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転生編

新天地へ

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私は広島へ視察に向かった。
「もう大人なんだから1人で行けるわね」母の言葉で私は1人で広島に向かうこととなった。まずは候補となった住居の下見と、新たに編入する大学の見学を兼ねていた。

「ノンちゃん、みなみだよ~」東京駅に向かう新幹線でうとうとしてしまうと、女性好きの神様が現れた
「いよいよね、政治家を目指しての一歩、そうそう、新幹線では自由席に乗ってね。良い出会いがあるわよ」山田みなみはウインクしてあっという間に去った。

東京駅で広島行きの自由席切符を購入した。弁当と飲み物を購入してホームの自由席の位置で待っていると二組後ろに若い母親と五歳くらいの少女が手を繋いでいた。ホームに新幹線が到着して中に入ると私は前から5列目の2列シートの通路側に座った。親子は私の前に座った。

大阪を過ぎると客が半分ほどになっていた。その時前の席から母親の声がした。
「みいちゃん、大丈夫苦しいの?」少女の返事が聞こえない。静岡辺りでは元気な声がしていた。
「あの、すいません、車掌さんを呼んで来るまでこの子を見ていてもらえませんか?」母親は取り乱しながら私に話しかけた、その表情はキリリとして美しかった。初めて会ったときのみつきを思い出させた。
「わかりました、僕は医学生です、娘さんは何か持病がありますか」
「喘息なんです。薬を切らしてて」
「わかりました」私は急いで少女の隣に座った。五歳くらいの少女は冷房の効いた車内では薄着だった
「ちょっと苦しいのかなお兄ちゃんの服着て暖かくしよう」私はジャケットを脱いで少女を包んだ
「お兄ちゃんが抱っこしてあげようか」私は養女に出した娘たちの罪滅ぼしのつもりで少女に優しく語りかけた。すると少女は小さくうなずいた。
「おいで」私は少女を膝に乗せ、軽く前屈みにさせ、背中をさすってやった。
「すみません」母親が車掌を連れて戻ったのはそれから5分後だった
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