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お揃いの
しおりを挟む「…すごい似合ってる…」
「うん……」
2人の反応にエリザベスが大きな溜息を吐く。
「とんだポンコツね。アリア、2人で行きましょう。」
「えぇ!?喜んで?!」
エリザベスが私の手を引いて歩き出そうとする。
「ごめん、ごめん。素敵すぎて言葉が出なかったんだ。2人ともよく似合ってるよ。」
褒められて嬉しくなり、ついニコニコと頬を緩めてしまう。エリザベスが考えてくれたペアコーデ、本当に素敵です!!
私たちのことを褒めてくれた後、ルブラン殿下が、エリザベスの手を取り近づいた。何か囁いている……?
と思ったら、エリザベスの顔が一瞬で真っ赤に染まる。
かわいい!!いいな、私もそういうことされたい……
スティールの方を見ると相変わらず固まったまま、動かない。
さすがに少し心配になったので近づいて声をかける。
「大丈夫ですか?」
だんだん頬に赤が浮かんできたけど、口をパクパクしたまま声は出ていない。
熱でもあるのかな?……見蕩れてくれたのなら、嬉しいけど……
ふと、後ろから声をかけられたような気がして振り向こうとした_
突然、前からがっしりとした腕で腰をひかれ、スティールと体が密着する。
!?!?!!!?え?何事____
「似合ってる…すごくかわいい……」
スティールに抱きしめられて、視界は服でいっぱいだけど、耳に熱い吐息と共に囁かれた褒め言葉。
一瞬で顔に熱が集まり、今の私は茹でダコだ。
腰に回された腕の力が緩まったので、恐る恐る顔をあげてスティールを見る。
スティールはもう片方の腕で顔を隠してはいるけど、赤くなっているところが隠しきれていない。
……照れてる!!!恥ずかしいのを我慢して、わざわざ言ってくれたんだ…!嬉しい…
「ありがとうございます、スティール。」
幸せを噛み締めながら、私はスティールに笑顔を返した。
みんなで最初に行こうと決めたのは、文房具屋さん。
単純かもしれないけど、お揃いの文房具があれば勉強を頑張ることが出来る気がするから。
今日が休日ということもあって、街は人でごった返している。
星祭りの時みたいにはぐれないように気をつけないと……と思った傍から流されそうなんだけど!?
咄嗟に口から出たのは___
「ス、スティール…!」
がっしりとした手が流れそうになっている私の手を掴んで強く引っ張る。
「大丈夫か」
星祭りの時と同じように、スティールは私を見失わず、捕まえてくれた。
いつも、私のことを見ていてくれる。
「アリアははぐれやすいから、このまま行こう。」
そう言ってスティールは、私の手を握った。私の手を引きながら、人の波から庇うように進む大きな背中を見ながら、私は胸が引き絞られるような気持ちになった。
こういう、優しいところが……
繋いだ手から伝わる体温に心臓が高鳴るのを感じた。
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