「お前とは、気を遣わない関係でいたいんだよ。だから……我慢して、ほしくない。ちゃんと、嫌なときは言うから」

 思わずがばっと抱きついて頬を合わせて擦りつけた。

「おいっ」
「もう……遼太郎さんって」

 なんでこんなにカッコいいんだろ。

「俺が……なんだよ」
「もう、大好き」
「こら、ごまかすなって……んっ」
 滑らかな頬に、額に、鼻にもキスして、最後唇を重ねる。

「……でもやめろって言ったらちゃんとやめろよ」
 至近距離で確認するように言われたが、
「それは約束できないかも……」

 多分、俺の理性が持ちません。

 また深いキスをして、二つの突起を摘み上げると、甘い吐息が漏れてくる。指で押したり、爪ではじいたりすると硬さがまして、中心もまた昂りを取り戻してきた。
 後ろに手を回すと、さきほどさんざん弄ったせいか、ぱくりと食いつかれるように指を呑み込まれる。

「は、あ……馨介……」
 焦れたように、佐野さんが俺の中心を握ってくる。熱い手で擦り上げられると、ぞくぞくと快感が足元から襲ってきた。

「遼太郎さん……挿れて、いい……?」

 もう耐えきれずにそう言うと、佐野さんは俺を睨みつけた。目尻に溜った雫で瞳が潤んでいる。

「んっ、早く……てか、もう分かれよ……っ!」
 俺を唆る、かすれた声。そしてふいっと真っ赤な顔を背けて自らの脚をおずおずと広げた。

 どこまでも強気な佐野さんが愛しくてたまらない。体のすべてが抑えられない情炎で焼き尽くされそうだ。俺は自らのそそり立ったモノで誘うようにひくついている蕾を貫いた。

「あ……!」
 一瞬、眉を寄せて痛みに耐えるような表情を見せたが、すぐに快感を伴うものに変わった。ぞわぞわと腰から背筋へと震えが走り抜ける。

「ああ……けいすけ……っ」
 情欲にまみれた声で名前を呼ばれると、それだけでイキそうになる。

「遼太郎さん……っ」
 佐野さんの中が熱くて、どうにかなりそうだ。衝動に任せて突き上げると、背中を弓なりに反らせて、官能的な声を上げる。目の前で揺れる佐野さんの中心を握って、なるべく優しく愛撫する。

「あ、やぁんっ……!」
 感じる箇所に俺のモノが当たったらしく、がくがくと身体全体を震わせる。

「あ、けいすけ、そこ、や、やだ……あ」
 自然に流れ落ちた涙が頬を濡らす。とろんとした眼差しと、半開きにした口元が壮絶な色気を醸し出している。

「遼太郎さん……すごい、ヤバい……」
「はあ、あ、もうダメ……イク……っ」

 ドクン、と同時に達したと思ったら、佐野さんは体をシーツに沈めて、目を閉じてしまった。

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