7 / 16
7話 地味な仕事こそやるのが冒険者
しおりを挟む
翌日、しっかり朝食を取った後、早速冒険者ギルドに向かう。
そのまま受付に行って早速認識票をアニスが受け取るわけだが、特に問題も無く、一番下の位が書き込まれている。
「それではこの認識票に関しての説明をしますね。まず魔力を込める事によって名前、位が表示されます」
「やってみな」
「はい」
アニスが認識票の端を持って意識を手に集中するとぼおっと光が浮き上がって、その認識票に名前と位が表示される。歳を取った私にしたらあの認識票の大きさと、表示される文字の大きさは目に辛い。
「で、次に認識票に血の契約をしますので、1滴血を垂らしてください」
歯で指に切れ込みを……ってどれだけ鋭いのだろうか、そんな事は出来ないので素直にナイフを取り出して指先にぷつっと軽く切れ込みを入れ、滲んでくる血を認識票に垂らす。そうすると血の垂らした所が淡く光ってからすぐにその光も収まっていく。
「これでアニスさんとこの認識票が紐付けされました」
これをする事で持ち主が死んでるのか生きてるのかが分かるようになる。冒険者家業をしていると認識票しか残らず、誰が死んだか分からなくなったりするので、其れの措置だ。
また、これの利点と言うのは別の誰かと認識票を交換し、魔力を流して生きているかどうかを確認するというのも出来る。
本人かどうかも魔力を込めて表示が出たときの色で判別できるので非常に使い所のあるものになる。魔力を流すという点だけが問題ではあるのだが、全くもって魔力が無い人間と言うのはこの世にいないので、赤ん坊でも理論上はこの認識票を使う事が出来る。
「さて、後はどんな依頼をするかだね」
本人確認が完了した認識票を首から下げてから、私が見ていた依頼の張ってある掲示板の所に。稼ぎの良い物は大体危険性が高く、大体新人が功を焦って自滅するという話はよくある。何だったら数匹のラビに囲まれて命を落とすって言う事例も少なからずあるので、まずはだ。
「冒険者って言っても色々やれることはあるんですね」
「簡単に言えば何でも屋だよ……まずはこれだね」
ぴっと掲示板の張られている依頼書を外して手元でもう一度確認。
「どういうものですか?」
「街の掃除」
こういう緊急性はないが、常に張り出されている依頼ってのは歩合の場合が多い。冒険者のくせにと言ってこういった事をやらない傾向にある。だからこそやらせるというのもあるのだが、こういう下積みを疎かにするやつは大体碌でもないことになる。
「もっと切った張ったするような事かと思ってたんですが」
「活動拠点にする街では顔を売っておいた方が良い、覚えておきな」
そのまま受付に引き連れて、依頼を受けさせる。
手順はこの間やった通りなので特に引っかかる事も無く、依頼を受理。控えは無くさない所にしっかり仕舞う事と強めに言って置く。
「それじゃあ、頑張って稼いできな」
「一緒には行ってくれないんですか」
「子供のお守までするのは勘弁だね」
「……とんでもない人について行った気がしますよ!」
そんな事をいいながら冒険者ギルドを後にして依頼を受けに行くアニスを見送る。
「良いんですか、あんな感じで……しかも初依頼が掃除って」
「間違った事じゃないよ、顔を覚えて貰って好印象、なおかつ掃除で体を動かすから体力づくりも出来る、ついでに稼げもするから一石三鳥くらいあるんだよ」
「……私が小さいころから知ってますけど、詳しく知らないんですよね……」
「なーに、ただの老いぼれだよ」
そんな事を言いつつ、掲示板の依頼を確認して、適当な物を受けようか考える。一応ダメだった時の保険ってのもかけておかないとね。
そのまま受付に行って早速認識票をアニスが受け取るわけだが、特に問題も無く、一番下の位が書き込まれている。
「それではこの認識票に関しての説明をしますね。まず魔力を込める事によって名前、位が表示されます」
「やってみな」
「はい」
アニスが認識票の端を持って意識を手に集中するとぼおっと光が浮き上がって、その認識票に名前と位が表示される。歳を取った私にしたらあの認識票の大きさと、表示される文字の大きさは目に辛い。
「で、次に認識票に血の契約をしますので、1滴血を垂らしてください」
歯で指に切れ込みを……ってどれだけ鋭いのだろうか、そんな事は出来ないので素直にナイフを取り出して指先にぷつっと軽く切れ込みを入れ、滲んでくる血を認識票に垂らす。そうすると血の垂らした所が淡く光ってからすぐにその光も収まっていく。
「これでアニスさんとこの認識票が紐付けされました」
これをする事で持ち主が死んでるのか生きてるのかが分かるようになる。冒険者家業をしていると認識票しか残らず、誰が死んだか分からなくなったりするので、其れの措置だ。
また、これの利点と言うのは別の誰かと認識票を交換し、魔力を流して生きているかどうかを確認するというのも出来る。
本人かどうかも魔力を込めて表示が出たときの色で判別できるので非常に使い所のあるものになる。魔力を流すという点だけが問題ではあるのだが、全くもって魔力が無い人間と言うのはこの世にいないので、赤ん坊でも理論上はこの認識票を使う事が出来る。
「さて、後はどんな依頼をするかだね」
本人確認が完了した認識票を首から下げてから、私が見ていた依頼の張ってある掲示板の所に。稼ぎの良い物は大体危険性が高く、大体新人が功を焦って自滅するという話はよくある。何だったら数匹のラビに囲まれて命を落とすって言う事例も少なからずあるので、まずはだ。
「冒険者って言っても色々やれることはあるんですね」
「簡単に言えば何でも屋だよ……まずはこれだね」
ぴっと掲示板の張られている依頼書を外して手元でもう一度確認。
「どういうものですか?」
「街の掃除」
こういう緊急性はないが、常に張り出されている依頼ってのは歩合の場合が多い。冒険者のくせにと言ってこういった事をやらない傾向にある。だからこそやらせるというのもあるのだが、こういう下積みを疎かにするやつは大体碌でもないことになる。
「もっと切った張ったするような事かと思ってたんですが」
「活動拠点にする街では顔を売っておいた方が良い、覚えておきな」
そのまま受付に引き連れて、依頼を受けさせる。
手順はこの間やった通りなので特に引っかかる事も無く、依頼を受理。控えは無くさない所にしっかり仕舞う事と強めに言って置く。
「それじゃあ、頑張って稼いできな」
「一緒には行ってくれないんですか」
「子供のお守までするのは勘弁だね」
「……とんでもない人について行った気がしますよ!」
そんな事をいいながら冒険者ギルドを後にして依頼を受けに行くアニスを見送る。
「良いんですか、あんな感じで……しかも初依頼が掃除って」
「間違った事じゃないよ、顔を覚えて貰って好印象、なおかつ掃除で体を動かすから体力づくりも出来る、ついでに稼げもするから一石三鳥くらいあるんだよ」
「……私が小さいころから知ってますけど、詳しく知らないんですよね……」
「なーに、ただの老いぼれだよ」
そんな事を言いつつ、掲示板の依頼を確認して、適当な物を受けようか考える。一応ダメだった時の保険ってのもかけておかないとね。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説



Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~
味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。
しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。
彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。
故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。
そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。
これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる