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8章

230話 本来やること

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 この間撃ち抜いたドラゴン、あいつのドロップ品が欲しいと言う事で一発かましてきた。
 流石に戦い方が確立されているし、ちゃんと前線張っていれば安全に撃てるし、あの威力は奥義と言うのにふさわしい。
 ちなみにこのドラゴンの生息場所だが北東エリアの火山の先にあるダンジョンに生息している。
 ついでに新しいスキルも勝手に覚えたのだが、これは記念品っぽいな。


スキル名:ボスキラー レベル:1
詳細:【パッシブ】
  :ボス撃破時のドロップ率、経験値を微増
備考:職業レベル外 撃破したボスの数が増えるとSLv上昇

 
 誰でも取れる記念スキルか、聞いてみたら普通に持ってるって言うし、そこまで珍しい物でもないっぽいな。
 しかしそれよりも大事な事があってだな。

「問題はこれから先の相手なのよねぇ」
「先ってなんだ?」

 今日のパーティはトカゲとジャンキーと犬耳、私のセットだったのだが、FWS撃つ前に殆どトカゲのガトリングでハチの巣にしていたのは予想外だったな。あいつの弱点は半生産職だから、私やポンコツピンクの様な自分の戦闘力や一撃を大きく強くするスキルが無いので、その辺を手回しガトリングや、銃器開発でカバーするのがメインっぽい。
 ガンナーが多い上に弾幕が張れるとボスモンスターだとしても、FWSを使わずに瞬殺できたりする。
 ただ、あくまでも攻撃力、防御力、HPの高い相手だけだからと言う条件が付いてくる。

「第三辺りから搦め手を使ってくる相手が多くなるって聞いてるからさ」
「あー、いるよぉ?メジャーなのは物理完全無効、各種属性無効、変身持ちかなぁ」
「物理無効はあんましいないですかね……属性や耐性持ちは第三からは多くなります」
「ごり押しできんのもこの辺までだと思うわ」

 物理無効だとまずガンナーは魔法が使えないので手が出ない、ついでに言えば物理耐性持ちも弱いな。とにかく魔法メインじゃないと相手が出来ないと全く手が出ないだろうな。
 やっぱりこっから先は普通にゲームするよりも頭を使う事になるんだろうな。

「魔法系素材を集めて属性弾の開発もしないとなぁ……つーか、ジャンキーはどうやって相手してんだ」
「んー?あたしはこういうのあるから?」

 足を見せてからぐりぐりっと地面に擦りつけて準備をすると「バチッ」と大きい音を立てて蒼い稲妻が足先に走り始める。

「おー、すごいですね……雷系属性ってレアなんですよ?」
「でしょぉー?消費きついからあんま使わないんだけどねぇ」
「私とトカゲはこれくらいだから羨ましいよ」

 指をぱちんと鳴らして指先から100円ライターの出力最大にしたくらいの火を出してため息一つ。

「Lv30以降のモンスターは特殊な物が多くなるってよ、状態異常系も多くなるとか」
「うちのジャンキーは上から下まで倒してるから詳しいんだろうけど」
「蹴れるなら倒せる、これしか考えてないよぉ?」
「……僕いなくなったら、瓦解するんじゃないですか、このクラン」

 そう言われても戦闘メインなのはジャンキーとポンコツだけで、私含めて他のは趣味に走っているので素材さえ取れれば問題なし、と言うのが大きい。
 ヒーラーがいなくなるとHPポーションを自前で使わなきゃいけないってのでポーション代がかかって赤字になるくらいか。

「まあ人事を考えるのは私の仕事だから、派遣社員の犬耳が考えるこっちゃねーよ」
「人使い荒いのに、派遣扱いなんですか……!?」

 驚いた声を上げている隣同士でトカゲとジャンキーが肩を叩いて「そういうボスだから諦めろ」と慰めるような顔をしている。
 そんな他愛もない話をしながらゼイテに戻ってくる。流石に平定しただけあって北東エリアは片手間に突破出来るようになっている。あいつらと散々やり合った結果がこうなるとは。



「そういえば例のクランどうなったんだ?」
「ああ、あいつね……まず自分たちのクランのケリをつけてからもう一度来いって」
「随分優しいですね?」
「アカメちゃんって本気で怒る事ないしねぇ、基本的に優しいよぉ?」

 単純に私の迷惑になるようなことがあるから、それを嫌って説教や人の距離を開けるのだが、そういうのを含めて優しいと認識されてるのかね。

「別に勝手に模倣するのはいいのよ、それを分かっててこっちに迷惑をかけるってのが許せないのよ」
「……結構ちゃんとしてるんですね?」
「まーね、私には私なりのルールがあるって事」

 私は平和的にゲームをしたいと言うだけで、それ以外は特にない。
 ……人間爆弾を作ったり、女性の手をコレクションしたり、モナリザの絵画で勃起するような奴と似ている気がしてきた。

 とにかく、あいつらの件はちゃんと話してケリを付けてその上で私の所に来ると言うのであれば、模倣しようがパクろうが構わない。
 パクリ、パロディ、オマージュとあるが、現時点じゃパクリなのでそこから脱却して、お互いに険悪にならないような関係であれば良し。
 向こうは向こうの客層があるし、こっちにはこっちの客層があるので商売も被りはしない。今はある程度客層を奪うようなラインナップで攻めているので、暫くはこのままだが。

「ま、あんた達はいつもどーりでいいわよ、ああいうのはトップでやり合うのが筋だし、迷惑かけるようだったら今までため込んだ証拠を運営に突っ込んでBANするだけだし」

 そんなに証拠集め切ってるのかよ、と驚かれた顔をされたが当たり前だろう。自衛や切り札は保持するに限るし、ちょっとでも私の言った事を守らずに喧嘩を売るつもりなら一気にギロチン刑よ。

「そういうもんかね……まあアタッチメントなり属性弾の開発は続けるか」
「何時決着つくかわかんないしねー……犬耳いなくなった時のヒーラーもガンナーで出来るか考える必要もあるし」
「派遣切りします見たいな言い方やめてもらいます?」
「回復役ねぇ……ガヘリスちゃんがこのままいればいいんだけどぉ?」
「うちに本格的にくる気が無いから、こう言ってんのよ」

 今の所レンタル品なので、そのうちに返さないと行けないのは確定済み。扱い的には本当に派遣みたいだな。

「さてと……ドロップ品の分配は良いわね、私は興味ないからご自由に」
「血だけ俺が貰うわ」
「あたしもぱーす」
「僕もいらないですね」

 じゃあ、あまった革やら牙はクランショップ行きだな。こうしてどんどん在庫と資金が増えていって潤沢になるわけだが、そのうち価格崩壊を起こしそうで怖いな。

「さてと、私は私でやる事あるから解散な」

 そういってパーティを解散し、手をぷらぷらと振ってその場を離れて露店街に。



「うーん、あんまし狙いの物は置いてないわね……」

 1人で何個目かの露店を見終わりため息を吐き出す。
 さっきの会話にもあったのだが、そろそろ第三の街を目指すべき時期がやってきたわけで、その対策として特殊弾が関係してくる。
 今でこそ鉛弾頭を使っているわけだが、ものすごいざっくりと言えば物理攻撃で、射撃属性もあるらしい。
 そしてガンナーは二次職想定と言うのを考えればこれから先は固定ダメージ無効なんて敵も出てくるかもしれないわけだ。
 その対策として色々と仕込みを始めないといけないわけだったのだが、例のクラン関係で手を出せなかったと言う事になる。

 そうイベントが終わった後、ゆっくり色々と開発して、ウサ銃の劣化もそろそろ直したいと思っていたから、ある程度ケリがついただろうと思っているのでやっとの事で着手できるって訳だ。
 ほんと、私のやりたい事をやる時に限って何かしらの問題が起きるのは頭痛が痛いわ。

「この辺じゃ手に入らないって事かなぁ……接続パーツは鉄製品だから鍛冶ギルドの加工品レシピでどうにかするか」

 接続パーツと入っているが、ネジや金属棒を刺し込んで固定する方法もあるし、なんだったらはんだ付けくらいできるだろう。

 まあ、その辺は良いとして、とにかく欲しいのは魔法系素材。
 これに関してはゴリマッチョの奴がやった事を応用していけば同じように属性付与が出来ると踏んでいるので実はそれほど実験的な事でもなかったりする。
 理由としては耐火コートだな。これも火属性が付与されているから、火系の攻撃に対して多少なりと防御力が上がっていることになる。
 この辺の属性ルールってのももう一度しっかり考えたり調べたりしてから付与しないとまずいとは思うが、四元素一式の魔法素材があれば色々と試しやすいし、失敗しても問題ないくらいの数は揃えておきたいんだけど、魔法素材ってなかなか売ってないな。
 ある事はあるのだが、無属性ばっかりでどうも混ぜ合わせる素材としてはあんまし想像できないと言うか、使いにくい物ばかりでいまいち。

「やっぱ四元素素材ほしいなあ……やっぱドルイテン辺りまでいって露店見るか」

 確か街に入るためのボスが居るとか聞いたから、そいつの対策も練らないと行けないって事か。
 あー、やる事増えて大変だなー。
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