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16章
401話 殴り合うほど仲が良い
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何だかんだで先に進んできたのだが、パーティの相性が最悪とは言わないが限りなく悪い。
単純に敵のバリエーションが増えているというのもあるが、単純に私らの連携が全くもって取れていないのが原因。全体的なバランスは悪くないはずなのに、どうもうまい事行かない。
進行方向にモンスターがいるとシャールが一気に突っ込んで近接射撃でバチバチにやり合い、それを援護する中衛2人、それをさらにカバーする為に私が入るわけだが……突っ込み過ぎる前衛と、一歩踏み込まない中衛、カバーをし切れない私。このちぐはぐな戦闘を何回かやってきたからある程度形になると思っていたのだが、どうやっても足並みが揃わない。
『バトルジャンキーは何人も見てきたが、相当だわ……』
『真ん中2人がおせーんだよ!』
『前に行き過ぎて攻撃しにくいんですよ、動き回るし』
『FFでダメージ通らないんだから躊躇してるのがダメなんだろうがよ!』
そして何より、シャールとアオメの相性が、まあ悪い。
やりたい事がそれぞれあるってのも動き方を見たら理解は出来る。シャールは前に出てとにかくダメージと注意を引き付けて前衛としての役割を全うしようとしている……のだが、突っ込み過ぎて後ろが付いていけてない。
アオメの方に関しては、シャールが前に突っ込み過ぎるから援護しようとしているのだが、私とサンダースの援護もしなきゃならないのでそれに引っ張られて前に出れない、で2人の援護出来る位置取りにしたところでFFを気にして弾幕が疎かになる。
『アカメさん、止めないんですか?』
『私としては前に進めりゃいいわ、本当にムカついてるならあんな風に言わんしな』
本当にダメならさっさとパーティを抜けているだろ。それにしても、ああやってマジで言い合いする奴って久々に見た気がする。個人的に本音で言い合えるのは期待している証拠だと思うんだが……古い考えかな、これって。
そんな事を思っている間にもぎゃあぎゃあと騒いで喧嘩をし続ける2人を眺めつつ、マップを開いて到達距離を確認する。とりあえず喧嘩している2人は置いて、サンダースとマップを見て今後のルートを相談する事に。
『まだ全体の4分の1って所ですね、森系ダンジョンなのを考えれば最深部辺りにボス用の広間があるかと!』
『情報クランでダンジョン攻略の話は流れてない訳?』
『ないですね!知り合い、クランメンバーと話しましたがダンジョン攻略に力入れてるのはまだいないららしいです!』
と言っても、40砦全てから話を聞けるわけじゃないし、自分の知っている中でって話だろう。初めてここに来たときだって、先に他の奴が居たのだから私達以外のプレイヤーがいないはずがない。私だけがやってるって事なんてガンナー全滅しかけた時くらいしかない。
『ほら、そこで小競り合いするのも良いけど、そろそろ行くわよ』
『アカメさんもなんか言ってくださいよ!』
『アカ、てめえどっちの味方だよ!』
何でこういう時に限って振って来るかな?いや、私がパーティを募集しようって言ったんだから私にも原因があると言えばあるのか。あんまり縛り付けても動きが悪くなると思ってたから大まかな方針だけ決めて好きにさせてたが、こうなってくるとちゃんと指示して動く方が良いな。
『分かった、私とシャールの位置を変えよう、あまり耐久は無いからアオメは早めにカットに入れ』
『分かりました』
『俺はどうするんだよ』
『私と同じような立ち回りで良い、なるべく全体と離れないように注意しろ』
何か言ってくるかと思ったら特になく、分かったと言うと素直に場所を入れ替えて周りの警戒を始める。何だかんだでしっかりいう事は聞いてくれるんだよな。もうちょっと愛想が良かったら万人受けしそうだよな、私としてはああいう生意気な子は嫌いじゃないが。
『まあとりあえず暫くはこれで動いて見よう、前出るからサンダースがマップ見て方向を決めてくれ』
『了解です!』
何だかんだでさっきまでぎゃんぎゃんと喧嘩していた2人は大人しく後ろを付いてくるのでこの陣形が安定だろう。後はこの状態で何度か戦闘をして連携の練度を上げていけばボス相当の相手でも苦戦しないようになればめっけもんよ。
『足引っ張らないでくださいね』
『誰に言ってんだてめえ』
しっかり陣形を守ってはいるけど、細かい言い争いは続けてる。
『……喧嘩するならパーティじゃなくて個別でやらんかい』
仲が良いのは良いんだけどさ。
また暫くダンジョンを進んで、マップの広さ的に半分少しまで到達。抵抗らしい抵抗ってのもないし、今の所は安定している。前と後ろを入れ替えるだけでこんなに噛み合わせが良くなるなら最初からこうしておけばよかった……というのは後だしだな。
『余裕あるならまだ行くけど、どう?』
そう聞けば全員が大丈夫と返事をするので歩みを止めずに更に進んでいく途中、後ろにいたサンダースが私の事を捕まえるのでぴたりと足を止める。
『ヤバいのがいます』
さっきよりも真面目なトーンで銃を構え、鋭い目つきで私の先の方を見ているのをちらりと見てから一息入れ、辺りを警戒しながらどうするかを相談し始める。多分此処が一つの山場だな、銃弾もまだ
『やる、やらないの話で言えばやるしかないが、いけるか?』
『俺を先頭にしろよ、そろそろ暴れてえし』
『ただの狂犬じゃないですか』
はいはい、そこで乳繰り合わない。ああいえばこういう割には仲良いんだよな。
『シャールを主軸にして、それぞれ援護で良い。一番前を張れるのは証明されてるからな』
『アカメさんも前じゃないんですか?』
『中衛だな、サンダースとアオメ、シャールの間で立ち回る』
『FWSで一気にー!ってのはダメですか!』
『あれはイベント中だと弱体化しているし、こういう時には使いにくいんだよ』
すっかり忘れてたけどFWSあったな。唯一の奥義スキルだが、イベントだったり対人の時ってしっかり弱くなってるから基本的に無い物として考えている。そもそも銃操作を使う前提のステ振りをしたからMP全部使うFWSを使うのはリスクがありすぎる。
『どうせ突破するんだ、さっさと行こうぜ』
『その意見には同意です』
やっぱり仲良いな、こいつら。
細かい動き方まで詰めると面倒そうなので、良い所で切り上げてサンダースが言った場所に全員で突入。
茂みを抜ければ明らかにバトルフィールドですって感じに開けており遮蔽物は特にない場所に出てくる。そうして4人がそれぞれ銃を構えて警戒しつつ固まって辺りを確認。すごい仰々しい所だが特に何もなく、モンスターがいきなり出てくるって事も無い。
とりあえずシャールに声を掛けて少し前に出ろとハンドサインと声を掛けると前に出て中心部に近づく。これで何も無かったらサンダース、お説教だぞ。そんな事を思いつつシャールが前に出るのに合わせて自分も一定距離を保ったまま前進。後ろのアオメとサンダースにも後ろを警戒しつつついてこいと指示を出す。
で、結局中心の所まで来たが特に無し。
『おい、ヤバいのがいるんじゃねえのか!』
『うーん、別のパーティがいる感じも無かったんですが……』
『まあ警戒するに越したことはない、最悪を引くよりはいいさ』
『……その最悪、引いたみたいですが』
アオメがそう言うと、しっかり中型の狼に囲まれている。その上で、私達が入ってきた地点からさらに大型の狼が1匹、両端に刃の付いているダブルブレード型の剣を咥えている。
『アオメとサンダースは中型を相手しろ、私とシャールで大物を狙う』
『片付けたらそっちに合流します』
『先に片付けててめえらを助けてやるよ』
『それじゃあ後は臨機応変にですね!』
そう言うと共にシャールが銃を抜いて一気に駆け出して大型の狼に向かうのでその後ろを付いて行く、のと合わせて大きく咆哮を上げてくるのが開戦の合図となる。
単純に敵のバリエーションが増えているというのもあるが、単純に私らの連携が全くもって取れていないのが原因。全体的なバランスは悪くないはずなのに、どうもうまい事行かない。
進行方向にモンスターがいるとシャールが一気に突っ込んで近接射撃でバチバチにやり合い、それを援護する中衛2人、それをさらにカバーする為に私が入るわけだが……突っ込み過ぎる前衛と、一歩踏み込まない中衛、カバーをし切れない私。このちぐはぐな戦闘を何回かやってきたからある程度形になると思っていたのだが、どうやっても足並みが揃わない。
『バトルジャンキーは何人も見てきたが、相当だわ……』
『真ん中2人がおせーんだよ!』
『前に行き過ぎて攻撃しにくいんですよ、動き回るし』
『FFでダメージ通らないんだから躊躇してるのがダメなんだろうがよ!』
そして何より、シャールとアオメの相性が、まあ悪い。
やりたい事がそれぞれあるってのも動き方を見たら理解は出来る。シャールは前に出てとにかくダメージと注意を引き付けて前衛としての役割を全うしようとしている……のだが、突っ込み過ぎて後ろが付いていけてない。
アオメの方に関しては、シャールが前に突っ込み過ぎるから援護しようとしているのだが、私とサンダースの援護もしなきゃならないのでそれに引っ張られて前に出れない、で2人の援護出来る位置取りにしたところでFFを気にして弾幕が疎かになる。
『アカメさん、止めないんですか?』
『私としては前に進めりゃいいわ、本当にムカついてるならあんな風に言わんしな』
本当にダメならさっさとパーティを抜けているだろ。それにしても、ああやってマジで言い合いする奴って久々に見た気がする。個人的に本音で言い合えるのは期待している証拠だと思うんだが……古い考えかな、これって。
そんな事を思っている間にもぎゃあぎゃあと騒いで喧嘩をし続ける2人を眺めつつ、マップを開いて到達距離を確認する。とりあえず喧嘩している2人は置いて、サンダースとマップを見て今後のルートを相談する事に。
『まだ全体の4分の1って所ですね、森系ダンジョンなのを考えれば最深部辺りにボス用の広間があるかと!』
『情報クランでダンジョン攻略の話は流れてない訳?』
『ないですね!知り合い、クランメンバーと話しましたがダンジョン攻略に力入れてるのはまだいないららしいです!』
と言っても、40砦全てから話を聞けるわけじゃないし、自分の知っている中でって話だろう。初めてここに来たときだって、先に他の奴が居たのだから私達以外のプレイヤーがいないはずがない。私だけがやってるって事なんてガンナー全滅しかけた時くらいしかない。
『ほら、そこで小競り合いするのも良いけど、そろそろ行くわよ』
『アカメさんもなんか言ってくださいよ!』
『アカ、てめえどっちの味方だよ!』
何でこういう時に限って振って来るかな?いや、私がパーティを募集しようって言ったんだから私にも原因があると言えばあるのか。あんまり縛り付けても動きが悪くなると思ってたから大まかな方針だけ決めて好きにさせてたが、こうなってくるとちゃんと指示して動く方が良いな。
『分かった、私とシャールの位置を変えよう、あまり耐久は無いからアオメは早めにカットに入れ』
『分かりました』
『俺はどうするんだよ』
『私と同じような立ち回りで良い、なるべく全体と離れないように注意しろ』
何か言ってくるかと思ったら特になく、分かったと言うと素直に場所を入れ替えて周りの警戒を始める。何だかんだでしっかりいう事は聞いてくれるんだよな。もうちょっと愛想が良かったら万人受けしそうだよな、私としてはああいう生意気な子は嫌いじゃないが。
『まあとりあえず暫くはこれで動いて見よう、前出るからサンダースがマップ見て方向を決めてくれ』
『了解です!』
何だかんだでさっきまでぎゃんぎゃんと喧嘩していた2人は大人しく後ろを付いてくるのでこの陣形が安定だろう。後はこの状態で何度か戦闘をして連携の練度を上げていけばボス相当の相手でも苦戦しないようになればめっけもんよ。
『足引っ張らないでくださいね』
『誰に言ってんだてめえ』
しっかり陣形を守ってはいるけど、細かい言い争いは続けてる。
『……喧嘩するならパーティじゃなくて個別でやらんかい』
仲が良いのは良いんだけどさ。
また暫くダンジョンを進んで、マップの広さ的に半分少しまで到達。抵抗らしい抵抗ってのもないし、今の所は安定している。前と後ろを入れ替えるだけでこんなに噛み合わせが良くなるなら最初からこうしておけばよかった……というのは後だしだな。
『余裕あるならまだ行くけど、どう?』
そう聞けば全員が大丈夫と返事をするので歩みを止めずに更に進んでいく途中、後ろにいたサンダースが私の事を捕まえるのでぴたりと足を止める。
『ヤバいのがいます』
さっきよりも真面目なトーンで銃を構え、鋭い目つきで私の先の方を見ているのをちらりと見てから一息入れ、辺りを警戒しながらどうするかを相談し始める。多分此処が一つの山場だな、銃弾もまだ
『やる、やらないの話で言えばやるしかないが、いけるか?』
『俺を先頭にしろよ、そろそろ暴れてえし』
『ただの狂犬じゃないですか』
はいはい、そこで乳繰り合わない。ああいえばこういう割には仲良いんだよな。
『シャールを主軸にして、それぞれ援護で良い。一番前を張れるのは証明されてるからな』
『アカメさんも前じゃないんですか?』
『中衛だな、サンダースとアオメ、シャールの間で立ち回る』
『FWSで一気にー!ってのはダメですか!』
『あれはイベント中だと弱体化しているし、こういう時には使いにくいんだよ』
すっかり忘れてたけどFWSあったな。唯一の奥義スキルだが、イベントだったり対人の時ってしっかり弱くなってるから基本的に無い物として考えている。そもそも銃操作を使う前提のステ振りをしたからMP全部使うFWSを使うのはリスクがありすぎる。
『どうせ突破するんだ、さっさと行こうぜ』
『その意見には同意です』
やっぱり仲良いな、こいつら。
細かい動き方まで詰めると面倒そうなので、良い所で切り上げてサンダースが言った場所に全員で突入。
茂みを抜ければ明らかにバトルフィールドですって感じに開けており遮蔽物は特にない場所に出てくる。そうして4人がそれぞれ銃を構えて警戒しつつ固まって辺りを確認。すごい仰々しい所だが特に何もなく、モンスターがいきなり出てくるって事も無い。
とりあえずシャールに声を掛けて少し前に出ろとハンドサインと声を掛けると前に出て中心部に近づく。これで何も無かったらサンダース、お説教だぞ。そんな事を思いつつシャールが前に出るのに合わせて自分も一定距離を保ったまま前進。後ろのアオメとサンダースにも後ろを警戒しつつついてこいと指示を出す。
で、結局中心の所まで来たが特に無し。
『おい、ヤバいのがいるんじゃねえのか!』
『うーん、別のパーティがいる感じも無かったんですが……』
『まあ警戒するに越したことはない、最悪を引くよりはいいさ』
『……その最悪、引いたみたいですが』
アオメがそう言うと、しっかり中型の狼に囲まれている。その上で、私達が入ってきた地点からさらに大型の狼が1匹、両端に刃の付いているダブルブレード型の剣を咥えている。
『アオメとサンダースは中型を相手しろ、私とシャールで大物を狙う』
『片付けたらそっちに合流します』
『先に片付けててめえらを助けてやるよ』
『それじゃあ後は臨機応変にですね!』
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