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21章

561話 そういう評価

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 お勤め完了。二日間に渡る、ファッションショーを見事乗り越えて、薫が防具の作成をようやくしてくれる。上から下まで、フルオーダーで機能性重視で作ってくれるんだからありがたい。私のレベル帯で装備できる上質な防具って引くくらい金が掛かるって言うんだから頭が痛い話よ。

「いっそのこと裁縫クランに入らない?」
「モデルじゃないとなあ、裁縫スキルそこまで強くないんだよ」
「材料とか取ってきてくれたらお金払うわよぉ」
「……それは魅力、って言うかどういうふうに材料調達してるんだ」

 あれこれ着てたせいもあって自分がドレスを着ていても何も違和感を感じなくなった自分を少し笑いながら、ゴリマッチョの奴とそんな会話をする。

「基本は委託、後は現地調達であたしがでたりもあるわねぇ」
「お前、えらい強いからなあ」
「褒めても何も出ないわよぉ、ロテアちゃんなら相場より多少増して買い取ってあげるわぁ」
「そういってもどういうものが使えるか分からんしなぁ」

 ドロップ品ってまあ、色々あるんだけど、そこから裁縫に使えるような素材があるかって言われるとよくわからん。一狩り行くような感じで素材を集めて防具を作る……と言うよりも、服飾に素材を織り込んだり、混ぜ込んだりとあれこれ手を入れて見た目と機能性をどういうことか両立してるんだから末恐ろしい。どういう方法を使ってるのかを理解してないから何が必要なのか分からんって言う事だ。

「そうねぇ、皮、牙、繊維、液体も結構使えるわねぇ……勿論性能度外視のデザインだけなら必要ないけど、素材を織り込んだ方が良い場合もあるからぁ、何でも使うかしらねぇ」
「よくわからんクラゲの触手とかでもいいんか」
「大前提でゲームだからねぇ、織り込んだら特殊な効果が付いたりもするのよぉ」
「そらそうか……材料とレシピがあったらぽこっと出てくる訳だし」

 手動作成と自動作成があって、大体弄繰り回してあれこれ作ってるのが前者。銃弾を量産するのは後者。このこと前にも確認したような気がしたけど。

「それでどーするのぉ?」
「ん-、クランには入らないけど、素材は持ってくるよ、私もやりたいことあるし」
「ふふ、そういうとこが好きよぉ」
「よせやぁい」

 とりあえず最初に来ていた服に戻して、臨時パーティに向かう準備が完了。貰っていたあれこれのドレスだったり服をトレードでゴリマッチョの奴に返し、渡し忘れがないのも確認してからぐいっと伸び一つ。

「それにしたって何万もプレイヤーがいるのになんで私を気にいったのやら」
「そうねぇ……」
「私みたいなのは結構いそうだけどなあ」
「気高くて、孤高で、カッコいい人なんてごろごろしてないわよ」
「言い過ぎだって」

 悪い気は全然しないけど。

「それじゃあ防具作るのにまた2、3日必要だから、出来たら連絡するわぁ」
「いつも悪いな」
「もう、そんな仲じゃないでしょ、任せたって言ってクールに去るのがロテアちゃんでしょぉ」
「つくづく変な奴だよ、薫は」

 褒めてもなんも出ないわよぉとにっこりと笑いながら言ってくるのをため息混じりに見ながらウサ銃の準備を整える。この二日間、あんまり臨時パーティにも参加できず、裁縫クランに入り浸りだったので、その辺の挽回もしないといかん。

「んじゃ、なんか拾ってくるわ」
「はぁーい、頑張ってぇ」

 別れ際に濃いめのスキンシップを受ける。ちょっとうんざり気味に離れろって感じにするとそこまで嫌がってない反応を返してくる。
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