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13章

332話 強化プランA

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 姿を変えるってだけでもいい気分転換になるもんだ。
 ぶっちゃけ今までと違いすぎるのもあってか、いつもと違うような目で見られている感じすらある。
 これを駆使したら変装として面白い事が出来そうだけど、T2Wってそういうゲームじゃないから、実用性はないだろうなあ。

 とりあえずログアウトしていた時に考えていた、武器をどうするかって話が今としては早急に片付けなきゃいけない問題になる。
 今まで手に入れてきた銃、M2ラビット、G4シュバルベ、Dボア、鳳仙花、ランペイジMk2、センターヘッド、110mm対艦ライフル……使い勝手で言えば最初の方に上げている4種が優秀。後の方に上げたのは癖が強いから、どうにかこうにかって感じなのは今まで使っていた通りか。

 とりあえずCH以外の銃は自宅の装備ラックに飾って仕舞ったので、手持ちにある武器が忍者刀とCH、後は投げ物になる。で、此処で問題なのが打剣の為だけに獲得した忍者が失敗だったと。
 ガンナーが元々、銃以外の武器を使ったら弱体化したが、ケルベロスだとさらに弱くなる。どうにかこうにかスキルでその補正を帳消しにできるなら、片手は銃で片手は刀で、って事が出来るとは思うのだが、かみ合わせが悪い。CHだけで立ち回れると言えば立ち回れるが、そこは装弾数の弱さが露呈し始めているので、そこも考えないといけない。
 
「……買うの?買わないの?」
「今考えてる」

 ガンナーギルドの受付NPCが、ショップのウィンドウを開いた状態で険しい顔をしている私に向かって吐き捨てる。ここのNPC、結構通ってるわりにあんまり好感度が上がっている感じしない、好感度も確定であるという訳ではなく、何となく通っているうちに待遇や話し方が良くなっていくから、そういうシステムがあるんだろうって思われているだけだったりする。

「どれもいいとこなんだけど、いまいち足りないのよねえ」
「文句あるなら買わなくていいよ」

 そりゃそうなんだけど、どうしても納得できないのがあって、ガンナーギルドに並んでいるラインナップがちょっと少ないんだよな。ショップには武器とその他のカテゴリーがあって、その他のカテゴリーには銃弾やらその材料が転がっているので、特に言う事はないが……薬莢1個10Zで売ってるのでこれを大量購入するくらいはいいかも。
 で、話を戻すが、武器カテゴリーから更に、武器種のカテゴリーへと枝分かれしていく。そしてそのカテゴリーが拳銃、小銃、騎兵銃、狙撃銃、散弾銃、機関銃、対物ライフルとあって、一度手に入れた物も再度購入する事が可能になっている。死ぬほど格安なのだが、パイプ銃も存在していて、これは多分自作で作ったから表示されているんだろう。

「もっと銃の種類増やしたいんだけどなあ……」
「もっとギルドに貢献したらな」

 単純にヒントをくれたが、今すぐ欲しいが……仕方がないな。
 ショップのウィンドウからするっと切り替え、ガンナーのクエストを表示させてから貢献度の高い物を選んでとにかく受注しまくる。失敗したなあ、こんな事なら襲撃イベントの時に合わせて受注しておけば貢献度めっちゃ稼げたんじゃないかな?
 
「CHだけで立ち回るのすげー大変だからなあ……急造品でも拵えて貢献度稼ぎってのもありかな」

 受付のカウンターに寄りかかりながら、投げ物ポーチに入っている手裏剣をくるくるとハンドスピナーの様に回して遊びつつ考え込む。
 
「とりあえず、これ二つ」
「毎度」

 ショップに切り替え、オートマチックの拳銃を2丁購入、物はG4なので今まで使っている物と変わりはしない。ちなみに購入費はクラン資金を引っ張ってきたので自分の手持ちは全くもって痛くない。って言うか襲撃イベントの特需で滅茶苦茶稼いだので、今ならクランハウスのでかいのを何個か購入出来る位には貯えがあるので私の趣味にちょっと使っても文句は言われない。って言うか、しこしこ火薬作って売っぱらったんだから文句は言わせねえぞ。

「試射する?」
「そんな事しなくても分かってるくらいには使いこんでるから」

 わざわざ銃の本体をカウンターに置いてからこっちに差し出してくる方式ってのは演出に凝っていてとても好きだ。
 とりあえず1丁はそのままインベントリに放り込んで、もう1丁を手に取って素早く構え、腕を畳んでコンパクトに構えつつ、少し斜め構えに。構えを解いて指でクルクルと回してガンベルトにすちゃっと下げる。その一連の動作を見たのか、受付NPCがぽつりと「少しは様になってるな」と零される。

「後はクランハウスに戻って弄ってみるかな」

 一応考えていることは多分出来ると思うから手を出しているしな。



 そんなこんなで街中をぶらぶらしてからクランハウスに戻ってくる。
 こんな事ならレース場で機体貰って街中をスピーディーに動けるようにすれば良かった。

「って、事は良いとして、私のやりたい事はこっちなのよね」

 地下の銃工房でG4を二つ並べて、メモ帳を開いて考えておいた強化プランを確認していく。つまるところ現状は火力不足であって、なおかつ手数の問題がある。後者に関してはロングマガジンを使えばオートマチックなら解決できるので、やっぱり問題は前者になる。
 で、此処で威力を上げる方法ってのが何個かある訳で、単純に強力な銃を手に入れてぶっ放す、炸薬量を増やしたり、改造した弾頭を使うって手法もあるか。後は単純に数を揃えてぶっ放すってのもあるな。

「出来たら御の字って感じねえ、これ」

 銃工房の作成メニューを弄りながらあれこれとやっていく。何やるかって言うとダブルバレルピストルにするってだけの話で、ばらしたりなんだりしてくっつけて同時発射を出来るようにするってだけ。
 改造って名目なのかニコイチ化するのかよくわからんが、とにかくガンスミスやらカスタマイズのスキルを使い、どうにかこうにかくっつけてみる。
 例えば2丁を針金で固定してとりあえず合わせましたって感じにしてみる。のは、失敗したので次。同時発射ってアイディア自体はかなり良いと思ったんだけどなあ。
 とりあえずリアルで実際にあるものを参考にして、組み立てていくというか、合体させる方向性であれこれと弄り続ける。
 
「こういう事って久々にやってる気がするなあ……」

 こう、銃を縦に見たときに左右を0.7ずつくらい削って発射に支障が無いようにして、左右をすり合わせて合体させてると、通常のG4の太さ1.4倍くらいの掛け合わせたものが……。

「出来ないんだな、これが」

 完璧に忘れてた、オートマチックでしかも同じ物を買ってるんだから、排莢する部分が全部同じ方向を向いている。これ、左右で飛びあってくれないと普通にジャムるから当たり前だけど欠陥すぎる。

「そりゃそうだよなあ、つまるところ合体させるのに左と右で排莢するように改造しなおさないといけない訳か」

 合体してツインバレルピストルにする前に、排莢の向きを変えた合体用の銃に改造したうえで弄らないと駄目って事。ああー、この試行錯誤、こういうのが楽しいのよね。

「これがうまい事行けば、トリプルバレルショットガンも視野に入るし、もう数本ダメになっても良い奴買ってくるかな」

 こういうものは失敗する事に金を掛けるって大事なんだよな。漫画で見た。
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