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19章

523話 強さの幅

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 戦況は優勢、とは言い切れない状況で、どっちかって言うと多少なりと不利とも言える。結構頑張って走ってきたのだが、やっぱりカコル、ガヘリス、薫と相手をしていて、なおかつ薫がごりごりに格闘してくるわ、走っても速いってので捲くのに時間が掛かった。
 それと逃げる最中に松田アリス達の所に引っかけないように結構遠回りにスモークまき散らしてきたから時間が掛かったからしょうがない。が、そこで時間を掛け過ぎたせいでエルアル姉妹の苦戦状況が長引いたって事になる。

「とは言え、私もきついんだけど」

 刀は折られるし、銃弾はすげえ使うし、ポーションもそこまで沢山持っているわけでもないしで、あんまり消耗しないでこの相手を倒したい。
 して、次の戦いの相手……剣盾持ち、爪、魔法使い、どれも私自身が初めて会う奴だから元々ガウェインのクランにいた連中って事なんだろう。実力は、エルアル姉妹と同等かそれ以上……はないな。強いのは元々の連携の強さだ。エルアル姉妹の連携技も目を見張るものがあるが、それと同じくらいのコンビネーションが出来て、そのうえで人数も多いってなると向こうの方が上手だな。

「さて、エルアル姉妹、相手の情報は」
「剣盾持ちがメイン盾、爪が奇襲のメイン火力、隙潰の魔法使い」
「回復はない」
「上等だ」

 メイン盾の剣盾持ちが真っすぐに来るのでエルが受けて拮抗、その状況を潰すために爪持ちが突っ込んでくるのをアルが風魔法で防ぐので、魔法使いを狙い突っ込む。あまり表立って爪持ちが動いてこないので、先に相手の後衛を潰して前衛を潰すって作戦。さっき思いついたけど。

「詠唱して発言して発射って、結構無駄が多いよなあ」

 属性的には火魔法の使い手か。ガンナー周りの事ばかりだからあんまり魔法の種類について知らないのが怖い所か。そんな風に考えていれば、火球が飛んでくるので、火球で返して……と、やったんだが、向こうの方が火力が高いので相殺することは叶わず、多少なりと威力を落とした程度に過ぎない。そりゃそうよ、本職とサブとして取得した魔法じゃこうなる事くらい、分かってる。それでも、こっちからぶつけた分、炎は舞い上がり、威力も落ちている。すぐさまガンシールドを構えて火球を受け、そこそこのダメージを貰いつつも一気に突破。

「はぁーい」
「うわっ!?」

 燃え盛る炎を纏いながら魔法使いの目の前に出ると共に射撃で強襲。これで終いなんて思っていたら、着弾する瞬間に手から炎を出して銃弾を勢いを殺して防ぐとは中々に面白い事をやってくる。ほんと固定ダメージ部分以外は結構貧弱だよな、ガンナーって。まあ鉛玉使ってるから融解温度が低めになってるのもあるか。

「こうも対策されてると悩みどころよ」

 しかも本人の意思でMPの続く限り魔法は撃てるって言うんだから性質悪い。とはいえ、こっちだって馬鹿正直に真っすぐ撃つなんて事を今更やるわけないだろうに。正面射撃で相手の魔法を出し続けさせながらの、銃操作……ではなく、普通に2丁拳銃からの跳弾射撃。チュンチュンと跳ねる音がした後、魔法が途切れるので、ここぞとばかりに射撃で詰める。

「このくらいしてくるって言ってそうだけど」

 攻撃を痛がっているが、こっちのガンカタの間合いにまで入り込んでいるので、後は魔法を撃たせないようにしながらボコればいける。

「そう単純に行くとは思わないけど」

 あのガウェインの奴が集めたんだから並み程度の魔法使いじゃないだろう、耐久が高かったり、隠し札の一つや二つあってもおかしくない。エルアル姉妹も長時間の戦闘だから疲弊もしているってのを考えれば此処で速攻倒しておきたい。

「そういうわけでだからさくっと倒れてくれや」

 跳弾の不意打ち、正面からの連続射撃。このまま簡単にやられ……って、あれ?
 
「あっけなあ」

 ポリゴン状に消えていく魔法使いを見て拍子抜け。エルアル姉妹がしっかり前衛2人を抑え込んでくれてたからこっちに集中できたけど、前衛2人が強いからそこまで?そもそもメタリカって言うアホ程強い遠距離職と比べてるからか、どうも何かありそう。とりあえずこっちに攻撃が向いてないのを確認しつつ、倒しきったかをチェック……問題なし。いや、マジで拍子抜けするわ。

『案外あっさり仕留めれたんだけど?』
『特化型なだけじゃ』
『こっちも仕留めて』

 さて、先に倒せばいいのは……爪持ちかな。
 アルの風魔法、強い事は強いんだけど、素早い相手だと対等くらいの扱いになるから、地味にきついだろうし。エルの方は普通にタンク型相手だし、下手な立ち回りをしなければ負けることはないだろう。

「息抜きにしては弱すぎる気がするなあ」

 感覚マヒって来たか?
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