32 / 32
32 ルシアン side 【完】
しおりを挟む
ようやくオリーブと気持ちが通じ合えた。嬉しい。彼女は訳ありで結婚出来ないと言っていたが、婚約者から逃げてきたのだろうか?犯罪者では無いと言っていたし、心配する必要は無いのかもしれない。
俺はオリーブの側にいるだけでいい。
あぁ、幸せだ。
それは突然の事だった。帽子を深く被った通行人がオリーブにぶつかった。すると、隣に居たオリーブが膝を突いたんだ。どうした?とよく見てみるとオリーブの腹から血がポタポタと落ちている。どういうことた??
「いい気味だわ!ルシアンは私と結婚するのよ!私のルシアンを取らないで、近寄らないで」
そう叫んだのはローザだった。ローザがオリーブを刺したのか。
早く、まず、早くポーションを。
間に合え。
逸る気持ちとは裏腹に動揺して上手く探せない。急いでマジックバッグを漁る。あぁ、クソッ、急げ。
ローザは俺がポーションを探していると、
「あんたなんか回復なんてさせない!」
とオリーブに向かって更にナイフを振り上げた。クソッなんて女だ。オリーブを殺す気だ。
アイツ。俺の大切なオリーブに怪我をさせるなんて。オリーブを見ると、何か深刻な顔をしている。彼女の手がふわっと光った。
そして迫ってきたローザのナイフを叩き落とした。
あぁ、良かった。
そう思ったのも束の間。オリーブの様子がおかしい。苦しみ始め両手を地面に手を突いたかと思うと血を吐き出した。毒なのか?
ローザはオリーブの姿を見て狂ったように笑っている。
単に刺されただけではポーションやヒールで治るはずだ。
このままでは死んでしまう。するとオリーブから【解呪】の小さな声が聞こえてきた。
オリーブの手が光って傷口が塞がった。もしかしてヒールや解呪を使う事が出来る??
動けるようになったオリーブはローザを気絶させる。ローザが騒いでいたため、人々が集まり始めている。
「ルシアン。ごめん。私、ルシアンの側にもう少し居たかった。さよなら。」
そう言い残し、彼女は俺の元から去ってしまった。
その場に残された俺とローザは痴話喧嘩として処理された。オリーブの血の跡も、俺が怪我をし、俺の手にしていたポーションで回復した事になった。
その後、ローザはというと、結局母親と共に娼館行きとなった。
俺を刺した事になっていて自警団詰所で罪に問われたのだが、殺人未遂で刑を執行させる前に色々な所で借金を重ねていたため、借金取りが申し立てをしたようだ。
娼館で借金を返済してから牢獄行きとなるらしい。ローザの見た目は良いから多く客も付いているらしいので借金はすぐに返せるだろう。母親も下女として真面目に働いているらしい。
それからの俺は、居なくなったオリーブを探す日々。
ヒールや解呪が使えるオリーブはきっと聖女なのだろう。国から奴隷のような扱いを嫌い、逃げていたのか。それとも、権力を嫌い出てきたのか。
ローブを深く被り、人目を避けていたのか。俺に迷惑が掛かると知っていて俺と結婚出来ないと言ったのか。
全ては謎だ。
だが、オリーブは今、怯えているに違いない。俺が側に居ないと。ずっと彼女は一人きりだった。辛い思いを一人で抱え込んでいるはずだ。
オリーブが居なくなってすぐに周辺の街を探したが見つからない。森に入ったのかもしれないと思い、森を歩き回る日々が続いている。
見つからない。
だが、諦める訳にはいかないんだ。
3年もの月日が流れた。
いつものように狩りをしながらオリーブを探して森を歩く。ふと、森に呼ばれたような気がした。俺は呼ばれた方向へ歩いて行く。何日も。
数日も森の中を歩き回り、深い森の奥にたどり着いた。森の奥に居るはずのない人間らしき影が見えた。よく見ると、黒髪の人間が狩りをしている。
「こんな森の奥深くに人が住んでいるのか?」
気がつくと口に出していた。俺の口にした言葉が聞こえたようで黒髪の人間が手を止め、振り向いた。
「・・・ルシアン?」
心臓が跳ねる。高まる期待に呼応して心臓がドクドクと強く脈打ち始める。
「!?。俺の名前を知っている?もしかして、君は俺の探している恋人かい?」
俺は緊張しながら問いかけた。
黒髪の人は髪色をオレンジに変え、髪を結い俺に涙と笑顔を見せた。
「オリーブ。ようやく見つけた。」
もう絶対離さない。何があろうとも。
【完】
ーーーーーーーーーーーーーーーー
ここまでお付き合い頂き有難う御座います!
読んで頂いた方、お気に入りに登録して頂いた方。皆様、本当に有難うございました。
俺はオリーブの側にいるだけでいい。
あぁ、幸せだ。
それは突然の事だった。帽子を深く被った通行人がオリーブにぶつかった。すると、隣に居たオリーブが膝を突いたんだ。どうした?とよく見てみるとオリーブの腹から血がポタポタと落ちている。どういうことた??
「いい気味だわ!ルシアンは私と結婚するのよ!私のルシアンを取らないで、近寄らないで」
そう叫んだのはローザだった。ローザがオリーブを刺したのか。
早く、まず、早くポーションを。
間に合え。
逸る気持ちとは裏腹に動揺して上手く探せない。急いでマジックバッグを漁る。あぁ、クソッ、急げ。
ローザは俺がポーションを探していると、
「あんたなんか回復なんてさせない!」
とオリーブに向かって更にナイフを振り上げた。クソッなんて女だ。オリーブを殺す気だ。
アイツ。俺の大切なオリーブに怪我をさせるなんて。オリーブを見ると、何か深刻な顔をしている。彼女の手がふわっと光った。
そして迫ってきたローザのナイフを叩き落とした。
あぁ、良かった。
そう思ったのも束の間。オリーブの様子がおかしい。苦しみ始め両手を地面に手を突いたかと思うと血を吐き出した。毒なのか?
ローザはオリーブの姿を見て狂ったように笑っている。
単に刺されただけではポーションやヒールで治るはずだ。
このままでは死んでしまう。するとオリーブから【解呪】の小さな声が聞こえてきた。
オリーブの手が光って傷口が塞がった。もしかしてヒールや解呪を使う事が出来る??
動けるようになったオリーブはローザを気絶させる。ローザが騒いでいたため、人々が集まり始めている。
「ルシアン。ごめん。私、ルシアンの側にもう少し居たかった。さよなら。」
そう言い残し、彼女は俺の元から去ってしまった。
その場に残された俺とローザは痴話喧嘩として処理された。オリーブの血の跡も、俺が怪我をし、俺の手にしていたポーションで回復した事になった。
その後、ローザはというと、結局母親と共に娼館行きとなった。
俺を刺した事になっていて自警団詰所で罪に問われたのだが、殺人未遂で刑を執行させる前に色々な所で借金を重ねていたため、借金取りが申し立てをしたようだ。
娼館で借金を返済してから牢獄行きとなるらしい。ローザの見た目は良いから多く客も付いているらしいので借金はすぐに返せるだろう。母親も下女として真面目に働いているらしい。
それからの俺は、居なくなったオリーブを探す日々。
ヒールや解呪が使えるオリーブはきっと聖女なのだろう。国から奴隷のような扱いを嫌い、逃げていたのか。それとも、権力を嫌い出てきたのか。
ローブを深く被り、人目を避けていたのか。俺に迷惑が掛かると知っていて俺と結婚出来ないと言ったのか。
全ては謎だ。
だが、オリーブは今、怯えているに違いない。俺が側に居ないと。ずっと彼女は一人きりだった。辛い思いを一人で抱え込んでいるはずだ。
オリーブが居なくなってすぐに周辺の街を探したが見つからない。森に入ったのかもしれないと思い、森を歩き回る日々が続いている。
見つからない。
だが、諦める訳にはいかないんだ。
3年もの月日が流れた。
いつものように狩りをしながらオリーブを探して森を歩く。ふと、森に呼ばれたような気がした。俺は呼ばれた方向へ歩いて行く。何日も。
数日も森の中を歩き回り、深い森の奥にたどり着いた。森の奥に居るはずのない人間らしき影が見えた。よく見ると、黒髪の人間が狩りをしている。
「こんな森の奥深くに人が住んでいるのか?」
気がつくと口に出していた。俺の口にした言葉が聞こえたようで黒髪の人間が手を止め、振り向いた。
「・・・ルシアン?」
心臓が跳ねる。高まる期待に呼応して心臓がドクドクと強く脈打ち始める。
「!?。俺の名前を知っている?もしかして、君は俺の探している恋人かい?」
俺は緊張しながら問いかけた。
黒髪の人は髪色をオレンジに変え、髪を結い俺に涙と笑顔を見せた。
「オリーブ。ようやく見つけた。」
もう絶対離さない。何があろうとも。
【完】
ーーーーーーーーーーーーーーーー
ここまでお付き合い頂き有難う御座います!
読んで頂いた方、お気に入りに登録して頂いた方。皆様、本当に有難うございました。
応援ありがとうございます!
40
お気に入りに追加
468
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(5件)
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
ルシアンENDなのかな?
執着心が激しい男ばかりでルシアンに見つかってbadENDとしか思えませんでした。
ヒロポン様コメント有難うございます。
一途に思ってくれるかストーカーか人によるのですね(゚o゚;;
最後までお読みいただきありがとうございました⭐︎
物語は面白いのに、出会う男の殆どが軽薄で自己中の上、主人公の意思を完全に無視して親に紹介したりで、この主人公は男運がないのかなぁと残念に思いました。
正直、自分の周囲を説得すらせずに紹介して、主人公が貶されるのを殆どの男性陣はスルーしてるんですが、本当に好きなのか疑問。好きな女性(主人公)に思い遣りすらない。
婚約者というキープをそのままに主人公にアピールして、なんだかなぁと。婚約者に対して浮気ですよね?(主人公、突っ込もうよ。略奪女にされちゃう)
グレンの件は、宰相だけはまともだなぁと思いました。国益はぶっちゃけ結果論だし。
ルシアンとくっつくようですが、命の恩人が貶されてるのに咎めもしない男。
土産を以前送ってたりと、ローザの勘違いを加速させているのに、キチンと線引きせずにいたが為に、主人公が刺されたのだけども。
そうなっちゃうよねって終わり方でした。
男がゴミなとこ以外は、普通にわくわくして楽しめました。
たまご様コメントありがとうございます。
最後までお読み頂きありがとうございました⭐︎(´∀`)
素敵な物語でした😭👏👏👏
その後、ルシアンと主人公の幸せが気になるー💓💓
せち様コメントありがとうございます。
最後までお読み頂きありがとうございました♪ルシアンと超ラブラブで子供3人位産まれて幸せ一杯です(作者の脳内イメージ)(´∀`)