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25 処刑★飛ばしても問題ないです★
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ナーヤはというと、あれから元夫人と今生の別れが出来たようで目を腫らしながらも元夫人と一緒に城へとやってきた。夫人は終始謝罪の言葉を述べていたらしい。
「クレア陛下、罪人たちの準備が整いました」
「えぇ、向かうわ」
私は中央広場へと向かった。王都の広場には既に大勢の人達がつめかけており、ざわざわと物々しい雰囲気となっていた。
公開処刑されるのはカミーロ元公爵家で働いていた者で魔力なしの人達だ。彼等は後ろ手に縛られて広場の真ん中にある処刑台に引かれるようにして歩いていく。
「俺は何にもしていない!ただ貴族の指示に従っただけだ!」
「嫌だ!嫌だっ!死にたくない!助けてくれ!」
各々叫んでいるが、広場に集まった人達はみな石を投げ、野次を飛ばした。
「静粛に!これより処刑を行う!この者達は王族殺し、並びに毒薬、麻薬を市場に流し、加担した者達だ。この中で処刑に反対する者はいるか?」
処刑人がそう叫ぶが、民は殺せ、殺せと合唱している。観衆の視線の中、一人、また一人と処刑を実行していく。そうして最後の処刑が終わると歓声が上がった。罪人達は三日間広場に晒された後、丁寧に葬られる。
「陛下、次はカミーロ達の所へ向かいましょう」
「えぇ、そうね」
向かった先は城の地下深く。一室に集められていたのはカミーロ元公爵とその家族、親戚一同。二十人近くいるだろうか。彼等は椅子に縛り付けられたまま泣き叫び、慈悲を請う。
ここでは筆頭魔導士のフェルトが一人一人の額に結界を繋ぐ魔法陣を刻んでいく。魔力を結界に流し、魔力が尽きると生命力を魔力に変換し結界に流す陣だ。陣を刻まれた者から次第に叫ぶ声が小さくなっている。強制的に魔力を抜かれるため苦しいのだろう。
「フェルト、カミーロ一家に処理を施すのは私にさせて頂戴」
裁判時にカミーロには額に結界を繋ぐ魔法陣を刻んでいるが少し手を加える事にした。
「すぐに死んでは困るの。国を支えたいのでしょう?」
「止めろ、止めてくれ……」
私は額に手を翳し、刻んである魔法陣を少し弄る。カミーロは痛みを感じるのか呻き声を上げて荒い息を繰り返す。
「次は夫人ね」
そう言いながら夫人と息子に同じ魔法陣を刻む。
「クレア陛下、素晴らしい魔法陣ですね。改めて感服致しました」
私が刻んだ魔法陣はただ魔力を吸い上げるだけではなく、痛みを増幅させるようにしてある。そして他の人達とは違い少しばかり魔力を吸い上げる量を少なくしてある。
魔力量は多いが、念のため彼等の生命力を削る事がないように量を調整したのだ。
「ふふっ。食事は下女か下男が運んでくるわ。たまに治癒魔法も施しに来てあげるから心配しないで?あぁ、逃げようとしたって無駄よ?カミーロ家って一族揃って相当数恨まれていたのね。貴方達の世話をしたいと望んでくれる人達が沢山いて決めるのに大変だったのよ?
大丈夫、多少の怪我はあるかもしれないけれど、国の繁栄に力を注いでいる貴方達はこの国の宝だもの。あぁ、忘れていたわ。死なないようにしてあげないとね」
そう言って彼等の首元の辺りに自己治癒力を高める魔法陣を施す。
「これで滅多な事では死なないわ。末永く国を導いてね」
私は振り返る事無く地下室を後にした。後はロダ達が処理してくれるだろう。
「クレア陛下、罪人たちの準備が整いました」
「えぇ、向かうわ」
私は中央広場へと向かった。王都の広場には既に大勢の人達がつめかけており、ざわざわと物々しい雰囲気となっていた。
公開処刑されるのはカミーロ元公爵家で働いていた者で魔力なしの人達だ。彼等は後ろ手に縛られて広場の真ん中にある処刑台に引かれるようにして歩いていく。
「俺は何にもしていない!ただ貴族の指示に従っただけだ!」
「嫌だ!嫌だっ!死にたくない!助けてくれ!」
各々叫んでいるが、広場に集まった人達はみな石を投げ、野次を飛ばした。
「静粛に!これより処刑を行う!この者達は王族殺し、並びに毒薬、麻薬を市場に流し、加担した者達だ。この中で処刑に反対する者はいるか?」
処刑人がそう叫ぶが、民は殺せ、殺せと合唱している。観衆の視線の中、一人、また一人と処刑を実行していく。そうして最後の処刑が終わると歓声が上がった。罪人達は三日間広場に晒された後、丁寧に葬られる。
「陛下、次はカミーロ達の所へ向かいましょう」
「えぇ、そうね」
向かった先は城の地下深く。一室に集められていたのはカミーロ元公爵とその家族、親戚一同。二十人近くいるだろうか。彼等は椅子に縛り付けられたまま泣き叫び、慈悲を請う。
ここでは筆頭魔導士のフェルトが一人一人の額に結界を繋ぐ魔法陣を刻んでいく。魔力を結界に流し、魔力が尽きると生命力を魔力に変換し結界に流す陣だ。陣を刻まれた者から次第に叫ぶ声が小さくなっている。強制的に魔力を抜かれるため苦しいのだろう。
「フェルト、カミーロ一家に処理を施すのは私にさせて頂戴」
裁判時にカミーロには額に結界を繋ぐ魔法陣を刻んでいるが少し手を加える事にした。
「すぐに死んでは困るの。国を支えたいのでしょう?」
「止めろ、止めてくれ……」
私は額に手を翳し、刻んである魔法陣を少し弄る。カミーロは痛みを感じるのか呻き声を上げて荒い息を繰り返す。
「次は夫人ね」
そう言いながら夫人と息子に同じ魔法陣を刻む。
「クレア陛下、素晴らしい魔法陣ですね。改めて感服致しました」
私が刻んだ魔法陣はただ魔力を吸い上げるだけではなく、痛みを増幅させるようにしてある。そして他の人達とは違い少しばかり魔力を吸い上げる量を少なくしてある。
魔力量は多いが、念のため彼等の生命力を削る事がないように量を調整したのだ。
「ふふっ。食事は下女か下男が運んでくるわ。たまに治癒魔法も施しに来てあげるから心配しないで?あぁ、逃げようとしたって無駄よ?カミーロ家って一族揃って相当数恨まれていたのね。貴方達の世話をしたいと望んでくれる人達が沢山いて決めるのに大変だったのよ?
大丈夫、多少の怪我はあるかもしれないけれど、国の繁栄に力を注いでいる貴方達はこの国の宝だもの。あぁ、忘れていたわ。死なないようにしてあげないとね」
そう言って彼等の首元の辺りに自己治癒力を高める魔法陣を施す。
「これで滅多な事では死なないわ。末永く国を導いてね」
私は振り返る事無く地下室を後にした。後はロダ達が処理してくれるだろう。
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