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15話 油断をするなという話
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「最後、見てなかったんですがどう倒したんですか?」
「どうって、そりゃあスパッとだよ」
血抜きをしアニスのアイテムボックスに入るレベルの大きさに細かくしたベアの四肢やら胴体を渡して収納している間に投げかけてくる質問に対して返事をする。
特になんてことはなく、ただ単純に斬った事を言うのはなかなか難しい気もするのだが、収納し終わって一息ついてから、ふむ、と考え込む。
「そうだな、素早く抜いて、振り抜くってだけだな」
「……それをどうするのかが問題かと」
「鍛えるしかない……って言うのは二流だね」
杖をこつこつと地面に突きながら、少しだけ考える。
「魔物の特徴を知ってどこを狙えばいいかをしっかり見極めるってのも大事だね、適当に攻撃して倒せるのはよっぽど実力差、威力がないと出来ない」
「その後者二つではない、と?」
「歳をとればとるほど、無駄が削がれるのさ」
結構大きい熊だったが、全部を収納しきれるので、やはりアイテムボックスという技能は便利だ。こういう技能ってのは大体生まれつき持ってる場合が多いし、そういう遺伝なんだろう。どうにかこうにか後天的に覚えるって事が出来るようなものでもないし、こういうものはなんだったら魔法道具として手に入る場合があるのでそっちでまかなうって事をする……のもあまりないな。
話が大分逸れたが、熊を倒したのは経験則が強い。あいつはかなり大振りに攻撃を振ってくる場合が多く、狙ってくださいと言う様に体を大きく見せてくるのでそこを狙い攻撃するってだけなんだが、言うだけなら確かに簡単か。
「ま、経験だね……とにかくこなさないと出来んよ」
「自分がその領域に行ける想像ができませんね……」
「ちんぽに毛が生えたばかりの小僧にゃ無理だね」
けらけらと笑いながら、収納しきったんだから帰るぞ、と促す様に杖でアニスの尻を小突き、歩き始める。
「さて、あとは此処から帰るだけだけど、帰る間も油断するんじゃないよ」
「と、言いますと?」
「単純な疲弊、返り血だったり消耗している所に不意の魔物に襲われる、たまに野盗辺りもでるから」
「そんな問題おきますかね」
「今日はまだ遠くない所だからいいけど、山だったりもっと深い森、単純に街までの距離が長い場合なんてあるでしょ」
「それは、まあ」
「依頼だけこなして後は何も起きずに平和に終わりますってのはそうそうないんだよ」
ふいーっと大きめに息を吐き出しつつ、森の中を歩き続ける。
ここも勝手知ったる山ではあるが、何が出てくるのかまではよくわからないので、不意に襲われ、死人が出るかもしれないので警戒し続けている。
「目的を達したからって油断するのは二流って事だから、しっかり覚えておきな」
「の、ようですね」
横の道から勢いよく猪の魔物が突っ込んでくるので、木々を使ってその攻撃を回避すると、頭に星でも浮かべて気絶していく。こうやって何が出るか分からないから警戒しろという事だな。
「気絶したのはほったらかしておきな、余計な事をして刺激しなくていい」
「でも足しにはなるかと思いますが」
「むやみやたらに討伐しても仕方がないんだよ、ほれ、いくよ」
余計な事をせず、さっさと猪から離れ、街へと向かう。
「どうって、そりゃあスパッとだよ」
血抜きをしアニスのアイテムボックスに入るレベルの大きさに細かくしたベアの四肢やら胴体を渡して収納している間に投げかけてくる質問に対して返事をする。
特になんてことはなく、ただ単純に斬った事を言うのはなかなか難しい気もするのだが、収納し終わって一息ついてから、ふむ、と考え込む。
「そうだな、素早く抜いて、振り抜くってだけだな」
「……それをどうするのかが問題かと」
「鍛えるしかない……って言うのは二流だね」
杖をこつこつと地面に突きながら、少しだけ考える。
「魔物の特徴を知ってどこを狙えばいいかをしっかり見極めるってのも大事だね、適当に攻撃して倒せるのはよっぽど実力差、威力がないと出来ない」
「その後者二つではない、と?」
「歳をとればとるほど、無駄が削がれるのさ」
結構大きい熊だったが、全部を収納しきれるので、やはりアイテムボックスという技能は便利だ。こういう技能ってのは大体生まれつき持ってる場合が多いし、そういう遺伝なんだろう。どうにかこうにか後天的に覚えるって事が出来るようなものでもないし、こういうものはなんだったら魔法道具として手に入る場合があるのでそっちでまかなうって事をする……のもあまりないな。
話が大分逸れたが、熊を倒したのは経験則が強い。あいつはかなり大振りに攻撃を振ってくる場合が多く、狙ってくださいと言う様に体を大きく見せてくるのでそこを狙い攻撃するってだけなんだが、言うだけなら確かに簡単か。
「ま、経験だね……とにかくこなさないと出来んよ」
「自分がその領域に行ける想像ができませんね……」
「ちんぽに毛が生えたばかりの小僧にゃ無理だね」
けらけらと笑いながら、収納しきったんだから帰るぞ、と促す様に杖でアニスの尻を小突き、歩き始める。
「さて、あとは此処から帰るだけだけど、帰る間も油断するんじゃないよ」
「と、言いますと?」
「単純な疲弊、返り血だったり消耗している所に不意の魔物に襲われる、たまに野盗辺りもでるから」
「そんな問題おきますかね」
「今日はまだ遠くない所だからいいけど、山だったりもっと深い森、単純に街までの距離が長い場合なんてあるでしょ」
「それは、まあ」
「依頼だけこなして後は何も起きずに平和に終わりますってのはそうそうないんだよ」
ふいーっと大きめに息を吐き出しつつ、森の中を歩き続ける。
ここも勝手知ったる山ではあるが、何が出てくるのかまではよくわからないので、不意に襲われ、死人が出るかもしれないので警戒し続けている。
「目的を達したからって油断するのは二流って事だから、しっかり覚えておきな」
「の、ようですね」
横の道から勢いよく猪の魔物が突っ込んでくるので、木々を使ってその攻撃を回避すると、頭に星でも浮かべて気絶していく。こうやって何が出るか分からないから警戒しろという事だな。
「気絶したのはほったらかしておきな、余計な事をして刺激しなくていい」
「でも足しにはなるかと思いますが」
「むやみやたらに討伐しても仕方がないんだよ、ほれ、いくよ」
余計な事をせず、さっさと猪から離れ、街へと向かう。
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