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8章

219話 人口爆発

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 アップデートは常にやってくれてるので気が付いたら実装してました、てへぺろ。みたいな状態になるのがこのゲームなんだけど、気が付いたら転移できる場所にレース場が増えてるでやんの。
 お知らせも一応確認したら、レース場に行けば無料で競技用と移動用のユニット手に入るので、ぜひ一度足を運んでくださいと書いてあった。
 
 とりあえず貰えるものは貰っておこうと思ったのでレース場に行ってみたらそりゃあもう、ごった返している。人口が増えたと言うのもあるが、単純にお知らせ見たのがこぞってやってきているって所か。
 つまり、私と同じように貰っておけるものは貰っておこうと思ったのが同じようなタイミングでここにやってきていると言う事だ。
 別に今すぐ手に入るものではあるが、今すぐ手に入れたいと言うほどの物でもないので、落ち着いたらもう一度こよう。

 して、次にやる事はガンナーギルドに溜まっていたクエストの報告、貢献度110も溜めたのでギルドレベルも7に上昇、買える物はあんまし増えていないが、クランハウス、マイハウスに射撃場が建設可能になった。ちなみに価格は300万、敷地の増設と色々機能こみこみ。

 と、イベント前とアップデート後の追加要素を諸々片付ける。
 そうは言っても大量にあると言う訳じゃないので、さくさくっとリアルタイム1時間も無いくらいに片付いてしまうのだけど。

「それにしても、エルスタンも手狭になった感じあるわ」

 人口が増えると見越して、マップ全体の大きさも見直されて大きくなったわりには狭く感じる。人口密度が高いわ、マジで。
 それにしても一時期絶滅しかけたガンナーもちらほら見掛けるあたり、マゾプレイヤーがまあまあいる。
 流石に有象無象が多すぎるので口出ししない。そう言った一つずつ丁寧にああした方がいい、こうした方が良いと言うのはトカゲとポンコツピンクくらいで十分だ。
 そもそもあいつらも30レベル超えてる上に、ガンナーギルドの場所を教えているから、私がいちいち何かを言わなくても勝手にスキルを覚えられる環境は整っている。手のかかる子供がいなくなったらこういう感覚になるんだろうな。

「レベル自体もどんどん上がっていくだろうし、私もいつまでガンナートップって言われるのやら」

 後続が追い抜いていかれたら、まあちょっとは悔しいけど、しょうがないよな。
 何て言ってもそこまでレベリングを必死にやっているわけでもなく、自分が好きなようにゲームをしているのでレベルとして抜かれるのは必然だろう。
 うちのメインタンク共に良いレベリングの場所でも聞いて、少し付き合ってもらうってのもいいな。あんましやってないボス討伐巡りってのもいいかもしれんが。

「そんな事より、鬼混みの状況で疲れる方があるなあ」

 もうね、どこに行っても大体人がいる。
 マップが広がったのもあって、拡張した部分をマッピングする奇特な奴もいるので、いつもは人がいない所にもちらほらと人を見かける。うーん、お祭り騒ぎとはこのことだな。

 まあ、そう言いながら私自身も拡張したマップのあたりをうろついてどういう施設があるのか、どうなっているのかを見ている辺り、同じ穴の狢か。
 うちのクランハウスはアクセスの良い西側にあるし、マイハウスは各地点の転移から飛べるし、把握しなくても良いと言えば良いんだけど。



「はー、憩いの場」

 自宅に戻って、クラン金を使ったジャガイモ100個分を植えておく。
 クランの金は私の金。

 やっぱりいいわよね、自分のスペースって。
 マイハウスは専用だけど、クランハウスに関しては先着って言われてたし、マップ拡張でまた選べるところが増えたと言う事だな。

「人口増加で需要があると思うし、爆弾と火炎瓶の量産も視野にいれておくかなあ……硝石丘ももうちょっと拡大しておきたい」

 イベント前に地味に20㎏、20個分の硝石丘にしておいたわけだが、もっと量産して火薬を死ぬほど貯めておきたい。銃弾関係の物って結構金も掛かるし、1発2,500Zもする。
 金属薬莢はガンナー組3人で死ぬほど量産したけど、雷管用のカップを作るのを3人とも忘れてたからそっちの量産がまだだったりするんだけど。

「あー、そうだ、あと爆弾の効果範囲が狭まったって修正されてたな」

 ちゃちゃっと火薬を作って、パイプ爆弾を作ったうえで庭の訓練場に行って軽く爆破。
 20gくらい突っ込んだけど、そんなに範囲が狭まった印象ってのはないな。そもそも私ってボマー付きだからそれも関係してんのかな?

「なんだ、何やった!?」
「よー?」

 ばたばたと地下から慌てて上に上がってきた髭親父。相変わらず私の自宅で酒造していたのか……そういえば酒樽めっちゃ使ったアルコールは火炎瓶と銃弾ですべて使い切ったんだよな、悪い事したわ。

「はぁ……なんだ、アカメか。また変な事やってたのか」
「爆発範囲の修正確認、大体あそこから、この辺かな」

 ウサ銃の銃剣で芝にぴっと傷をつけ、大体15歩目測で15mって所か。
 するっとパイプ爆弾を作って髭親父に渡す。

「もうちょっと実験する所を考えたらどうだ?」
「人口が増えたから色んな所でレベリングしてるプレイヤーがいる中で、思いっきり爆破してるのはダメでしょ。それにこういう爆発範囲ってのは正確に把握しておくのは大事なのよ」

 そういう物かと言っている間に、手元にあるパイプ爆弾に火を付けてやると、慌てて私が投げた所に同じように投げて爆破。
 相変わらずの爆風と爆音を聞きながら土煙が収まるのを暫く待つ。

「それにしたって、こんなものをうちのクランはぼんぼんと投げていたのか……」
「あんただって対人イベントの時に投げたじゃない」

 爆破地点から歩いて10歩、大体10m範囲。
 私が使った時よりも短いってのは、多分ボマーの効果が乗ってるか乗ってないかって所だろう。
 Lv5の最大値で大体大きく補正って言ってるけど、単純計算これ1.5倍だよな。

「ダメージだけしか表記が無かったから範囲はちょっと懐疑的だったけど、隠しステみたいな項目もあるって事かな」
「アカメよ、もうちょっとまともな武器を使うって発想はないのか」
「投げ物って一本あるだけで状況が変えられる場合が多いから、結構大事なのよ?」
「FPSの常識をMMOに持ち出すんじゃーない」

 ぺしっと頭をはたかれる。

「まあ、あんまし外であれこれやる事が出来ないのよ、変に悪目立ちするってのも好きじゃないしさ」
「今回出荷分が大体50万くらいとは見たな」
「だったら単純に50万ユーザー増えるって感じだから、今の10倍目立つって事じゃん」

 もう、北エリアで実験相手として兎や鼠相手に派手な事が出来ないなんて……って、思ったから射撃場を作ろうと思ったんだった。

「とりあえずあんたの欲しい物って何?」
「今の所は特にないな、まあ、好きにさせて貰ってるんだ、あの金は好きに使ってもいいだろう」
「じゃあ、後で遠慮なくつかおっかな」

 好きにはさせているんだけど、その好きにさせた成果をがんがん使ってるからちょっと申し訳ない。
 うん、ごめんな、これからもっと使うから、今だけちょっと反省するわ。

「それにしても人口増えた弊害がこれからでそうねえ……」
「差し当たって一番の問題はももえの奴だろうな」

 あー、そうか……あいつ配信しているから、その視聴者が探してくるってパターンもあるな。問題はどれくらいの視聴者数で信者がどれくらいいるのかって所だが。
 何にせよ、クランハウスとマイハウス周りの配信に関してもう一回釘を刺しておこう。

「ま、何か迷惑行為をしてくるっていうなら容赦なく運営に報告してBANしてもらうから」
「単純に相手をしたくないと、心の底から思ったよ」
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