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正装した私はいつにもなく緊張して王宮の会場へと向かった。学院の卒業パーティは王宮の会場で行われる。
平民にとって王宮の舞踏会は夢のまた夢と言われるほどのものらしい。卒業記念という感じなのかもしれない
もちろんドレスコードがあるので学院からドレスを貸してくれるのだとか。貴族の親たちは子供たちの卒業を祝いながらも挨拶回りをするものらしい。
会場に到着するとファルスは父からしっかり私と離れずエスコートする事を約束させられて父は挨拶回りに離れた。
「ファルス、今日はいつも以上に素敵よ? ほらっ、女の子たちがファルスを見ているわ。隙あらばってやつかしら」
私は興味深そうにしていると、ファルスは顔には出していないが呆れている感じで口を開く。
「マーロアもだよ。気づいていないのか? 鈍感すぎて心配だ」
「私を見ている? 愛人候補ってこと?」
「どうだろうな?」
私とファルスは会話をしながらクラスメイトに挨拶をしていると、陛下が入場され、お祝いの言葉を述べられた。
パーティの開始の合図と共に音楽が流れ始める。生徒たちは早速、自分のパートナーと共に踊り始めたわ。
令嬢の殆どは卒業後に結婚が控えていて、令息たちも結婚と就職がある。羽を伸ばせるのは今日までなのかもしれない。かく言う私も明日から旅に出る予定だけれどね。
レヴァイン先生はもう王都に到着している頃かな。
「マーロア嬢、私とダンスを踊っていただけませんか?」
ファルスはそう言って手を差し出す。
「えぇ、もちろん。ダンスなんて久々ね」
「そうだろう? このためにしっかりと足を鍛えているから大丈夫」
「もうっ、子供じゃないんだから踏まないわよ」
お互い笑い合いながら踊り始める。言うまでもなく息はぴったりで難易度の高いダンスだってお手の物よ?
クルクルと軽やかにターンを決めて踊り終えると、次を踊ろうと待ち構えている令嬢たちにファルスは捕まってしまった。
行ってらっしゃいと軽く手を振り見送る。
「マーロア嬢、一曲どうかな?」
後ろから声が掛かり、振り向くと、シェルマン殿下とエレノア様が立っていた。私はすぐに礼をする。
「お久しぶりです。シェルマン殿下、エレノア妃殿下」
「もぅ、まだ妃殿下ではないわ。マーロア、お久しぶり。王宮で偶に会えると思っていたのだけれど、案外会わないものね」
「そうですね」
「今度お茶会に呼んでもいいかしら?」
「エレノア様、とても嬉しいのですが、私、明日から冒険者として旅に出るので当分参加は出来ないと思います」
「明日から旅に出るのね。寂しくなるわ。私の分まで旅を楽しんできてね。私たちはもう踊ったから次はマーロア、踊って頂戴」
「有難き幸せに存じます」
私はシェルマン殿下のエスコートで中央まで歩き、ダンスを始める。
「マーロア、いつもありがとう。明日からと言っていたな。父の横を見てごらん? 私と踊った後、彼と踊るといいよ」
「シェルマン殿下、いつも陰ながらご配慮頂きありがとうございます。陛下の隣にいる護衛騎士の方ですか?」
私はさっと陛下の方に視線を向けると騎士服を着た一人の男性騎士と目が合った。レヴァイン先生だ! 私は逸る気持ちを抑えて殿下とのダンスを続ける。
「今日のために急いで帰ってきて会場入りをねじ込んだらしいよ。弟子の成長した姿を見たいとね。明日から気を付けて行ってくるんだよ? ファルスはどうするのか楽しみだ」
「ふふっ。お気遣いありがとうございます。ファルスはきっと生涯騎士として頑張っていくと思います」
シェルマン殿下は微笑みながら踊りを続ける。
曲が終わると、私はシェルマン殿下に礼をして私に声を掛ける令息を躱しながら騎士の元へと歩いていく。レヴァイン先生は軽く手を振ってくれたわ。
「レヴァイン先生、来てくれたのですね」
「あぁ、間に合って良かった。大きくなったな」
「一杯頑張ったんですよ」
「マーロア嬢、一曲踊っていただけませんか?」
「陛下の護衛は良いのですか?」
「あぁ、後ろにヘンドリックが居るし大丈夫だ」
どうやらヘンドリックさんが認識阻害を掛けて見えない位置から護衛をしているらしい。レヴァイン先生は満面の笑みを浮かべて端の方で礼をしてから踊りを始める。
レヴァイン先生と踊るのは数年ぶり。ずっと先生は踊る事が無かったはずなのにとても上手だった。
「先生、踊りを忘れているかと思ってました」
「これくらい覚えてなければ先生として失格だろう。二人とも闘技大会から成長したか?」
「もちろんです。魔力も飛躍的に伸びたんですよ。(トイレと友達になったのは内緒だけれど)剣術だってヘンドリックさんやドゥーロさんから一杯教えてもらったんですよ。ファルスはどうかは分からないけれど」
「そうか。二人の成長を見られて良かった。明日からは忙しくなるが準備は出来ているか?」
「もちろん! 先生、この間、Bランクに上がったんです」
久しぶりの先生に一杯話したい事が次々と湧いてくる。先生はニコニコと笑顔で話を聞いてくれたわ。ダンスだってすぐに終わっちゃうくらい楽しかったの。
ファルスも私がレヴァイン先生と踊った事に気づいたようでダンスが終わった後、令嬢たちを振り切って私たちの所にやってきた。
「レヴァイン先生、来ていたんですね」
「ファルス、卒業おめでとう。前より更に背が高くなったか?」
私たちは久しぶりに会った先生と喋りたくてバルコニーに出た。追いかけて来ていた令嬢たちは私たちの様子を見て空気を読んだのか追いかけて来ることは無かった。
バルコニーに着くと待ちきれなかったようでファルスはソワソワとしながら先生に近況報告していて、先生はうんうんと聞いている。
そしてその中で話をしていたのが第四騎士団副団長はファルスの父だった。私が知っても良かったの? と思ったけれど、ファルスはどうせバレる事だし、隠す事もしていないと言っていたのでそのまま聞く事にした。
レヴァイン先生はよく似ているなと思っていた位の認識だったみたい。ファルス自体は現在第六騎士団に所属しているのだとか。これは爵位の無い平民で編成されている騎士団らしい。
第四騎士団までは爵位のある人で編成されていて第五騎士団以降は爵位のない平民の騎士団で成っている。
爵位が無くても騎士として活躍すると騎士爵が貰える場合があるので侮ってはいけない。騎士爵を貰って第一から第四騎士団のいずれかに異動するのが平民騎士の夢だとか。
ファルスのお父さんが第四騎士団の副団長という事は、ファルスは貴族の子息なのね。ビオレタ自身も元伯爵令嬢だったのだし。
でもその辺は深く聞くのはちょっと下世話なことよね? そして今の騎士団はとても楽しいらしくファルスに合っているのだとか。
毎日の訓練がとてもキツイけれど、しっかりと評価されているらしい。良かったわ。
平民にとって王宮の舞踏会は夢のまた夢と言われるほどのものらしい。卒業記念という感じなのかもしれない
もちろんドレスコードがあるので学院からドレスを貸してくれるのだとか。貴族の親たちは子供たちの卒業を祝いながらも挨拶回りをするものらしい。
会場に到着するとファルスは父からしっかり私と離れずエスコートする事を約束させられて父は挨拶回りに離れた。
「ファルス、今日はいつも以上に素敵よ? ほらっ、女の子たちがファルスを見ているわ。隙あらばってやつかしら」
私は興味深そうにしていると、ファルスは顔には出していないが呆れている感じで口を開く。
「マーロアもだよ。気づいていないのか? 鈍感すぎて心配だ」
「私を見ている? 愛人候補ってこと?」
「どうだろうな?」
私とファルスは会話をしながらクラスメイトに挨拶をしていると、陛下が入場され、お祝いの言葉を述べられた。
パーティの開始の合図と共に音楽が流れ始める。生徒たちは早速、自分のパートナーと共に踊り始めたわ。
令嬢の殆どは卒業後に結婚が控えていて、令息たちも結婚と就職がある。羽を伸ばせるのは今日までなのかもしれない。かく言う私も明日から旅に出る予定だけれどね。
レヴァイン先生はもう王都に到着している頃かな。
「マーロア嬢、私とダンスを踊っていただけませんか?」
ファルスはそう言って手を差し出す。
「えぇ、もちろん。ダンスなんて久々ね」
「そうだろう? このためにしっかりと足を鍛えているから大丈夫」
「もうっ、子供じゃないんだから踏まないわよ」
お互い笑い合いながら踊り始める。言うまでもなく息はぴったりで難易度の高いダンスだってお手の物よ?
クルクルと軽やかにターンを決めて踊り終えると、次を踊ろうと待ち構えている令嬢たちにファルスは捕まってしまった。
行ってらっしゃいと軽く手を振り見送る。
「マーロア嬢、一曲どうかな?」
後ろから声が掛かり、振り向くと、シェルマン殿下とエレノア様が立っていた。私はすぐに礼をする。
「お久しぶりです。シェルマン殿下、エレノア妃殿下」
「もぅ、まだ妃殿下ではないわ。マーロア、お久しぶり。王宮で偶に会えると思っていたのだけれど、案外会わないものね」
「そうですね」
「今度お茶会に呼んでもいいかしら?」
「エレノア様、とても嬉しいのですが、私、明日から冒険者として旅に出るので当分参加は出来ないと思います」
「明日から旅に出るのね。寂しくなるわ。私の分まで旅を楽しんできてね。私たちはもう踊ったから次はマーロア、踊って頂戴」
「有難き幸せに存じます」
私はシェルマン殿下のエスコートで中央まで歩き、ダンスを始める。
「マーロア、いつもありがとう。明日からと言っていたな。父の横を見てごらん? 私と踊った後、彼と踊るといいよ」
「シェルマン殿下、いつも陰ながらご配慮頂きありがとうございます。陛下の隣にいる護衛騎士の方ですか?」
私はさっと陛下の方に視線を向けると騎士服を着た一人の男性騎士と目が合った。レヴァイン先生だ! 私は逸る気持ちを抑えて殿下とのダンスを続ける。
「今日のために急いで帰ってきて会場入りをねじ込んだらしいよ。弟子の成長した姿を見たいとね。明日から気を付けて行ってくるんだよ? ファルスはどうするのか楽しみだ」
「ふふっ。お気遣いありがとうございます。ファルスはきっと生涯騎士として頑張っていくと思います」
シェルマン殿下は微笑みながら踊りを続ける。
曲が終わると、私はシェルマン殿下に礼をして私に声を掛ける令息を躱しながら騎士の元へと歩いていく。レヴァイン先生は軽く手を振ってくれたわ。
「レヴァイン先生、来てくれたのですね」
「あぁ、間に合って良かった。大きくなったな」
「一杯頑張ったんですよ」
「マーロア嬢、一曲踊っていただけませんか?」
「陛下の護衛は良いのですか?」
「あぁ、後ろにヘンドリックが居るし大丈夫だ」
どうやらヘンドリックさんが認識阻害を掛けて見えない位置から護衛をしているらしい。レヴァイン先生は満面の笑みを浮かべて端の方で礼をしてから踊りを始める。
レヴァイン先生と踊るのは数年ぶり。ずっと先生は踊る事が無かったはずなのにとても上手だった。
「先生、踊りを忘れているかと思ってました」
「これくらい覚えてなければ先生として失格だろう。二人とも闘技大会から成長したか?」
「もちろんです。魔力も飛躍的に伸びたんですよ。(トイレと友達になったのは内緒だけれど)剣術だってヘンドリックさんやドゥーロさんから一杯教えてもらったんですよ。ファルスはどうかは分からないけれど」
「そうか。二人の成長を見られて良かった。明日からは忙しくなるが準備は出来ているか?」
「もちろん! 先生、この間、Bランクに上がったんです」
久しぶりの先生に一杯話したい事が次々と湧いてくる。先生はニコニコと笑顔で話を聞いてくれたわ。ダンスだってすぐに終わっちゃうくらい楽しかったの。
ファルスも私がレヴァイン先生と踊った事に気づいたようでダンスが終わった後、令嬢たちを振り切って私たちの所にやってきた。
「レヴァイン先生、来ていたんですね」
「ファルス、卒業おめでとう。前より更に背が高くなったか?」
私たちは久しぶりに会った先生と喋りたくてバルコニーに出た。追いかけて来ていた令嬢たちは私たちの様子を見て空気を読んだのか追いかけて来ることは無かった。
バルコニーに着くと待ちきれなかったようでファルスはソワソワとしながら先生に近況報告していて、先生はうんうんと聞いている。
そしてその中で話をしていたのが第四騎士団副団長はファルスの父だった。私が知っても良かったの? と思ったけれど、ファルスはどうせバレる事だし、隠す事もしていないと言っていたのでそのまま聞く事にした。
レヴァイン先生はよく似ているなと思っていた位の認識だったみたい。ファルス自体は現在第六騎士団に所属しているのだとか。これは爵位の無い平民で編成されている騎士団らしい。
第四騎士団までは爵位のある人で編成されていて第五騎士団以降は爵位のない平民の騎士団で成っている。
爵位が無くても騎士として活躍すると騎士爵が貰える場合があるので侮ってはいけない。騎士爵を貰って第一から第四騎士団のいずれかに異動するのが平民騎士の夢だとか。
ファルスのお父さんが第四騎士団の副団長という事は、ファルスは貴族の子息なのね。ビオレタ自身も元伯爵令嬢だったのだし。
でもその辺は深く聞くのはちょっと下世話なことよね? そして今の騎士団はとても楽しいらしくファルスに合っているのだとか。
毎日の訓練がとてもキツイけれど、しっかりと評価されているらしい。良かったわ。
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