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12 執務室
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「ダミアン叔父さん、お久しぶりです。フルム・ウェルム、只今到着致しました。これから叔父さんの下でしっかりと学ばせていただきます。宜しくお願いします」
「よく来てくれたフルム君。待っていたよ」
執務室にはダミアン叔父さんとシーラ叔母さんと執事がソファに座ってお茶をしている。ずっとダミアン叔父さんの下で貿易を学びたいと思っていた事がようやく叶って俺は嬉しくて少し浮かれていたんだ。
ふと気づいた。叔父さん達は快く俺を受け入れてくれているが、どことなく緊張した面持ちとなっていた事を。
「叔父さん、どうしたのですか?何か心配事でも?」
「えぇ、少しね。フルム君、母から手紙を預かっていない?」
俺の疑問にシーラ叔母さんが代わりに答えた。
「預かっています。どうぞ」
俺は手紙を差し出すと、ダミアン叔父さんは目を皿にして手紙を開けて読んでいる。そして一通り読み終わったらしく、ふぅと重い息を一つ吐き、頭を抱えながらその手紙をシーラ叔母さんへと渡している。
シーラ叔母さんも口に手を当てて先ほどの笑顔は一瞬にして無くなり、血の気が引いたように青い顔をしている。お婆様からの手紙に二人はまさか、まさかと動揺している様子。
何が書いてあったのだろうか。
「お婆様は何と書いてあるのか聞いても?」
本来なら口を出すべき事ではないのだが、叔父さん達のただ事ではない様子が気になり、聞いてみた。
「あぁ、フルム君。君には話しておかなければいけないな。今から話す事は誰にも話してはいけないし、記録にも残さないでくれ」
「わかりました」
俺は頷く。
「君は『時戻り』という話を知っているかい?」
ダミアン叔父さんは真剣な顔で聞いてきた。
「『時戻り』ですか?あぁ、随分と昔に聞いた事があります。おとぎ話ですよね確か」
俺は予想外の言葉で呆気に取られながらも記憶を手繰り寄せながら話をする。
「確か建国してから三代目でしたっけ。当時の王様の話では国が他国に攻められて滅亡したと。そして『時戻り』をして攻められる前に準備をして国を守る事が出来たという話ですよね?あれがどうかしたのですか?」
俺が話をするとダミアン叔父さんは不思議そうな顔をしている。この国にはそんなおとぎ話はないのだろうか?
「フルム君。ダミアンが知らないのも無理は無いわ。だってそのおとぎ話は王家の血筋に連なる人の家系でしか聞かされていないもの。私もすっかり忘れていたわ。母から幼い頃に聞いた事があるくらい。興味がなかったから……。まさか娘に起こるなんて思ってもみなかったわ」
「その『時戻り』の話がどうしたのですか?」
「実はな、モアがその『時戻り』をしたようなんだ」
「えっ……?」
モアが時戻りをした?まさか、おとぎ話だと思っていた事は本当に起こる事なのか?俺はダミアン叔父さんの話が信じられないでいた。
「モアは十五歳で結婚し、二十一歳で自殺したようなんだ」
「……自殺?」
聞き返した不穏な言葉にシーラ叔母さんの顔色が悪い事に気づく。
「あぁ。君の祖母、つまり王太后クラウディア様に連絡を取ったのもそれが理由だ」
「お婆様が動くほどの事柄、なのですか?」
「確証はまだ得ていないが、モアの話ではクリストフェッル伯爵家はラオワーダ国の影だ。二年後にある王宮主催のお茶会でモアは評判となり、リーヌス国王に目を付けられる。そして我が家が所有する商船を沈没させられ借金を背負わされるそうだ」
「……そこで借金を肩代わりする代わりにモアを嫁がせるのですね」
「……そうだ」
俺はその内容に額に手を当てていた。想像を遥かに超えていたんだ。
「そのクリストフェッル家が影であるのならばモアは……」
俺は想像し、言葉にする事を止めた。
「モアは夫人に跡継ぎを産んだ後、娼婦のように身体を使い、情報を取ってくるように指示されていたのだと言っていた。逃げ出さないように監視され、我が家と連絡を取ることも叶わなかったそうだ。
知らぬ相手に身体を許したくないと抵抗したモアは長期間眠らされ、気づけば子供を産んでいたようだ。目覚めた時にアルロア夫人が話していた内容は寝ている時に『紳士クラブ』という場所で不特定多数に抱かれていた。もしかしたら陛下の子かもしれないものが腹の中にいた。
様々な事を聞いてこれから自分や我が子へ降りかかる不幸を遠ざけるために自殺したと」
……なんという事だ。ありえない。許される事ではない。
俺は憤怒に駆られる。サルドア王家に連なる一族が貶められるなんて許されない。
「叔父さん!モアがそんな目に遭うなんて許せない!」
「あぁ。だから君を呼んだんだ。クラウディア様からの手紙には『時戻り』する者は過去に何人か居たらしい。詳しくは分かっていないらしいが、殺されたりすると時を戻るのだとか」
「モアは自殺したのですよね?」
「そこなんだ。きっと『時戻り』をするのは死に方ではないのだろうと思う。それに死んだ時に身体に触れていた者も一緒に時戻りする場合があるらしいと書いてある」
時を戻したいと強く願った、のか?触れている者はその思念に引きずられるのか?
叔父さんから聞かされた話は考えさせられる事が多くて次の言葉が出てこない。ただ、将来起こり得る事態に漠然とだが今、動かないといけない事だけは分かった。
「シーラ叔母さん、この事はエリアス陛下に伝えましたか?」
「まだ伝えていないわ。モアが本当に『時戻り』をしていると思って居なかったから。ただ、将来私達がラオワーダ国に陥れられる可能性があるのなら国に帰る事が可能か母に連絡をしたの。まさか、本当に『時戻り』があるなんて」
「フルム君を呼んだ理由なんだが、君が貿易の勉強をするためとモアの家庭教師にこの国に来た。それが表向きの理由だ」
「……はい」
「もちろん勉強もきっちりしてもらうが、モアの容姿を外部に漏らさないためにこの国の教師を雇う事を止めた。君の案内で一緒に隣国を訪れるという名目を作る。それと現在ラオワーダ国を中心に商売をしているが、徐々にサルドア国に資産を移し、居を構えようと思っているんだ」
「俺は可愛いモアも守りたい。叔父さんに付いていきます」
「有難う。来て早々に重い話をしてすまんな。部屋を用意してあるからゆっくり過ごしてくれ」
「分かりました」
「よく来てくれたフルム君。待っていたよ」
執務室にはダミアン叔父さんとシーラ叔母さんと執事がソファに座ってお茶をしている。ずっとダミアン叔父さんの下で貿易を学びたいと思っていた事がようやく叶って俺は嬉しくて少し浮かれていたんだ。
ふと気づいた。叔父さん達は快く俺を受け入れてくれているが、どことなく緊張した面持ちとなっていた事を。
「叔父さん、どうしたのですか?何か心配事でも?」
「えぇ、少しね。フルム君、母から手紙を預かっていない?」
俺の疑問にシーラ叔母さんが代わりに答えた。
「預かっています。どうぞ」
俺は手紙を差し出すと、ダミアン叔父さんは目を皿にして手紙を開けて読んでいる。そして一通り読み終わったらしく、ふぅと重い息を一つ吐き、頭を抱えながらその手紙をシーラ叔母さんへと渡している。
シーラ叔母さんも口に手を当てて先ほどの笑顔は一瞬にして無くなり、血の気が引いたように青い顔をしている。お婆様からの手紙に二人はまさか、まさかと動揺している様子。
何が書いてあったのだろうか。
「お婆様は何と書いてあるのか聞いても?」
本来なら口を出すべき事ではないのだが、叔父さん達のただ事ではない様子が気になり、聞いてみた。
「あぁ、フルム君。君には話しておかなければいけないな。今から話す事は誰にも話してはいけないし、記録にも残さないでくれ」
「わかりました」
俺は頷く。
「君は『時戻り』という話を知っているかい?」
ダミアン叔父さんは真剣な顔で聞いてきた。
「『時戻り』ですか?あぁ、随分と昔に聞いた事があります。おとぎ話ですよね確か」
俺は予想外の言葉で呆気に取られながらも記憶を手繰り寄せながら話をする。
「確か建国してから三代目でしたっけ。当時の王様の話では国が他国に攻められて滅亡したと。そして『時戻り』をして攻められる前に準備をして国を守る事が出来たという話ですよね?あれがどうかしたのですか?」
俺が話をするとダミアン叔父さんは不思議そうな顔をしている。この国にはそんなおとぎ話はないのだろうか?
「フルム君。ダミアンが知らないのも無理は無いわ。だってそのおとぎ話は王家の血筋に連なる人の家系でしか聞かされていないもの。私もすっかり忘れていたわ。母から幼い頃に聞いた事があるくらい。興味がなかったから……。まさか娘に起こるなんて思ってもみなかったわ」
「その『時戻り』の話がどうしたのですか?」
「実はな、モアがその『時戻り』をしたようなんだ」
「えっ……?」
モアが時戻りをした?まさか、おとぎ話だと思っていた事は本当に起こる事なのか?俺はダミアン叔父さんの話が信じられないでいた。
「モアは十五歳で結婚し、二十一歳で自殺したようなんだ」
「……自殺?」
聞き返した不穏な言葉にシーラ叔母さんの顔色が悪い事に気づく。
「あぁ。君の祖母、つまり王太后クラウディア様に連絡を取ったのもそれが理由だ」
「お婆様が動くほどの事柄、なのですか?」
「確証はまだ得ていないが、モアの話ではクリストフェッル伯爵家はラオワーダ国の影だ。二年後にある王宮主催のお茶会でモアは評判となり、リーヌス国王に目を付けられる。そして我が家が所有する商船を沈没させられ借金を背負わされるそうだ」
「……そこで借金を肩代わりする代わりにモアを嫁がせるのですね」
「……そうだ」
俺はその内容に額に手を当てていた。想像を遥かに超えていたんだ。
「そのクリストフェッル家が影であるのならばモアは……」
俺は想像し、言葉にする事を止めた。
「モアは夫人に跡継ぎを産んだ後、娼婦のように身体を使い、情報を取ってくるように指示されていたのだと言っていた。逃げ出さないように監視され、我が家と連絡を取ることも叶わなかったそうだ。
知らぬ相手に身体を許したくないと抵抗したモアは長期間眠らされ、気づけば子供を産んでいたようだ。目覚めた時にアルロア夫人が話していた内容は寝ている時に『紳士クラブ』という場所で不特定多数に抱かれていた。もしかしたら陛下の子かもしれないものが腹の中にいた。
様々な事を聞いてこれから自分や我が子へ降りかかる不幸を遠ざけるために自殺したと」
……なんという事だ。ありえない。許される事ではない。
俺は憤怒に駆られる。サルドア王家に連なる一族が貶められるなんて許されない。
「叔父さん!モアがそんな目に遭うなんて許せない!」
「あぁ。だから君を呼んだんだ。クラウディア様からの手紙には『時戻り』する者は過去に何人か居たらしい。詳しくは分かっていないらしいが、殺されたりすると時を戻るのだとか」
「モアは自殺したのですよね?」
「そこなんだ。きっと『時戻り』をするのは死に方ではないのだろうと思う。それに死んだ時に身体に触れていた者も一緒に時戻りする場合があるらしいと書いてある」
時を戻したいと強く願った、のか?触れている者はその思念に引きずられるのか?
叔父さんから聞かされた話は考えさせられる事が多くて次の言葉が出てこない。ただ、将来起こり得る事態に漠然とだが今、動かないといけない事だけは分かった。
「シーラ叔母さん、この事はエリアス陛下に伝えましたか?」
「まだ伝えていないわ。モアが本当に『時戻り』をしていると思って居なかったから。ただ、将来私達がラオワーダ国に陥れられる可能性があるのなら国に帰る事が可能か母に連絡をしたの。まさか、本当に『時戻り』があるなんて」
「フルム君を呼んだ理由なんだが、君が貿易の勉強をするためとモアの家庭教師にこの国に来た。それが表向きの理由だ」
「……はい」
「もちろん勉強もきっちりしてもらうが、モアの容姿を外部に漏らさないためにこの国の教師を雇う事を止めた。君の案内で一緒に隣国を訪れるという名目を作る。それと現在ラオワーダ国を中心に商売をしているが、徐々にサルドア国に資産を移し、居を構えようと思っているんだ」
「俺は可愛いモアも守りたい。叔父さんに付いていきます」
「有難う。来て早々に重い話をしてすまんな。部屋を用意してあるからゆっくり過ごしてくれ」
「分かりました」
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