44 / 56
21章
21章③
しおりを挟む今さら何言ってんだ。
呆れて大きくため息をつくと、光希のほっそりした身体を抱え上げ――すぐ後ろにあるベッドへと押し倒した。
シーツに貼り付けた肢体は、ひとつの美しい絵画のようだった。そっと脇腹に触れると、筋肉がわずかに緊張した。
「と……智弥、ちょっと待って……」
「待たない」
両腕で顔を挟んで覆いかぶさると、何か言いかけた唇に口づける。欲望の赴くままに、舌を差し入れて吸い上げた。なぶるように舌を動かして、光希の熱い舌を追いつめる。
やがて、逃げてばかりだったそれが少しずつ差し出され、意志を持って智弥の舌先を舐めた。たまらず絡めとり、より深く繋がりたいという情動にまかせて、思いきり啜った。
痺れる感覚の残った唇を離すと、呼吸が苦しかったのか、光希ははあっと大きく胸を上下させた。
「……あんたは余計な心配しすぎ」
と、額を爪で軽く弾いた。ついでに先程のキスで上気した頬をするりと撫でる。
「なにすんだよ……」
光希は指先で弾かれた箇所を擦った。抗議するように睨み上げてくる表情ですら可愛いと思ってしまう。
年上の、男なのにな。
自分でも可笑しくて、笑いがこみあげてきた。
智弥は起き上がると汗で張り付いたTシャツを乱暴に脱ぎ捨てた。さらにジーンズの前を広げ、すでに兆しを見せている自らの昂りを光希の太腿に押し当てる。
「な? 大丈夫だろ」
「智弥……っ」
羞恥に頬を染めて、その後すぐに安堵したように微笑む。その頬を撫で上げ、啄むように口づけを落とした。
「ん……」
「光希……好きだ」
「ん……俺も、好き……」
折り重なるように肌を合わせ、お互いの熱を奪い合う。手のひらを胸に這わせ、突起にたどり着くと指でそっと摘まんだ。
「は……」
くりくりと押しつぶすように触れると細い腰が快感を逃がすように揺らめいた。もう片方の尖りを口に含んで、少しだけ歯をたてた。
「あ、あぁ……んっ」
智弥の下腹部に当たっている光希の中心が徐々に硬さを増していく。腰を動かして、布地の上から擦り上げる。その間にも胸の愛撫を止めることはない。先端を尖らせた舌で突いては吸い上げ、周辺をぞろりと舐めまわす。
「くっ、んん……」
声を漏らすまいと自らの指をくわえているが、抑えきれない情欲が隙間から漏れ聞こえてくる。それが智弥の身体の奥を疼かせた。
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
美しき父親の誘惑に、今宵も息子は抗えない
すいかちゃん
BL
大学生の数馬には、人には言えない秘密があった。それは、実の父親から身体の関係を強いられている事だ。次第に心まで父親に取り込まれそうになった数馬は、彼女を作り父親との関係にピリオドを打とうとする。だが、父の誘惑は止まる事はなかった。
実の親子による禁断の関係です。
あなたの隣で初めての恋を知る
ななもりあや
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。
その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。
そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。
一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。
初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。
表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。
ふしだらオメガ王子の嫁入り
金剛@キット
BL
初恋の騎士の気を引くために、ふしだらなフリをして、嫁ぎ先が無くなったペルデルセ王子Ωは、10番目の側妃として、隣国へ嫁ぐコトが決まった。孤独が染みる冷たい後宮で、王子は何を思い生きるのか?
お話に都合の良い、ユルユル設定のオメガバースです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる