上 下
249 / 622
8章

232話 計画中

しおりを挟む
「んー……もう20日もゲームしてんなあ……」
 
 私の有休パワーもそろそろ切れてしまう。
 ついでに言えばリアル自宅に蓄えた物資も結構底を付いてきている。
 何だかんだで数時間おきにログアウトして休憩をしたりしながら此処までやってきたわけだが、人間生きていくには飲んだり食べたりしなきゃならないからそりゃそうよって話だな。

「でも、もうちょっと大丈夫だから買いに行くのは今度でいいや」

 インスタントと冷食ばっかりになってきたけど、まだ大丈夫だからいいわ。
 さてと、とりあえず今と言うか今後の方針や目標を立てていこう。

 現状の問題として、ある程度の片が付いているのは例の偽クラン。
 大分あいつに釘を刺したし、これで少しでも改善が出来ないっていうのなら、今まで撮りためていたログやSSの証拠を運営に叩きつけて片っ端から全滅させてやろう。
 なーに、十数万いるプレイヤーのうちたった数十人消えるだけだし。何だったら消えたと言う事実も分からないだろうし、さらっと消えておしまいよ。
 うん、気に入らなかったら食らわしてやろう。


 で、次の問題が、新しい弾種の開発。
 物凄く数を量産する必要はなくて、センターヘッドに入れて一発ずつ使う運用なら、各種5発くらい実用できるレベルの物が揃えられれば問題ないか。
 その新しい物を作るってのがまた別の問題があるんだけど、魔法系素材は情報クランなりWikiなりで集めて、合わせてモンスターの情報収集もしておかないと。
 ……使い分ける銃器もそろそろ厳選と言うか、何でもかんでも持っているのもやめた方がいいな。新しい銃器を全然購入していないってのもあるのだが。
 2軍落ちは鳳仙花、ランペイジMk2は確定として、もう1本くらいは仕舞っておきたい。
 
「落とすならDボアだなぁ、マガジンもあるから装填の手間含めてG4の方が使えるし」

 リボルバー特有の回転弾倉で6発分にそれぞれの属性弾やらを入れて切り替えるってのは見栄えも浪漫もある。Xが3個並んだ映画でも1作目はそういう銃があったから、どちらかと言うと用途に応じて切り替えて火力度外視ならまだ?
 だったらセンターヘッドで一回ずつ入れ替えた方がいいか。ついでに銃器ラックとクローゼットもあるから何にもなかったマイハウスの自室もちょっとは彩り良くなるだろう。

 そんな事を思いつつ、いつもの愛用しているタブレットでやる事をつらつらと入力していく。
 大体の問題とやる事を書き連ねてHMDに入れるってのも何か久々にやっている気がするな。


 問題1 偽クラン
 対処済み、今後の動き方次第で運営に通報するかどうかを決定。
 証拠諸々はHMDから吸出し済み。報告メールもテンプレ作成済みなので送信を押せばすぐに完了。
 筋を通して、頭を下げるなら許してやるのもあり。

 問題2及びやる事 特殊弾の開発
 特殊能力持ちに対しての対抗手段の薄さ、解決策は特殊弾予定

 特殊弾はトカゲとポンコツピンクを使っての共同開発?
 開発により、魔法系素材(特に属性あり)の獲得、安定供給のためのモンスタードロップの把握。
 特殊弾頭、特に装甲を抜けるような貫通弾の開発も並行。
 →貫通力を上げるために無煙火薬、炸薬量の調整?
  →弾頭自体の貫通力を上げるために形状試作、鉛以外の物で作成?
   →何だったらナイフ自体を射出するとか?

 3:新マップ
 特殊弾開発完了もしくは目処が立ち次第、ドルイテンまでの進行。
 進行ルートは北エリア側、突破する場合はなるべくソロ。

「んー、思いつく限りではこんなもんか……1は別として、2と3は殆どセットだし、この辺りでしっかり私自身の強化を入れないと駄目なとこもきたし」

 対人イベント用の装備で揃えているから、対モンスター用が不安になってきたと言うのが正直な所。って言うかそもそも、このゲームってPvEがメインなんだから、そっちを揃えるのが当たり前なんだよな。
 無理やりではないけど、盛り上げるための対人要素はちょっと休んでおきたい。勝敗ばっかり求めてるのも嫌いじゃないのだが、それはそれで、そういったゲームをするからわざわざこっちでやらんくてもいいって事だな。

「またゴリマッチョの奴の世話になるんだろうなあ……もういっそのこと生産系一通り人員揃えてみるか」

 下唇に指をあててぷるぷると揺らしながら「んー」っと唸る。
 あんまり人を増やすってのは好きじゃないので、多くても15人位でいいかな。
 クラン対抗戦で人数が多ければ多いほど有利になるって要素も無いので、人数を増やすデメリットの方が強くなる。
 勿論そのデメリットってのがあの偽物連中の事になる。人数が多くなればなるほど、制御がしにくくなるので私の知らない所で余計な事をして、余計な問題を起こされたらたまったもんじゃない。
 ようやく手に入れたクランハウスを手放したくないし、この手のオンラインゲームであまりにもやらかしたことが大きく運営の所にまで入っていくと、規約違反じゃなくても未来永劫ネタやら汚名を被る事になる。
 まあ、そこは良いとして、やっぱり自分の所で抱えられる職人が欲しくなるわな。

 自分で何だかんだやってきたのは私だけど、あくまでも一通りできるってだけで専門でやってる奴には負ける。何だったらガンスミスに走ったトカゲの奴の方が銃弾や銃本体は私よりも出来が良い。
 結局のところ、アマとプロの違いが顕著に出てきたって事だな。
 
「ま、こんなとこか……で、あとはいつものようにーっと」

 USBでデータを吸出してから入れるだけの作業。
 タブレットから抜いたUSBをくるくると手の中で転がしつつ、HMDに差してデータ移動。

 よし、これで準備もできたし、16時だから大分やれるとして、まずは……。

「家事すっか」

 あんまり動かないけど部屋に埃が溜まるってのは不思議だな。
 ログインした時に例のめんどくさいやつ全部片付いているといいんだけどなあ。




『To The World Roadへようこそ』

 白い光の輪を出してクランハウスの2Fに降り立つ。
 そういえば3Fと地下が腐り気味だな。もうちょっと家具でも揃えて見栄えよくするかな。

「おはようございます、アカメ様」
「サイオンとアイオンは」
「1Fでショップ業務、地下でバイパー様のお手伝いをしております」

 早速うちの敏腕秘書を使いこんでいるな、あいつは。
 マイハウス用のNPCがいるかは分からんけど、専用の1人雇って庭の世話でもさせたくなってきた。ジャガイモと硝石回収するのめんどくせーんだよなあ……クランハウスに畑作れれば良かったのに。

「んじゃあ、ゴリマッチョと情報屋の所に行ってくるわ」
「お気をつけていってらっしゃいませ」

 丁寧にお辞儀をしてくるシオンの頭をわしゃってからクランハウスを後にする。
 結局例の風評被害はなかなか抑え込んできているのか、前よりも少しは盛況だな。

 と、そうそう、自宅に行ってアイテム整理するのも忘れないようにせんとな。
しおりを挟む
感想 43

あなたにおすすめの小説

VRゲームでも身体は動かしたくない。

姫野 佑
SF
多種多様な武器やスキル、様々な【称号】が存在するが職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。 古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全没入型VRMMO化されることになった。 身体をなるべく動かしたくないと考えている岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。 しかしゲーム内の親友との会話で落ち着きを取り戻し、<Imperial Of Egg>にログインする。 当作品は小説家になろう様で連載しております。 章が完結次第、一日一話投稿致します。

神速の冒険者〜ステータス素早さ全振りで無双する〜

FREE
ファンタジー
Glavo kaj Magio 通称、【GKM】 これは日本が初めて開発したフルダイブ型のVRMMORPGだ。 世界最大規模の世界、正確な動作、どれを取ってもトップレベルのゲームである。 その中でも圧倒的人気な理由がステータスを自分で決めれるところだ。 この物語の主人公[速水 光]は陸上部のエースだったが車との交通事故により引退を余儀なくされる。 その時このゲームと出会い、ステータスがモノを言うこの世界で【素早さ】に全てのポイントを使うことを決心する…

後輩と一緒にVRMMO!~弓使いとして精一杯楽しむわ~

夜桜てる
SF
世界初の五感完全没入型VRゲームハードであるFUTURO発売から早二年。 多くの人々の希望を受け、遂に発売された世界初のVRMMO『Never Dream Online』 一人の男子高校生である朝倉奈月は、後輩でありβ版参加勢である梨原実夜と共にNDOを始める。 主人公が後輩女子とイチャイチャしつつも、とにかくVRゲームを楽しみ尽くす!! 小説家になろうからの転載です。

最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO

無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。 名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。 小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。 特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。 姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。 ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。 スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。 そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。

最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした

水の入ったペットボトル
SF
 これまであらゆるMMOを最前線攻略してきたが、もう俺(大川優磨)はこの遊び方に満足してしまった。いや、もう楽しいとすら思えない。 ゲームは楽しむためにするものだと思い出した俺は、新作VRMMOを最弱職業『テイマー』で始めることに。 βテストでは最弱職業だと言われていたテイマーだが、主人公の活躍によって評価が上がっていく?  そんな周りの評価など関係なしに、今日も主人公は楽しむことに全力を出す。  この作品は「カクヨム」様、「小説家になろう」様にも掲載しています。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

VRMMO~鍛治師で最強になってみた!?

ナイム
ファンタジー
ある日、友人から進められ最新フルダイブゲーム『アンリミテッド・ワールド』を始めた進藤 渚 そんな彼が友人たちや、ゲーム内で知り合った人たちと協力しながら自由気ままに過ごしていると…気がつくと最強と呼ばれるうちの一人になっていた!?

Free Emblem On-line

ユキさん
ファンタジー
今の世の中、ゲームと言えばVRゲームが主流であり人々は数多のVRゲームに魅了されていく。そんなVRゲームの中で待望されていたタイトルがβテストを経て、ついに発売されたのだった。 VRMMO『Free Emblem Online』 通称『F.E.O』 自由過ぎることが売りのこのゲームを、「あんちゃんも気に入ると思うよ~。だから…ね? 一緒にやろうぜぃ♪」とのことで、βテスターの妹より一式を渡される。妹より渡された『F.E.O』、仕事もあるが…、「折角だし、やってみるとしようか。」圧倒的な世界に驚きながらも、MMO初心者である男が自由気ままに『F.E.O』を楽しむ。 ソロでユニークモンスターを討伐、武器防具やアイテムも他の追随を許さない、それでいてPCよりもNPCと仲が良い変わり者。 そんな強面悪党顔の初心者が冒険や生産においてその名を轟かし、本人の知らぬ間に世界を引っ張る存在となっていく。 なろうにも投稿してあります。だいぶ前の未完ですがね。

処理中です...