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12章
313話 新商品
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うーむ、金属素材から布や紙素材にしてみたが、大きく威力が落ちたり上がったりはないな。
何だったら鉄パイプの時にあった、鉄片がそこら中に刺さらなくなるってのもあるから、使い勝手は向上しているような気がする。
「もうちょっと小さくして鉄片混ぜ込んだら手榴弾になるかな」
握りこぶし大の球を手の中で転がしつつ、投げ物ポーチから一つ取り出してポンコツに投げ渡す。
「あの辺、そうだ、あの辺りに投げこめ。生活火魔法はあるだろ」
「投擲持ってないのにぃ」
「じゃあ殴るか蹴れ」
「ああいえばこういう!」
何て言いながらしっかり蹴り飛ばして着弾、爆発が起きるのを確認してメモ帳を開いてどんなものかを記載。やはり生活火魔法と言うか一度着火しなきゃいけないってのがネックになるから、現代と同じようにピンを抜いて着火できるような機構を開発するか。
魔力と言うかMPを使用したら着火できる機構ならあるんだけど、いちいちその機構をこの細かい物に入れなきゃいけないってなったらトカゲが多分ぶち切れる。それにレシピ開発さえできれば材料揃えてボタン一つでさくさくーっと作れるから一手間入れなくてもいいから刻印ルートは無し、消耗品に使う代物じゃないわ。
「そっちは?」
「これで、終わりっ!」
少しぶれた2重の銃声と打撃音をさせてモンスターを倒している間に、こっちはこっちでウサ銃に弾を詰めてくるりと銃を回して肩に乗せ、葉巻を咥えて火を付ける。この辺はもう一連の流れだな。
「大体片付いたし、うちらもさくっと撤収するか」
「まだ終わってないけどいいのー?」
「そうねー……」
とりあえず少し下がろうと言って、前線手前くらいまで戻りながら追撃してくるモンスターに火炎瓶をお見舞いしておく。あー、本当にこれ便利、直撃してもプレイヤーにダメージはないけど、足止めに使えるって言うだけでも全然使い物になる……まあ、ぶつけても確かにダメージないが炎上したらそっちのダメージは受けるんだけど。
「まだ配信してるんだっけか」
「してるよー、ボスが余計なもん出すからコメント酷い事になってる」
って言うか対人イベントの時にも出したからそこまでやばいもんじゃない、外側が変わっただけだから知ってる人は知っているだけ。ちょこっとだけ構造って言うかレシピを改良したものだから今更驚くもんでもないと思うんだが。
でもまあ、見た事ないって言うならしっかり宣伝しないとな。
「取り出したるは特製の焙烙玉、レシピはひ・み・つ♪」
「ええ、急になにぃ……」
「使い方はとーっても簡単、導火線に火を付けて、モンスターのいる所にぽーい」
葉巻の火を使い点火、その後しゅぱっと手首のスナップを効かせて他のプレイヤーがいない所を狙って焙烙玉を投げ入れると、数秒後にドカン。爆風で紫煙が流れるのを目で追いながらポンコツの前で商品説明を続ける。
「起爆時間は導火線の長さ、威力は火薬量で調整、オーダーメイドで大量注文も自由自在」
ころころと手の中で転がし、回転を掛けて軽く上に放り投げたりして遊びながらしっかり宣伝。ああ、そうそう火炎瓶もあるからそっちも同じように説明しつつ、放り投げて具合を見せつける。
「あー、注文先が分からないわね……じゃあ、ポンコツの所に連絡して?」
「うぇ!?いや、それはちょっと……」
「その代わり欲しい物買ってやるから」
「じゃあやる」
やっぱり世の中金よ金。
「ほら、にこーっと笑って、買ってね☆って」
口の端を人差し指で上げてギザ歯を見せつける。勿論後ろは爆発と炎の壁を広げて地獄の様な状況だってのは目を瞑っておこう。
「で、変化は」
一転してクランハウスの2F、定位置に座って肘掛けに肘をついて体重を掛けたまま報告待ち。
「はい、火炎瓶と焙烙玉の受注が数件来ています。どちらもダース単位で結構な数になります」
「……ねえ、あんた達って生産手伝いしてるわけだし、頼んだら勝手に作っておいてくれる機能とかないの?」
「はい、あります」
あるのか、いや、手伝いだって言うし、設定したらできるのか?って言うかよくよく考えたら生産手伝いってどういう事をしてたんだって話になるし出来る要素はあったのか。
「……ちょっと画面だしてみ?」
「はい、こちらです」
両手を出すと共にウインドウ1つ。
あー、凄いわ、ちゃんと色々設定できる。そもそも私がNPCの配置とやる事設定したんだからこれくらいはできるのか。クランハウスのメニューから弄るのかなーって思ったけど、あっちはあっちでまた別か。
「よくよく考えれば報告したり売買系の手伝いが出来るんだから不思議でもないのか……自動生産みたいな事設定したらいけるか?」
「何個かルールがあるのでそちらに乗っ取っていただければ」
ついでにマニュアルもそのウインドウで確認できるので軽く目を通す。一応複雑な命令系統を組めることは組めるのだが、ぽちぽちっとボタン押して出来るもんじゃない。条件と行動を一つ一つしっかりとくみ上げるタイプの時間かけてじっくりやるやつ。こういうのはそっ閉。
「予想以上にガチだったわ、こんなんNPCの標準装備かと思うとすげえわ」
「いいえ、種族の関係です、私達はオートマトンなので」
「デフォ選択じゃそんなんなかったな」
「はい、プレイヤーの皆様には使用できないものになります」
この辺の回答は予め運営が用意してましたって感じ。そのうち実装されそうな気もするけど、先発組が容姿やモデル変更できないのにクレームつけそうだ。ただこういう複雑なシステムが組み込んでいるって話ならNPC専用でも良いわ。
「あー、やめやめ、自分でレシピ作成しよ」
やらないんですかって顔しつつ、いつも通りにシオンが椅子の隣で待機し続けている。わしゃわしゃしたら多分嬉しがるんだろうけど、最近ちょっと甘やかしすぎた気がするのでしないでおく。
とりあえず今やるべき事は注文を貰った個数を仕上げて納品する事だ、幸いな事に余計な調整は無いからいつも作ってる分量でいつも売っている値段なので特にレシピを弄る必要も無いのでちゃちゃっと作成開始。
で、どう手伝いをしていたのかって話が此処で分かるんだけど、クランの共有ボックスにうちの秘書は直接アクセスできる。なのでいちいち材料を取りに行かないで、作るたびに目の前で材料を出してくれるって点を発見できたので良し。
「アカメ、ちょっと良いか」
「作業しながらならな」
2Fのリビングでぽこぽこと火炎瓶やら焙烙玉を量産しつつ、酒造クランに行った割には基本的にうちにいる髭親父が話しかけてくる。なんだよ結局うちに入り浸りかよ。
「例の件、調べてきたぞ」
「案外早かったわね」
「これでも信頼は厚いんでな」
考えていた数倍は早く分かったけど、今の所は軽く覚えておく程度で十分か。まだ激化してないし、これからどう出てくるかが問題だし、もう殴り合いは開始しているわけだから何をやろうが文句は言わせねえぞ。
「それにしても知ってどうするんだ」
「価格と量から向こうの在庫を計算して、物量と質で殴り返そうって思ってさあ」
「らしい戦い方だ」
「今日は新商品も宣伝したし、そっちでも動いてくると思うんだよねえ」
配信と前線でちょろっと使っただけだが、新商品も良い感じに売れ行きが出ているし、もう一つくらい目新しい物を作ってやったらいいかな。後はどういう物をって話だけど、やるならやるでガンナーらしいものを使っていきたい所。
「あくどい事は得意だな」
「ぐうの音も出ない様に叩かないとめんどくさいじゃん?」
頼まれていた火炎瓶と焙烙玉を作り終わって、ふいーっと葉巻で一服。
火気厳禁だってのにがんがん火の元あるな、ここ。
「爆発したらアフロ頭になるものとかつくろっか」
「古典的すぎだろうに」
何だったら鉄パイプの時にあった、鉄片がそこら中に刺さらなくなるってのもあるから、使い勝手は向上しているような気がする。
「もうちょっと小さくして鉄片混ぜ込んだら手榴弾になるかな」
握りこぶし大の球を手の中で転がしつつ、投げ物ポーチから一つ取り出してポンコツに投げ渡す。
「あの辺、そうだ、あの辺りに投げこめ。生活火魔法はあるだろ」
「投擲持ってないのにぃ」
「じゃあ殴るか蹴れ」
「ああいえばこういう!」
何て言いながらしっかり蹴り飛ばして着弾、爆発が起きるのを確認してメモ帳を開いてどんなものかを記載。やはり生活火魔法と言うか一度着火しなきゃいけないってのがネックになるから、現代と同じようにピンを抜いて着火できるような機構を開発するか。
魔力と言うかMPを使用したら着火できる機構ならあるんだけど、いちいちその機構をこの細かい物に入れなきゃいけないってなったらトカゲが多分ぶち切れる。それにレシピ開発さえできれば材料揃えてボタン一つでさくさくーっと作れるから一手間入れなくてもいいから刻印ルートは無し、消耗品に使う代物じゃないわ。
「そっちは?」
「これで、終わりっ!」
少しぶれた2重の銃声と打撃音をさせてモンスターを倒している間に、こっちはこっちでウサ銃に弾を詰めてくるりと銃を回して肩に乗せ、葉巻を咥えて火を付ける。この辺はもう一連の流れだな。
「大体片付いたし、うちらもさくっと撤収するか」
「まだ終わってないけどいいのー?」
「そうねー……」
とりあえず少し下がろうと言って、前線手前くらいまで戻りながら追撃してくるモンスターに火炎瓶をお見舞いしておく。あー、本当にこれ便利、直撃してもプレイヤーにダメージはないけど、足止めに使えるって言うだけでも全然使い物になる……まあ、ぶつけても確かにダメージないが炎上したらそっちのダメージは受けるんだけど。
「まだ配信してるんだっけか」
「してるよー、ボスが余計なもん出すからコメント酷い事になってる」
って言うか対人イベントの時にも出したからそこまでやばいもんじゃない、外側が変わっただけだから知ってる人は知っているだけ。ちょこっとだけ構造って言うかレシピを改良したものだから今更驚くもんでもないと思うんだが。
でもまあ、見た事ないって言うならしっかり宣伝しないとな。
「取り出したるは特製の焙烙玉、レシピはひ・み・つ♪」
「ええ、急になにぃ……」
「使い方はとーっても簡単、導火線に火を付けて、モンスターのいる所にぽーい」
葉巻の火を使い点火、その後しゅぱっと手首のスナップを効かせて他のプレイヤーがいない所を狙って焙烙玉を投げ入れると、数秒後にドカン。爆風で紫煙が流れるのを目で追いながらポンコツの前で商品説明を続ける。
「起爆時間は導火線の長さ、威力は火薬量で調整、オーダーメイドで大量注文も自由自在」
ころころと手の中で転がし、回転を掛けて軽く上に放り投げたりして遊びながらしっかり宣伝。ああ、そうそう火炎瓶もあるからそっちも同じように説明しつつ、放り投げて具合を見せつける。
「あー、注文先が分からないわね……じゃあ、ポンコツの所に連絡して?」
「うぇ!?いや、それはちょっと……」
「その代わり欲しい物買ってやるから」
「じゃあやる」
やっぱり世の中金よ金。
「ほら、にこーっと笑って、買ってね☆って」
口の端を人差し指で上げてギザ歯を見せつける。勿論後ろは爆発と炎の壁を広げて地獄の様な状況だってのは目を瞑っておこう。
「で、変化は」
一転してクランハウスの2F、定位置に座って肘掛けに肘をついて体重を掛けたまま報告待ち。
「はい、火炎瓶と焙烙玉の受注が数件来ています。どちらもダース単位で結構な数になります」
「……ねえ、あんた達って生産手伝いしてるわけだし、頼んだら勝手に作っておいてくれる機能とかないの?」
「はい、あります」
あるのか、いや、手伝いだって言うし、設定したらできるのか?って言うかよくよく考えたら生産手伝いってどういう事をしてたんだって話になるし出来る要素はあったのか。
「……ちょっと画面だしてみ?」
「はい、こちらです」
両手を出すと共にウインドウ1つ。
あー、凄いわ、ちゃんと色々設定できる。そもそも私がNPCの配置とやる事設定したんだからこれくらいはできるのか。クランハウスのメニューから弄るのかなーって思ったけど、あっちはあっちでまた別か。
「よくよく考えれば報告したり売買系の手伝いが出来るんだから不思議でもないのか……自動生産みたいな事設定したらいけるか?」
「何個かルールがあるのでそちらに乗っ取っていただければ」
ついでにマニュアルもそのウインドウで確認できるので軽く目を通す。一応複雑な命令系統を組めることは組めるのだが、ぽちぽちっとボタン押して出来るもんじゃない。条件と行動を一つ一つしっかりとくみ上げるタイプの時間かけてじっくりやるやつ。こういうのはそっ閉。
「予想以上にガチだったわ、こんなんNPCの標準装備かと思うとすげえわ」
「いいえ、種族の関係です、私達はオートマトンなので」
「デフォ選択じゃそんなんなかったな」
「はい、プレイヤーの皆様には使用できないものになります」
この辺の回答は予め運営が用意してましたって感じ。そのうち実装されそうな気もするけど、先発組が容姿やモデル変更できないのにクレームつけそうだ。ただこういう複雑なシステムが組み込んでいるって話ならNPC専用でも良いわ。
「あー、やめやめ、自分でレシピ作成しよ」
やらないんですかって顔しつつ、いつも通りにシオンが椅子の隣で待機し続けている。わしゃわしゃしたら多分嬉しがるんだろうけど、最近ちょっと甘やかしすぎた気がするのでしないでおく。
とりあえず今やるべき事は注文を貰った個数を仕上げて納品する事だ、幸いな事に余計な調整は無いからいつも作ってる分量でいつも売っている値段なので特にレシピを弄る必要も無いのでちゃちゃっと作成開始。
で、どう手伝いをしていたのかって話が此処で分かるんだけど、クランの共有ボックスにうちの秘書は直接アクセスできる。なのでいちいち材料を取りに行かないで、作るたびに目の前で材料を出してくれるって点を発見できたので良し。
「アカメ、ちょっと良いか」
「作業しながらならな」
2Fのリビングでぽこぽこと火炎瓶やら焙烙玉を量産しつつ、酒造クランに行った割には基本的にうちにいる髭親父が話しかけてくる。なんだよ結局うちに入り浸りかよ。
「例の件、調べてきたぞ」
「案外早かったわね」
「これでも信頼は厚いんでな」
考えていた数倍は早く分かったけど、今の所は軽く覚えておく程度で十分か。まだ激化してないし、これからどう出てくるかが問題だし、もう殴り合いは開始しているわけだから何をやろうが文句は言わせねえぞ。
「それにしても知ってどうするんだ」
「価格と量から向こうの在庫を計算して、物量と質で殴り返そうって思ってさあ」
「らしい戦い方だ」
「今日は新商品も宣伝したし、そっちでも動いてくると思うんだよねえ」
配信と前線でちょろっと使っただけだが、新商品も良い感じに売れ行きが出ているし、もう一つくらい目新しい物を作ってやったらいいかな。後はどういう物をって話だけど、やるならやるでガンナーらしいものを使っていきたい所。
「あくどい事は得意だな」
「ぐうの音も出ない様に叩かないとめんどくさいじゃん?」
頼まれていた火炎瓶と焙烙玉を作り終わって、ふいーっと葉巻で一服。
火気厳禁だってのにがんがん火の元あるな、ここ。
「爆発したらアフロ頭になるものとかつくろっか」
「古典的すぎだろうに」
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