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20章
539話 やる気の有無と相性
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プリン味のロリポップを口の中で転がし、飴と棒の境目の所をがじがじと噛んだりしながら対面にいる相手を見てふすーっと息を吐き出す。
「本当にやるんか」
「本当にやるの」
くるくると手の中で拳銃を回してホルスターに仕舞い、そこからまた取り出して遊びの強いガンハンドリングで具合を確かめている奴が一人。いつの間にかガンカタの第一人者みたいな感じになっているポンコツピンクこと、ももえ。私の所から独立して、あれやこれやと大きいクランに成長したうえで、ガンナーとして自分の道をちゃんと進んでいるって所は、とても偉い。
「わざわざ課金アイテムを2個も送り付けて、ガンカタ勝負しようって……ステ振り直してから元に戻せる分って事かい」
「いいじゃん、せっかくクランに来てくれたんだし、配信もかねて付き合ってくれてもさー」
「まあ、今はお前がボス、だからな」
メニューを開き、貰った課金アイテムを使いイベントの時と同じようなAgi重視のガンカタ用のステータスに振り直す。一応振り直しのアイテム1個500円くらいするんだけど、配信のために簡単に身銭切ってくるとは……あいつ、結構儲けてるな?
「ボスって言われるの、なんかくすぐったいんだけど?」
「私はいつも言われてるが、今はちゃんと名前で呼んでくれよ」
くつくつと笑いながらコロコロとロリポップを転がして楽しむ。ポンコツピンクには言ってないけど、このロリポップ一つでAgiが少しだけ上がっているのは秘密。煙草は完全に嗜好品扱いだけど、これ料理扱いになるからバフが掛かるってのは盲点。ココアシガレットでも作って煙草みたいにしてたら同じようにステータス上がるって事だよな。
「えーっと……アカメ、さん?ちゃん?」
「こんな風にしどろもどろになっているのも珍しい配信なんじゃないか」
ちなみに今いる場所は、クランハウスの施設の一部。闘技場って言うか、PvPも出来るしサンドバックもあるトレーニング場みたいな感じの場所。こういう所でガンカタの動きを配信してるとか言っていたな。で、今は今で私と戦うための場所。
「ちゃんとカメラは先にセットしておけよ」
「わかってますー」
配信周りの事はわからんけど、一人称、三人称、固定配置、俯瞰と、カメラの設定が多いらしい。そういえばどうやって配信してるんだって、さっき聞いたらあれこれ説明された。今まで結構秘匿するようなプレイって言うか、あんまりばれたくない事ばっかりしてたから配信はしてこなかったけど、そういうのをやるってのもあり。こういうVR物じゃない時は結構やってたのは秘密。
「それで、どういうルールでやるんだ」
「時間無制限1本先取で良いんじゃない?」
「HP全部削るか、参りましたって言ったら終わりな」
少し近いってのもあったので距離を取って対面しつつ、ステータス変更をしたのもあるので、元々持っていたARとSGを外してアイテムボックスに突っ込み、この間のイベントの時にも使った拳銃2丁と取り出す。そろそろこの銃器類も全部入れ替えないとなあ。
「負けたからって泣くなよ」
「泣かんて!」
取り出した拳銃用のマガジンをガンベルトに差し直し、マガジンの中とチェンバーのチェックを済ませて構えたら準備完了。ポンコツピンクの方もくるくると回して遊んでいたのをぴたりと止めて、持ったままこっちを真っすぐ見つめてくる。
「こっちはこっちで頑張らないとなあ」
ステータス変えた時の挙動が結局なれなかったから、行き当たりばったりでどうにかしよう。そんな事をうっすら考えていれば、ポンコツピンクの奴がコインを上に弾く。こういう時ってどうなんだろうな、背中合わせで五歩目からスタートのウェスタンスタイルの方が様になってる気もするが……なんて考えていればコインが地面に落ちるので両名一気に駆け出す。
こういう戦いの時はいかに先手を取って、こっちに流れを持ち込めるかが大事になる。二人揃って前に構えて射撃しながら距離を詰めるわけだが、持っている2丁のうち1丁を思い切りぶん投げ、向こうの視界を防ぎつつ射撃しながら一気に接近戦に。
「銃操作の対策は分かってるから!」
一旦、相手の銃を自分で保持したら所有権が変わる穴があるのでそれを使えば封じることは出来るが、お前どうやって2丁拳銃の状態で素早く締まってキャッチするのか聞いてみたいし、やってみてほしい。もちろんだけど、そんな事はさせないのでポンコツピンクに大分近づいた段階で銃操作で近接射撃。駆けている所への急襲なので、足を軽く止めて横にずれる。その瞬間手元に銃を戻しつつ、さらに加速し、勢いのままタックル。
「それは、こっちの射程内!」
「知ってる」
体をぶつけた瞬間を狙い銃口を押し付けて接射、を銃で逸らされ向こうの銃口がこっちを狙ってくるので、それをまた銃を使って逸らし、どっちが先に当てるかの勝負に。もちろんいけるというタイミングでお互いに射撃を入れるが、体を反らし、銃口を少しでもずらして、お互いが徒手での攻め合いに。ちなみに分は悪い。
「ステとガンカタのおかげでやれてるけど、お前近接戦のスキルもあるだろ」
「そりゃあるよー?」
「ってのを加味すると、私の方が不利なんだよな」
ガンカタの動作をガンカタで相殺しているって状態なので、そこに何かがプラスされるとスキル差って部分でやられる。これがポンコツピンクとの埋められない差って部分で、ステータス自体の多少の差は立ち回り次第の部分もあるけど、やっぱりこれじゃ勝てない。また同じように自爆するってのは芸がないし、これは、そうだな……素直に負けを認めるか、頑張るにはちょっと難しい相手が過ぎる。
ある程度その覚悟をしつつ戦い続けていると、徐々にだが自分に掠めていく銃撃が増えていく。うん、やっぱり強くなったよ、しっかりレベリングして、ガンカタ用のスキル構成を組んで、ちゃんと自分の物にしているのが良くわかる。がしがしと銃口の押し付け合いをしている所、隙を見て蹴りを入れて一旦距離を取って一息。
「降参」
「は……え!?」
手を挙げて拳銃はトリガーガードに指を引っかけてぷらりと。
「いや、や、ふざけ……!」
「ふざけてないぞ、勝てないってわかったから先に降参しただけよ」
ふいーっと息を吐き出してから2丁の拳銃をアイテムボックスに放り込み、メニューからステータスの振り直しアイテムを使ってステータスを元に戻す。
「勝てない勝負に付き合うのはこれっきだからな?」
「勝てないって、だってボス……じゃない、アカメは立ち回りでどうにかしてたじゃん」
「ほぼ同じステータス、同じスキル構成だったら+αの多い、お前の方が強いだろ?」
一息ついて気がついた、集中していたのもあってロリポップはすっかり棒だけに。それをぷっと吐き捨てつつ、戻ろうって顔をしてポンコツピンクを見る。
「だって今まで不利な相手でも勝ってきたのに……」
「そりゃー、舞台の大きさもあるし、ちょっと今はな」
イベント後、完全燃焼とはいかないが、そこまで必死こいて勝ちを拾いに行く舞台でもないうえに、戦闘の方にやる気があまり向いていないと言うのもある。必死こいて使える手を出しまくれば勝てるとは思うが、そこまでしなくても良い状態。
「ガンカタ使いとして最強ってのはお前に譲るよ」
新しいロリポップを口に咥えてころころさせつつ、クランハウスの方に足を向ける。
「うー……なんかモヤモヤする……」
「まあそう言うな、しっかり強くなったって事だよ」
それに今は、新しくいろいろやっている最中だからな。
「本当にやるんか」
「本当にやるの」
くるくると手の中で拳銃を回してホルスターに仕舞い、そこからまた取り出して遊びの強いガンハンドリングで具合を確かめている奴が一人。いつの間にかガンカタの第一人者みたいな感じになっているポンコツピンクこと、ももえ。私の所から独立して、あれやこれやと大きいクランに成長したうえで、ガンナーとして自分の道をちゃんと進んでいるって所は、とても偉い。
「わざわざ課金アイテムを2個も送り付けて、ガンカタ勝負しようって……ステ振り直してから元に戻せる分って事かい」
「いいじゃん、せっかくクランに来てくれたんだし、配信もかねて付き合ってくれてもさー」
「まあ、今はお前がボス、だからな」
メニューを開き、貰った課金アイテムを使いイベントの時と同じようなAgi重視のガンカタ用のステータスに振り直す。一応振り直しのアイテム1個500円くらいするんだけど、配信のために簡単に身銭切ってくるとは……あいつ、結構儲けてるな?
「ボスって言われるの、なんかくすぐったいんだけど?」
「私はいつも言われてるが、今はちゃんと名前で呼んでくれよ」
くつくつと笑いながらコロコロとロリポップを転がして楽しむ。ポンコツピンクには言ってないけど、このロリポップ一つでAgiが少しだけ上がっているのは秘密。煙草は完全に嗜好品扱いだけど、これ料理扱いになるからバフが掛かるってのは盲点。ココアシガレットでも作って煙草みたいにしてたら同じようにステータス上がるって事だよな。
「えーっと……アカメ、さん?ちゃん?」
「こんな風にしどろもどろになっているのも珍しい配信なんじゃないか」
ちなみに今いる場所は、クランハウスの施設の一部。闘技場って言うか、PvPも出来るしサンドバックもあるトレーニング場みたいな感じの場所。こういう所でガンカタの動きを配信してるとか言っていたな。で、今は今で私と戦うための場所。
「ちゃんとカメラは先にセットしておけよ」
「わかってますー」
配信周りの事はわからんけど、一人称、三人称、固定配置、俯瞰と、カメラの設定が多いらしい。そういえばどうやって配信してるんだって、さっき聞いたらあれこれ説明された。今まで結構秘匿するようなプレイって言うか、あんまりばれたくない事ばっかりしてたから配信はしてこなかったけど、そういうのをやるってのもあり。こういうVR物じゃない時は結構やってたのは秘密。
「それで、どういうルールでやるんだ」
「時間無制限1本先取で良いんじゃない?」
「HP全部削るか、参りましたって言ったら終わりな」
少し近いってのもあったので距離を取って対面しつつ、ステータス変更をしたのもあるので、元々持っていたARとSGを外してアイテムボックスに突っ込み、この間のイベントの時にも使った拳銃2丁と取り出す。そろそろこの銃器類も全部入れ替えないとなあ。
「負けたからって泣くなよ」
「泣かんて!」
取り出した拳銃用のマガジンをガンベルトに差し直し、マガジンの中とチェンバーのチェックを済ませて構えたら準備完了。ポンコツピンクの方もくるくると回して遊んでいたのをぴたりと止めて、持ったままこっちを真っすぐ見つめてくる。
「こっちはこっちで頑張らないとなあ」
ステータス変えた時の挙動が結局なれなかったから、行き当たりばったりでどうにかしよう。そんな事をうっすら考えていれば、ポンコツピンクの奴がコインを上に弾く。こういう時ってどうなんだろうな、背中合わせで五歩目からスタートのウェスタンスタイルの方が様になってる気もするが……なんて考えていればコインが地面に落ちるので両名一気に駆け出す。
こういう戦いの時はいかに先手を取って、こっちに流れを持ち込めるかが大事になる。二人揃って前に構えて射撃しながら距離を詰めるわけだが、持っている2丁のうち1丁を思い切りぶん投げ、向こうの視界を防ぎつつ射撃しながら一気に接近戦に。
「銃操作の対策は分かってるから!」
一旦、相手の銃を自分で保持したら所有権が変わる穴があるのでそれを使えば封じることは出来るが、お前どうやって2丁拳銃の状態で素早く締まってキャッチするのか聞いてみたいし、やってみてほしい。もちろんだけど、そんな事はさせないのでポンコツピンクに大分近づいた段階で銃操作で近接射撃。駆けている所への急襲なので、足を軽く止めて横にずれる。その瞬間手元に銃を戻しつつ、さらに加速し、勢いのままタックル。
「それは、こっちの射程内!」
「知ってる」
体をぶつけた瞬間を狙い銃口を押し付けて接射、を銃で逸らされ向こうの銃口がこっちを狙ってくるので、それをまた銃を使って逸らし、どっちが先に当てるかの勝負に。もちろんいけるというタイミングでお互いに射撃を入れるが、体を反らし、銃口を少しでもずらして、お互いが徒手での攻め合いに。ちなみに分は悪い。
「ステとガンカタのおかげでやれてるけど、お前近接戦のスキルもあるだろ」
「そりゃあるよー?」
「ってのを加味すると、私の方が不利なんだよな」
ガンカタの動作をガンカタで相殺しているって状態なので、そこに何かがプラスされるとスキル差って部分でやられる。これがポンコツピンクとの埋められない差って部分で、ステータス自体の多少の差は立ち回り次第の部分もあるけど、やっぱりこれじゃ勝てない。また同じように自爆するってのは芸がないし、これは、そうだな……素直に負けを認めるか、頑張るにはちょっと難しい相手が過ぎる。
ある程度その覚悟をしつつ戦い続けていると、徐々にだが自分に掠めていく銃撃が増えていく。うん、やっぱり強くなったよ、しっかりレベリングして、ガンカタ用のスキル構成を組んで、ちゃんと自分の物にしているのが良くわかる。がしがしと銃口の押し付け合いをしている所、隙を見て蹴りを入れて一旦距離を取って一息。
「降参」
「は……え!?」
手を挙げて拳銃はトリガーガードに指を引っかけてぷらりと。
「いや、や、ふざけ……!」
「ふざけてないぞ、勝てないってわかったから先に降参しただけよ」
ふいーっと息を吐き出してから2丁の拳銃をアイテムボックスに放り込み、メニューからステータスの振り直しアイテムを使ってステータスを元に戻す。
「勝てない勝負に付き合うのはこれっきだからな?」
「勝てないって、だってボス……じゃない、アカメは立ち回りでどうにかしてたじゃん」
「ほぼ同じステータス、同じスキル構成だったら+αの多い、お前の方が強いだろ?」
一息ついて気がついた、集中していたのもあってロリポップはすっかり棒だけに。それをぷっと吐き捨てつつ、戻ろうって顔をしてポンコツピンクを見る。
「だって今まで不利な相手でも勝ってきたのに……」
「そりゃー、舞台の大きさもあるし、ちょっと今はな」
イベント後、完全燃焼とはいかないが、そこまで必死こいて勝ちを拾いに行く舞台でもないうえに、戦闘の方にやる気があまり向いていないと言うのもある。必死こいて使える手を出しまくれば勝てるとは思うが、そこまでしなくても良い状態。
「ガンカタ使いとして最強ってのはお前に譲るよ」
新しいロリポップを口に咥えてころころさせつつ、クランハウスの方に足を向ける。
「うー……なんかモヤモヤする……」
「まあそう言うな、しっかり強くなったって事だよ」
それに今は、新しくいろいろやっている最中だからな。
応援ありがとうございます!
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