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49 サラ視点2
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そうよね、姉が人気者だと信じていたんですもの。こんな魔力なしの姉を健気に思う妹の私って優しいと思われているに違いないわ!
「そ、それは、マーロア嬢は望んでいないと思う、よ」
彼の言葉に周りも頷いている。なんで?
「そんなことはないです。母もいつも姉に言ってますし、妹の私から見ても可哀想なんですっ」
「サラ嬢、き、君はいつもそうやって姉が可哀想だって話しているのかい?」
「? ええ、もちろんです! 私が魔力なしの可哀想な姉に合った人を探してあげないといけないんですっ!」
私が素直に答えると、令息は言葉を詰まらせて何かを考えている。
その横から私たちの会話に入るように令嬢が口を出してきた。彼女は確か、子爵家の人だった気がするわ。
「サラ様、いくら妹でもマーロア様のことを酷く言い過ぎではないですか?」
「ひっ、酷いだなんてっ!! 私はこんなにも姉のことを思ってしているんですっ!! 何にも分かっていないのは貴女じゃないですかっ! 子爵の分際でっ!」
私は子爵令嬢の言葉についカッとなって声を荒らげてしまった。その様子を見ていたエレノア様が私たちのテーブルに来て話しかけてくれたの。私を心配してくれたのね!
「どうしたのかしら?」
「エレノア様っ、お騒がせしてすみませんっ。彼女が私のことを馬鹿にするんですっ」
「馬鹿にするだなんて。そ、そんなことを言った覚えはないですわ」
「そうなの?」
「先ほどまでサラ嬢は僕と話をしていたのですが、サラ嬢はマーロア嬢を馬鹿にしていて、彼女はマーロア嬢を庇っただけです」
私と話をしていた令息に先ほどまでのやりとりをエレノア様に話している。エレノア様は顔色一つ変えることなく『……そう』と呟いた。
「サラ様、マーロア様はとても優秀で私やシェルマン殿下が側近に望むような素晴らしい方ですわ」
「エレノア様っ! 私を姉の代わりにエレノア様の側近にしていただきたいです。魔力なしで騎士崩れな姉などより、魔力を持っている私の方がきっと役に立ちますわっ」
「サラ様、何故貴女は実の姉をそこまで貶めるのでしょうか?」
「貶めてなんていませんわっ! 魔力無しの姉が可哀想で仕方がないのです。私が婚約者を見つけてあげないといけないんですっ」
「なぜ貴女が姉の婚約者を見繕う必要があるのかしら? エフセエ侯爵はなんと仰っているの?」
「父は優しいから何も言わないだけですっ。だからこうして私が代わりに頑張っているんですっ」
「……話になりませんわ。今日のお茶会は親睦を深めるためのものであって婚約者を探す場ではありません。それ以上仰るのなら帰っていただくことになりますわ」
「そっ、そんなっ。ひ、酷いですっ。私はただ、姉のことを思ってっ」
私がエレノア様に訴えようとした時、シェルマン殿下がエレノア様の隣へ来て私に話をする。
「サラ嬢、先ほどエフセエ侯爵を呼んでおいた。君はすぐに帰りなさい」
「えっ、父を……」
「そこの君、王宮の入口まで彼女を連れて行って」
「畏まりました」
殿下の命令で護衛騎士が私を連れて行こうとしている。誰か、助けて。涙目になりながら周りを見渡してみるけれど、誰もが私を奇異な目で見ている。
なんで?
なんで?
「さあ、行きますよ。抵抗すればそのまま貴族牢行きになりますから大人しく歩いた方がいいと思います」
「……」
私は騎士に連れられて王宮の入口まで連れてこられた。既に入口には父が誰かと話しながら立っていた。
「お父様っ!」
「サラ、帰るぞ」
「サラ嬢が来たことですし、私はこれで」
「ご迷惑をおかけしました」
私は口を開くことも許されず侯爵家の馬車に押し込まれるようにして家に帰った。
邸に戻ってすぐに父はオットーを呼び、父の執務室に家族を呼び寄せた。
「ガイロン、突然呼び出して何かあったの? あら、サラ。もう帰ってきたのね」
「サラ姉さま、どうしたの? 青い顔をしてるけど。何かあったの?」
父は無表情のまま、みんなを席に座らせた。
「先ほど、お茶会でサラがシェルマン殿下の不興を買った」
「どういうこと? サラ姉さまが何かしたの?」
「サラ、どういうことなの? 母に教えてちょうだい」
「……わ、私は悪くなんて、ないわっ。マーロア姉さまが悪いのよ! 私はただ、同じテーブルにいたマーロア姉さまのクラスメイトの方に魔力無しの可哀想な姉を後妻でもいいから貰ってくれる人はいないか聞いただけなのっ。何も悪いことなんてしてないわ!」
私の言葉で父の眉間に皺が寄り、母は顎に手を当てて困った顔をしている。
私は何も悪いことなんて、していない、わよね?
「なーんだ。サラ姉さまは何にも悪くないじゃないか。魔力無しなんだから当然だよね?マーロア姉さまはサラ姉さまに感謝すべきことだよね」
テラの言葉に父もオットーも厳しい顔をしている。
「サラもテラも本気でそう思っているのか?」
「ええ! もちろんですよ父上。サラ姉さまは何も間違っていません」
「サラもそう思っているのか?」
「お父様、私は何も悪くないわ。それに姉の代わりにエレノア様の侍女になりたいって言ったのは本心だし。魔力無しのマーロア姉さまよりも魔力を持っている私の方が優秀だからそっちの方がいいに決まっているでしょう?」
父は私の言葉を聞いて額に手を当てている。どういうことだろう?
「サラ、お前はノイズ公爵令嬢にもそんなことを言ったのか……」
「そうよ。何も悪いことは言っていないわ!」
「そうだよ! サラ姉さまは当たり前のことを言っただけじゃないか」
テラが私と一緒に父に反論してくれる。母はただ黙っているだけだけど。
「お前たちは教育のし直しだ。シャス、お前は何を子供たちに吹き込んだ?」
「私は何も? マーロア宛に来ていた招待状をサラが行きたいというので変更して出しただけよ。ガイロン、あまりサラを責めないであげて。サラだって悪気はないんだもの」
「……。お前たちはそう思っているのか。二人ともよく聞きなさい。マーロアは確かに魔力を持っていない。
私は領地に送り、マーロアを貴族の醜聞から守ったつもりだった。マーロアは努力し、自ら道を切り開き、シェルマン殿下やアイズ公爵令嬢の護衛を頼まれる程の実力を身につけている。
闘技大会でも優勝し、成績も常に十位以内に入っている。魔力を別にすれば才女で王家にだって嫁げるくらいだ。
魔力を持っていなくてもマーロアが公の場に出るごとに評価は上がってきている。
それを家族であるお前たちは率先して姉の評価を下げようとしているのがわからんのか? 王家の覚えめでたい優秀な子を売りに出すほど我が家は困窮していない」
「ガイロン、そこまでにしてあげて。サラが可哀想よ。だってマーロアに魔力が無いんだから」
「……シャス、二人を庇うのならお前も同罪だ。これ以上マーロア、ひいては我が家を貶めるのであれば離縁だ。オットー、すぐにユベールに連絡を取れ。テラをビオレタの元へ送る。サラはドーロンに預ける」
「お父様っ! なんでっ。私がドーロン叔父さんのところへ行かなくてはいけないの! 行きたくなんてないわっ。だって本当のことじゃない! 我が家を貶めてなんてないわっ」
「僕だってあんな村、行きたくない! やらかしたのはサラ姉さまだけだし、僕は関係ない!」
私もテラも父に必死に言い返すけれど、父は私たちに取り合わず、オットーに細かな指示を出している。
母はというと、父に離縁だと言われて青い顔をして黙っているだけで私たちを庇ってくれる様子はない。
「サラ、お前はシェルマン殿下とアイズ公爵令嬢の不興を買った。もう王都に戻ることは出来ないと覚悟しておくんだ。ドーロンの元でしっかりと勉強しなおしてきなさい」
「そ、そんなっ。お父様っ!」
結局、抵抗むなしく私は、ドーロン叔父さんの元に向かうことになった。
テラも泣きながら抵抗したけれど、護衛のレコには敵わず、レコと一緒にマーロア姉さまが住んでいた村にすぐに向かった。
……なんでこうなってしまったの?
「そ、それは、マーロア嬢は望んでいないと思う、よ」
彼の言葉に周りも頷いている。なんで?
「そんなことはないです。母もいつも姉に言ってますし、妹の私から見ても可哀想なんですっ」
「サラ嬢、き、君はいつもそうやって姉が可哀想だって話しているのかい?」
「? ええ、もちろんです! 私が魔力なしの可哀想な姉に合った人を探してあげないといけないんですっ!」
私が素直に答えると、令息は言葉を詰まらせて何かを考えている。
その横から私たちの会話に入るように令嬢が口を出してきた。彼女は確か、子爵家の人だった気がするわ。
「サラ様、いくら妹でもマーロア様のことを酷く言い過ぎではないですか?」
「ひっ、酷いだなんてっ!! 私はこんなにも姉のことを思ってしているんですっ!! 何にも分かっていないのは貴女じゃないですかっ! 子爵の分際でっ!」
私は子爵令嬢の言葉についカッとなって声を荒らげてしまった。その様子を見ていたエレノア様が私たちのテーブルに来て話しかけてくれたの。私を心配してくれたのね!
「どうしたのかしら?」
「エレノア様っ、お騒がせしてすみませんっ。彼女が私のことを馬鹿にするんですっ」
「馬鹿にするだなんて。そ、そんなことを言った覚えはないですわ」
「そうなの?」
「先ほどまでサラ嬢は僕と話をしていたのですが、サラ嬢はマーロア嬢を馬鹿にしていて、彼女はマーロア嬢を庇っただけです」
私と話をしていた令息に先ほどまでのやりとりをエレノア様に話している。エレノア様は顔色一つ変えることなく『……そう』と呟いた。
「サラ様、マーロア様はとても優秀で私やシェルマン殿下が側近に望むような素晴らしい方ですわ」
「エレノア様っ! 私を姉の代わりにエレノア様の側近にしていただきたいです。魔力なしで騎士崩れな姉などより、魔力を持っている私の方がきっと役に立ちますわっ」
「サラ様、何故貴女は実の姉をそこまで貶めるのでしょうか?」
「貶めてなんていませんわっ! 魔力無しの姉が可哀想で仕方がないのです。私が婚約者を見つけてあげないといけないんですっ」
「なぜ貴女が姉の婚約者を見繕う必要があるのかしら? エフセエ侯爵はなんと仰っているの?」
「父は優しいから何も言わないだけですっ。だからこうして私が代わりに頑張っているんですっ」
「……話になりませんわ。今日のお茶会は親睦を深めるためのものであって婚約者を探す場ではありません。それ以上仰るのなら帰っていただくことになりますわ」
「そっ、そんなっ。ひ、酷いですっ。私はただ、姉のことを思ってっ」
私がエレノア様に訴えようとした時、シェルマン殿下がエレノア様の隣へ来て私に話をする。
「サラ嬢、先ほどエフセエ侯爵を呼んでおいた。君はすぐに帰りなさい」
「えっ、父を……」
「そこの君、王宮の入口まで彼女を連れて行って」
「畏まりました」
殿下の命令で護衛騎士が私を連れて行こうとしている。誰か、助けて。涙目になりながら周りを見渡してみるけれど、誰もが私を奇異な目で見ている。
なんで?
なんで?
「さあ、行きますよ。抵抗すればそのまま貴族牢行きになりますから大人しく歩いた方がいいと思います」
「……」
私は騎士に連れられて王宮の入口まで連れてこられた。既に入口には父が誰かと話しながら立っていた。
「お父様っ!」
「サラ、帰るぞ」
「サラ嬢が来たことですし、私はこれで」
「ご迷惑をおかけしました」
私は口を開くことも許されず侯爵家の馬車に押し込まれるようにして家に帰った。
邸に戻ってすぐに父はオットーを呼び、父の執務室に家族を呼び寄せた。
「ガイロン、突然呼び出して何かあったの? あら、サラ。もう帰ってきたのね」
「サラ姉さま、どうしたの? 青い顔をしてるけど。何かあったの?」
父は無表情のまま、みんなを席に座らせた。
「先ほど、お茶会でサラがシェルマン殿下の不興を買った」
「どういうこと? サラ姉さまが何かしたの?」
「サラ、どういうことなの? 母に教えてちょうだい」
「……わ、私は悪くなんて、ないわっ。マーロア姉さまが悪いのよ! 私はただ、同じテーブルにいたマーロア姉さまのクラスメイトの方に魔力無しの可哀想な姉を後妻でもいいから貰ってくれる人はいないか聞いただけなのっ。何も悪いことなんてしてないわ!」
私の言葉で父の眉間に皺が寄り、母は顎に手を当てて困った顔をしている。
私は何も悪いことなんて、していない、わよね?
「なーんだ。サラ姉さまは何にも悪くないじゃないか。魔力無しなんだから当然だよね?マーロア姉さまはサラ姉さまに感謝すべきことだよね」
テラの言葉に父もオットーも厳しい顔をしている。
「サラもテラも本気でそう思っているのか?」
「ええ! もちろんですよ父上。サラ姉さまは何も間違っていません」
「サラもそう思っているのか?」
「お父様、私は何も悪くないわ。それに姉の代わりにエレノア様の侍女になりたいって言ったのは本心だし。魔力無しのマーロア姉さまよりも魔力を持っている私の方が優秀だからそっちの方がいいに決まっているでしょう?」
父は私の言葉を聞いて額に手を当てている。どういうことだろう?
「サラ、お前はノイズ公爵令嬢にもそんなことを言ったのか……」
「そうよ。何も悪いことは言っていないわ!」
「そうだよ! サラ姉さまは当たり前のことを言っただけじゃないか」
テラが私と一緒に父に反論してくれる。母はただ黙っているだけだけど。
「お前たちは教育のし直しだ。シャス、お前は何を子供たちに吹き込んだ?」
「私は何も? マーロア宛に来ていた招待状をサラが行きたいというので変更して出しただけよ。ガイロン、あまりサラを責めないであげて。サラだって悪気はないんだもの」
「……。お前たちはそう思っているのか。二人ともよく聞きなさい。マーロアは確かに魔力を持っていない。
私は領地に送り、マーロアを貴族の醜聞から守ったつもりだった。マーロアは努力し、自ら道を切り開き、シェルマン殿下やアイズ公爵令嬢の護衛を頼まれる程の実力を身につけている。
闘技大会でも優勝し、成績も常に十位以内に入っている。魔力を別にすれば才女で王家にだって嫁げるくらいだ。
魔力を持っていなくてもマーロアが公の場に出るごとに評価は上がってきている。
それを家族であるお前たちは率先して姉の評価を下げようとしているのがわからんのか? 王家の覚えめでたい優秀な子を売りに出すほど我が家は困窮していない」
「ガイロン、そこまでにしてあげて。サラが可哀想よ。だってマーロアに魔力が無いんだから」
「……シャス、二人を庇うのならお前も同罪だ。これ以上マーロア、ひいては我が家を貶めるのであれば離縁だ。オットー、すぐにユベールに連絡を取れ。テラをビオレタの元へ送る。サラはドーロンに預ける」
「お父様っ! なんでっ。私がドーロン叔父さんのところへ行かなくてはいけないの! 行きたくなんてないわっ。だって本当のことじゃない! 我が家を貶めてなんてないわっ」
「僕だってあんな村、行きたくない! やらかしたのはサラ姉さまだけだし、僕は関係ない!」
私もテラも父に必死に言い返すけれど、父は私たちに取り合わず、オットーに細かな指示を出している。
母はというと、父に離縁だと言われて青い顔をして黙っているだけで私たちを庇ってくれる様子はない。
「サラ、お前はシェルマン殿下とアイズ公爵令嬢の不興を買った。もう王都に戻ることは出来ないと覚悟しておくんだ。ドーロンの元でしっかりと勉強しなおしてきなさい」
「そ、そんなっ。お父様っ!」
結局、抵抗むなしく私は、ドーロン叔父さんの元に向かうことになった。
テラも泣きながら抵抗したけれど、護衛のレコには敵わず、レコと一緒にマーロア姉さまが住んでいた村にすぐに向かった。
……なんでこうなってしまったの?
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