16 / 143
16
しおりを挟む
「魔法は、色々使えるのかな?」
「私達獣人は媒体を通して魔法を使うのが多いのですが、獣人には発音しづらい言葉もあるので媒体に最初から詠唱の言葉を刻んでおくのが一般的です」
「そうか。ナーニョ嬢は回復の魔法が使える物を持っているという事でいいだろうか?ローニャ嬢も?」
「そうですね」
エサイアス様は何かを理解するように頷きながら考えている。
「君は私の邸の庭に落ちてきた。だから私が君達姉妹を保護することになるだろう。だが、君が使った回復魔法はとても貴重な能力だ。
どうかこの世界をよくするために協力を願えないだろうか。
この世界に魔法使いはいない。つまり今魔法が使えるのはナーニョ嬢とローニャ嬢のみだ。
現状、異界の穴を閉じる術もない。いつも魔獣や魔物との戦いを騎士達は毎日のように繰り返している。どうか助けて欲しい」
私は彼のその言葉にどう返せば良いか分からず困った。
まだ魔法使いとして一歩も踏み出していない私が騎士達の役にたてるのかどうか。
安易に返事をしていいのかも分からない。
異世界へ来たばかりで右も左も分からない状況だ。
それに私が守るべきはローニャ。妹だけは何があっても守り抜く事を決めている。
「エサイアス様、突然そのような事を言われてもナーニョ様は困ってしまいます。
ナーニョ様はまだ十五歳になったばかり。そんな幼子に責任を押し付けるのは酷でしょう」
ロキアさんが助け船を出してくれた。
この世界の成人は何歳なのだろう……。
「そうか、十五歳だったのか。すまない。魔法が使えると知って一人先走ってしまった。でも、それほどこの国の現状は良くない。
このまま進めば人間は魔獣に負けてしまう。そうなる前に、なんとかしたいんだ」
「そう、なんですね」
「それに、ナーニョ嬢には申し訳ないのだが、私が負傷した時に君が魔法を使って治療してくれただろう? 部下も医者もそれを目撃してしまった。
話が広がり、それは国王の耳にまで届いた。国王が君を呼んでいるんだ」
国王が呼んでいる?
国王ってことはこの国で一番偉い人だよね?
私の魔法がそれほどなのかと不思議な気分になる。ここの人間は魔法が使えないのであれば私達の世界に落ちてきた人間は別世界の人間なのだろうか?
「わ、私達は国王に会うことになるのでしょうか?」
「あぁ、もちろん私も行くからその辺は心配しなくて大丈夫だよ。ただ、国王には魔法の事を話さなければならないと思う」
「はい」
「私の体調を考慮して待たせていたから明日にでも会う事になる。大丈夫、国王は優しい人だから心配いらないよ」
「は、はぃ……」
「申し訳ないが、ナーニョ嬢、私にまた回復魔法を掛けてもらえないだろうか?」
「まだ怪我が治りきっていませんでしたか?」
「いや、傷は治っているのだが自分の目で見てみたいと思ってね」
「分かりました」
私は震えたままのローニャの手を一度ギュッと握った後、指輪を取り出し、指に嵌めた。
「失礼します」
そう言ってエサイアス様の元へ行き、手を取り魔法と唱えた。
『ヒエロス』
魔力は触れている手からエサイアス様を包み込んでいく。
彼は淡い光が包むのを凝視している感じだ。前回は出血している傷口を塞ぐために魔法を使った。
こうしてゆっくりと魔力を流してみると、驚いたのは私の方だ。
エサイアス様は私より少し年上、二十歳くらいに見えるけれど、身体には至る所に傷がある。
かなりの数の古傷だ。
場所によっては無理して傷を治したような場所があって筋肉が固着しているようにも感じる。
今まで無理して魔物の討伐をしていたのではないだろうか。
ヒエロスは古傷全てに留まり、淡い光を放ち修復していく。
古傷は動けば痛む箇所もあるだろうし、痛みはなくても引きつれを起こしている場合もある。
私の持っている指輪の限界もある。
古傷は一度で全てを治しきる事が出来ない時もある。それと欠損も治すことは出来ない。
だが、上級の指輪や特級の指輪なら一瞬で治るのでこういう時、使ってみたいと思うわ。
「治療終わりました」
エサイアス様は立ち上がり、動きを確認している。
「凄い、これは凄い」
喜んでいるというより感動に打ち震えているようだ。
カッと目を見開いたかと思えば私の手を両手で包みこんだ。
「有難う。本当に有難う。素晴らしい」
「い、いえ。特別なことは何もしておりません」
「いや、この世界で魔法が使えるのは君達だけだ。それに古傷まで綺麗に治せるなんて凄いとしか言いようがない」
古傷が治ったと知ったロキアさんはハンカチで涙を拭っている。今まで口にしない分辛いことも多かったのだろう。
私達も親を亡くした時、村の惨状を目の当たりにしてきた。
救えなかった命も沢山あったに違いない。
私はそれ以上何も言わずローニャと明日の話を聞いた後、部屋に戻った。
私達は湯浴みをした後、フカフカのベッドに入り、今日の事を話し始めた。
「お姉ちゃん、びっくりしたね。まさかヒエロスだけでこんなに感激されるとは思ってもみなかったわ」
「そうね、私も驚いちゃった」
「これからどうなるんだろうね、私達」
「まぁ、悪いようにはならないと思うわ。でも、本当にみんなが魔法が使えないのかは疑問よね。私達のように指輪を使えば魔法が出来るようになるのかもしれないよね」
「お姉ちゃん、さっきエサイアス様がとっても喜んでいたでしょう? あれを見て思ったの。私にも何か協力出来ることがあるんじゃないかって。
まだ子供だけど、みんなが困っているなら協力してもいいと思っている。お父さんやお母さんのように死んじゃう人が沢山なんでしょう?」
「……そう、ね。ローニャが協力したいと思うなら協力してもいいと思うわ。でもローニャ、私達はまだこの世界にきて右も左も分からないの。人間が悪い人たちだったらどうするの?」
「きっと大丈夫だよ。ロキアさんもマーサさんもいい人だもの。
ヒエロスでこんなにもエサイアス様が喜んでロキアさんが泣いているのってとても凄いことだと思う。私、出来る事、頑張ってみたい」
私はローニャの素直な言葉に涙が出そうになる。
あの村の惨状を思い出す。
エサイア様達はあの国王軍の豹の獣人さん達のようにきっと人々を守るために戦い続けているのだろう。私達のような孤児を作らないために。
一人でも悲しい思いをする人が居なくなるために。
きっと私一人なら顧みる事もせず協力を惜しまないと思う。けれど、私には大切なただ一人の家族がいる。
世界中の人間を敵に回してもローニャを守ると決めている。
ローニャを幸せにできるのなら私も協力は惜しまない。
「そっか。ローニャは偉いね。お姉ちゃんは鼻が高いわ。その考えはとても崇高だと思う。
誰にでも出来る事ではないと思うの。
でも協力するかしないかは明日の王様の話を聞いてからでも遅くはないんじゃないかな?」
「そうだよね。私達を無理やり働かせようとする悪い人達かもしれないもんね」
こうして私達は自分達のこれからの事を考えたあと眠りについた。
「私達獣人は媒体を通して魔法を使うのが多いのですが、獣人には発音しづらい言葉もあるので媒体に最初から詠唱の言葉を刻んでおくのが一般的です」
「そうか。ナーニョ嬢は回復の魔法が使える物を持っているという事でいいだろうか?ローニャ嬢も?」
「そうですね」
エサイアス様は何かを理解するように頷きながら考えている。
「君は私の邸の庭に落ちてきた。だから私が君達姉妹を保護することになるだろう。だが、君が使った回復魔法はとても貴重な能力だ。
どうかこの世界をよくするために協力を願えないだろうか。
この世界に魔法使いはいない。つまり今魔法が使えるのはナーニョ嬢とローニャ嬢のみだ。
現状、異界の穴を閉じる術もない。いつも魔獣や魔物との戦いを騎士達は毎日のように繰り返している。どうか助けて欲しい」
私は彼のその言葉にどう返せば良いか分からず困った。
まだ魔法使いとして一歩も踏み出していない私が騎士達の役にたてるのかどうか。
安易に返事をしていいのかも分からない。
異世界へ来たばかりで右も左も分からない状況だ。
それに私が守るべきはローニャ。妹だけは何があっても守り抜く事を決めている。
「エサイアス様、突然そのような事を言われてもナーニョ様は困ってしまいます。
ナーニョ様はまだ十五歳になったばかり。そんな幼子に責任を押し付けるのは酷でしょう」
ロキアさんが助け船を出してくれた。
この世界の成人は何歳なのだろう……。
「そうか、十五歳だったのか。すまない。魔法が使えると知って一人先走ってしまった。でも、それほどこの国の現状は良くない。
このまま進めば人間は魔獣に負けてしまう。そうなる前に、なんとかしたいんだ」
「そう、なんですね」
「それに、ナーニョ嬢には申し訳ないのだが、私が負傷した時に君が魔法を使って治療してくれただろう? 部下も医者もそれを目撃してしまった。
話が広がり、それは国王の耳にまで届いた。国王が君を呼んでいるんだ」
国王が呼んでいる?
国王ってことはこの国で一番偉い人だよね?
私の魔法がそれほどなのかと不思議な気分になる。ここの人間は魔法が使えないのであれば私達の世界に落ちてきた人間は別世界の人間なのだろうか?
「わ、私達は国王に会うことになるのでしょうか?」
「あぁ、もちろん私も行くからその辺は心配しなくて大丈夫だよ。ただ、国王には魔法の事を話さなければならないと思う」
「はい」
「私の体調を考慮して待たせていたから明日にでも会う事になる。大丈夫、国王は優しい人だから心配いらないよ」
「は、はぃ……」
「申し訳ないが、ナーニョ嬢、私にまた回復魔法を掛けてもらえないだろうか?」
「まだ怪我が治りきっていませんでしたか?」
「いや、傷は治っているのだが自分の目で見てみたいと思ってね」
「分かりました」
私は震えたままのローニャの手を一度ギュッと握った後、指輪を取り出し、指に嵌めた。
「失礼します」
そう言ってエサイアス様の元へ行き、手を取り魔法と唱えた。
『ヒエロス』
魔力は触れている手からエサイアス様を包み込んでいく。
彼は淡い光が包むのを凝視している感じだ。前回は出血している傷口を塞ぐために魔法を使った。
こうしてゆっくりと魔力を流してみると、驚いたのは私の方だ。
エサイアス様は私より少し年上、二十歳くらいに見えるけれど、身体には至る所に傷がある。
かなりの数の古傷だ。
場所によっては無理して傷を治したような場所があって筋肉が固着しているようにも感じる。
今まで無理して魔物の討伐をしていたのではないだろうか。
ヒエロスは古傷全てに留まり、淡い光を放ち修復していく。
古傷は動けば痛む箇所もあるだろうし、痛みはなくても引きつれを起こしている場合もある。
私の持っている指輪の限界もある。
古傷は一度で全てを治しきる事が出来ない時もある。それと欠損も治すことは出来ない。
だが、上級の指輪や特級の指輪なら一瞬で治るのでこういう時、使ってみたいと思うわ。
「治療終わりました」
エサイアス様は立ち上がり、動きを確認している。
「凄い、これは凄い」
喜んでいるというより感動に打ち震えているようだ。
カッと目を見開いたかと思えば私の手を両手で包みこんだ。
「有難う。本当に有難う。素晴らしい」
「い、いえ。特別なことは何もしておりません」
「いや、この世界で魔法が使えるのは君達だけだ。それに古傷まで綺麗に治せるなんて凄いとしか言いようがない」
古傷が治ったと知ったロキアさんはハンカチで涙を拭っている。今まで口にしない分辛いことも多かったのだろう。
私達も親を亡くした時、村の惨状を目の当たりにしてきた。
救えなかった命も沢山あったに違いない。
私はそれ以上何も言わずローニャと明日の話を聞いた後、部屋に戻った。
私達は湯浴みをした後、フカフカのベッドに入り、今日の事を話し始めた。
「お姉ちゃん、びっくりしたね。まさかヒエロスだけでこんなに感激されるとは思ってもみなかったわ」
「そうね、私も驚いちゃった」
「これからどうなるんだろうね、私達」
「まぁ、悪いようにはならないと思うわ。でも、本当にみんなが魔法が使えないのかは疑問よね。私達のように指輪を使えば魔法が出来るようになるのかもしれないよね」
「お姉ちゃん、さっきエサイアス様がとっても喜んでいたでしょう? あれを見て思ったの。私にも何か協力出来ることがあるんじゃないかって。
まだ子供だけど、みんなが困っているなら協力してもいいと思っている。お父さんやお母さんのように死んじゃう人が沢山なんでしょう?」
「……そう、ね。ローニャが協力したいと思うなら協力してもいいと思うわ。でもローニャ、私達はまだこの世界にきて右も左も分からないの。人間が悪い人たちだったらどうするの?」
「きっと大丈夫だよ。ロキアさんもマーサさんもいい人だもの。
ヒエロスでこんなにもエサイアス様が喜んでロキアさんが泣いているのってとても凄いことだと思う。私、出来る事、頑張ってみたい」
私はローニャの素直な言葉に涙が出そうになる。
あの村の惨状を思い出す。
エサイア様達はあの国王軍の豹の獣人さん達のようにきっと人々を守るために戦い続けているのだろう。私達のような孤児を作らないために。
一人でも悲しい思いをする人が居なくなるために。
きっと私一人なら顧みる事もせず協力を惜しまないと思う。けれど、私には大切なただ一人の家族がいる。
世界中の人間を敵に回してもローニャを守ると決めている。
ローニャを幸せにできるのなら私も協力は惜しまない。
「そっか。ローニャは偉いね。お姉ちゃんは鼻が高いわ。その考えはとても崇高だと思う。
誰にでも出来る事ではないと思うの。
でも協力するかしないかは明日の王様の話を聞いてからでも遅くはないんじゃないかな?」
「そうだよね。私達を無理やり働かせようとする悪い人達かもしれないもんね」
こうして私達は自分達のこれからの事を考えたあと眠りについた。
79
お気に入りに追加
184
あなたにおすすめの小説
【完結】聖女を害した公爵令嬢の私は国外追放をされ宿屋で住み込み女中をしております。え、偽聖女だった? ごめんなさい知りません。
藍生蕗
恋愛
かれこれ五年ほど前、公爵令嬢だった私───オリランダは、王太子の婚約者と実家の娘の立場の両方を聖女であるメイルティン様に奪われた事を許せずに、彼女を害してしまいました。しかしそれが王太子と実家から不興を買い、私は国外追放をされてしまいます。
そうして私は自らの罪と向き合い、平民となり宿屋で住み込み女中として過ごしていたのですが……
偽聖女だった? 更にどうして偽聖女の償いを今更私がしなければならないのでしょうか? とりあえず今幸せなので帰って下さい。
※ 設定は甘めです
※ 他のサイトにも投稿しています
番から逃げる事にしました
みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。
前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。
彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。
❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。
❋独自設定有りです。
❋他視点の話もあります。
❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。
白い結婚を言い渡されたお飾り妻ですが、ダンジョン攻略に励んでいます
時岡継美
ファンタジー
初夜に旦那様から「白い結婚」を言い渡され、お飾り妻としての生活が始まったヴィクトリアのライフワークはなんとダンジョンの攻略だった。
侯爵夫人として最低限の仕事をする傍ら、旦那様にも使用人たちにも内緒でダンジョンのラスボス戦に向けて準備を進めている。
しかし実は旦那様にも何やら秘密があるようで……?
他サイトでは「お飾り妻の趣味はダンジョン攻略です」のタイトルで公開している作品を加筆修正しております。
誤字脱字報告ありがとうございます!
私は聖女(ヒロイン)のおまけ
音無砂月
ファンタジー
ある日突然、異世界に召喚された二人の少女
100年前、異世界に召喚された聖女の手によって魔王を封印し、アルガシュカル国の危機は救われたが100年経った今、再び魔王の封印が解かれかけている。その為に呼ばれた二人の少女
しかし、聖女は一人。聖女と同じ色彩を持つヒナコ・ハヤカワを聖女候補として考えるアルガシュカルだが念のため、ミズキ・カナエも聖女として扱う。内気で何も自分で決められないヒナコを支えながらミズキは何とか元の世界に帰れないか方法を探す。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!
珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。
3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。
高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。
これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!!
転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
【完結】虐待された少女が公爵家の養女になりました
鈴宮ソラ
ファンタジー
オラルト伯爵家に生まれたレイは、水色の髪と瞳という非凡な容姿をしていた。あまりに両親に似ていないため両親は彼女を幼い頃から不気味だと虐待しつづける。
レイは考える事をやめた。辛いだけだから、苦しいだけだから。心を閉ざしてしまった。
十数年後。法官として勤めるエメリック公爵によって伯爵の罪は暴かれた。そして公爵はレイの並外れた才能を見抜き、言うのだった。
「私の娘になってください。」
と。
養女として迎えられたレイは家族のあたたかさを知り、貴族の世界で成長していく。
前題 公爵家の養子になりました~最強の氷魔法まで授かっていたようです~
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる