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19章

526話 仕込み

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「アカメ殿が戻ってきても戦況が好転するとは限りませんなあ!」
「私一人でひっくり返せたら苦労せんて」

 銃撃戦をしながら少しずつ前進して距離を詰めていく。このまま盾役でアリスを腐らせるよりはガウェインと殴り合いをしてくれた方が良いし、相手のガンナーとタイマンしてる方が私としてはかなり立ち回りしやすい。余った松田に関しては回復役と不意打ちで……と行きたいのだが、あらかじめ持ち込んでいたアイテムの底が見えてきたので節約気味。

「アリスは、まだいけるか?」
「だい、じょぶ……」
「よーし、いい子だ」

 背中を軽くたたき、ちらっと顔を出しては引っ込んでタイミングを計りつつメニュー画面を開く。なんとなくこれからの事を考えてちょっとアイテムを課金して用意しておく。まあ、使わないに越したことはないんだけど、今までの感じで言えば私の悪い予感って大体当たるから、念のため。

「ん-……あんまり深追いも出来んな」

 数発撃ちこんだ後、引っ込んでからアイテム画面と自分のガンベルトを確認して残弾のチェック。流石に撃ち過ぎたってのもあって仕留めきるには厳しいレベルまで使い込んでいる。マガジン5本、ばら銃弾30発……まあ、ざっくり100発切ってる感じ。ポーションもHPとMPそれぞれが10本ないくらい。松田の調合ポーション頼りも危険。

「やべ、勝てるビジョンが見えない」

 ぽつりとそんな事を言いつつ、アリスの背中を押して前進していく。見えてないだけでガヘリスの奴もいるから、生半可な攻撃じゃ回復されて膠着される。後衛二人を私と松田で仕留める……できっかなあ、この感じ。

「勝つのを諦めたんですかな?」
「そんな事はないけど、難しいって話」

 そんな会話をしているうちに、かなりの距離を詰めて大体20歩くらいの距離まで接近。ちょいちょいと銃撃をしながらも裏にいるガンナーの顔を漸く拝める。あー、なるほど、確かに私の知り合いで、私の知っている限り、かなり強いガンナーってのはこいつか。

「全く、いい加減私の真似するのやめなさいよ、アオメ」
「そんな事ないですけどね?」

 スラッグ弾のうえフルオートショットガンなんてもの持ち出すとは思ってなかったわ。って言うかフルオートショットガンって存在してたんだな、いまだに水平2連の中折れ式使ってる私ってかなり出遅れてるんじゃ?って言うか私の装備って殆どが第一次世界大戦くらいで止まってんなあ。

「それに今じゃうちもちゃんと運営してますし、憧れの相手を倒すって、やっぱりいいシチュエーションじゃないですか」
「自分の所のクランメンバーすら制御できなかったくせに」
「それは耳が痛いです、ねっ」
 
 さっと銃口がこっちに向いてきて一発。アリスの盾で防いでからこっちも反撃射撃を入れてから、もう一度どうするかを考える。
 ガウェインは正直なところ、タイマンじゃない限りは脅威じゃない。ポジションを常に取られたらってのはどの相手でもそうだし、ガンカタ覚えた私の敵……じゃないのはちょっと言い過ぎだわ。接近戦の立ち回りは相変わらず上手いから、どうにかアリスと松田に。

「アカメ殿!危ないですぞ!」

 あれこれ考えている所、松田が急に引っ張ってくる。その横を銃弾が掠めて髪の毛を散らし、焦がしてくるので口笛一つ。結構しっかり狙って撃ってくるじゃんあいつ。
 
「考え事は良いですが、今じゃないですぞ!」
「だからって考えなしに突っ込んでいって戦える相手じゃないだろ」
「くる、よ……」

 アリスの小声の一言から急な攻勢に出てくるのでそれの反撃。
 戦い方はオーソドックスな前後がはっきりとした戦い方で、私とアオメの奴が射撃で牽制しあう。ガヘリスの奴がいると思ったけど、どうも見えない……当てが外れたか?

「ぐぅ……!」
「離脱して向こうのガンナーを引き剥がすから、もうちょっと頑張れるか?」
「無茶ぶりは慣れたもんですなあ!」
「終わったらなんかご褒美でもやるよ」
「では、バニースーツでも着てもらいたいですなあ!」

 そういう趣味かい、こいつは。

「……まー、考えておくわ」

 ため息を吐き出しつつ、煙草を咥えて火を付ける。
 大きくいつものように紫煙を吸い、燻らせてからガンシールドを構えた状態で横に飛び出して回り込みながら射撃。私が回り込んでいる方と逆側にアリスと松田が行き、挟み撃ち状態を作りつつ引き剥がしにかかる。が、しっかりこっちにはガウェインのが張り付いてくるせいで厄介だな。

「ぜひ私と勝負してほしいですね」
「お前硬いから好きじゃないんだわ」

 2、3発入れればしっかり盾で防いでくるし、跳弾使っての背面狙いもしっかり目で追ってきそうだが、やられる訳にも行かんし、ここはひとつ、敢えて後ろを狙うとしよう。視界はがっつり防がされてるって言うか、邪魔されるから大変なんだけど、それでもやるしかない。

「んまー、セオリー通りに動いてくれない事」


 
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