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22章
586話 勝負服
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「たまには私に付き合うのも良いだろ?」
「久々に呼び出したと思ったら、全く……賭け事はあまりしないんだが」
口に葉巻を咥え、黒のスーツ、黒シャツに黒ネクタイ、黒の皮手袋、金のピンやカフスがちらりと見える恰好でカジノの入り口で隣の付添いに話しかけるアカメ。黒一色のびしりと決めた格好に赤い目が良く映える。その隣、白をベースに黒のラインが入ったストライプスーツに白い中折れハットを被ったのが、自分の髭を撫でながらため息混じりにアカメに返事をする。
「他の連中が誘ってもあんまり乗ってこないんだからしょーがないでしょ、髭親父」
「酒造クランの重鎮を顎で使えるのはお前だけだ」
「昔は密造してたのにねえ」
くつくつと笑うアカメにさっきと同じようにため息を吐き出しつつ返事をする。が、心なしか楽しそうにしている。
「それで、何でこんなカジノに連れ込んだんだ」
「此処で賭け試合があるっていうから、滅茶苦茶にして遊んでやろうって思ってね」
そう言いつつ、二人並んで歩きだす。そこまで混雑してるわけではないが、中々の広さのカジノで結構なプレイヤーがあれこれ遊び、バニーが歩いて接客している。
「バニーはNPCか、中々稼いでいるクランみたいだな」
「プレイヤーもちらほら要るっぽいね、まー、非日常を楽しむってのは良い事でそ」
ぷはーっと葉巻の煙を吐いて燻らせながらどんどんと奥に行き、受付兼換金所の所までやってくると、この間戦ったディーラーの恰好をしたのが出迎えてくる。
「ようこそアカメ様、それとお連れの方も」
「こいつか、アカメを追い込んだのは」
「しょうがないでしょ、義肢に慣れてなかったんだから」
ぐぱぐぱと手を握って見せつつ憎たらしい事を言ってくる十兵衛に対していーっと反抗。
「……して、この間の招待状を見てもらったわけですが、参加でよろしいでしょうか」
「この髭も参加できるでしょ?」
「はい、問題ありません」
隣でとんとん拍子で話を進めていくアカメの隣、また巻き込んでと言った感じで十兵衛がやれやれと小声で漏らす。
「では、参加者のお二人にはパーティを組んでもらってから、此方を」
そう言いながらすっと差し出してくるのは500円玉より多少大きいピンバッジ。トランプの裏面が描かれているちょっと洒落ているデザイン、数字が左上と右下の対角線で書かれており、どちらも13と書かれている。とりあえずと2人揃って胸元、開いている所にそれを付けて襟を正す。
「それでは参加時刻までまだ時間がありますので、当店のカジノをお楽しみください。此方、軍資金となります」
受付のテーブルに二枚のカード、それを手に取ってどんなものかを見ると数字が浮かび上がる。
「今の時代、チップも電子化されております」
「時代だねえ」
「ふむ、じゃらじゃらとコインとチップを持ち歩くってのも風情があるんだがな」
受け取った電子カードを胸元に入れる。
「では、お楽しみください」
会釈を一つ。それを見てからカジノの遊技台が並んでいる所へと踵を返す。
「……それで、何をやるんだ?」
「さあ?開始時刻までまだあるって言うみたいだし、色々見て回ろ」
「賭け試合と言うのも聞いたんだが、何処で賭けるんだ」
「知らんって、まあ暫く遊んでみようや」
胸元に入れていた電子カードを取り出しぷらぷらと見せて。楽しめと言われた事に関しては否定するわけではないでの十兵衛の方もカードを取り出してじいっと見る。
「遊んで稼いだ額が一番高い奴が勝つ、なんて事はあるだろうか?」
「あー、それで賭け?でもなんか趣旨が違う気がするんだけどね」
そんな事を言い、葉巻を持ち直し、咥え直すのに合わせてちらちらと他のプレイヤーを見ていく。
『あんまり離れないで行動した方が良い気がする』
『ああ、同じピンバッジを付けているのがちらほらいるし、こっちを見ている』
『書いてある番号は参加者の認識とチームの判別と言ったところね』
『面倒な事に巻き込みおって、本当に……』
『地下でしこしこ酒作るより楽しいでしょ』
そう言っているとぺしんと頭をはたかれる。どうやら地下でしこしこ酒を作るのは楽しいらしい。
「ま、楽しもう?どういう事になっても楽しめるだろうしなあ」
「……お前と出会った時の事を思い出したよ」
その返事を聞いてにいーっと笑い、カジノへと繰り出す。
「久々に呼び出したと思ったら、全く……賭け事はあまりしないんだが」
口に葉巻を咥え、黒のスーツ、黒シャツに黒ネクタイ、黒の皮手袋、金のピンやカフスがちらりと見える恰好でカジノの入り口で隣の付添いに話しかけるアカメ。黒一色のびしりと決めた格好に赤い目が良く映える。その隣、白をベースに黒のラインが入ったストライプスーツに白い中折れハットを被ったのが、自分の髭を撫でながらため息混じりにアカメに返事をする。
「他の連中が誘ってもあんまり乗ってこないんだからしょーがないでしょ、髭親父」
「酒造クランの重鎮を顎で使えるのはお前だけだ」
「昔は密造してたのにねえ」
くつくつと笑うアカメにさっきと同じようにため息を吐き出しつつ返事をする。が、心なしか楽しそうにしている。
「それで、何でこんなカジノに連れ込んだんだ」
「此処で賭け試合があるっていうから、滅茶苦茶にして遊んでやろうって思ってね」
そう言いつつ、二人並んで歩きだす。そこまで混雑してるわけではないが、中々の広さのカジノで結構なプレイヤーがあれこれ遊び、バニーが歩いて接客している。
「バニーはNPCか、中々稼いでいるクランみたいだな」
「プレイヤーもちらほら要るっぽいね、まー、非日常を楽しむってのは良い事でそ」
ぷはーっと葉巻の煙を吐いて燻らせながらどんどんと奥に行き、受付兼換金所の所までやってくると、この間戦ったディーラーの恰好をしたのが出迎えてくる。
「ようこそアカメ様、それとお連れの方も」
「こいつか、アカメを追い込んだのは」
「しょうがないでしょ、義肢に慣れてなかったんだから」
ぐぱぐぱと手を握って見せつつ憎たらしい事を言ってくる十兵衛に対していーっと反抗。
「……して、この間の招待状を見てもらったわけですが、参加でよろしいでしょうか」
「この髭も参加できるでしょ?」
「はい、問題ありません」
隣でとんとん拍子で話を進めていくアカメの隣、また巻き込んでと言った感じで十兵衛がやれやれと小声で漏らす。
「では、参加者のお二人にはパーティを組んでもらってから、此方を」
そう言いながらすっと差し出してくるのは500円玉より多少大きいピンバッジ。トランプの裏面が描かれているちょっと洒落ているデザイン、数字が左上と右下の対角線で書かれており、どちらも13と書かれている。とりあえずと2人揃って胸元、開いている所にそれを付けて襟を正す。
「それでは参加時刻までまだ時間がありますので、当店のカジノをお楽しみください。此方、軍資金となります」
受付のテーブルに二枚のカード、それを手に取ってどんなものかを見ると数字が浮かび上がる。
「今の時代、チップも電子化されております」
「時代だねえ」
「ふむ、じゃらじゃらとコインとチップを持ち歩くってのも風情があるんだがな」
受け取った電子カードを胸元に入れる。
「では、お楽しみください」
会釈を一つ。それを見てからカジノの遊技台が並んでいる所へと踵を返す。
「……それで、何をやるんだ?」
「さあ?開始時刻までまだあるって言うみたいだし、色々見て回ろ」
「賭け試合と言うのも聞いたんだが、何処で賭けるんだ」
「知らんって、まあ暫く遊んでみようや」
胸元に入れていた電子カードを取り出しぷらぷらと見せて。楽しめと言われた事に関しては否定するわけではないでの十兵衛の方もカードを取り出してじいっと見る。
「遊んで稼いだ額が一番高い奴が勝つ、なんて事はあるだろうか?」
「あー、それで賭け?でもなんか趣旨が違う気がするんだけどね」
そんな事を言い、葉巻を持ち直し、咥え直すのに合わせてちらちらと他のプレイヤーを見ていく。
『あんまり離れないで行動した方が良い気がする』
『ああ、同じピンバッジを付けているのがちらほらいるし、こっちを見ている』
『書いてある番号は参加者の認識とチームの判別と言ったところね』
『面倒な事に巻き込みおって、本当に……』
『地下でしこしこ酒作るより楽しいでしょ』
そう言っているとぺしんと頭をはたかれる。どうやら地下でしこしこ酒を作るのは楽しいらしい。
「ま、楽しもう?どういう事になっても楽しめるだろうしなあ」
「……お前と出会った時の事を思い出したよ」
その返事を聞いてにいーっと笑い、カジノへと繰り出す。
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