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日常の始まり
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翌朝、みつきは七時にマンションを出た。〇宮駅までは徒歩10分の好立地に聳え立つマンションのエントランスから颯爽と歩くみつき、新幹線で東京駅まで行き、霞が関まで徒歩で20分、彼女のウオーキングコースとなっている。学生時代ラーメン研究会で15キロ太ったと笑って言っていた彼女はその後、大きくなったバストをそのままキープするために、胸の上下の筋肉を鍛え上げたのだという。そして現在は見事なプロポーションをキープするために、通勤の時間を利用して往復1時間のウオーキングをいている。キャリア女性ならではの合理的な発想と行動力、まさに意識高い系の代表のような女性だ。
対する私は、少し腹が出てきたが、この週末はもとより、女性に披露することもあったので、極力歩くようにして、内臓脂肪を減らす努力をしていた。8時にマンションを出ると、愛車のワゴン車に乗って会社へと出勤した。今はコインパーキングに停めているが、そのうち月極めで借りようと考えながら運転していた。
「おはよう、そうだ、来週協和工業と親睦会があるんだが、君も来れるよな」朝一番に常務から肩を叩かれた
「そうですね、ご一緒させていただきます」協和工業は我が社の得意先で、営業部長の私が出席しないわけにはいかない。だが、そこには、何度となく身体を重ねてきた女性、裕子が勤務している。総務課長の裕子は35歳独身、いつも協和工業に挨拶に行くたびに最初に顔を会わせるのが彼女だった。
「君、あちらの女性陣に人気あるそうじゃないか、僕らは男性陣で二次会に行くから、女性陣接待してやってね」常務は肘で私の腕をこづいた。この時期の親睦会は常務たちはキャバクラへ、私は女性陣を連れてカラオケに向かい、大いに盛り上げるのだった。2年前に裕子とデュエットをしたのをきっかけに、数回食事をして男女の仲になった。婚期を逃した彼女の性欲はすさまじかった。月に一度一緒に泊まると、ほとんど一晩中求められた。
「ノンちゃん、もっと~」甘える仕草が意外と可愛いと思っていた。しかし、新たな生活がスタートした現在、彼女との関係は清算しなければならない。10時に協和工業に挨拶の電話を入れた。相手は製造部長だがあえて総務を通した。電話には思った通り裕子が出た。
「来週、恒例の親睦会があるのでよろしくお願いします」
「はい、その前に一度お会いしたいですね」周りに人がいないのか、裕子は誘ってきた。
「その件は、後で連絡しますね」私の周りにあたかも人がいるかのような態度で電話を製造部長に回してもらった。
夜、7時にみつきが帰って来ると二人で食事を準備した。平日は、総菜を温めるのが主で、お互いの負担を減らすことにしていた。
「後で、相談があるんだけど」
「何かしら~」みつきが楽しそうに私を見た
「その、食事が終わった後に」
「そう、それじゃ一緒にお風呂に入ってるとき、それともベッドで愛し合ってるとき?」みつきは楽しそうだ
「今で、いいかな」
「ふふ、善は急げでしょ」
「そうだね、あの私が付き合ってる女性知ってたよね」
「ええ、取引先の総務課長でしょ」
「そこまで知ってたの」
「ええ、だってノンちゃんって呼ばれてるってことを知ってるんだから大概のことは知ってますよ、ノン様」
「そうだよね、あの来週親睦会があってさ、金曜の夜なんだけど泊りがけになりそうなんだ、けど、その、いいかな」
「お仕事なんでしょ、親睦を深めるのも」みつきの笑顔の奥に微かジェラシーを感じた。
「そうだね、仕事だから」
「その代わり、ゴールデンウイークは二人で旅行しませんか」
「そうだね、いいね」
「桜を見るツアー、ご主人様が言ってたんです。おじさんたちと車で永遠たびに出て、北へ北へと桜を見に行ったことがあるって」
「そうか、そんなこと君に話してたんだ」
「ええ、東北三大桜まつり、わたしも憧れてたんです」
「でも、いまからだとホテルはとれないかな」ゴールデンウイークまではあと2週間だ。
「わたしたちはカップルなんですよ、ラ・ブ・ホに泊まりましょうよ。それに車中泊だって今ブームだし。一度やってみたかったんです車中泊、キャンプみたいでワクワクしますよね。でも女の子同士だとちょっと怖い気もするし、ノン様のような頼れる男性とだったら最高」みつきの瞳が夢を語る少女のように輝いていた
「そうだね、ふたりで旅をしよう」
「約束ですよ。裕子さんとは無理に手を切るようなことはしなくてもいいですから、わたしといるときはたっぷり可愛がってください」私はみつきの懐の広さに感謝した。
対する私は、少し腹が出てきたが、この週末はもとより、女性に披露することもあったので、極力歩くようにして、内臓脂肪を減らす努力をしていた。8時にマンションを出ると、愛車のワゴン車に乗って会社へと出勤した。今はコインパーキングに停めているが、そのうち月極めで借りようと考えながら運転していた。
「おはよう、そうだ、来週協和工業と親睦会があるんだが、君も来れるよな」朝一番に常務から肩を叩かれた
「そうですね、ご一緒させていただきます」協和工業は我が社の得意先で、営業部長の私が出席しないわけにはいかない。だが、そこには、何度となく身体を重ねてきた女性、裕子が勤務している。総務課長の裕子は35歳独身、いつも協和工業に挨拶に行くたびに最初に顔を会わせるのが彼女だった。
「君、あちらの女性陣に人気あるそうじゃないか、僕らは男性陣で二次会に行くから、女性陣接待してやってね」常務は肘で私の腕をこづいた。この時期の親睦会は常務たちはキャバクラへ、私は女性陣を連れてカラオケに向かい、大いに盛り上げるのだった。2年前に裕子とデュエットをしたのをきっかけに、数回食事をして男女の仲になった。婚期を逃した彼女の性欲はすさまじかった。月に一度一緒に泊まると、ほとんど一晩中求められた。
「ノンちゃん、もっと~」甘える仕草が意外と可愛いと思っていた。しかし、新たな生活がスタートした現在、彼女との関係は清算しなければならない。10時に協和工業に挨拶の電話を入れた。相手は製造部長だがあえて総務を通した。電話には思った通り裕子が出た。
「来週、恒例の親睦会があるのでよろしくお願いします」
「はい、その前に一度お会いしたいですね」周りに人がいないのか、裕子は誘ってきた。
「その件は、後で連絡しますね」私の周りにあたかも人がいるかのような態度で電話を製造部長に回してもらった。
夜、7時にみつきが帰って来ると二人で食事を準備した。平日は、総菜を温めるのが主で、お互いの負担を減らすことにしていた。
「後で、相談があるんだけど」
「何かしら~」みつきが楽しそうに私を見た
「その、食事が終わった後に」
「そう、それじゃ一緒にお風呂に入ってるとき、それともベッドで愛し合ってるとき?」みつきは楽しそうだ
「今で、いいかな」
「ふふ、善は急げでしょ」
「そうだね、あの私が付き合ってる女性知ってたよね」
「ええ、取引先の総務課長でしょ」
「そこまで知ってたの」
「ええ、だってノンちゃんって呼ばれてるってことを知ってるんだから大概のことは知ってますよ、ノン様」
「そうだよね、あの来週親睦会があってさ、金曜の夜なんだけど泊りがけになりそうなんだ、けど、その、いいかな」
「お仕事なんでしょ、親睦を深めるのも」みつきの笑顔の奥に微かジェラシーを感じた。
「そうだね、仕事だから」
「その代わり、ゴールデンウイークは二人で旅行しませんか」
「そうだね、いいね」
「桜を見るツアー、ご主人様が言ってたんです。おじさんたちと車で永遠たびに出て、北へ北へと桜を見に行ったことがあるって」
「そうか、そんなこと君に話してたんだ」
「ええ、東北三大桜まつり、わたしも憧れてたんです」
「でも、いまからだとホテルはとれないかな」ゴールデンウイークまではあと2週間だ。
「わたしたちはカップルなんですよ、ラ・ブ・ホに泊まりましょうよ。それに車中泊だって今ブームだし。一度やってみたかったんです車中泊、キャンプみたいでワクワクしますよね。でも女の子同士だとちょっと怖い気もするし、ノン様のような頼れる男性とだったら最高」みつきの瞳が夢を語る少女のように輝いていた
「そうだね、ふたりで旅をしよう」
「約束ですよ。裕子さんとは無理に手を切るようなことはしなくてもいいですから、わたしといるときはたっぷり可愛がってください」私はみつきの懐の広さに感謝した。
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