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手掛かり
しおりを挟むめちゃくちゃな難易度の試験に必死になって食らいつき、何とか回答の余白を無くすことに成功した。
時間ギリギリまで粘って、終鈴がなった瞬間ほっとして、長く息を吐いた。
あぁ~疲れた。疲労困憊。私、優勝ですねえぇ。本当に。
ふざけている場合では無いから本題に移るんだけど、確実に合格者の減少はこの試験内容の難度が原因。
でも、あの試験直前に出ていった4人が気になるんだよね。あと、先生も怪しい。他の部屋で受けている人々も同じ試験を受けているとすれば、大事にならないのはおかしい。
全ての試験問題の不正を隠蔽することは難しいかもしれないけど、この私のいる教室だけで不正が行われているのなら。監督の先生による力で隠蔽出来る……?
さっき出会った彼は、まだ残っているかな…?試験の状況を聞きたい。
先生が答案を回収し終わって解散の合図を出した瞬間に小走りで教室を出た。試験前に彼とすれ違った場所まで行って、姿を探す。
廊下には、人がごった返しているが彼の姿を見つけられない。…どうしよう、見つからなかったら誰に話を聞けばいいんだ??
ううむ……
「ねぇ、君どうしたの?」
「迷子になっちゃった感じ?」
キョロキョロしている私にニヤニヤしているがなんとも言えない表情の3人組が声をかけてきた。
まぁ、この面々でいいか。
なるべく頭が空っぽな人に見えるようにして警戒されないように!
「あのぉ、今回の試験がむずかしくてぇ。なんにも分からなかったんですぅ。だから、先生にぃなんとか出来ないか相談しよ~と思いまして~」
「えぇ、君今回の分からなかったの?普通に勉強していれば解けるものだからなぁ。今回のが解けないのなら、今後も諦めた方がいいよ。」
えぇ、意外とまともな返事でびっくりです。表情もまともになってるし、試験が終わった高揚感でニヤニヤしてたのかも。
やっぱり、うちのクラスだけ違う?それともこの人の基準が高いの?問題集がそもそも的外れなの?
「え!どこら辺が普通に勉強していれば解けるんですか!!」
「例えば、1時間目とかの算数の基本的な計算とかは応用も無かったから簡単だったじゃん?」
「国語も有名な話の読み取りだしなぁー」
「3時間目の歴史はすごい一般的な範囲だしねぇー」
はい、確定。はい、不正~。
そんなもん1ミリも出とらんがな。
「私の試験問題だけ難しかったかもしれないですよぉ?」
「いいや~そんなこの国あげての教育のための救済制度でそんなこと起こんないさ!」
「罰当たりだよな」
「俺ら3人とも違う教室で受けたけど、特に変なことは無かったぜ~」
はい、私の教室だけ~。列によって配る用紙を変えていた可能性もあるけど、この様子からすると低いかも……?
「そうですかぁ。ありがとうございました」
私はペコリと頭を下げてその場を後にしようとした。
「待って、1番端の…確かEグループだったかな?そこの監督の先生が、相談に乗ってくれるって聞いたから君も行ってみるといい。」
「ほんとですか!?行ってみます、本当にありがとうございます。」
手掛かりが見つかってテンションが上がった私は満面の笑みで3人にお礼を言い、私の試験会場でもあった教室に戻ることにした。
不正があった教室で担当の先生が相談をしているなんて怪しすぎる!!!!絶対に何かあるね。
個人情報漏洩防止のためと、差別を無くすために監督の先生や受験者には身分や名前は公開されていないけど、最初からバレないだろう、下級貴族や平民だから、バレても意見が通ることはないだろうも高を括って私たちに無体を働いた罰、しっかり受けてもらうわ……私がいたことが運の尽きね。覚悟しなさい。
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