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17章

435話 舐めプする奴に負けるわけがない

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 やっぱロボゲーって射撃の激しさだったり、大きい者同士ががっしゃんがっしゃん動くのが魅力だよな。T2Wでもそういうのがあるとは聞いたけど、持ってるのは4脚戦車だし、工学系のスキルがまだないから大きいのも作れないんだろうなあ。

「おらおら、動きが鈍いぞ!」

 重量級らしい大き目のソードをぶんぶんと振り回してくるのだが、初狩りする奴にまともな動きする奴はいないか。いつもの様に尻尾……はないんだった、とりあえずナイフを構えて大振りの攻撃を斜めに受けて攻撃を滑らせる。うん、この辺はT2Wでやった動き。何だったら生身……って言うのもちょっとおかしい話だけど、普段銃受けやガンシールドであれこれしている方が難しい。
 大振り力任せの相手なんてオーガ、オーク、ゴブリン、とにかく散々相手をしてきているのもあって、あいつらに比べたらモーションのでかい攻撃なんて取るに足らん。

「そうか、悪役を演じて初心者に操作を教えているんだな?」
「ああ!?」
「優しい奴だなあ」

 金属同士がぶつかり、甲高い音をさせ何度か弾くと共に、バルカンで牽制射撃を与えながら後ろにブースト。地面に跡を付けながら距離を取ったら初期ライフルで射撃。いつものガンナーと違って重低音の銃声が響き、大きい薬莢がガコンと音を立てて弾き飛ばされる。そして明らかに大きい銃弾が相手の装甲を貫き……はせずに、弾かれる。うーん、初期武器じゃやっぱり装甲抜くのはきついか。
 何て事を考えていたら向こうが明らかにでかいキャノンを構えてくるので、回り込みながらライフルでぺしぺしと射撃牽制。

「はっはー!そんなの効かねえな!」
「だろうな」

 多分って言うか確実にこっちのナイフ攻撃も装甲を抜くのが厳しいのはよくわかる。なるほど初期武器じゃ抜けない装甲にしたうえで、初狩りをしているわけか。何て言うかこういう小賢しい事ってよく頭が回るわ。うーん、音の割にはダメージが入らないから、どっしり構えられると厳しい。装甲盛ってるから全体的に動きは鈍重なんだけど、いまいち上手い事いかないね。
 そう思っていたら向こうのキャノン砲が火を噴くので、咄嗟にライフルで受けてしまう。あー、悪い癖でた。すぐ攻撃を銃で受けて防御しようとするのはダメだな、暫くやってた事の癖ってすぐ出ちゃうのよね。で、ライフルだが、当たり前なんだけどそのまま爆発してダメになる。さて、どうするか。

 向こうは向こうでのっしのっし歩き、こっちに銃口を向けつつ、俺は強いってのを満喫している。ナイフとバルカンだけで近接戦しなきゃならんってのは……T2Wでも使えるか。暇つぶしでこのゲームをやり始めたが、向こうに技術と言うか新しい考えを持って行けるのは良いことだ。

「おうおう、悪いなあ、教えてやってるのに!」

 その考えを遮るようにイキってる声が響く。
 よくもまあ、新規に此処までやれるもんだ。さて、どう倒すか。接近戦は大型ソード、距離を取ったらキャノンだが、こっちの武器的には接近戦をするしかない。ん-、目くらましかけて接近戦を嫌がらせ、間接狙っていくか。

「あー、ぞくぞくしてきた」

 ぺろりと唇を舐め、ナイフを構えると共に前ブーストで一気に接近していく途中、キャノンが2発。これが光速のビーム兵器だったらもうちょっとやばかった気がする。実弾でそこまでの速度じゃないってのと、点での攻撃ならすぐにサイドブーストで避けられる。発射タイミングは、今までのゲーム経験値で大体見切れる。そのままするりするりと避け、バルカンで相手のメインカメラ目がけて射撃し、目くらましを掛けてナイフを突き込む。が、流石に接近を許すわけもなく、縦の斬撃。もうちょっと考えて攻撃するべきだろ、こいつ。そんな見え透いた攻撃はキャノンで発射タイミング見るより余裕だわ。

「何避けてんだよ!」
「練習なんだろ?」

 接近してきてるのに縦で攻撃するのはダメだろ、下がりつつ横に振り抜くのが定石だろうに。そんな事を考えながらも右腕の関節部分にナイフを突き刺し、共に捻りを入れて接続を断ち切ろうとするとバチバチと音が響くが、深くは行ってないようで、体を回しながら振り解かれる。
 
「小賢しい事しやがって!」

 こいつずっと鬱陶しいな。
 そろそろ相手してて面白くなくなってきたので片付けたい。一応背面にあるコアを抜いたら大ダメージ、もしくは一撃で落とせるからそっちを狙いたいが……まあ、装甲で囲われているし、弱点を隠すのはセオリーだよね。大分前にあったゲームを思い出す、装甲パーツよりも各部の接続パーツの方が硬くてコストも掛からないってアホなゲームバランスになってたっけか。

「勝てんなあ、これ」

 ひたすら接近戦でバルカンでメインカメラを撃ち抜きながら装甲の薄い関節部分を狙い、ナイフで斬り突いて、金属音や地面が踏み抜かれる音を響かせつつ、肉薄。装甲を盛っているおかげで鈍重になって攻撃自体はのろいし、中距離用のキャノンを腐らせているから正解の動きなのだが、決め手に欠ける。やっぱり背面回ってコアを貫いた方がいいかな。
 
「どけっ!!」

 暫く接近戦をしたところで、相手のブーストでタックルを貰い、かなり後ろに吹き飛ばされ、土煙を上げながら地面に跡を付けて後退。そして距離を取ったらやって来ることは勿論だけどキャノンでの攻撃だが、技名を大きく叫んでいる辺り必殺技か。T2Wの時もそうだけど、あのスキル名を叫んで発動する奴ダサすぎて引く。まー、多分音声認識なんだろうけど、いい歳して技名叫ぶのはやめたいわ。

 そんな事よりも砲が光り、その光が収まると共に一気にビームが飛んでくる。そういやこの間もビームだったな……ん-、流石にこれは避けきれないかな。迫って来るビームの攻撃を咄嗟に左サイドブーストで避けるが右腕が損壊。うん、動かないわ、これ。

「まー、まだいけるか」

 機体のHPが0になるか行動不能になったら負けるが、まだ決着はついてないから動けるって事。クールタイムなのか、向こうは動きが停止。そのチャンスを逃さずにブーストを掛け、右腕を引きちぎりながらバルカン牽制からの引きちぎった右腕を思い切り振り抜いて顔面を捉える。
 クールタイム中の油断しきった所でぶん殴ったのもあってぐらりと体制を崩すので更にブーストを掛けてタックル。完全に横に引き倒してから、初狩りの背中にマウントしてあった大型ソードを引きちぎり。

「お前、何する気だ!」
「貰っとくわ、これ」

 片腕で大型ソードを持ち上げ、一気に頭部と胴体の接続部分に突き入れてそのままねじり切る。が、まだ動いてくるので、上からがんがん殴りつけて装甲をべこべこに歪ませていく。それにしてもこんな雑魚がいきなり強い武器をくれるって凄い親切だよね。そうして暫く初狩りを叩きまくり、満遍なく叩きあげてやったら動かなくなって、画面に勝利と表示される。

 それにしてもこういう動きってT2Wでも使えるかな。反動の強い銃ならブースト的な事も出来るだろうし、もうちょっとこのゲームから色々組み上げるのもありだな。

「サブ垢だろ、お前!初期機体がこんなに動けるわけがねえ!」

 下で寝転がっている奴の声を聞き、奪った大型ソードを肩に掛け、片足を相手の機体に乗せてからコックピットのハッチを開けて機体と自分で見下し。

「違うね……私が強いだけさ」

 にぃーっとギザ歯は無いが、いつもの笑みを浮かべてから大型ソードでもう一度叩き切る。
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