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18章

466話 ちょっとした練習

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 今まで色んなゲームをやってきて、これはどうしても無理だって事は結構早い段階で分かる。前提条件って訳じゃなくて、ゲームシステム的に面倒くさかったり大変なのが一つ。二つ目は私の実力的に無理と言う物。今の所、例の指銃は前者の問題で暗礁に乗り上げまくって座礁までしている始末。

「出来る気がしねえ」

 イメージしやすいように手を銃の形にし、銃弾を親指と人差し指の根本で挟んで構えてみる。イメージ的にはこう……じゃないな、指先から出すのが正解っぽいけど、

「出来ねえぞおらー」
「……出来ないですね……」

 いつものティーセットでお茶をしながら横に置いてある黒板をちらりと見てため息一つ。メカクレの奴がどういうプロセスで覚えたのか、こういうスキルを使って発動している、ステータスの振りはどうこう、そんな自分の状況を説明するためにあれこれと書き込んでいる。それを理解はしているのだが、実践できるかってのは別だな。

「何かしらきっかけがあれば覚えそうではあるけど、何もせずにスキル発現は虫が良すぎじゃない?」
「戦闘、してみます……?」
「いやー、そういう事じゃなくて、説明するわ」

 黒板の空いてる所……ではなく、羅列されている説明書きに追加で書き足しつつ説明をしていく。改めてこの黒板に書いてあることを確認しながらと言うのもあるので一石二鳥……でもないか。
 此処で必要なのはスキルの取得と構成で、ステータスに関してはあまり関係がない。このゲームのステータスに関しては装備が出来るかどうかの指標みたいなもんだし。
 って訳でスキルを見ていくのだが、メタリカも途中まではかなり王道の弓職だったりする。ガンナーで言えば、二度撃ち三度撃ちのような連射系スキル、同名別効果の装填、曲げて撃つのや貫通、ヘッドショット、手足を狙っての行動阻害……射撃職だと結構似ているスキルが多い。此処に関してはガンナーとあまり変わらない。なんだったら私が覚えているスキルと大きい違いがない。そうなってくると私が覚えていないスキルの部分が関係してくるわけだが、メカクレのゲーマーとしてのガチ度に改めて引く。
 スキル発現で関係ありそうなのは魔法絡みの物になるのだが、それ取得量が頭おかしい。

「四元素魔法、派生魔法、混合魔法、MP消費攻撃、MP回復速度上昇、MP上限値増加……本当に弓やってんのか?」
「えっと、そっちは……趣味と言うか……」

 もじもじして照れくさそうにしているのを見つつ、この魔法群を一つずつ確認、関係のありそうなものをピックアップ、この中じゃ一番可能性がありそうなのは付与系か。って言っても付与した所でどういう感じに銃器が付与されるのか試した事ないわ。そういえば思い切り忘れてたけど、一応ファイアエンチャントは使えるんだよな私って。

「矢にエンチャントを掛けてそれを使って繰り返しダメージなり撃破を稼いだら発現ってのがパターン?」
「でしょう、か?」
「でしょうか?って言われても無から編み出してるのはおめーだろーがー」

 メカクレのでこを指で突き、ちゃんと考えろという様にびしびしと突く。って言うかエンチャント掛けてみればわかるのか。あーっと、対象を意識して呪文を唱えれば良いんだったかな?すっかり銃撃戦ばっかりしてたから魔法の存在を忘れてた。とりあえずARを持って対象を選択。

『ファイアエンチャント』

 ファイアパターンでも銃に刻まれるのかなって思ったけどそんな事は無く、うっすら赤みが入った銃に。此処で発射……するわけにもいかないって言うか、そもそもトリガーを引いても発射されない。やっぱり効果を見るにはフィールドか射撃場に行かないと駄目か。と、言っても銃にエンチャントはされてるから後は攻撃がどういう判定になるかがポイント?

「発動するたびに魔法の名前言うのどうにかならんのかな」
「あんまり、かっこよくは、ないですね……」
「こう、キャラを操作してるなら良いんだけど、自分でやるとなるとなあ」
「確かに……」
「対人戦の時も先にスキル名言うのって『今からお前をこれで倒すぞ!』って宣言よね」

 そんな事を考えていればエンチャントが切れたのか赤みが無くなりいつも通りのARに戻る。いや、付与時間短すぎじゃね?

「まずはエンチャント戦闘をこなして弾なり武器にエンチャして、良い感じに無からの創造か」
「……多分、それでいい、かと……」
「手あたり次第、しらみ潰しに、ついでに言えば無意識に……犬野郎が誘うだけあって、あんたもなかなかの変態よね」

 心外ですって顔してんじゃねえぞ。
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