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41王宮での話し合い

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 ナーニョ達が謁見の間を出た後、国王陛下、宰相、グリークス神官長、マートス長官、ザイオン医務官で話し合いが持たれた。

「さて、落ち人であるナーニョ・スロフ、ローニャ・スロフの話ですが、皆様の意見を聞きたいと思います」

 進行役の宰相が話を始めた。

「ナーニョ達の魔法は本物だ。実際、騎士達を何人も治しておる」
「私も半信半疑で見ていましたが、魔法の存在を認めざるを得ない状況です。
 特にナーニョ殿の治癒魔法効果は素晴らしく、深い怪我や過去に出来た傷もたちどころに治してしまう。そして人格も素晴らしい。彼女こそ聖女名に相応しい」

 陛下に続きザイオン医務官がナーニョを褒める。

「ローニャの方はどうでしょうか?」
「あの子は可愛い。二人とも可愛いがローニャは特に人懐っこいところがいい。儂の孫に迎えたい」
「そうですね。ローニャ嬢は人懐っこくて人の懐に上手に入ってくるし、話し上手だ。
 自分は姉より上手く魔法が使えないといいながらも研究員の研究に協力的です。それに言葉を覚えるが早い。二人とも賢い。
 ローニャ嬢は人をよく見ている。
 必死に自分たちの居場所を作ろうと頑張っているのかもしれない。素直さが彼女の持ち味でもあるだろう」

 マートス長官がローニャの普段の様子を話す。

「研究の方は進んでおりますかな?」
「あぁ、ナーニョ嬢が持っていた教科書を我々が読み解き、第二研究室は指輪の研究、第三研究室は兵士強化の研究、第四研究室が空間の研究を更に進めているところです。
 彼女達のおかげで多くの情報を得ています。今後、かなりの進展を見せるだろうと考えております」

「ということは、異世界はここより文明が進んでいるのだろうか?」
「同じような文化の水準だそうですが、ナーニョ嬢達がいた世界では王族と庶民の二つに別れるだけのようです。
 貴族は少ないながらもいるという感じなのだそうです。
 この辺は彼女達の知識はないようで詳しくは分からなかったのですが、彼女達の食事の水準を考えると、貴族が食べている物が彼女達の世界では村の教会で出されていた食事と変わらない。
 つまり食べるものが、村の孤児院にまで行き届いているような安定した世界なのだろうと考えております。
 彼女達のいた世界は我々が住んでいる世界よりももっと安全な世界なのでしょう」

「魔法の研究はマートン長官に引き続き研究してもらうが、教会としてはどのようなお考えなのでしょうか?」
「あぁ、治療魔法は本物だ。そしてナーニョ様は私に魔力があると仰った。
 もっと詳しく話を聞きたいと思う。教会側としては彼女達を聖女とし、人々の心の安寧に寄与していただきたい」

 グリークス神官長の言葉に食いついたのはマートス長官だった。

「神官長、それは本当ですか!? グリークス神官長に魔力が?ナーニョ嬢達は何と言っていたのでしょうか?」

「あぁ、ナーニョ様は私が無意識に魔力を身体強化するために使っているのではないかと仰っておりました。
 確かに大斧を扱える者は数少ない。戦っている間、武器の重さを感じなかったのはそのせいなのだと今なら納得できます」

「という事はこの世界にも魔法を使える者が存在するということですか?」
「大昔は落ち人の中には魔法使いがいたのだ。子孫がいてもおかしくはないだろう」

「では国内で魔法を使う事の出来る人間を探し出す事が急務となりますね。グリークス神官長はどこの出身なのでしょうか? 出身地周辺の人間から探しましょう」
「マートス長官、すまない。私は孤児なのだ。物心ついた時から王都の孤児院にいた。両親がどこの出身かが分からない。
 当時、孤児院に居た時に神父が言っていたのが、旅の格好をした母親が私を孤児院に置いていったようだ。
 傷だらけだったと言っていた。命が尽きる前に私を神父に託して母は何処かへ向かったと。それ以上は分からない」

 グリークス神官長の言葉に皆一瞬がっかりしたようだが、まだ望みは断たれていない。
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