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「ナーニョ様、お待たせしました。お食事をお持ちいたしました」
ナーニョは眠い目を擦りつつ扉を開けて神父達を部屋に入れる。
「先ほどはすぐに戻ってごめんなさい。本当なら怪我人の状態を確認しなければいけないのですが、旅の疲れもあって……」
「いえいえ、こちらの方こそ無理をさせて申し訳ありません」
修道女はテーブルの上に食事を置いていく。
「怪我人の方はどうですか? 魔法が効かなかった方とかおられましたか?」
「いえ、みなさん怪我が治り殆どの者が喜んで家に戻りました。重傷者もかなりよくなり、何もしなくても二、三か月で自宅に戻れると思います」
「それは良かった。この街の人達の治療についてなのですが、エサイアス様と滞在中の話が出来ればいいと思っております」
「先ほどエサイアス様から知らせがありました。この後、滞在計画を領主と話をするそうなので私達も参加したほうが良さそうですね」
「そうですね。私も急いで食事を済ませますね」
ナーニョは用意された質素な食事を食べ始めた。
この街の木は実を付ける物が多いようで食事にもふんだんに取り入れられているらしい。
食事をしている間に魔力もかなり回復してきたようでホッとするナーニョ。
その後、神官様と一緒に駐屯地に向かった。
「ナーニョ様! 言ってくれれば迎えに行ったのに」
「エサイアス様、私こそ領主との話し合いに立ち合いたいとわがままを言ってしまったのですから」
エサイアスは笑顔で手を差し出した。
「では一緒に参りましょうか」
私達は神殿の馬車で領主の邸へと向かう。
「ここの領主はどのような方なのですか?」
「領主のケインズ・ソール・フォード伯爵はとても物静かで芸術を好む方ですね。ただ、魔獣が出た時は自ら先陣に立ち民を守る素晴らしい人です。
領主の鏡と言っても過言ではありません。近年、魔獣との怪我で子息も大怪我を負い、自らも足を失われてからあまり邸から出てこなくはなりました」
神父様は沈痛な面持ちでそう話す。
子息はどのような怪我だったのだろうか。
その事に触れても大丈夫だろうか。
不安になりながらも私達は領主の邸へと到着した。
「王宮騎士団のエサイアス様ですね。お待ちしておりました。どうぞお入り下さい」
執事の案内で応接室に案内された私達。
すぐに領主のフォード伯爵がやってきた。彼は身体の大きな人でケイルート兄様のような雰囲気の持ち主だ。
優しい顔つきでなんとなく心地良い感じがする。
そう思ったのは私だけかもしれないが。
そして目についたのは彼の右の足が膝上から無い。普段は義足で生活しているのだろう。
「初めまして。王宮騎士団第十二団騎士団団長エサイアス・ローズルード・シルドアと申します。今回の巡視の責任者を務めております。そして横にいらっしゃるのがナーニョ・ヘルノルド・アローゼン王女です」
「ナーニョ・ヘルノルド・アローゼンです。今回の巡視を受け入れて下さり有難う御座います。巡視に同行するにあたり怪我の治療を担当しております。宜しくお願いいたします」
フォード伯爵は私を見て驚いている様子。
まぁそうだろう。人間の頭には無い物が付いているのだ。それなのにアローゼンと名乗っている。
「貴女様が噂の王女様ですか。先ほどから騒がしかったのもそのせいか」
「ケインズ様、ナーニョ様が怪我人を治療して下さったのです!」
「そう、でしたか。ありがとうございます。あの、その耳と尻尾は本物なのでしょうか?」
聞きづらそうに伯爵は聞いてきた。私としては慣れた質問だ。
「えぇ、私は落ち人です。猫種の獣人です。つい最近陛下の養女となりました。私はこの巡視で騎士団と共に行動し、魔法で怪我を治療したり、戦闘に参加する予定です」
ナーニョは笑顔でそう言うと驚いたのはエサイアスだった。
彼はナーニョを戦闘に参加させる気は微塵も考えて居なかったようだ。
あくまで後ろで控えて怪我人の治療に当たる事を考えていたのだと思う。
「勇ましい王女様ですね。私としては巡視を歓迎しています。どうか滞在中、なんなりとお申し付け下さい」
私達は軽く挨拶を済ませた。
もちろん私の滞在が神殿になる事も話はしている。そして大まかな巡視の日程をエサイアスが話す。
二週間程度の滞在で魔獣の出没具合により滞在期間の切り上げや延長もあるようだ。そして私は毎日エサイアス様に同行する。
街に戻ってからは魔力が無くなるまで怪我人の治療に当たる事も話をしたわ。
その話を聞いた神官様はとても興奮し、先ほどの怪我人の治療の様子を伯爵に熱く語った。
彼はフムフムと興味深そうに神官様の話を聞いていた。
「あ、あのっ。フォード伯爵、突然申し上げるのは失礼だと思ったのですが……。右足が義足だとお見受けします。先ほど怪我人を治療したのでどこまで魔力が持つかわかりませんが、治療しても宜しいですか?」
「……それは、本当ですか?良いのですか?」
「えぇ、もちろんです。お隣に移動しても?」
「!!お、お願いします」
ナーニョは眠い目を擦りつつ扉を開けて神父達を部屋に入れる。
「先ほどはすぐに戻ってごめんなさい。本当なら怪我人の状態を確認しなければいけないのですが、旅の疲れもあって……」
「いえいえ、こちらの方こそ無理をさせて申し訳ありません」
修道女はテーブルの上に食事を置いていく。
「怪我人の方はどうですか? 魔法が効かなかった方とかおられましたか?」
「いえ、みなさん怪我が治り殆どの者が喜んで家に戻りました。重傷者もかなりよくなり、何もしなくても二、三か月で自宅に戻れると思います」
「それは良かった。この街の人達の治療についてなのですが、エサイアス様と滞在中の話が出来ればいいと思っております」
「先ほどエサイアス様から知らせがありました。この後、滞在計画を領主と話をするそうなので私達も参加したほうが良さそうですね」
「そうですね。私も急いで食事を済ませますね」
ナーニョは用意された質素な食事を食べ始めた。
この街の木は実を付ける物が多いようで食事にもふんだんに取り入れられているらしい。
食事をしている間に魔力もかなり回復してきたようでホッとするナーニョ。
その後、神官様と一緒に駐屯地に向かった。
「ナーニョ様! 言ってくれれば迎えに行ったのに」
「エサイアス様、私こそ領主との話し合いに立ち合いたいとわがままを言ってしまったのですから」
エサイアスは笑顔で手を差し出した。
「では一緒に参りましょうか」
私達は神殿の馬車で領主の邸へと向かう。
「ここの領主はどのような方なのですか?」
「領主のケインズ・ソール・フォード伯爵はとても物静かで芸術を好む方ですね。ただ、魔獣が出た時は自ら先陣に立ち民を守る素晴らしい人です。
領主の鏡と言っても過言ではありません。近年、魔獣との怪我で子息も大怪我を負い、自らも足を失われてからあまり邸から出てこなくはなりました」
神父様は沈痛な面持ちでそう話す。
子息はどのような怪我だったのだろうか。
その事に触れても大丈夫だろうか。
不安になりながらも私達は領主の邸へと到着した。
「王宮騎士団のエサイアス様ですね。お待ちしておりました。どうぞお入り下さい」
執事の案内で応接室に案内された私達。
すぐに領主のフォード伯爵がやってきた。彼は身体の大きな人でケイルート兄様のような雰囲気の持ち主だ。
優しい顔つきでなんとなく心地良い感じがする。
そう思ったのは私だけかもしれないが。
そして目についたのは彼の右の足が膝上から無い。普段は義足で生活しているのだろう。
「初めまして。王宮騎士団第十二団騎士団団長エサイアス・ローズルード・シルドアと申します。今回の巡視の責任者を務めております。そして横にいらっしゃるのがナーニョ・ヘルノルド・アローゼン王女です」
「ナーニョ・ヘルノルド・アローゼンです。今回の巡視を受け入れて下さり有難う御座います。巡視に同行するにあたり怪我の治療を担当しております。宜しくお願いいたします」
フォード伯爵は私を見て驚いている様子。
まぁそうだろう。人間の頭には無い物が付いているのだ。それなのにアローゼンと名乗っている。
「貴女様が噂の王女様ですか。先ほどから騒がしかったのもそのせいか」
「ケインズ様、ナーニョ様が怪我人を治療して下さったのです!」
「そう、でしたか。ありがとうございます。あの、その耳と尻尾は本物なのでしょうか?」
聞きづらそうに伯爵は聞いてきた。私としては慣れた質問だ。
「えぇ、私は落ち人です。猫種の獣人です。つい最近陛下の養女となりました。私はこの巡視で騎士団と共に行動し、魔法で怪我を治療したり、戦闘に参加する予定です」
ナーニョは笑顔でそう言うと驚いたのはエサイアスだった。
彼はナーニョを戦闘に参加させる気は微塵も考えて居なかったようだ。
あくまで後ろで控えて怪我人の治療に当たる事を考えていたのだと思う。
「勇ましい王女様ですね。私としては巡視を歓迎しています。どうか滞在中、なんなりとお申し付け下さい」
私達は軽く挨拶を済ませた。
もちろん私の滞在が神殿になる事も話はしている。そして大まかな巡視の日程をエサイアスが話す。
二週間程度の滞在で魔獣の出没具合により滞在期間の切り上げや延長もあるようだ。そして私は毎日エサイアス様に同行する。
街に戻ってからは魔力が無くなるまで怪我人の治療に当たる事も話をしたわ。
その話を聞いた神官様はとても興奮し、先ほどの怪我人の治療の様子を伯爵に熱く語った。
彼はフムフムと興味深そうに神官様の話を聞いていた。
「あ、あのっ。フォード伯爵、突然申し上げるのは失礼だと思ったのですが……。右足が義足だとお見受けします。先ほど怪我人を治療したのでどこまで魔力が持つかわかりませんが、治療しても宜しいですか?」
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「えぇ、もちろんです。お隣に移動しても?」
「!!お、お願いします」
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