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17章

437話 付きまとう宿命

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 連続する爆発音、攻撃が当たった金属音、ミサイルアラートに、ブースト切れの警告音、HPの低下警告音、シールド値減少音。全部同じ音に聞こえる感じもあるけど、それぞれを判別しながら、回避行動をしながら先に進んでいくのは中々にマルチタスク、たまに聞こえる相手プレイヤーの怒号なんかもあるけどBGMみたいなもんだな。

「でもまあ、T2Wのモンスター達の方が容赦ないな」

 ゴール前ラストのカーブを曲がり、ストレートに入った所で外部装甲をパージ。勿論工夫をしているので後ろに向かって装甲を飛ばす攻撃も兼用。そしてバシュっと接続部分を外す音が響くと同時に急加速。装甲重量分軽くなったらそりゃ速度も上がるわな。これでぶっちぎり、何て思っていたら後ろの連中も装甲やら武装を外し始める。でも、その判断するのは遅い。こっちはこっちで速度重視でもあるし、そこそこの装甲だったわけで、そっちが外した所で出力が高くなきゃ追いつけないっての。

「ちょーっと考えればわかるよなあ」

 最高速度と加速度が私以上に高く、なおかつすぐにトップスピードになるなら追いつけるだろうけど、全武装を解除したってのも駄目だね。なんて思ってたら急加速してくる奴が2機ほどいて、重量系なのか出力が高いエンジンでも積んでたっぽいな。

「でも、まあ仕掛けが遅いけど」

 機体一つ分まで近づいてきた所でゴールラインを先に通過して逃げ切り成功。
 そのまま速度を落として行って巡行、ブーストが終わり脚部に重量がかさむと共に崩れ落ちて脚部が折れる。うお、思っていた以上にダメージ貰ってたか。でも順位は1位だし、勝ちは勝ちなので良し。

「あんた、すげーな!」
「おめっとー」

 潰れてる機体のコックピットから体を出して一息ついていると、後続連中が賛辞の声を掛けてくる。スポーツマンシップでもあるんか、こいつらは……うっわ、なんか鳥肌立ってくる。あんな風に称賛なんて私じゃ出来ねえわ。


 

 そんな事を思いながらロビーエリアに戻って次はどうしようかとメニュー画面を開いてアセンブルを組みながら考える。何て言うか、ゲームとして楽しいんだけど、どうもいまいち足りないんだよな。決して面白くない訳じゃないんだけど、既にセオリー含めてガチガチに決まっているのもあるんかな。
 何て言うか、下手にテンプレを外していくとやたら狙われたり、叩かれることが多いし、どうしても覆せない機体性能差ってのもあるのが微妙な所か。この手のゲームの仕方ない所ではあるんだけど、どうしても拡張性と言うか、自分で作っていく感じがない。この辺はロボゲーの宿命って感じ。

「かと言ってこのゲーム以外をやるのもなあ……」

 積みゲーはあると言えばあるけど、集中したら2日くらいで終わるし、PC立ち上げたりなんだりするのめんどくさいってのもある。後は単純にフルプライスで買ったからそのもとは取りたいってのがでかい。

「動き的な所は参考にならんけど武器周りは転用できるし、そっちで使いこなすか」

 そのうちT2W側の方でミサイルなりロケット也を作ってみたくはあるし?
 そういえばこの二つって同じ、同じじゃないで結構揉めるんだよね。誘導装置が付いてるかついてないかの違いだったかな。まー、ロケット砲くらいなら今の科学力でも作れそうだけど。
 
 折角なら向こうに持って行けそうでなおかつあんまりやらないってので言えば重量系の機体と言うか動きか。あいんつの奴がやっていたような複数武装の同時展開?武装を装備出来る分装備してあれこれ切り替えるって言う点では一緒だけど、こっちは機械制御か……って言うか、何でこんなにも向こうに転用しようと躍起になってるのやら。
 
「こっちはこっちで暇つぶしが出来ないのがネックか」

 いつもだったらくるくると銃を回したり、煙草で一服入れたりするけどこっちは機体に乗らないと何にも出来ないのが痛い所。ただパーツさえ手に入れておけばオープンフィールドでもあれこれすぐに変更できるのは良い所。
 
「レースは楽しいけどなあ……ん-、PvEでもやるか?」

 あれこれ考えている間にオープンフィールドに降り立ち、PvEのエリアへと向かう。
 前は徒歩だったけど、今じゃホバーと言うか地上から浮遊してそのままブースト移動が出来るからするする移動できる。あー、この感じなら4脚にして機動力の高い感じの機体にしてみるかな?

 そんな事を考えていたら砲撃を貰い、バランスを崩して地面とキスする。
 土煙を上げ、地面を抉ってからすぐに砲撃された方を見ると、高台に3機ほど見えるので機体を起こして正面に捉えながらバック走。少し距離を取って武装変更のメニューを出しているとオープン回線で会話が聞こえる。

「あんたが噂の初狩キラーだろ?」
「お手合わせ願いたい」
「強い奴は大変だなぁー?」

 なるほど、3体1か。
 レース用の軽量機体だとちょーっと厳しいかな。

「なるほど、あいつのせいか」

 やられたからって変な噂を流したか。あー、何でこうも私って敵を作るのが上手いんだろうなあ。対戦相手に困らないってのは中々良い環境ではあるんだけどさ。

「分かった、1対3か?それとも1対1か?」
「……流石キラー様、話が分かりやすい」
「では自分が前で」
「ヒャッハー!戦争だあ!」

 中量級のアセンに変更し武器もしっかり遠近両用、シールドも完備。初期機体と違って対複数も重装甲をちゃんと抜ける様に武器は揃えておいた。

「掛かって来い、チキン共」

 アームを出してくいくいっと掛かって来い。なんてジェスチャーをすると2機が前に、1機が上から砲撃を開始するので、こっちも一気にブーストを掛け、回り込むように移動し始める。それにしたって別に私が倒したの一回だけだったのに、なんでこうも狙われるのやら。でもまあ、これくらい殺意マシマシでやって来てくれた方が私としては楽しい。

 
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