婚約破棄されました。

まるねこ

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オリバー エンド

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オリバールートは5からの話に沿って入ります。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 リーヴァイ様と中庭でお茶をしていると、セオ様とレオ様がいらっしゃいましたわ。後にはオリバー様がそっと控えていますわ。

オリバー様は執事の制服が良く似合っている方なのよね。皆に混ざって会話する訳ではないけれど、会話が進むように丁度良いタイミングでお茶を淹れてくれたり、話題を提供してくれる。不思議な人だわ。

そして子爵の嫡男だというのに執事科を専攻しているのも気になりますわ。ベイカー子爵と言えば、爵位は低いですが、財力は貴族一とも言われるほどの貴族であり、立ち上げる事業は全て成功するとまで言われるやり手なのだとか。

オリバー様は何故執事科専攻なのでしょうか。

 今日はリーヴァイ様の日だそうですわ。リーヴァイ様が私に近づいてくると、オリバー様はそっとお茶を変えてくれたり、話しかけてくれ、距離を取ってくれました。オリバー様の気遣いが嬉しいですわ。

昼食後、リーヴァイ様はクラスの私の席までエスコートしてくださいましたわ。リーヴァイ様が去ると、オリバー様は私に、

「ルナ様、新しくハンカチが必要ではないですか?刺繍をなさるのであれば、放課後、街に一緒に向かいましょうか。」

オリバー様は私の指を見ていたのかしら。刺繍は淑女の嗜みではありますが。オリバー様なら素敵な物を選んでくれる予感がします。

「オリバー様、街に出てみたいですわ。連れて行って下さい。」

「かしこまりました。ではまた放課後にお迎えに上がります。」

そう言うと一礼をし、彼は自分の席へと戻り、スケジュールを確認していましたわ。執事と街に出かけるのは良くある事ですが、オリバー様は子爵子息。

少しドキドキしてしまいますわ。

 放課後になると、オリバー様は私をエスコートして下さり、馬車に乗りました。

街へ移動する中、隣に座っているオリバー様をふと見ると、オリバー様が眼鏡を外し、首元のボタンを外しているわ。

今まで気付かずにいましたが、色気が凄いです。

「オリバー様?」

「あぁ。学校も終わったから執事で居る必要は無いしな。どうしたルナ。見惚れたか?」

「そ、そんな事はあ、ありませんわっ。」

恥ずかしさで顔を横に向ける。けれど、オリバー様の顔が近づいて、指で顎をオリバー様の方に向けられたわ。

「それは残念だ。俺に惚れて欲しいのだが。」

こっ、これはもしや世の女性が憧れる顎クイという代物では。

「ルナは正直だな。顔に出ているぞ。淑女失格だ。」

オリバー様はフッと微笑いながら手を離す。

「さぁ、着いたよ。ルナ、おいで。」

オリバー様はさっと手を私へと差し出し、馬車から降ろしてくれましたわ。そのまま流れるような手付きで腰を抱き、エスコートして下さいました。

ですが、私は家族以外の男性とこのように密着する事は無かったので、密着するエスコートは恥ずかしいですわ。普段のエスコートで、と抗議をする為にオリバー様を見上げると、オリバー様の顔が近づいて

「ルナ。可愛いな。早く堕ちてこい。」

あぁ。恥ずかしさで赤面になりましたわ。

しょ、商会までの距離はあと少し、あぁ。後少しの距離が何倍も遠くに感じますわ。私の心臓は保ってくれるかしら。

 商会に着くと、オリバー様は色々な商品を手に取り、じっくりみていました。

私は激しく高鳴った心臓や動揺を抑えつつ、刺繍糸やハンカチを見て周りました。彩りどりの刺繍糸に私は心躍らせ、ハンカチと刺繍糸を買いました。

「ルナ。買えたか?」

「はい。ありがとうございます。」

 オリバー様のエスコートで馬車に乗り、そのまま帰宅すると思いきや、馬車に乗らずにエスコートで向かった先は宝飾店。

「御坊ちゃま、今日はどうなさいましたか。」

「彼女に合う物を探しにきた。どれが良いか。」

えっと、ここはオリバー様が経営するお店なのですね。よく見ると店名にベイカー宝飾店と書かれていましたわ。

 私達は店内ではなく、中に入った中庭のテラス席へ案内され、お茶をしながら装飾品を見ていた。

「ルナ、これなら学校へ毎日着けて行けるな。」

そう言うと、オリバー様は流れるような仕草で私の首元にキスをしましたわ。

ふ、不意打ちですわっ。

私が驚き、動けずにいる間にオリバー様は私に着けて下さったネックレスは小さく、シンプルな物だがアイスブルーの宝石があしらってあり、なんて素敵なデザインなのでしょう。

「オリバー様、このネックレス素敵ですね。とても気に入りましたわ。」

「俺がデザインした物だが、気に入ったか。良かった。それは俺からのプレゼントだ。毎日、そのネックレスを着けて登校するようにな。ルナ。いつでも俺はお前を…。」

「ありがとうございます。毎日着けて行きますわ。」

最後は何て言ったのかしら。オリバー様はまた私の腰に手を添え、エスコートで馬車まで送って下さいましたわ。邸に帰ってからテラに着替えを手伝って貰っていると、

「お嬢様、そのネックレスはどうされたのですか?」

「これはオリバー様に頂いたの。毎日学校に着けてくるようにって。」

「オリバー・ベイカー子爵子息ですか。オリバー様の瞳の色を着けさせるあたり、俺の物だって言っているものじゃないですか。抜け目ないですね。」

「確かにオリバー様の瞳の色だけれど、たまたまじゃないかしら?」

テラが私の言葉にあーはいはい。と軽く流されてしまったわ。えー。そんな事はないわよね?疑問を持ちながらも今日買ったハンカチにオリバー様の名前とスノードロップの刺繍をしましたわ。


 次の日、学校へ登校するとセオ様がいた。今日はセオ様の日だそうですわ。セオ様とお昼を一緒にしていると、オリバー様はいつもと変わりなく、かっちりと執事服を着こなし、話し方もいつもに戻っていましたわ。

昨日のオリバー様は幻だったのでしょうか。その日はセオ様とお出かけをする事になった。

 オリバー様は食後にお茶とクッキーを用意してくれたけれど、食堂にはクッキーなんて置いていなかったわよね?ふと疑問に思っていると、オリバー様は私にそっと近づいて耳で囁いた。

「今日もルナは愛おしく、俺は狂いそうだ。俺がルナの為に焼いてきたんだ。ルナの喜ぶ顔を見せてくれ。」

!!!

セオ様は不思議そうに私を見つめていると、オリバー様は真面目な顔をして、

「ルナ様がお茶とクッキーを食べて食堂の物と違うと気にされていたので、私が持ち込みましたとお話しました。」

「そうか。僕は全然気づいて無かったよ。」

セオ様は全然気にしていない様子でしたわ。セオ様に分からないように必死に表情を隠す。危ないですわ。全身の血液が沸騰しそうでしたわ。

 オリバー様の声。耳元で囁くように話すのは危険だわ。平常心よ。平常心。

オリバー様は流石にセオ様と私と一緒に買い物には行かないわよね。休み時間にオリバー様の席へ向かう。

「ルナ様、如何されましたか?」

「オリバー様、この間はありがとうございました。ほんの少しですが、お返しを、と思いまして。受け取って下さい。」

「ありがとうございます。大切に使わせていただきます。」

オリバー様は礼儀正しくお辞儀をしていた。放課後はセオ様と街に出かける。いつの間にか馬車の手配をしてくれていたわ。

オリバー様凄い。

 邸に帰り、今日の出来事を思い返してみると、嬉しいけれど恥ずかしくて悶絶し、ベッドで暴れる自分がいましたわ。横にいたテラは呆れてましたが。


 次の日、私はレオ様と食堂のテラス側の席で食事をしていると、

ーバシャー

横から水がかかり、振り向くと、そこにはララ・ヒル男爵令嬢の姿があった。

「ははっ!良い格好ね!!あんたのせいでおねぇちゃんは平民になったのよ!ウィル様だって勘当されて今、平民として暮らしているんだから。あんたなんか居なくなればいいのよ!」

「オリバー。」

レオ様が呼ぶと、どこからかオリバー様が来ました。私を見たオリバー様が珍しく顰めっ面でララ・ヒル男爵令嬢を取り押さえました。

「このまま守衛に引き渡せ。ヒル男爵へはブラウン公爵とモリス侯爵から正式に抗議させてもらう。」

「オリバー様。私なら拭けば大丈夫ですわ。」

ヒル男爵令嬢を取り押さえているオリバー様に言ってみる。が、そのままオリバー様は一礼し、ヒル男爵令嬢を連れて食堂を出て行ってしまいました。

 オリバー様は私の後にずっと控えていたのでしょうか?鮮やかに男爵令嬢を取り押さえる姿はとても素敵でした。

帰宅後、今日の出来事を父に話をしました。

明日、オリバー様にきちんとお礼を言わないといけないわ。


 翌日、登校するとクラスの皆様は心配してくれましたわ。皆様にお礼を言いつつ、オリバー様の席へ移動。

「オリバー様。昨日はありがとうございました。オリバー様のおかげで怪我をする事なく、無事学校にも来れましたわ。是非、お礼をしたいのですが。」

「心配していました。良かったです。・・・お礼、お礼ですか。では、一つ。ルナ様の屋敷の庭園は国内一見事だと有名です。私、ルナ様と庭園を散歩し、中庭でお茶をしたいです。」

「私の屋敷ですか。構いませんわ。では、週末お待ちしておりますね。」



 週末は朝からテラが張り切って私の準備をしていました。

「テラ、変じゃない?」

「お嬢様。ばっちりです。お嬢様を見た瞬間、心をがっちり掴まれて、オリバー様は動けなくなります。ふふっ。キスの嵐になるかも知れませんね。」

「ふふっ。テラったら。言い過ぎよ。」

オリバー様の馬車が到着しましたわ。お迎えに行くと、オリバー様は普段着で髪を降ろしていました。執事服とはまた趣きが違い色気が凄いです。オリバー様は私と目が合うと、じっと見つめたまま微動だにせず。

私はおかしな格好だったかしら?

「オリバー様?」

声を掛けると、

「天使が舞い降り、私の目の前に現れた。国一番と言われる庭へ私を連れて行ってくれませんか?」

「オリバー様ったら。ふふっ。こちらですわ。」

 テラが案内し、私達は後ろから付いていくのだけれど、オリバー様は私に密着したままだわ。

「ルナが俺の為に刺繍をしてくれたハンカチを毎日、家族や侍従達に自慢してる。」

耳元で囁くオリバー様。低い美声は犯罪です。痺れるような、溶けてしまいたくなる感じ。身体中に電気が走り、今にも倒れそうですわ。

「オ、オリバー様。少し離れて下さい。わ、私、身が持ちませんわ。」

「そうだな。倒れても俺が介抱してやるが、まぁ、時間はまだ早いしな。」

 腰から手が離れたと思うと、オリバー様は恋人繋ぎで歩き始めました。オリバー様の手は大きく、温かい。

ドキドキしますわ。

中庭を散策し、ガゼボでテラがお茶を用意してくれていましたわ。お茶を飲んでいると、オリバー様は突然、私の前に跪き、

「ルナ。ずっとずっと、前から、誰よりもお前が好きだった。俺は子爵だから公爵家のお前とは釣り合わず、執事として接してきた。

レオンやセオ、リーヴァイが羨ましく、悔しいとずっと感じていた。

だが、今回、陞爵が決まった。俺はお前を娶りたい。貴族一裕福な俺は、ルナをこの国一番の幸せ者にすると誓う。今はまだ伯爵への陞爵だが、公爵まで登るつもりだ。

ずっとルナの笑顔を大切にしたい。俺と一緒になって欲しい。」

オリバー様はプロポーズの言葉と共に指輪を私の目の前に差し出した。
私は、

「はい。」

震えながら指輪を受け取り、薬指にはめる。オリバー様は指輪をはめた途端に私をギュっと抱きしめてキスをしました。

「ルナ。俺のルナ。やっと俺の元に堕ちてきた。もう離さない。ずっとずっとだ。」

 オリバー様と私はそのままお父様の執務室へ向かいました。何か言われるかと心配しましたが、両手を挙げ喜んでくれました。

むしろベイカー子爵と繋がりができ、政略的にも上手く収まってくれたと後日、父は語っていましたわ。


 婚約が決まり、クラスの方々に話をすると、皆、祝福してくれました。セオ様達はオリバーにやられた!ダークホースだ!なんて言っていましたが、祝福してくれましたわ。

 それからはオリバー様は髪を降ろし、授業以外は素の言葉遣いになりましたわ。けれど、その色気にやられた女生徒から追いかけられる羽目になり、学校では物理的な意味でも、私にピタリと寄り添い、側にいましたわ。


結婚した今、オリバー様は一緒に商会とのやり取りや領地経営、新商品の開発を忙しく行っています。

「オリバー、この間、侯爵への陞爵候補に我が家の名前が上がっていたらしいわ。」

「それは嬉しい事だな。我が家も家族が増えるし、良い事尽くめだな。」

生まれてくる子は男、女どちらかしら?2人で今か今かと楽しみに待っている。

私、今世界で一番幸せですわ。


【オリバー エンド 完】

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長文の上、稚拙な文章を読んで頂きありがとうございました!
リクエストありがとうございました⭐︎

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