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16章

416話 攻城戦

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『第1回ボス戦対策会議』
『どーすんだよ、あれ、後ろ取っても普通に反撃してくるぞ』
『感知方法がよくわからないですね!』

 展開タワーシールドの裏に5人でみっちり固まって作戦タイム。
 出てきてボスの攻撃手段がまーかなりきつい。射撃戦をしてくると思って接近していった奴は、そのままぶん殴られ、吹っ飛ばされたり、少ない障害物から撃ち合いを始めたのはがっつり反撃を貰って釘付けにされ、その釘付けにされてるのを囮にして他のパーティが攻撃をかましに行ったら、普通に対複数戦闘もこなしてくる。
 勿論だけど前後左右関係無し背後を突こうが横を突こうが、小型ゴーレムを取り込んでいるおかげで連射ビームを全方位に向けて撃ちまくれる。そのくせゴーレムベースだから防御力も高いし耐久力も高い。1個ずつどういう相手かを考えていくとめちゃくちゃきついな。

『他のパーティも撃ち合いはしてますが、弾幕がなかなかえぐいですね』
『私は相性が悪すぎるからほぼ戦えない』

 可能な限り相手の攻撃を受けずにこっちから攻撃をかましてやりたい。
 幸か不幸か分からないが、でかすぎて的がでかいってのと、でかすぎるがが故の鈍重さで機敏に動いてこないのは明確な弱点ではあるのだが、それをしっかりカバーしてくるのが小型ゴーレムの部分。

『雑魚を吐き出して遮蔽物からいぶりだすって事は無いだけマシなんだけどな』

 銃操作の様に小型ゴーレムを独立させて動かして回り込んできたりはしてこないのは運営の優しさか?いや、そこはいらねえ優しさなんだけどさ。

『他のパーティが、ひーふーみー……』
『どーすんだよ!このままじゃボスも倒せねーぞ!』
『だからって突っ込んで行ったら滅多打ちですよね』
『探知方法が分かれば良さそうだけど』

 言い合いするわ、勝手にあれこれしているわ、私のパーティって協調性が無いわ。それが良い所なんだろうけど。何にせよ此処でいつまでもどうするこうすると言っていても仕方がない。

『とりあえず、攻勢に出なきゃな……何パーティいる?』
『詳細な人数はざっとですけど、5パーティ30人はいますね!』

 私らを入れて35人か。
 ボス1体に対して結構な数じゃないか?と思ったが、ゴーレム自体が結構強いから戦力的には少し足りない気がする。思った以上に強いんだよ、あのゴーレム。頭に大きさとか含めて頭にサイコなんて付きそうだけど……何か色々ヤバそうだ。

『格闘家と光の弓が欲しくなる』
『また変な事いってらあ』

 とりあえずインベントリから煙草を取り出し、その煙草の先をシールドで防いでいない所に出してちらちらと動かしてみると、小型ゴーレムのビームがぱしゅっと撃ち込まれて煙草の先を燃やしてくる。

『移動している物に反応しているっぽい所はあるが……Agi落としたから避けきれんな』

 先の燃えた煙草を咥えてからガンシールドの具合を確かめる。
 結構バカスカ撃たれているし、修理も簡易的な物しかやっていないのでかなりガタが来ている。代わりのシールドは今回持ってきてないのでこれが破損したら忍者刀を使って防御するしかない。そろそろこのガンシールドも新しい素材や形状を考えないと駄目か。
 
『とにかく行くぞ』
 
 そういえば全員が了解と言うと共にタワーシールドから飛び出して各々ボスに攻撃を加えていく。






『第2回ボス戦対策会議』
『かなり強いですね!死に掛けました!』

 HPポーションを飲み、渡して一旦全員が一息入れている間にちらりと周りを覗き込んで戦況を確認。ぶっちゃけどこのパーティも攻めあぐね、遮蔽の裏で小さい小競り合いをしながらボスとにらめっこ状態になっている。
 
『小型ゴーレムが装甲になっているから、しっかり倒さないと本体にまで攻撃が通らないですよ』
『色違いのゴーレムがベースに、胴体、手足の主部分が大型の奴、細かい関節部分に中型、装甲が小型……よく考えられてるわ、あいつ』

 いつも以上に疲弊し、ボロボロになったシャールがガンベルトに銃弾を詰め直しつつ、見た事をぽつぽつと言っていく。ほぼ前に出て私らのパーティの中じゃ一番高いAgiと言うのもあって小型の攻撃を引き受けていたというのが原因だ。その後ろでアオメとサンダースが援護をしていたのだが、ボスゴーレム自体に一番近い相手に攻撃が集中するのもあって矢面に出ていたシャールがこんな状態になっている。

『物凄くゆっくり引き金を絞って撃っても撃った時の反動に反応してくるし、狙撃体勢に入るまでもきつい』

 ただ、暫く戦ったからこそ、分かった点もあるのでそれをそれぞれ報告も忘れない。

『倒しきれなかった小型も相手しなきゃいけなくなるし、他のパーティの攻撃で急に敵が増えるってのなあ』
『あいつらマジで邪魔くせえんだけど、何なんだよ!』
『レイドボスですけど、ほとんど全員で好き勝手に殴り合いですからね』
『横と連携取ってみますか?』
『無理だろ、全員がボスを倒そうとしているし』

 すっかり吸い切った煙草をぷっと吐き捨て、ガンベルトに使った銃弾とマガジンに弾を込め直す。何て言うかボス戦って言うか、攻城戦をしている気分になる。しっかり対策立てて、少しずつでも攻撃を加えて剥がして倒すってのが王道かもしれん。

『どっちにしろ長期戦になったらこっちが負ける、硬い装甲に無限弾、強い要素しかないってのに』

 ゆっくりとタワーシールドから顔を出してボスゴーレムを観察。
 多少なりと装甲部分の小型ゴーレムは剥がれるが、中央でのしのしと我が物顔で攻撃を貰った方に反撃をかましている。見れば見るほどあんなの倒せるのかね。
 
『仕方が無い、FWSを出すか……1分耐えれるか?』
『とにかくゆっくり動けば目標にされないですけど、前に出なきゃですね!』
『ガンシールド貸してくれ、持たせるからよ』
『最後の1枚なんですから壊さないでくださいよ』
『私もシールドでアカメの援護する』

 こういう時に限ってばっかりFWSだよりにしているワンパターン戦法も考え物だな。
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