星降る夜を貴方に

ごま

文字の大きさ
上 下
33 / 50

手掛かり

しおりを挟む


めちゃくちゃな難易度の試験に必死になって食らいつき、何とか回答の余白を無くすことに成功した。

時間ギリギリまで粘って、終鈴がなった瞬間ほっとして、長く息を吐いた。


あぁ~疲れた。疲労困憊。私、優勝ですねえぇ。本当に。

ふざけている場合では無いから本題に移るんだけど、確実に合格者の減少はこの試験内容の難度が原因。

でも、あの試験直前に出ていった4人が気になるんだよね。あと、先生も怪しい。他の部屋で受けている人々も同じ試験を受けているとすれば、大事にならないのはおかしい。
 全ての試験問題の不正を隠蔽することは難しいかもしれないけど、この私のいる教室だけで不正が行われているのなら。監督の先生による力で隠蔽出来る……?

 さっき出会った彼は、まだ残っているかな…?試験の状況を聞きたい。

先生が答案を回収し終わって解散の合図を出した瞬間に小走りで教室を出た。試験前に彼とすれ違った場所まで行って、姿を探す。

廊下には、人がごった返しているが彼の姿を見つけられない。…どうしよう、見つからなかったら誰に話を聞けばいいんだ??

ううむ……

「ねぇ、君どうしたの?」

「迷子になっちゃった感じ?」

キョロキョロしている私にニヤニヤしているがなんとも言えない表情の3人組が声をかけてきた。

まぁ、この面々でいいか。

なるべく頭が空っぽな人に見えるようにして警戒されないように!

「あのぉ、今回の試験がむずかしくてぇ。なんにも分からなかったんですぅ。だから、先生にぃなんとか出来ないか相談しよ~と思いまして~」

「えぇ、君今回の分からなかったの?普通に勉強していれば解けるものだからなぁ。今回のが解けないのなら、今後も諦めた方がいいよ。」

えぇ、意外とまともな返事でびっくりです。表情もまともになってるし、試験が終わった高揚感でニヤニヤしてたのかも。

やっぱり、うちのクラスだけ違う?それともこの人の基準が高いの?問題集がそもそも的外れなの?

「え!どこら辺が普通に勉強していれば解けるんですか!!」

「例えば、1時間目とかの算数の基本的な計算とかは応用も無かったから簡単だったじゃん?」

「国語も有名な話の読み取りだしなぁー」

「3時間目の歴史はすごい一般的な範囲だしねぇー」

はい、確定。はい、不正~。
そんなもん1ミリも出とらんがな。

「私の試験問題だけ難しかったかもしれないですよぉ?」

「いいや~そんなこの国あげての教育のための救済制度でそんなこと起こんないさ!」

「罰当たりだよな」

「俺ら3人とも違う教室で受けたけど、特に変なことは無かったぜ~」

はい、私の教室だけ~。列によって配る用紙を変えていた可能性もあるけど、この様子からすると低いかも……?

「そうですかぁ。ありがとうございました」

私はペコリと頭を下げてその場を後にしようとした。

「待って、1番端の…確かEグループだったかな?そこの監督の先生が、相談に乗ってくれるって聞いたから君も行ってみるといい。」

「ほんとですか!?行ってみます、本当にありがとうございます。」

手掛かりが見つかってテンションが上がった私は満面の笑みで3人にお礼を言い、私の試験会場でもあった教室に戻ることにした。

不正があった教室で担当の先生が相談をしているなんて怪しすぎる!!!!絶対に何かあるね。

個人情報漏洩防止のためと、差別を無くすために監督の先生や受験者には身分や名前は公開されていないけど、最初からバレないだろう、下級貴族や平民だから、バレても意見が通ることはないだろうも高を括って私たちに無体を働いた罰、しっかり受けてもらうわ……私がいたことが運の尽きね。覚悟しなさい。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

王太子の愚行

よーこ
恋愛
学園に入学してきたばかりの男爵令嬢がいる。 彼女は何人もの高位貴族子息たちを誑かし、手玉にとっているという。 婚約者を男爵令嬢に奪われた伯爵令嬢から相談を受けた公爵令嬢アリアンヌは、このまま放ってはおけないと自分の婚約者である王太子に男爵令嬢のことを相談することにした。 さて、男爵令嬢をどうするか。 王太子の判断は?

婚約者とその幼なじみの距離感の近さに慣れてしまっていましたが、婚約解消することになって本当に良かったです

珠宮さくら
恋愛
アナスターシャは婚約者とその幼なじみの距離感に何か言う気も失せてしまっていた。そんな二人によってアナスターシャの婚約が解消されることになったのだが……。 ※全4話。

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

今度こそ君に返信を~愛妻の置手紙は離縁状~

cyaru
恋愛
辺鄙な田舎にある食堂と宿屋で働くサンドラ。 そこに子爵一家がお客様としてやって来た。 「パンジーじゃないか!?」叫ぶ子爵一家。 彼らはサンドラ、もといパンジーの両親であり、実妹(カトレア)であり、元婚約者(アラン)だった。 婚約者であるアランをカトレアに奪われたパンジー。婚約者を入れ替えれば良いと安易な案を出す父のルド子爵。それぞれの家の体面と存続を考えて最善の策と家を出る事に決めたパンジーだったが、何故がカトレアの婚約者だったクレマンの家、ユゴース侯爵家はパンジーで良いと言う。 ユゴース家のクレマンは、カトレアに一目惚れをして婚約を申し込んできた男。どうなんだろうと思いつつも当主同士の署名があれば成立する結婚。 結婚はしたものの、肝心の夫であるクレマンが戦地から戻らない。本人だけでなく手紙の返事も届かない。そして戦が終わったと王都が歓喜に溢れる中、パンジーはキレた。 名前を捨て、テーブルに【離縁状】そして短文の置手紙を残し、ユゴース侯爵家を出て行ってしまったのだった。 遅きに失した感は否めないクレマンは軍の職を辞してパンジーを探す旅に出た。 そして再会する2人だったが・・・パンジーは一言「あなた、誰?」 そう。サンドラもといパンジーは記憶喪失?いやいや・・・そもそもクレマンに会った事がない?? そこから関係の再構築を試みるクレマン。果たして夫婦として元鞘になるのか?! ★例の如く恐ろしく省略しております。 ★タイトルに◆マークは過去です。 ★話の内容が合わない場合は【ブラウザバック】若しくは【そっ閉じ】お願いします。 ★10月13日投稿開始、完結は10月15日です。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションでご都合主義な異世界を舞台にした創作話です。登場人物、場所全て架空であり、時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。リアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。 ※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません。

夫が浮気をしたので、子供を連れて離婚し、農園を始める事にしました。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 10月29日「小説家になろう」日間異世界恋愛ランキング6位 11月2日「小説家になろう」週間異世界恋愛ランキング17位 11月4日「小説家になろう」月間異世界恋愛ランキング78位 11月4日「カクヨム」日間異世界恋愛ランキング71位 完結詐欺と言われても、このチャンスは生かしたいので、第2章を書きます

結婚して5年、初めて口を利きました

宮野 楓
恋愛
―――出会って、結婚して5年。一度も口を聞いたことがない。 ミリエルと旦那様であるロイスの政略結婚が他と違う点を挙げよ、と言えばこれに尽きるだろう。 その二人が5年の月日を経て邂逅するとき

断罪される一年前に時間を戻せたので、もう愛しません

天宮有
恋愛
侯爵令嬢の私ルリサは、元婚約者のゼノラス王子に断罪されて処刑が決まる。 私はゼノラスの命令を聞いていただけなのに、捨てられてしまったようだ。 処刑される前日、私は今まで試せなかった時間を戻す魔法を使う。 魔法は成功して一年前に戻ったから、私はゼノラスを許しません。

まさか、婚約者の心の声が聞こえるなんて……~婚約破棄はしない、絶対に~

紫宛
恋愛
子猫を膝の上に乗せ撫で、気が付いたら婚約者の心の声が聞こえていた……! (殿下は、妹が好きなのかしら?私とは、もうダメなのかしら?こんなに好きですのに……) 「え?」 (殿下、お慕いしておりますから……離れていかないで、お願いですわ) 悲しげな声で訴える声に顔を上げるが、彼女の顔は変わっておらず相変わらずの無表情。 だが、心の声は悲しげ。 神の悪戯か……理由は分からないが、この声を頼りに彼女との関係を修復しよう。 婚約破棄? するわけが無いだろう。 私を愛してくれる大事な女性が、ここにいるのだから。 ※素人作品ですが、皆様の暇潰しになれば幸いです※

処理中です...