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 1人での寮生活がまた始まった。しんと静まり返った部屋は私を落ち込ませるのに充分だったけれど、静かな夜をぬいぐるみを抱えてなんとか越す事が出来た。 

「トレニア嬢おはよう」

長い休みを終えてクラスのみんなが元気に登校してくる。私も元気なフリをしてみんなに挨拶をしていると、他所よそしく浮かない顔をしたジョシュア様が私を見るなり話しかけてきた。

「トレニア嬢おはよう。この間の婚約の話なんだけど、みんなに話すのは少し待っていて貰えるかな?」

「… 分かりました」

私は俯きそう答えるしかない。

 それからの学院生活はジョシュア様は私に話しかけてくる事も無くなり、距離を置かれるようになって行った。

友人達は不思議がっていたけれど、私は何も言わなかったし、言えなかった。まだどこかジョシュア様を信じていたい気持ちがあったから。

でもね、分かってはいるの。

私に隠れてソニアと会っている事を。

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