最強と言われてたのに蓋を開けたら超難度不遇職

21章

557話 傭兵稼業

　臨時パーティって良いもんだよね。
　何が良いって、後腐れもなく目的が達成されたらそれで終わり、たまーにフレンドを要求してくるのもいるけど、あれこれ理由を付けて断っても再開することがあんまりないから問題なし。固定パーティは犬野郎の所みたいにきっちりと役割や時間諸々をしっかり決めてからやるって前提があるからそういうのは煩わしい。
　だけど即席で作ったパーティってのは問題がない訳じゃあない。適正と言うか、どういうスキル構成でどういうステータスの振りをしているか全く持って分からん時よ。T2Wに関してはざっくりと前衛と後衛に分かれているのもあって、職だけで判断するとまあ痛い目と言うか失敗することがある。近い所の例で言えばポンコツピンクあたりが一般的な後衛職でもあるガンナーなのに前で戦うタイプ、だから前衛として運用したい……所なんだけど、一発貰うとすぐにやられるから前衛としてカウントするのはそこそこ危険がある。
　まあそういう色んなタイプがいるわけで、スキルやらステータスを全部説明する奴はこういう臨時パーティを組むときには全く持っていない。だから戦ってみないと効率が良いのか悪いのか分からんってのが難点っちゃ難点よね。

「今日はしんどい日」

　今回も5人パーティ。前3後2、前の編成が盾持ち、大剣、素手。後は銃と弓。特徴的なのは弓がハープを持ってるって所かな。吟遊詩人が弓持ちってそんなゲームあったなあ……私の年代じゃやったことないから、見聞きした話程度なんだけどさ。
　それにしてもこれの何がしんどいって、吟遊詩人の方が後衛火力として見るか、バフデバフ要員なのかがポイントになるかな。前の3人に関しては一人が前出れば二人は攻勢に出れるから……後衛として火力を出さなきゃならないのと索敵は私が中心って事だ。まあ役割が多いほど燃えるのはあるから、これくらいがちょうどいいっちゃ丁度いいかな。

「それじゃあ南エリアでレベリングで良いですね」
「うん、良いよ」
「あ、自分バフ掛けるんで」
「俺はタンクかな」

　後ろで熟練者ぶってる私って傍から見たらすげえダサいってちょっと今気が付いた。ガンナーとしてもちょっと熟練者かって言われると微妙な所だし、分かってない事の方が多いじゃない。

「私は火力出して索敵するわ」

　こういう時に上から目線であれこれ指示するのもおかしいし、私の立場ってのを考えるべきだったわ。アカメの時だと今までイベントやらやらかした事が多すぎて独裁者感があったけど、今はロテア。無名の中の上くらいのレベルのガンナーってだけよ。そう考えていったらアカメの時は派手にやりすぎ。




　そんなこんなで南エリアの狩場。場所としては南の6－2。エリア的に海岸沿いを南下している感じで、モンスターの大半も海と陸の相手がちらほらいるって感じ。そのうえで狙いを付けるモンスターがでかいトド。いや、トドはでかいわ。とにかくまあ狙いはそこ。たまにバカでかい蟹に遭遇したり、陸側からはでかいトカゲもきたり、海側からクラゲが遠距離攻撃してくるマップ。ゴブリンやらオーガやらの亜人種はこっち側ではあんまりいない。

「クラゲは基本無視で良いんだろう？」

　トラッカーを使って海中のモンスターを確認しつつ、ライフルは常に構えた状態で周辺警戒。それにしたって序盤の方で覚えたトラッカーがこんなにも活躍するとは思わないわな。視界が赤黒になって常に目に悪くてそのうえでMP消費結構バカにならないって欠点を除けばだけど。

「ドロップ品も経験値含めてそこまで美味しい相手じゃないのがね」
「そのうえ遠距離攻撃がまあ鬱陶しい」
「しかもすぐに引っ込むし」
「海用のスキルが無いと接近もできん」

　と、まあ、このマップの一番面倒な部分がクラゲの対処、それを私がほぼ全部やらなきゃならんわけで超大変……と、思ったんだけど、狙いのトドに関しては前衛3人が結構がっつりやってくれるおかげで本当に前衛連中がカットインされないようにするだけで良いっていう。

「とは言え、しんどい事には変わりないが」

　流石にレベルアベレージ50以上の所に行くと、ガンナーの売りでもある固定ダメージがあっても結構弾の消費がある。この狩場にいるクラゲに関しては3発撃ってぎり1匹。そこまで数がいるわけじゃないからリロードするのは余裕なので大丈夫……って思ったんだけど、そんな事が無いのがこのゲーム。

「クラゲも倒す、トドも倒す、やる事多いと大変よねえ」

　クラゲ一匹10kって考えたら中々に出費が痛いけど。