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ふたりの出会い

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「あんた最低」学生達で賑わう昼のキャンパス内のカフェテラス、ふたつ隣のテーブルで、いきなり4年生の女子学生が声を上げた。そして相田孝之が声の方向を見た瞬間、女子学生が男の顔にコップの水をぶちまけた。
「大丈夫、結城くん」結城大輔の前に座っていた2年の女子学生がハンカチをさしだすと、それを手にした大輔が立ち上がった。身長は190センチ近くあり、4年の女子学生をにらみつける顔には迫力があった
「おまえ、いきなり何すんだ」大輔の声は迫力があった
「おい、あいつ空手部のやつだろ」
「どうしたのかしら」
「男女関係のもつれかしら」周りから声が孝之の耳に届いた。
「自分のやったこと、わかってんの!」4年の女子学生は声を張り上げた。池袋にあるマンモス大学のカフェテラスはふたりのやりとりに静まりかえっていた
「ふざけんなよ」大輔が女子学生の肩口を掴んだ
「やめてよ!けがらわしい!」女子学生は発狂寸前だ
「いいかげんにしろよ!」大輔が腕を振り上げた瞬間、孝之が後ろからその腕を掴んだ
「おいおい、みんな食事中なんだから、ここは冷静になれよ」孝之は中学3年間は柔道部のエースとしてならしただけに、腕には自信があった
「あれがでかいだけで、女を自由にできるなんて思わないで」女子学生はさらに続けた
「おいおい、あんたもいいかげんにしなよ」孝之が今度は女子学生を制していると、シャツの襟首を大輔が掴みそして孝之を思い切り後方へ引っ張った。あまりのバカじからに孝之は尻もちをついた
「ほんと、おまえいい加減にしろよ」大輔がにらみをきかせながら女子学生につめよった。あまりの迫力に女子学生はあとづさり、周辺のだれもが息をのんだ。次の瞬間、巨大な大輔の身体が床に転がった。孝之が投げ技を打ったのだ。
「おおー」
「やるね~」
「早く逃げなよ」周囲からのの声に女子学生はカフェテラスを後にした
「あの、止めてくれてありがとう」大輔と一緒にいた2年の女子学生が倒れたままの大輔と睨み合っている孝之に声をかけた
「いや、気にしないでいいよ」孝之が臨戦態勢をとくと
「おまえも2年だろ」大輔が立ち上がり微笑んだ
「ああ、わけありのようだな、外で話さないか
「そうだな」190センチ近い大輔と、180センチで肩幅のの広い孝之は周りの空気を寄せ付けずにその場を後にした。

「俺、妊娠させちゃったんだよね」周囲に誰もいないのを確認して、結城大輔が口を開いた。
「さっきの4年生の女の人か?」相田孝之が大輔を見た
「ん、そのあいつの母親」
「母親って、さっきの女の人とじゃなくてか」孝之は思わずうろたえた
「ああ、もちろんやったさ、でもそれはあいつの家庭を知るためにすぎない、あいつの家に泊まった時、ぐっと来たんだよ、あいつの母ちゃん。色っぽくて、おっぱいも、尻もでかくて」大輔は少年が夢を語るような表情で訴えた
「お前、マザコンとか?」孝之は引き気味に聞いた
「まあ、そうかもな」大輔があっさりと応えた
「それで、その母ちゃんもおまえとやりたがったわけ?」
「はじめは抵抗するそぶりを見せたがな、一度落ちたらむこうが積極的になったんだよ」
「それで、どうすれば妊娠までいくわけ?」
「さっきの女もいってたろ、俺のあれ、でかくて、ゴムすんのいやなんだ。だからゴムしないでやりまくったんだ。2か月くらい、毎日」
「毎日って、そりゃ妊娠するわな」
「ああ、美子も俺の子供を孕みたいっていってたよ」
「孕みたいって、娘と同い年くらいの大学生の子供をか?その母ちゃん何歳なんだ」
「44だったかな、女として愛されることに喜びを感じてたんだぜ。俺があいつの中ではじける瞬間が何よりも幸せだって口癖のように言ってたよ」大輔は意外と本気だったのかもしれないと孝之は思った。

これが17年前のふたりの出会いだった…


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