婚約破棄されました。

まるねこ

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 なんとか初日を終えましたわ。まだ自己紹介と、オリエンテーションしかしていないのに。ぐったりしながら馬車に乗り込み、帰宅する。

自室でテラにお茶を淹れてもらい飲んでいると、ノックすると共にお兄様が立っていた。

「ルナ、学院はどうだった?」

「アーロお兄様。まだ分かりませんわ。ただ、クラスで女子は私一人だけでしたので寂しいです。」

「ルナ。ルナは魅力的だから男子には気をつけるんだよ?」

「ふふっ、お兄様ったら。私が魅力的ではなくて公爵の肩書に魅力があるのではないでしょうか?」

 お兄様と話をした後、疲れてベッドで少し横になっている間にいつの間にか寝てしまっていましたわ。外を見ると少し明るくなっている。もう!テラったら起こしてくれても良かったのに。

 ぐっすり寝たおかげでスッキリと目覚め、頑張って一人で入浴。テラのお世話にならずに制服に着替え、食堂へ向かう。食事は基本的に家族皆で摂るのだが、昨日は夕食になっても起きてこない私を心配していたみたい。お父様方ごめんなさい。

さて、学院の準備も終えたので馬車に乗り、登校する。

「ルナ嬢、おはよう。」

クラスに入ると皆が声を掛けてくれる。女子が一人だけという事もあり、色々気を遣ってもらえるのは有り難いですわ。

たまに騎士科の方がクラスの入り口から席までエスコートして下さったり、皆本当に優しくて良い雰囲気のクラスだと思います。

 クラスでは文官科のセオ・クラーク伯爵子息や薬学科のレオ・モリス侯爵子息と行動やお昼を一緒にする事が多い。

セオ・クラーク伯爵子息様とレオ・モリス侯爵子息様は二人とも王宮での勤務を目指しているだけあって話も合い、楽しく過ごせていますわ。たまにリーヴァイ・フォレスト公爵子息や執事科のオリバー・ベイカー子爵子息もご一緒になりますわ。

 オリバー・ベイカー子爵子息様は執事科だけあって上手にお茶を淹れてくれます。皆様とは仲良くさせていただいておりますが、リーヴァイ・フォレスト公爵子息様がいらっしゃると他クラスの御令嬢の方々が周りを取り囲み大変な事に毎回なっています。

見目麗しいリーヴァイ・フォレスト公爵子息様やセオ・クラーク伯爵子息様が毎回笑顔で御令嬢方を躱す姿には感動すら覚えますわ。

レオ・モリス侯爵子息様は無口なせいか、追いかける令嬢方も静かで、レオ・モリス侯爵子息様と少し距離を置きつつ、ついて歩く感じです。レオ・モリス侯爵子息様は全く令嬢方を気にしていない様子ですわ。



 そんなある日、いつものように皆様とテラスでお昼ご飯をいただいていると、一人の御令嬢がこちらの方へ来ました。

「ルナ様はいい御身分ですね!いつも、いつも男を侍らせて!そんなのだから婚約者に捨てられるんですよ!」

突然の事で皆さん呆気に取られております。

「まず、貴方のお名前をお聞きしても?」

「ララ・ヒルですわ。」

あの方の家族でしたか。

「えっと、ヒル男爵令嬢様。まず、私は貴方とは初対面ですし、私の名前を呼ぶ事を許可した覚えはありませんわ。

次に、いい御身分ねと言われましても、確かに公爵という身分ですので、どうお答えすれば良いのか分かりません。

そして男を侍らせて見えるとの事ですが、クラスで女子は私一人だけなのでこればかりは仕方ないのですが…。

私は女子が増えてほしいと思っておりますわ。婚約者の件に関しても、貴方のお姉様が、婚約者のいる方と逢引した上、私の誕生日パーティで呼ばれていないのに参加し、パーティを潰しましたよね?

私、とても辛い思いをしたのですが。」

「うっさいわね!あんたのせいなのよ!あんたばっかりモテて!」

ヒル男爵令嬢はキーキーと騒ぎ始めました。もしや、これがヒステリックと呼ばれるものでしょうか?ヒル男爵令嬢の怒りをどうしようかと思っていると、

「ははっ、ルナ嬢はやっぱり面白いね。ヒル男爵令嬢。キミは姉妹揃って頭だけでなく、シモも緩いのか。」

セオ・クラーク伯爵子息が笑っています。その笑いにつられたのか周りの方も失笑している様子。

失敗しましたわ。黙って上手く躱せば良かったですね。
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