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19章
493話 古巣の強敵
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アリスの奴を引っ込めてひたすら上で戦っていたおかげもあって接近戦のコツが掴めたのは良かった。とはいえ、だいぶ手の内を晒したのは事実。ひたすら撃ちまくったり、アイテムを使いまくったツケは……ま、いつものことか。
とりあえず本選に出れることは確定したのだが、予選してすぐに本選って流れじゃなく、翌日に持ち越し。しかもそのうえで、準決勝やら決勝に関してはさらに後でって流れ。なんともまあ、長期的なイベントスケジュール……って考えたけど、そりゃ人数集めてあれこれやるなら土日に重ねたほうが良いわな。今までのイベントスケジュールってかなり詰まってたし、かなりハイペースだったのを考えれば妥当な判断。
「と、行っても来週にはケリがつくっぽいけど」
自宅の庭先で一服しながらインフォメーションを眺めてからため息一つ。さっき予選が終わっていつもの街並みに戻ってきたので、とりあえず一息ついてから戻ってどうするかを考えている。ヤスの奴はやることがあるから後で合流するらしい。他の連中もそれぞれの用事を済ませに行った。それにしたってバタついてるな。もうちょっとゆっくりしても……って思ったけど、次の試合が明日だからそんなこともできんか。
「アイテム消費無しってのはいい制度なんだけどなぁ……1日そこらで準備って難しいわ」
手元で銃弾を転がしながら、ヤスの帰りを待つ。正直なところ、あいつの謀略だったりマネージャーとしての腕前に信用しきっているのが悪い方向に行かなければいいんだが……あいつ土壇場で裏切ったりしないだろうな。
「他の連中はそれぞれ呼ばれないと来ないし、傭兵部隊みたいだ」
エルアル姉妹はさっさとどこかにいって、イベント時間にならないと来ないというし、松田もアリスも誘ったのに断って何かをやりいく、関口の爺も試したいことがあるっていって闘技場にとんぼ返り……何ともまあ、自由すぎる。
「私もこんな事しないであれこれやった方がいいんだろうけど、流石に疲れたしなあ」
ぷはーっと紫煙を吐き出しながらだらだらタイム。レベル上げしたりアイテム作ったりすればいいんだろうけど、疲れることした後ってぼうっとゲームだけつけてだらだらやるのも常よ。勝ちたいくせにこういう所がダメなんだよな。
「戻ったっす」
「おーう」
戻ってきたヤスに手をぷらぷらと振りつつ、フィーラからグラスを受け取って酒を注がせる。
「で、次は何やってたんだ」
「クランの注目度を調べてきたっす、どのくらいマークがきつくなるのか気になったっす」
「結果は」
「……大した事ないってのが正直なところっすね、派手に動いた姉御に関しては『参加している』ってくらいの情報っす」
「心配しすぎるほどじゃないってか」
「幸いなことにそういう事っす」
メニューからいろいろ記載しておいたメモ帳を開いてあれこれ整理しながら会話を続けていく。私が思っていた以上にマークがきつくならないっていう点では良かった。ついでに言えば無名のクランだからそこまで気にするほどでもないってのがでかい。
「元々私の名前は知られてるから良いとして、クランは新興したてだからか……油断してくれりゃいいんだが」
「どうすっかねー……大手のクランは情報クランの連中も食い込んで水面下でバチバチっす」
「それも踏まえて私の所にきたか」
琥珀色の酒、醸造所で散々作ってきたウイスキーをグラスで回し、うっすらと色をグラスにつけるのを見てから一気に煽る。
「うちの諜報員はおしゃべりだからちょっと不安だが」
「腕は悪くないじゃないっすか」
「20万ドルでスナイパーを雇ってきたら信用してもいいぞ」
そんな無茶は無理っすと言いながら目の前にいるガンナーより強い奴はいないとも言ってくる。うんうん、そういうちゃんとした評価をしてくるところが好きなんだ。さて、マークがきつくないのがわかったわけだから結構自由に動ける。
「問題は相手のほうっす、まだ発表されてないからどういう相手がくるかわからなので手の打ちようがないっす」
「突破してそうな大手クランはわかってるだろ?」
「そこはもちろんっす」
おかわりを貰いながら設置しておいた黒板にクラン名をどんどんと書いていく。
いつも通りごちゃまぜでぶっこんでバトロワしているわけじゃなかったのでやっぱ大きいところは必然的に残りやすい……と、思ったのだがそうでもなかった。
「優勝候補は結構いるっす、いわゆるレベルも高くて名前の売れてるクランを筆頭に、それぞれ職に特化した人数が多い所、少数ながら有名人のいるクラン……姉御の元クラン、とかっす」
あれよあれよと書き込まれていくのを見ながらグラスをゆっくりと回し傾ける。他人に興味がなさすぎるせいで、クラン名を書き込まれても殆どがわからん。私のかかわりがあったやつのはわかるけど、それ以外はまったくもってわからん。滅茶苦茶わかってるような顔で余裕もある感じで酒と煙草と女……はいないな、フィーラはちょっと違う、どっちにしろ全部当たるわけじゃないからそこまで気にする必要もないだろう。
「ま、当たった時に考えよう、警戒はするけど」
「楽観的っす……うちは人数も少ないからちゃんと作戦を立てたほうがいいと思うっす」
「逆よ、逆、人数が少ないからしっかり作戦組めるんだし、ここでじたばたしてもしゃーないって」
「その感じでやばいことになっても仕方ないっすよ?」
「その時は、その時」
そんな事を言いながら、ヤスに新しいグラスを持ってこさせる。
『さあ、始まりました、クラン対抗トーナメント。実況はわたくし、ゲームWiki非公式運営のメアリーと、解説はGM様にお越しいただいております』
『はい、よろしくお願いします』
『予選から1日経ってからの本選ですが、珍しく長期的なスケジュールになっていますね』
『そうですね、サービス開始から3か月ほどですが初速も悪くなく、ユーザーも増えている傾向になったののも要因になります』
『数日で終わってたら勿体ないという事ですね』
『こんな事ができるんだ、という宣伝にもなっていますので、是非イベントの動画を見てほしいです』
『リアルタイム、アーカイブは動画サイトに、またゲーム内でも見れますのでどうぞお願いいたします』
『さて、第1回戦ですが、少人数対少人数のぶつかり合いになるそうですね』
『無差別級としては、珍しい組み合わせでもありますから、どうなるか楽しみです』
『そうですね、そしていつまでも待たせても仕方ありません、早速行きましょう……クラン対抗トーナメント無差別級第1回戦!ヴェンガンズカンパニーVSと、仲間たち!』
「嫌な予感っていうと当たるって信じる?」
「信じるっす」
とりあえず本選に出れることは確定したのだが、予選してすぐに本選って流れじゃなく、翌日に持ち越し。しかもそのうえで、準決勝やら決勝に関してはさらに後でって流れ。なんともまあ、長期的なイベントスケジュール……って考えたけど、そりゃ人数集めてあれこれやるなら土日に重ねたほうが良いわな。今までのイベントスケジュールってかなり詰まってたし、かなりハイペースだったのを考えれば妥当な判断。
「と、行っても来週にはケリがつくっぽいけど」
自宅の庭先で一服しながらインフォメーションを眺めてからため息一つ。さっき予選が終わっていつもの街並みに戻ってきたので、とりあえず一息ついてから戻ってどうするかを考えている。ヤスの奴はやることがあるから後で合流するらしい。他の連中もそれぞれの用事を済ませに行った。それにしたってバタついてるな。もうちょっとゆっくりしても……って思ったけど、次の試合が明日だからそんなこともできんか。
「アイテム消費無しってのはいい制度なんだけどなぁ……1日そこらで準備って難しいわ」
手元で銃弾を転がしながら、ヤスの帰りを待つ。正直なところ、あいつの謀略だったりマネージャーとしての腕前に信用しきっているのが悪い方向に行かなければいいんだが……あいつ土壇場で裏切ったりしないだろうな。
「他の連中はそれぞれ呼ばれないと来ないし、傭兵部隊みたいだ」
エルアル姉妹はさっさとどこかにいって、イベント時間にならないと来ないというし、松田もアリスも誘ったのに断って何かをやりいく、関口の爺も試したいことがあるっていって闘技場にとんぼ返り……何ともまあ、自由すぎる。
「私もこんな事しないであれこれやった方がいいんだろうけど、流石に疲れたしなあ」
ぷはーっと紫煙を吐き出しながらだらだらタイム。レベル上げしたりアイテム作ったりすればいいんだろうけど、疲れることした後ってぼうっとゲームだけつけてだらだらやるのも常よ。勝ちたいくせにこういう所がダメなんだよな。
「戻ったっす」
「おーう」
戻ってきたヤスに手をぷらぷらと振りつつ、フィーラからグラスを受け取って酒を注がせる。
「で、次は何やってたんだ」
「クランの注目度を調べてきたっす、どのくらいマークがきつくなるのか気になったっす」
「結果は」
「……大した事ないってのが正直なところっすね、派手に動いた姉御に関しては『参加している』ってくらいの情報っす」
「心配しすぎるほどじゃないってか」
「幸いなことにそういう事っす」
メニューからいろいろ記載しておいたメモ帳を開いてあれこれ整理しながら会話を続けていく。私が思っていた以上にマークがきつくならないっていう点では良かった。ついでに言えば無名のクランだからそこまで気にするほどでもないってのがでかい。
「元々私の名前は知られてるから良いとして、クランは新興したてだからか……油断してくれりゃいいんだが」
「どうすっかねー……大手のクランは情報クランの連中も食い込んで水面下でバチバチっす」
「それも踏まえて私の所にきたか」
琥珀色の酒、醸造所で散々作ってきたウイスキーをグラスで回し、うっすらと色をグラスにつけるのを見てから一気に煽る。
「うちの諜報員はおしゃべりだからちょっと不安だが」
「腕は悪くないじゃないっすか」
「20万ドルでスナイパーを雇ってきたら信用してもいいぞ」
そんな無茶は無理っすと言いながら目の前にいるガンナーより強い奴はいないとも言ってくる。うんうん、そういうちゃんとした評価をしてくるところが好きなんだ。さて、マークがきつくないのがわかったわけだから結構自由に動ける。
「問題は相手のほうっす、まだ発表されてないからどういう相手がくるかわからなので手の打ちようがないっす」
「突破してそうな大手クランはわかってるだろ?」
「そこはもちろんっす」
おかわりを貰いながら設置しておいた黒板にクラン名をどんどんと書いていく。
いつも通りごちゃまぜでぶっこんでバトロワしているわけじゃなかったのでやっぱ大きいところは必然的に残りやすい……と、思ったのだがそうでもなかった。
「優勝候補は結構いるっす、いわゆるレベルも高くて名前の売れてるクランを筆頭に、それぞれ職に特化した人数が多い所、少数ながら有名人のいるクラン……姉御の元クラン、とかっす」
あれよあれよと書き込まれていくのを見ながらグラスをゆっくりと回し傾ける。他人に興味がなさすぎるせいで、クラン名を書き込まれても殆どがわからん。私のかかわりがあったやつのはわかるけど、それ以外はまったくもってわからん。滅茶苦茶わかってるような顔で余裕もある感じで酒と煙草と女……はいないな、フィーラはちょっと違う、どっちにしろ全部当たるわけじゃないからそこまで気にする必要もないだろう。
「ま、当たった時に考えよう、警戒はするけど」
「楽観的っす……うちは人数も少ないからちゃんと作戦を立てたほうがいいと思うっす」
「逆よ、逆、人数が少ないからしっかり作戦組めるんだし、ここでじたばたしてもしゃーないって」
「その感じでやばいことになっても仕方ないっすよ?」
「その時は、その時」
そんな事を言いながら、ヤスに新しいグラスを持ってこさせる。
『さあ、始まりました、クラン対抗トーナメント。実況はわたくし、ゲームWiki非公式運営のメアリーと、解説はGM様にお越しいただいております』
『はい、よろしくお願いします』
『予選から1日経ってからの本選ですが、珍しく長期的なスケジュールになっていますね』
『そうですね、サービス開始から3か月ほどですが初速も悪くなく、ユーザーも増えている傾向になったののも要因になります』
『数日で終わってたら勿体ないという事ですね』
『こんな事ができるんだ、という宣伝にもなっていますので、是非イベントの動画を見てほしいです』
『リアルタイム、アーカイブは動画サイトに、またゲーム内でも見れますのでどうぞお願いいたします』
『さて、第1回戦ですが、少人数対少人数のぶつかり合いになるそうですね』
『無差別級としては、珍しい組み合わせでもありますから、どうなるか楽しみです』
『そうですね、そしていつまでも待たせても仕方ありません、早速行きましょう……クラン対抗トーナメント無差別級第1回戦!ヴェンガンズカンパニーVSと、仲間たち!』
「嫌な予感っていうと当たるって信じる?」
「信じるっす」
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