【完結】悪役令嬢の妹ですが幸せは来るのでしょうか?

まるねこ

文字の大きさ
上 下
52 / 52

その後の人達

しおりを挟む
ー ジョシュア ー

「ようやく見れるようになってきたじゃないか、坊ちゃん。」

「有難う。みんなのおかげだ」

 僕はソニアとの婚約解消から領地で生活をしてはや5年。あの時は、今も思い出す度に痛みが襲う。僕はトレニアを傷付けておいて結局トレニアに助けて貰った。

風の便りではトレニアは結婚して夫婦共に活躍しているらしい。トレニアの幸せを願うばかりだ。

 僕は領地で暮らすようになった当初、公爵子息が罰の為に送られてきたのだと領民達からそっぽを向かれていた。トレニアはずっと領民と共に過ごしていたと言う話を思い出し、僕も一から出直すため共に生活し、近隣の村々の手伝いから始める事にした。

馬鹿だと笑われていたが、最近ようやく領民達も僕を信じて付いて来てくれるようになってきた。

僕は彼女に今でも感謝している。




ー ルーカス ー

「ここはこの予算で頼む」

「かしこまりました」

「あぁ、セバス。義父上の具合はどうだ?」

「大旦那様は快方に向かわれております。今暫くは静養が必要かと。トレニア様には感謝ですな」

「あぁ。後で礼をしないとな」

 先日、義父上は流行り病に倒れ、生死の境を彷徨う程だった。義父上が病で倒れた時、助からないと覚悟してトレニアに連絡をしたのだが、トレニアとターナ君は現在開発中だという薬を持って現れた。

治験者という事でこまめなデータをとりながら薬の投与をしたおかげで義父上の病態は目に見えて良くなってきた。

「ルーカス、ちょっと良いかしら?この南の領地の収穫量と納税額が合っていないようだわ。セバスに確認させて。じゃあ、私は息子達とお茶をしてくるから」

 妻のグリシーヌは子供を産んだ後、急激に人として成長したような、落ち着いたような気がする。全く社交界へ姿を見せなくなって久しい。領主の仕事も気が向けば手伝ってくれるようになったのだ。

2人の息子、サイナスとローランはすくすくと育っている。特に長男のサイナスは偶に訪れるトレニアが大好きなようで自分で育てた薬草をトレニアに渡しに行くという名目で薬師棟へ遊びに行っているようだ。

「義父上、具合はどうですか?」

「あぁ、ルーカスか。私はもう大丈夫だ。トレニアのおかげだな」

「そうですね。義父上のデータを元に今度新薬発表があるかもしれませんよ?」

「そうだな。2人とも益々有名になるな」

「そうですね」




ー カイン ー

「貴方!ちょっと!またボーっとしているわよ」

そう妻から指摘されてしまう。

「あぁ、ごめんよ」

 僕はトレニアが去ってからすぐに王命により一つ下の公爵令嬢と結婚した。妻は気が強く、僕に群がる令嬢達を蹴散らして行った。不満は無いんだ。

だが、気の強い妻に少し疲れてしまっている。そのせいかトレニアと食事をした事や話が昨日の事のように思い浮かんでくる。きっとこれから肩身の狭い婿養子として過ごして行くだろう。





ー 第二王子ディラン ー

 私は現在太公となった。領地も贅沢をしなければ暮らしていける程度だ。

 結局、私が愛したエレノア・ナランは私を置いてさっさと幼馴染のロンサム子爵子息と結婚してしまった。

新たに王命で結婚した5つ下のマリーナはお穏やかで気立ての良い令嬢だ。私が過去にしでかしてしまった事でいつも気を使わせてしまっている。

エレノアほどの熱は無いが、生涯マリーナと仲睦まじく過ごせる自信はある。

「マリーナ、いつもありがとう」

「旦那様、私はいつまでも旦那様の事をお慕いしております」

【完】


ーーーーーーーーーーーーーーーー

最後の最後までお読み頂きありがとうございました⭐︎
皆様、良いお年をお迎えくださいね(´∀`)
しおりを挟む
感想 542

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(542件)

みゆーみも
2024.05.02 みゆーみも

初めまして♪今回のお話読んでいて
気づいたのですが、以前に1度よんだ話だけどおもしろいな〜と
思い感想をかいてます。
トレニアが辛い思いしたあとの幸せ
になって嬉しい楽しく読ませてもらいました。
又、完結までしか読んでなく番外編があり其方も楽しく読ませてもらいました。Ifストーリーでナザル様と恋人になって良かった。ナザルがお気に入りだったので
いつも楽し物語を書いてくださり
m(_ _)mございます。
これからも素敵な物語をご自分のペースで身体に気をつけながら書いてくださいね。
54歳のおばさんより

まるねこ
2024.05.02 まるねこ

みゆーみも様コメント有難う御座います。
こちらの話も再度読んで頂き有難う御座います。何度でも読み直していただけるような作品を頑張って書いていきます(*´ω`*)

解除
ルイ
2023.07.02 ルイ

他の作品でも有りましたが、攻略対象者?別エンド素敵です(ㅅˊᵕˋ*)♡ウットリ

まるねこ
2023.07.03 まるねこ

ルイ様コメントありがとうございます。
彼らもきっと喜んでいます(´∀`)
最後までお読みいただきありがとうございました!

解除
sarumaro
2023.04.23 sarumaro

面白かったー

まるねこ
2023.04.23 まるねこ

sarumaro様コメントありがとうございます。
嬉しいです!狂喜乱舞してしまいます。
最後までお読みいただきありがとうございました!

解除

あなたにおすすめの小説

なんで私だけ我慢しなくちゃならないわけ?

ワールド
恋愛
私、フォン・クラインハートは、由緒正しき家柄に生まれ、常に家族の期待に応えるべく振る舞ってまいりましたわ。恋愛、趣味、さらには私の将来に至るまで、すべては家名と伝統のため。しかし、これ以上、我慢するのは終わりにしようと決意いたしましたわ。 だってなんで私だけ我慢しなくちゃいけないと思ったんですもの。 これからは好き勝手やらせてもらいますわ。

【完結済】どうして無能な私を愛してくれるの?~双子の妹に全て劣り、婚約者を奪われた男爵令嬢は、侯爵子息様に溺愛される~

ゆうき
恋愛
優秀な双子の妹の足元にも及ばない男爵令嬢のアメリアは、屋敷ではいない者として扱われ、話しかけてくる数少ない人間である妹には馬鹿にされ、母には早く出て行けと怒鳴られ、学園ではいじめられて生活していた。 長年に渡って酷い仕打ちを受けていたアメリアには、侯爵子息の婚約者がいたが、妹に奪われて婚約破棄をされてしまい、一人ぼっちになってしまっていた。 心が冷え切ったアメリアは、今の生活を受け入れてしまっていた。 そんな彼女には魔法薬師になりたいという目標があり、虐げられながらも勉強を頑張る毎日を送っていた。 そんな彼女のクラスに、一人の侯爵子息が転校してきた。 レオと名乗った男子生徒は、何故かアメリアを気にかけて、アメリアに積極的に話しかけてくるようになった。 毎日のように話しかけられるようになるアメリア。その溺愛っぷりにアメリアは戸惑い、少々困っていたが、段々と自分で気づかないうちに、彼の優しさに惹かれていく。 レオと一緒にいるようになり、次第に打ち解けて心を許すアメリアは、レオと親密な関係になっていくが、アメリアを馬鹿にしている妹と、その友人がそれを許すはずもなく―― これは男爵令嬢であるアメリアが、とある秘密を抱える侯爵子息と幸せになるまでの物語。 ※こちらの作品はなろう様にも投稿しております!3/8に女性ホットランキング二位になりました。読んでくださった方々、ありがとうございます!

毒家族から逃亡、のち側妃

チャイムン
恋愛
四歳下の妹ばかり可愛がる両親に「あなたにかけるお金はないから働きなさい」 十二歳で告げられたベルナデットは、自立と家族からの脱却を夢見る。 まずは王立学院に奨学生として入学して、文官を目指す。 夢は自分で叶えなきゃ。 ところが妹への縁談話がきっかけで、バシュロ第一王子が動き出す。

私のことを愛していなかった貴方へ

矢野りと
恋愛
婚約者の心には愛する女性がいた。 でも貴族の婚姻とは家と家を繋ぐのが目的だからそれも仕方がないことだと承知して婚姻を結んだ。私だって彼を愛して婚姻を結んだ訳ではないのだから。 でも穏やかな結婚生活が私と彼の間に愛を芽生えさせ、いつしか永遠の愛を誓うようになる。 だがそんな幸せな生活は突然終わりを告げてしまう。 夫のかつての想い人が現れてから私は彼の本心を知ってしまい…。 *設定はゆるいです。

王妃は涙を流さない〜ただあなたを守りたかっただけでした〜

矢野りと
恋愛
理不尽な理由を掲げて大国に攻め入った母国は、数カ月後には敗戦国となった。 王政を廃するか、それとも王妃を人質として差し出すかと大国は選択を迫ってくる。 『…本当にすまない、ジュンリヤ』 『謝らないで、覚悟はできています』 敗戦後、王位を継いだばかりの夫には私を守るだけの力はなかった。 ――たった三年間の別れ…。 三年後に帰国した私を待っていたのは国王である夫の変わらない眼差し。……とその隣で微笑む側妃だった。 『王妃様、シャンナアンナと申します』 もう私の居場所はなくなっていた…。 ※設定はゆるいです。

喋ることができなくなった行き遅れ令嬢ですが、幸せです。

加藤ラスク
恋愛
セシル = マクラグレンは昔とある事件のせいで喋ることができなくなっていた。今は王室内事務局で働いており、真面目で誠実だと評判だ。しかし後輩のラーラからは、行き遅れ令嬢などと嫌味を言われる日々。 そんなセシルの密かな喜びは、今大人気のイケメン騎士団長クレイグ = エヴェレストに会えること。クレイグはなぜか毎日事務局に顔を出し、要件がある時は必ずセシルを指名していた。そんなある日、重要な書類が紛失する事件が起きて……

【完結】冤罪で殺された王太子の婚約者は100年後に生まれ変わりました。今世では愛し愛される相手を見つけたいと思っています。

金峯蓮華
恋愛
どうやら私は階段から突き落とされ落下する間に前世の記憶を思い出していたらしい。 前世は冤罪を着せられて殺害されたのだった。それにしても酷い。その後あの国はどうなったのだろう? 私の願い通り滅びたのだろうか? 前世で冤罪を着せられ殺害された王太子の婚約者だった令嬢が生まれ変わった今世で愛し愛される相手とめぐりあい幸せになるお話。 緩い世界観の緩いお話しです。 ご都合主義です。 *タイトル変更しました。すみません。

婚約破棄ですか。お好きにどうぞ

神崎葵
恋愛
シェリル・アンダーソンは侯爵家の一人娘として育った。だが十歳のある日、病弱だった母が息を引き取り――その一年後、父親が新しい妻と、そしてシェリルと一歳しか違わない娘を家に連れてきた。 これまで苦労させたから、と継母と妹を甘やかす父。これまで贅沢してきたのでしょう、とシェリルのものを妹に与える継母。あれが欲しいこれが欲しい、と我侭ばかりの妹。 シェリルが十六を迎える頃には、自分の訴えが通らないことに慣れ切ってしまっていた。 そうしたある日、婚約者である公爵令息サイラスが婚約を破棄したいとシェリルに訴えた。 シェリルの頭に浮かんだのは、数日前に見た――二人で歩く妹とサイラスの姿。 またか、と思ったシェリルはサイラスの訴えに応じることにした。 ――はずなのに、何故かそれ以来サイラスがよく絡んでくるようになった。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。