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後日談
腕時計を買いに⑥
しおりを挟む「ベッド……行こっか」
考えたら自分から智弥を誘うのも初めてかも。そう思い当たると、つい足が止まった。恥ずかしくなってしまいベッドの前で立ち尽くしたところを後ろから抱きすくめられた。
「光希……好きだ」
ああ、いつも先に言われちゃうな。
「俺も、好き……あっ」
うなじをチュッと吸われてぞくりとする。もっと触れてほしくて、自分のシャツのボタンを外そうとするけど、なぜか上手くいかない。もたもたしてたら、智弥の長い指が伸びてきて、あっという間に全部外されてしまった。そのまま胸をまさぐられ、突起をふたついっぺんに摘まれた。
「んんっ……」
引っ張られて、ときどき爪で引っ掻かれて、刺激がどんどん中心へと流れ込んでいく。
前が窮屈になって苦しい。俺は自分のベルトに手をかけ、スラックスをすとんと足元まで落とした。
「あっ」
それに足をとられ、ベッドに倒れ込みそうになる。智弥が後ろから支えてくれて、頭からダイブするのは避けられた。
俺ってドジ……カッコつけようとしても、いつも決まらないんだよな。
「大丈夫か?」
「う、うん」
自己嫌悪に陥っていると、智弥の優しい声が首筋に降ってきた。智弥の声、安心する。歌声もすごくいいけど、俺にだけ聴かせてくれるこんな掠れた声も好き。
耳を唇だけで軽く噛まれる。またうなじにキスをしてきて、そのまま下から舐め上げられた。
快感の波が腰からぞわぞわと駆け上がってくる。シャツがはらりとおとされて、白いシーツと一体化した。俺は我慢出来なくなって、自ら下着をさげて、昂りに指をまとわせた。
「あ……智弥……っ」
一度火照りを引き出された身体はもう止められない。俺も智弥のこと言えないな。
腹の奥がじんじんと疼いて、早くそこに刺激がほしいと叫んでいる。
「光希っ……」
軽く背中を押されて、腰に智弥の両腕が絡まってくる。俺の指に智弥の指が重なり、先走りの蜜で濡れた昂りを緩やかに擦り上げる。
「は……っ」
背骨を下から順番に舐められて、全身が震えた。腕で身体を支えられなくなって、俺は枕に顔を突っ伏した。
下着を取り払われる感触に、また期待に膨らんだ身体が疼いて腰が揺れた。背中に智弥の熱い素肌が密着してくる。
股の間に智弥の硬い肉塊が擦りつけられた。激しく動くその先端がときおり俺の双球に当たってくる。掠めるような刺激にかえって煽られてもどかしい。
「はあ、智弥ぁ……」
「光希……めちゃくちゃエロい……」
触られてもないのに中心から密が溢れてシーツに染みを作っていく。と、いきなりローションに濡れた指が後孔にずぶりと入ってきた。膝が喜びで震えだす。
「は、あぁんっ」
もうすっかりこの感覚を覚えてしまった。そして指では届かない、もっと奥に自分の感じる場所があることも。
もう充分解れたから。
もう、きみのが欲しい。
そう言いたいけど、さすがにそれを口にするのは憚られた。
だって恥ずかしいし。エロ魔人みたいだし。
「光希……」
振り仰いで背中に覆いかぶさる智弥を見上げる。荒い呼吸で、青い宝石は欲望の渦に塗れていた。
「どうしてほしい?」
え……。
それはもう決まってるけど。でも……。
智弥の熱い昂りは臨戦態勢で、もう少しでも動けば俺に入って来れそうなのに、入り口を舐めるように触れるだけで入って来ない。
……焦らされてる? 俺に言わせたいの?
「光希……」
智弥だってそんな切羽つまった声で、もう我慢できないんじゃん。
ええ~、言わなきゃダメ? めちゃくちゃ恥ずかしいんだけど。
「なあ……どうしてほしいか言えよ」
言うの? やっぱり?
でも俺だってこのままじゃ終われないし。智弥のバカ! 変態! エロ魔人……は俺か。……あーもー!
「もう、智弥のが欲しい……」
俺がそう言うが早く、一気に後ろから貫かれた。
「あっ……!」
いつもと違う快感が俺を襲う。熱い塊は中を抉るようにガンガン当たってくる。当たるところがいつもと違ってて、さらに快感を煽られる。
「あ……やぁっ、はあ……あんっ」
どんどん知らない自分を暴かれていく。そしてそれが心地よい。
「光希……可愛い……くそっ」
「あ、あぁ、智弥……っ!」
智弥の指が限界まで張りつめた俺の昂りを握りこむ。律動に合わせて上下に擦られ、もう俺は何も考えられなくなる。
「あ、あ、も……ダメっ、イク……!」
「俺も……っ!」
俺が絶頂に達するのと、俺の奥へ智弥が熱を放つのはほぼ同時だった。
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