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9章
240話 脱獄1日目
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この監獄の1日の予定を把握する。
そりゃあもう、過密スケジュール……って訳ではなく、朝晩の点呼、全員集合の飯時、後は細かく集まるタイミングがあるのでそこを何度もミスると看守に追い回される。またHPが無くなれば自分の監獄に放り込まれて暫くダウンする。
とりあえずの基本ルールはこんな所。ついでに看守を殴ったり、アイテム拾ったりと色々してみたのだが、やっぱりベースとしているゲームのルールが適用されていた。
しかし何よりも一番目立つってのがこの宇宙猫Tだった。
看守的にはAINPCなので決まった動きが基本なので変な事をしようが問題を起こさなければ問題ないのだが、他プレイヤーがこっちをまあ見てくる。
一応スキンを脱いだら初期服のTシャツ短パンサンダルになるわけだが、ほぼ全員がそういう格好の中、カジュアル宇宙猫Tを着ているから浮きまくってるだけだが。
そんな事よりも、どうやって此処を脱獄するか。
初めの点呼がスタート合図で、要所のポイントさえ通過すれば今も外に出る事は可能だ。
ただ見つかったらボコられてダウンを取られるデメリットのみって所だ。
後は使えるスキル、有用なのは生活火魔法、トラッカーで後は殆ど死んでいる。そもそも銃が無いと使えないのでしょうがないわけだが。
この辺含めて既存プレイヤーと新規プレイヤーの垣根をある程度崩しているんだろう。
「でもまあ、トラッカーの効果範囲は調べておくか」
赤い光を目から引きつつ、夜にこっそり独房から抜け出して他のプレイヤーや看守を見ながら監獄内を確認していく。
私の両隣の部屋、1人はどこからか見つけてきた金属片で床を掘り始めている、その掘った土はどうするのか考え物だぞ。
またもう隣の奴は何か工作を始めていたのだが、それが何かは今の所良く分からん。
こういうのはしっかり計画を立てて脱出するのが良いんだよ。見切り発車は何かと失敗する場合が多いし、トンネル掘るならしっかり人員集めて一気に同時3個くらい掘らないとなあ。
まー、とりあえず期間中何度でも参加できるみたいだし、初参加ってのもあるから様子見しながら攻略を方法を作っていくとするか。こういう繰り返し参加出来る奴って、何度もクリアしてタイムアタック的な事もしたくなる性分なんだよなあ。
で、トラッカーだが、プレイヤーと看守、監視装置的な物には赤く反応する。ついでに何かしら人の手が入った所には小さく赤く光る事もある。なるほど、攻撃出来るものには赤く光るって事か。足跡や痕跡も見つけられるし、これを駆使して脱出経路を探るってのもありだな。
「そうそう、私はこういう地道にやっていく方が性にあっている」
まずはマップの全体像を把握して、どこか抜けられそうなところに目星を付け、そこを突破できるようなアイテムや手段を見つけて、突破ってのが多分一番良いんだろう。T2Wの自由度を考えたら色々と方法はあるはずだしな。
さて、あとは何が出来るかって話になる。
適当にアイテムを探しながら攻略法を見つけて如何に早く脱出するか……ああ、大変だわ。
「さて、と……マップの構造はこんな所か」
建物自体は平屋、大きさで言えばサッカーコート3~4面くらいの広さって所が移動できる範囲だった。
まあプレイヤーは囚人扱いだが、他にもNPCのもいるので、人数を考慮したらまあ妥当な所だ。
で、構造なのだが、独房自体は「コ」の字になっており、独房の反対側の「コ」の字には食堂や医務室などの細々した施設や看守小屋があり、上から見ると□型。
で、外周は2重金網と有刺鉄線のコンボ、4角と□の中央に見張り台が立っており、交代が大体12時間ごと?
「巡回ルートは、大体同じところをぐるぐる回っていると……結構私以外の奴も外に出て同じような事してるな」
まあ、そりゃそうだよな、最初のイベントと違って全員が最初から分かっている目標に対して動けるのだし、私と同じような考えを持つ奴がいない訳がない。さて、こうなってくると最初の時と違うのが情報交換を積極的にしてなるべく協力して動くってのが最善か。
とは言え、全員に話しかけて協力促しってのもなかなか骨が折れるし、難しい話だ。宇宙猫T来ている目つきの悪いドラゴニアンってだけでイメージ凶悪だってのに。
……そういえば例のSSってどうなったんだろうな、直前にあれを見てたら滅茶苦茶ヤバい気がする。ひたすらにヤバい奴が一緒にいるなんてことになってないだろうな。
「マップと人員、後はアイテムがどうなっているか、か……この辺含めて誰かと一緒にやった方が効率もいいから適当に声を掛けてパーティー組んでスピードクリアが目標になる?」
適当な壁にもたれながらインベントリを探って葉巻を……ないんだったわ。って言うか完全に中毒者じゃねーか、これじゃあ。
「おう、そこのねーちゃん、何かいるのか?」
「そうねぇ……脱獄はしたいけど、その前にこっちよ」
すぱーっと煙草を吸うジェスチャー。
って言うか隠れている所から鉄格子越しに話しかけてくるとは。
「あるぜ、ヤニ……ただ多少値は張るがな」
含み笑いをしながら人相の悪い男が得意げに話してくる。
なるほど、こういう取引をしながら脱出を目指していくって事か。
「手持ちがねーからなぁ……何か仕事はねーのか、気に入らない相手の1人や2人くらい消してやる覚悟はあるぞ」
指で銃の形を作って「バーン」と撃つようなジェスチャーをして。
「いや、あんた、そんな物騒な事しなくてもいいんだが……」
「なんだ、じゃあ何したら貰える?」
「何かしらの食い物を持っていたら取引してやる」
「食い物ねぇ……食堂辺りに忍び込んで探してくるか」
「期待してるぜ」
そういうと独房のベッドに寝転がりくつろぎ始める。
こういうルートもあるって事か。中々面白い事をしてくれるじゃないか、T2Wの脱獄イベント。若干どういうイベント構成してるんだって思うのはあるが、やっぱりこういう力技だけで突破できませんって感じの方が性に合う。
って言うか脳死で持ってるスキルがんがん回すのなんてどこが面白いのやら……装填ばっかり使ってる私が言うのもなんだけど。
「食堂は確か独房エリアの反対側だったな、何か漁れば缶詰の1つくらいは手に入るだろ」
独房と施設の境目辺りにいるので距離的にも近いし、このまま行こう。
「こんな事なら暗視を取得しておけば良かったなあ……夜の監獄って中々暗いぞ」
トラッカーを使っても暗さまでは改善されるわけではないので、足跡、看守の位置を予測しながらじっくりと進んで行く事になる。何だろうな、脱獄ゲーだと思っていたらスニーキングゲーになっている気がする。遺伝子兵みたいに、真後ろ、真横にいても前方60度くらいの範囲に入らなかった探知されないって要素はないだろうな。
「あーっと、どうだったかな……あのゲームあんまし得意じゃないんだよな……」
基本は中腰、壁ノックで敵を釣って素早く後ろに回って締め落とすんだったかな。
とりあえず壁に隠れて、誰もいない部屋に入り、看守が抜けるのを待ちつつ、食堂へと抜けていく。
いや、マジでトラッカー取っておいて良かった。足跡や痕跡が見れるってこういうゲームだとかなり使えるもんな。
「っと、食堂みっけ、と」
此処まで来るのに、中々看守の目を掻い潜るのが大変……でもなかった、案外パターンが決まっていたので、多分難易度的にも優しいんだろうな。
で、お目当ての缶詰は……っと。
「おーし、これこれ……ついでに使える道具でも……」
「おい、お前!何をしている!」
声を掛けられたのでびくっと驚き後ろを振り返ると看守が1人。
ああ、そうか、アイテムを見つけたりしたら発生するイベントって事か。
「なんでもないでーす!」
看守に体当たりして、弾き飛ばすと共に食堂を抜けてもう、色々とガン無視しながらさっきの男の所へと走り抜けていく。
ああ、そうだ、私ってAgi値結構高いのよ、ライフル担いだりガンベルトや銃で数値下がってたから忘れてたけどさ。
それでも、数人の看守に追いつかれそうになる……前にさっきの男の所に来れたので拾った缶詰を素早く独房に投げ入れると共にお縄。
「いで、いででで!」
がんがんと殴られてあっという間にHPを削られるとそのままダウン、ぐったり動けない状態のまま首根っこを掴まれて自分の独房へと放り込まれる。
くっそ、覚えてろよ、看守共。
そりゃあもう、過密スケジュール……って訳ではなく、朝晩の点呼、全員集合の飯時、後は細かく集まるタイミングがあるのでそこを何度もミスると看守に追い回される。またHPが無くなれば自分の監獄に放り込まれて暫くダウンする。
とりあえずの基本ルールはこんな所。ついでに看守を殴ったり、アイテム拾ったりと色々してみたのだが、やっぱりベースとしているゲームのルールが適用されていた。
しかし何よりも一番目立つってのがこの宇宙猫Tだった。
看守的にはAINPCなので決まった動きが基本なので変な事をしようが問題を起こさなければ問題ないのだが、他プレイヤーがこっちをまあ見てくる。
一応スキンを脱いだら初期服のTシャツ短パンサンダルになるわけだが、ほぼ全員がそういう格好の中、カジュアル宇宙猫Tを着ているから浮きまくってるだけだが。
そんな事よりも、どうやって此処を脱獄するか。
初めの点呼がスタート合図で、要所のポイントさえ通過すれば今も外に出る事は可能だ。
ただ見つかったらボコられてダウンを取られるデメリットのみって所だ。
後は使えるスキル、有用なのは生活火魔法、トラッカーで後は殆ど死んでいる。そもそも銃が無いと使えないのでしょうがないわけだが。
この辺含めて既存プレイヤーと新規プレイヤーの垣根をある程度崩しているんだろう。
「でもまあ、トラッカーの効果範囲は調べておくか」
赤い光を目から引きつつ、夜にこっそり独房から抜け出して他のプレイヤーや看守を見ながら監獄内を確認していく。
私の両隣の部屋、1人はどこからか見つけてきた金属片で床を掘り始めている、その掘った土はどうするのか考え物だぞ。
またもう隣の奴は何か工作を始めていたのだが、それが何かは今の所良く分からん。
こういうのはしっかり計画を立てて脱出するのが良いんだよ。見切り発車は何かと失敗する場合が多いし、トンネル掘るならしっかり人員集めて一気に同時3個くらい掘らないとなあ。
まー、とりあえず期間中何度でも参加できるみたいだし、初参加ってのもあるから様子見しながら攻略を方法を作っていくとするか。こういう繰り返し参加出来る奴って、何度もクリアしてタイムアタック的な事もしたくなる性分なんだよなあ。
で、トラッカーだが、プレイヤーと看守、監視装置的な物には赤く反応する。ついでに何かしら人の手が入った所には小さく赤く光る事もある。なるほど、攻撃出来るものには赤く光るって事か。足跡や痕跡も見つけられるし、これを駆使して脱出経路を探るってのもありだな。
「そうそう、私はこういう地道にやっていく方が性にあっている」
まずはマップの全体像を把握して、どこか抜けられそうなところに目星を付け、そこを突破できるようなアイテムや手段を見つけて、突破ってのが多分一番良いんだろう。T2Wの自由度を考えたら色々と方法はあるはずだしな。
さて、あとは何が出来るかって話になる。
適当にアイテムを探しながら攻略法を見つけて如何に早く脱出するか……ああ、大変だわ。
「さて、と……マップの構造はこんな所か」
建物自体は平屋、大きさで言えばサッカーコート3~4面くらいの広さって所が移動できる範囲だった。
まあプレイヤーは囚人扱いだが、他にもNPCのもいるので、人数を考慮したらまあ妥当な所だ。
で、構造なのだが、独房自体は「コ」の字になっており、独房の反対側の「コ」の字には食堂や医務室などの細々した施設や看守小屋があり、上から見ると□型。
で、外周は2重金網と有刺鉄線のコンボ、4角と□の中央に見張り台が立っており、交代が大体12時間ごと?
「巡回ルートは、大体同じところをぐるぐる回っていると……結構私以外の奴も外に出て同じような事してるな」
まあ、そりゃそうだよな、最初のイベントと違って全員が最初から分かっている目標に対して動けるのだし、私と同じような考えを持つ奴がいない訳がない。さて、こうなってくると最初の時と違うのが情報交換を積極的にしてなるべく協力して動くってのが最善か。
とは言え、全員に話しかけて協力促しってのもなかなか骨が折れるし、難しい話だ。宇宙猫T来ている目つきの悪いドラゴニアンってだけでイメージ凶悪だってのに。
……そういえば例のSSってどうなったんだろうな、直前にあれを見てたら滅茶苦茶ヤバい気がする。ひたすらにヤバい奴が一緒にいるなんてことになってないだろうな。
「マップと人員、後はアイテムがどうなっているか、か……この辺含めて誰かと一緒にやった方が効率もいいから適当に声を掛けてパーティー組んでスピードクリアが目標になる?」
適当な壁にもたれながらインベントリを探って葉巻を……ないんだったわ。って言うか完全に中毒者じゃねーか、これじゃあ。
「おう、そこのねーちゃん、何かいるのか?」
「そうねぇ……脱獄はしたいけど、その前にこっちよ」
すぱーっと煙草を吸うジェスチャー。
って言うか隠れている所から鉄格子越しに話しかけてくるとは。
「あるぜ、ヤニ……ただ多少値は張るがな」
含み笑いをしながら人相の悪い男が得意げに話してくる。
なるほど、こういう取引をしながら脱出を目指していくって事か。
「手持ちがねーからなぁ……何か仕事はねーのか、気に入らない相手の1人や2人くらい消してやる覚悟はあるぞ」
指で銃の形を作って「バーン」と撃つようなジェスチャーをして。
「いや、あんた、そんな物騒な事しなくてもいいんだが……」
「なんだ、じゃあ何したら貰える?」
「何かしらの食い物を持っていたら取引してやる」
「食い物ねぇ……食堂辺りに忍び込んで探してくるか」
「期待してるぜ」
そういうと独房のベッドに寝転がりくつろぎ始める。
こういうルートもあるって事か。中々面白い事をしてくれるじゃないか、T2Wの脱獄イベント。若干どういうイベント構成してるんだって思うのはあるが、やっぱりこういう力技だけで突破できませんって感じの方が性に合う。
って言うか脳死で持ってるスキルがんがん回すのなんてどこが面白いのやら……装填ばっかり使ってる私が言うのもなんだけど。
「食堂は確か独房エリアの反対側だったな、何か漁れば缶詰の1つくらいは手に入るだろ」
独房と施設の境目辺りにいるので距離的にも近いし、このまま行こう。
「こんな事なら暗視を取得しておけば良かったなあ……夜の監獄って中々暗いぞ」
トラッカーを使っても暗さまでは改善されるわけではないので、足跡、看守の位置を予測しながらじっくりと進んで行く事になる。何だろうな、脱獄ゲーだと思っていたらスニーキングゲーになっている気がする。遺伝子兵みたいに、真後ろ、真横にいても前方60度くらいの範囲に入らなかった探知されないって要素はないだろうな。
「あーっと、どうだったかな……あのゲームあんまし得意じゃないんだよな……」
基本は中腰、壁ノックで敵を釣って素早く後ろに回って締め落とすんだったかな。
とりあえず壁に隠れて、誰もいない部屋に入り、看守が抜けるのを待ちつつ、食堂へと抜けていく。
いや、マジでトラッカー取っておいて良かった。足跡や痕跡が見れるってこういうゲームだとかなり使えるもんな。
「っと、食堂みっけ、と」
此処まで来るのに、中々看守の目を掻い潜るのが大変……でもなかった、案外パターンが決まっていたので、多分難易度的にも優しいんだろうな。
で、お目当ての缶詰は……っと。
「おーし、これこれ……ついでに使える道具でも……」
「おい、お前!何をしている!」
声を掛けられたのでびくっと驚き後ろを振り返ると看守が1人。
ああ、そうか、アイテムを見つけたりしたら発生するイベントって事か。
「なんでもないでーす!」
看守に体当たりして、弾き飛ばすと共に食堂を抜けてもう、色々とガン無視しながらさっきの男の所へと走り抜けていく。
ああ、そうだ、私ってAgi値結構高いのよ、ライフル担いだりガンベルトや銃で数値下がってたから忘れてたけどさ。
それでも、数人の看守に追いつかれそうになる……前にさっきの男の所に来れたので拾った缶詰を素早く独房に投げ入れると共にお縄。
「いで、いででで!」
がんがんと殴られてあっという間にHPを削られるとそのままダウン、ぐったり動けない状態のまま首根っこを掴まれて自分の独房へと放り込まれる。
くっそ、覚えてろよ、看守共。
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